「慢性頭痛の基礎」シリーズを始める前に | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 慢性頭痛(一次性頭痛)とは、脳のなかに異常のない頭痛のことで、専門家が金科玉条のものとされる「国際頭痛分類第3版 β版」では、片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)、その他の一次性頭痛の4つに分類されています。
 慢性頭痛(一次性頭痛)ではありませんが、二次性頭痛のなかには、脳の中に異常のない二次性頭痛が、「国際頭痛分類第3版 β版」では存在します。
 そして、専門家は、このような慢性頭痛をそれぞれ切り離して別個に本態の解明を進めるべきとされ、最近では、慢性頭痛とされる片頭痛が、片頭痛発生器が脳幹付近に存在することが推測されていることから、片頭痛は”中枢性疾患”とまで、このような基本的な概念すら覆されてきています。
 このように、慢性頭痛とくに片頭痛の原因はまったく不明とされ、現在でも研究が進められている段階にあります。
 

 これまでも、このブログでも述べてきましたように、慢性頭痛とは「健康的な生活」が送れていないことに原因があると考えております。
 健康的な生活を送るためには、私達の生命の根源ともなるミトコンドリアが重要な役割を果たしています。
 そして、健康的な生活を送るためには、私達の生体の恒常性の維持機構が十分に機能していることが重要になってきます。生体の恒常性の維持機構は、ホメオスターシスという恒常性に維持機構があり、「ホメオスターシス」の維持には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深く関わっています。
 「ホメオスターシス」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。
  健康的な生活とは、生まれつき体に備わっている「生体リズム」に沿った生活ということを意味しています。
 この生体のリズムは「ホメオスターシス」によって維持され、「体内時計」により刻まれ、「体内時計」は先程の「ミトコンドリア」・「セロトニン神経系」により制御されています。


 そして、ミトコンドリアの機能が悪くなれば、同時に、セロトニン神経系の機能が低下してきます。”セロトニン神経系”の機能低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
  ミトコンドリアの機能が悪化に 「脳内セロトニンの低下」が存在すれば、容易に「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こしやすい素地をつくることになります。
 私達の生活環境は活性酸素で満ち溢れており、これがミトコンドリアの機能をさらに悪化させています。さらに、前屈みの作業環境に日常的に置かれ、仕事が終わればスマホに没頭し、人によっては歩行中にまでスマホをされるご時世です。
 このため「体の歪み(ストレートネック)」が日常的に生み出されています。


 このように、慢性頭痛を引き起こす基本的な”柱”は


  1.ホメオスターシスの乱れ
  2.体の歪み(ストレートネック)
  3.ミトコンドリア、セロトニン神経系


 この3つにあります。


 今回は、このような慢性頭痛を引き起こす基本的な”柱”となる個々の要因を取り上げて、シリーズで述べていくことに致します。
 その内容は、先日ご紹介致しました、当医院作成の「片頭痛治療指針」を中心に述べていきます。今後、40回の連載を予定しています。


 これまで、当医院では、慢性頭痛患者さんへの生活指導書を平成16年以来、試行錯誤を繰り返しながら、推敲に推敲を重ねて改訂を行ってきました。
 先日作成したCDは、現在通院中の片頭痛患者さんにすべて配布し、ご批判を仰いできましたが、患者さん自身よりは子供さんの指導書としてご利用して戴くことによって、好評のようです。これまでの学会が作成される「慢性頭痛診療のガイドライン 市民版」と比較され、第二世代の方々に、自分と同じ苦しみを味会わさせないためには、よいのではないかと評価されています。
 こうしたことから、順次掲載していくことに致します。


 結局、原因がまったく不明とされる慢性頭痛の場合、「国際頭痛分類 第3版β版」に定義された個々の慢性頭痛をそれぞれ切り離して考えるのではなく、慢性頭痛とは何かという全体像から、個々の要因がどのようなものなのかを知ることによって、自分の慢性頭痛と照らし合わせて、考えてみるといった手法が、現段階では最も適切ではないかと思っております。
 この点は、前回の「片頭痛と脳梗塞」でも言えることです。片頭痛の脳梗塞を予防する手段としてトリプタン製剤を片頭痛発作の都度服用しておりさえすれば解決するのか、といった命題を解き明かすためには最適な手法と思っております。


 このような立場から、まず俯瞰的に考えることが重要ではないかと、このシリーズでは、述べていく予定です。
 1つの項目に独自性を持たせたことから、重複する記載が多くなっています。これは、重複すればするほど重要なことであることを意味しています。
 最後まで、ご覧頂くことによって、どのように構成されていたのかが自然と理解されることになると思っております。
 掲載の都度、ダウンロードされ、一括してまとめて整理して戴ければ、1冊の書籍ともなるものです。「慢性頭痛診療のガイドライン 市民版」よりは、ずっとましな「片頭痛治療指針」となるものと思っております。