「新・臨床頭痛学」の第19弾です | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 ミトコンドリアは細胞のなかにある小さな器官で、糖と酸素を利用してエネルギーをつくり出す、いわばエンジンのような役割を果たしています。ところが、このミトコンドリアは、エネルギーを出すとき、同時に排気ガスのような「活性酸素」を発生させます。


 ミトコンドリアを増やすと、体全体のエネルギー発生量を増やすことができます。ミトコンドリアを増やし、活性化させると、エネルギー合成時に発生する活性酸素の消去する機能も高まります。しかし、弱ったミトコンドリアの活性酸素を消去する機能は低く過剰の活性酸素が発生し、その活性酸素によってミトコンドリアがさらに弱っていくという悪循環が始まります。


 活性酸素は、「呼吸をする」、「食事をとる」、「運動をする」など、ごく普通の生活をしているときにも発生します。酸素を取り込み、エネルギーを作る過程で必ず発生するからです。そのほか、白血球が細菌を殺傷するとき、生理活性物質が作られるとき、有害物質(過酸化脂質、残留農薬、食品添加物、抗がん剤、アルコール、タバコ、大気汚染物質、医薬品など)を解毒するとき、止まっていた血液が再び流れ出すとき(再濯流)、紫外線や電磁波(レントゲンなど)を受けたとき、強い精神的ストレスを受けたときなど、さまざまな要因により発生します。
 もちろん活性酸素が体の中で増える一方ですと、人間はたちまち死んでしまいます。


 そのため、私達の体は活性酸素を取り除く手段を持っています。
 ただ、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、活性酸素の発生が”抗酸化作用(抗酸化力)”より常に優位な状態が、いわゆる「酸化ストレス」になります。


 「酸化ストレス・炎症体質」とは活性酸素の発生が除去しきれないほど発生してしまう状態のことで、これらが原因で細胞が傷つけられ、さまざまな病気(炎症)を引き起こしてしまう状態のことをいいます。


 このように、片頭痛は、遺伝素因である「ミトコンドリアの働きの悪さ」に、”環境因子”として、生活習慣(特に食生活)が原因で、エネルギーを生み出す際に生する活性酸素によって自分のミトコンドリアを傷つけることによって「さらに、ミトコンドリアの働きを悪く」させて「酸化ストレス・炎症体質」を形成することにより、引き起こされる疾患(頭痛)と考えられています。


 たくさんのミトコンドリアが余裕を持ってエネルギーをつくる態勢だと、活性酸素はそれほど問題になりませんが、少ないミトコンドリアが必死にフル回転でエネルギーをつくろうとすると、活性酸素がたくさん排出されてしまいます。
 そして、さらに重要な点は、生まれつき受け継がれた「ミトコンドリアの働きの悪さ」は各人・各様で千差万別です。極端な表現をすれば、極端に悪い状態であれば「ミトコンドリア病」となり、その対局に「正常人」があるとすれば、片頭痛の方々は、「ミトコンドリア病」まで至っていない状態で、さらに「正常人」以下の中間に位置するものと考えて下さい。
 この「生まれつき存在する、ミトコンドリアの働きの悪さ」の程度は、片頭痛の方々では一様でないということです。極端に悪ければ、改善までに時間を要することになります。
 こうしたことから、片頭痛の方々の「セルフケア」の場面での生活指導の内容が患者さん個々で異なっており、一律に述べることの難しさがあった理由です。

 
 「酸化ストレス・炎症体質」とは、ぼろぼろに錆びた金属にたとえられる、「錆び体質」といわれるものです。
 「酸化ストレス・炎症体質」は片頭痛発症の根底にある体質ということだけでなく、ほとんどの現代人が抱える、さまざまな慢性病や生活習慣病の根底にある慢性病の源となっているものです。
 「酸化ストレス・炎症体質」は長い間の生活習慣などにより起こり、特効薬を飲んだからといって直ぐに治るようなものではありませんし、特効薬などはありません。


 このように、片頭痛は、遺伝素因である「ミトコンドリアの働きの悪さ」に、”環境因子”として、生活習慣(とくに食生活)が原因で、エネルギーを生み出す際に生する活性酸素によって自分のミトコンドリアを傷つけることによって「さらに、ミトコンドリアの働きを悪く」させて「酸化ストレス・炎症体質」を形成することにより引き起こされる疾患と考えられています。


片頭痛において「酸化ストレス・炎症体質」を形成するもの


 以上、「酸化ストレス・炎症体質」を改善するためには、その根底にある次のような問題を解決する必要があります。


 1)毎日の食事とともに摂取される有害物質をとらない
 2)乱れた腸内環境を整える
 3)解毒(デトックス)および解毒代謝能力を向上させる
 4)生理活性物質(エイコサノイド)のバランスの乱れを正す
 5)インスリンの過剰分泌を抑える



 これらの根本的原因を解決しない限り「酸化ストレス・炎症体質」(片頭痛体質ともいいます)を改善することはできません。
 生活環境により、さらに毎日食事とともに摂取される有害物質、さらに食事の摂取のしかたから、腸内環境が乱され、さらに有害物質が体内に蓄積することにより「酸化ストレス・炎症体質」が作られてくることになります。このため、腸内環境を整え、デトックスを日々意識して行っていく必要があります。
 この部分を解決しないことには、片頭痛を根本的になくしてしまうことは不可能です。


 さらに、知らず知らずのうちに摂取される環境汚染物質や残留農薬などの有害物質は「代謝異常」にも深く関わり、「ミトコンドリアの働き」を悪くさせます。このように「外部環境の要因」も存在します。
 日頃から、こうした有害物質を除去させるためには、デトックスが必要となり、水分摂取が不十分で、食物繊維の摂取が少なければ、有害物質が蓄積することになります。その結果、益々、「ミトコンドリアの働き」を悪くさせます。
 また、身の回りには活性酸素を発生するものが多く存在し、これがまた「ミトコンドリアの働き」を悪くさせる要因となります。このため抗酸化物質の摂取が不十分であったり、睡眠不足になれば、活性酸素が過剰に蓄積することになり、これらがすべてミトコンドリアの働きを悪くさせてきます。
 片頭痛はミトコンドリアの機能障害による頭痛です。こうした背景をもとにして、これらが「酸化ストレス・炎症体質(片頭痛体質)」を形成してくることに繋がってきます。


「酸化ストレス・炎症体質」を改善させるには


 先程述べましたように、片頭痛の根底には「酸化ストレス・炎症体質」が存在します。「酸化ストレス・炎症体質」は長い間の生活習慣などによって起こり、特効薬を飲んだからといってすぐに治るようなものではありませんし、特効薬などもありません。
 「酸化ストレス・炎症体質」を形成させないためには、その根底にある次のような問題を解決する必要があります。


 1)毎日の食事とともに摂取される有害物質をとらない
 2)腸内環境を整える
 3)解毒(デトックス)および解毒代謝能力を向上させる
 4)生理活性物質(エイコサノイド)のバランスをよくする
 5)インスリン過剰を起こさない


 これらを根本的に正さない限り「酸化ストレス・炎症体質」を形成させていくことになります。ここからは、それぞれを正しくする方法について説明します。


 今回は、以下のファイルです。


  第19章「酸化ストレス・炎症体質」を作らないために
     http://taku1902.jp/sub386.pdf