片頭痛って死ぬの??? | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 最近、専門家は、片頭痛は本来「脳のなかに異常のない頭痛」とされていたのが、脳幹部という生命維持に直結する部分に病変を有する「中枢性疾患」であり、それも「進行性疾患」とまで考え方が改められて参りました。これが、本当であれば、片頭痛と診断されれば、「致命的な頭痛」と考えなくてはならなくなってきました。もう安閑とはしておられなくなりました。ですから、今後は、身構えて対処しなくてはならなくなったようです。いや、今後は、片頭痛と診断された場合は、いずれ、死を覚悟しなくてはなりません。
 果たして、これが真実なのでしょうか?
 どうしてこのようになったのでしょうか。本日はこの点を・・
 

「国際頭痛分類 第3版β版」の問題点


 前回は、国際頭痛学会が作成された「国際頭痛分類 第3版β版」について述べました。
 この分類の目的とすることは、これまで、どのような頭痛が片頭痛なのか定義がなく、各医師の判断に任されており、A医師の片頭痛とB医師の片頭痛が同じものを指すのかは、誰にもわからなかったことから、片頭痛とは、どのような頭痛なのかを明確に定義する必要があるとされ、こうした考え方をもとに全ての頭痛を明確に定義したものが「国際頭痛分類 第3版β版」です。このようにして、日本であるタイプの頭痛の研究がなされ、米国でも同様の研究を行う場合、全く同じ症状の患者を対象に研究が行われることが理想とされ、 頭痛について“共通の言語”で会話することが可能になるとされます。
  このようにして作成された「国際頭痛分類第3版 β版」は、個々の頭痛をすべて明確に定義することから、別個の頭痛とされている頭痛同士の関連性を考える際の”障害”にもなっていることです。このなかで「慢性頭痛(一次性頭痛)」と定義される、それぞれの頭痛相互がどのような関係にあるのかといった論点で、論じられることはありません。
 「国際頭痛分類 第3版β版」というのは、あくまでも「頭痛の分類」であり、頭痛患者さんの分類ではありません。このため、同一の患者さんが同時に「国際頭痛分類 第3版β版」で定義される「頭痛の種類」を4つも5つも持つこともあり得ることです。
 現実に、”同一の”一次性頭痛(慢性頭痛)の患者さんを詳しくみてみますと、緊張型頭痛の要素、片頭痛の要素、群発頭痛の要素を混在しています。
 緊張型頭痛と片頭痛を同時に合併しているような方々も多数経験されます。
 さらに、同一の片頭痛の場合でも、ある時は前兆を伴い、ある時は前兆なしで頭痛が起きる場合も多く存在します。中には、片頭痛と群発頭痛の間を行ったり来たりする方もおられます。そして、片頭痛の方の生涯経過をみますと、最初は緊張型頭痛で始まり、途中から片頭痛へ移行し、さらに経過を追えば、また緊張型頭痛へ逆戻りする場合もあります。


 これまでも再三提示しました「目覚まし時計頭痛」で示されますように・・。


   「目覚まし時計頭痛」って何???
     http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12047908855.html


 この例でも示されますように患者さんの記憶に残っているのは、片頭痛や群発頭痛のような強烈なものしかありません。この例では28歳の男性です。こうした方がいきなり片頭痛で発症することはありません。まず、緊張型頭痛をスタートとして始まってきます。問診をとる医師も、こうした起点となる軽い頭痛には関心がありません。このような記憶にない程度の頭痛に対する対処の仕方に問題があるため片頭痛へと結果的に移行してきます。 この方は最終的に、症候学的には群発頭痛のような「睡眠時頭痛」へと移行したわけです。このように、緊張型頭痛→片頭痛→群発頭痛という経過を辿ったと考えるべきです。


 このように慢性頭痛を考える場合、それぞれの3つの頭痛の場合、「初めて頭痛が出現した」時点で、「国際頭痛分類 第3版β版」に従えば、この3つが明確に診断できるのだろうかということです。確かに、初発時に、いきなり片頭痛のパターンを呈する場合もありますが、このようなもので全てが占められてはいないはずです。
 さらに、群発頭痛の場合、いきなり”群発頭痛”のパターンを示しているのかということです。なかには、片頭痛と群発頭痛の間を行ったり来たりするタイプも存在します。

 これまで述べてきましたように、緊張型頭痛も片頭痛も一連の連続したものであり、片頭痛の延長線上に群発頭痛が存在するのではないかと推測されます。
 このように、いずれの3つのタイプにしても、頭痛の起こり始めは極く軽い頭痛(緊張型頭痛のような形)で発症するものと考えられます。

 しかし、専門家は「国際頭痛分類 第3版β版」で定義された基準で発症するとされます。
 「国際頭痛分類 第3版β版」で定義される「一次性頭痛」は、極く軽い頭痛で始まり、以後、段階的に変化したものを、ただ単に、細かく分類したものに過ぎないと考えるべきです。少なくとも、慢性頭痛という頭痛は、緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛・その他の一次性頭痛として個別に論ずるべきものではなく、「脳のなかに異常のない」慢性頭痛として、あくまでもトータルに一括して、全体的に捉えるべき頭痛であり、ここを突破口にしない限りは解明されないと考えるべきものです。


 それでは、どのように考えを進めるべきでしょうか?


 最初に、頭痛を自覚したら、まず、命にかかわる危険な頭痛である”二次性頭痛”を除外してもらうことです。一次性頭痛と思われても、場合によっては二次性頭痛が含まれる可能性があるからです。(殆どは、二次性頭痛は問診の段階で疑われますが・・)こうしたことから、まず、最初は、CTもしくはMRIといった画像検査で、二次性頭痛を除外しておくことが重要・必須です。
 このようにして、「一次性頭痛」診断してもらいます。
 このように「一次性頭痛と診断」が下されてからが最も大切になってきます。

一次性頭痛


頭痛の専門家が使っている「国際頭痛分類 第3版β版」という国際頭痛学会が作成した診断分類では、この「一次性頭痛」は以下の4つに分類されています。


1 片頭痛
2 緊張型頭痛
3 三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)
4 その他の一次性頭痛


  4.1 一次性咳嗽性頭痛
  4.2 一次性運動時頭痛
  4.3 性行為に伴う一次性頭痛
  4.4 一次性雷鳴頭痛・・入浴関連頭痛
  4.5 寒冷刺激による頭痛
   4.5.1 外的寒冷刺激による頭痛
   4.5.2 冷たいものの摂取または冷気吸息による頭痛
        ※ (アイスクリーム頭痛)
  4.6 頭蓋外からの圧力による頭痛
   4.6.1 頭蓋外からの圧迫による頭痛・・ゴーグル頭痛
   4.6.2 頭蓋外からの牽引による頭痛・・ポニーテイル頭痛
  4.7 一次性穿刺様頭痛・・アイスピック頭痛
  4.8 貨幣状頭痛
  4.9 睡眠時頭痛
  4.10 新規発症持続性連日性頭痛


 一次性頭痛のなかには、インドメタシンという鎮痛薬が極めて有効な頭痛があります。
 絶対的に有効な頭痛としては、発作性片側頭痛と持続性片側頭痛です。
 有効とされる頭痛としては、一次性穿刺様頭痛、一次性咳嗽性頭痛、一次性運動時頭痛、性行為に伴う一次性頭痛、睡眠時頭痛、貨幣状頭痛があります。
 これらは、「その他の一次性頭痛」のなかに分類されるものです。
 そして、インドメタシンという鎮痛薬が極めて有効な頭痛の病態は、いまのところ詳細には分かっておらず、全く不明とされ、これらはひとまず一群の”別格”のものとして、当面は別のものとして、除けておくことにします。頻度的にも極めて少なく(9%前後)、このようなものがあるとして、あくまでも症状の上から診断し、インドメタシンを投与することにします。これ以外のものの検討を先に優先的に検討することにします。

 このように、一次性頭痛(慢性頭痛)は、インドメタシンの効く頭痛と効かない頭痛の2つに大別し、「インドメタシンが効かない頭痛」はこのうち9割を占めています。このため、当面、この9割を占める、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛を一括して扱うようにします。これらを一括して、国際頭痛分類を無視して検討することにします。
 その理由として、緊張型頭痛と片頭痛、群発頭痛の境界領域にあるものが存在し、この3つが明確に区別できません。そして、このように考えれば、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛も一連の連続したものと考えるのが妥当と思われ、こうしたことから、機能性頭痛一元論という考え方をされる頭痛の専門家もおられるからです。私は、このような”機能性頭痛一元論”を支持し、これらの病態を一括考察します。
 単純に言えば、”生活に支障を来せば”片頭痛・群発頭痛であり、”生活に支障がなければ”緊張型頭痛であり、そして、緊張型頭痛であれ片頭痛であれ、共通した病態が存在するのであろうと考えています。これまで、この共通した病態として、「体の歪み(ストレートネック)」を挙げました。その理由は、当医院の調査では、このような慢性頭痛には共通して「体の歪み(ストレートネック)」が極めて高率に認められたからです。


頭痛発症の起点は「生活リズム」の乱れから・・


 私達は昔から、「規則正しい生活を送りましょう」と何度も聞いた言葉ではないでしょうか? 規則正しい生活とは、生まれつき体に備わっている生体リズムに沿った生活という意味で、最も自然で健康的な生活と言えます。
 しかし、現代の生活環境は、健康的な生活を崩す要因が多く、24時間営業の飲食店や夜通しの娯楽、コンビニやテレビ・パソコンなどの普及により急激に変化しています。このような変化により、体の生体リズムにも悪影響が及んでいます。
 生体リズムを無視した不規則な生活を送ると、様々な不調を感じるようになります。生体リズム、自律神経、ホルモンはすべて連帯しているため、生体リズムが乱れると自律神経やホルモンバランスにも悪影響が及んでホメオスタシス機能を乱してきます。
 体の生体リズムを乱す生活は、健康を維持のメカニズムである体の仕組みを無視した生活をしていることになります。
 下記の症状に思い当たるものが多い方は、3つのバランスが崩れて、ホメオスタシス機能が保てない状態が存在します。このためストレスによる症状が現れるのです。以下のような思いあたる症状はありませんか?


 肩こり、頭痛、腹痛、腰痛、疲労感、冷え、下痢、便秘、めまい、不眠、食欲不振、体重減少、呼吸困難、咳、動悸、息切れ、息苦しさ、むくみ背中の痛み、発汗、微熱、嘔吐、不整脈、左胸の痛み、月経痛、月経不順など。


 しかし、症状が気になっても病院での検査・診断などでは、異常が見つからないなどのケースも多いようです。


  「体内時計」や生体リズムという言葉が一般に使用されるようになってきました。
 最近の研究から、「体内時計」は体の中にあることが知られています。その中で全体の体内時計を司っているのが脳の視交叉上核にある体内時計です。
 体内時計を元に、身体のなかでは様々なリズム、つまり生体リズムが刻まれています。 睡眠と覚醒のリズム、体温のリズム、行動のリズム、ホルモン分泌のリズムなどです。
 体内時計は、人により24~25時間の周期で刻まれていると言われています。
 睡眠と覚醒のリズムは、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌と深く関連しています。メラトニンとは、日中に光を浴びることで作られ、夜になって暗くなると分泌を始めます。朝強い光を浴びるとメラトニンの分泌が抑制され、夜暗くなると再び自然にメラトニンが分泌されて眠気を促し睡眠と覚醒のリズムがつくられます。
 このメラトニンはセロトニンと関係があり、体内時計はセロトニン、ミトコンドリアにより統括・統制されています。


 外部の環境変化にかかわらず、体温や血圧、血糖値など、体内環境を常に最適な状態に保つ仕組みを恒常性(ホメオスターシス)と呼びます。さまざまな変動は、この恒常性を維持するための「環境に対する適応力」といえます。
 「恒常性(ホメオスターシス)」の維持には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深くかかわっており、それはストレスなどに大きく影響されます。例えば自律神経を失調させるストレスは内分泌を乱し、免疫力も低下させてしまいます。3つの相関関係は「ホメオスターシスの三角形」と呼ばれます。

 自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めております。
 ストレスは、このホメオスターシス三角そのものの釣り合いを乱す根源ともなり、この3つを構成する個々それぞれを弱体化させる原因ともなり、頭痛を出現させます。


 ”セロトニン神経系”の機能低下により「脳内セロトニンの低下」が引き起こされ、これは生活習慣の不規則・ストレス・生理周期により低下・変動し、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると低下してくることになります。
 ”生理活性物質”は、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、 局所ホルモン(エイコサノイド)(プロスタグランジン)のバランスを乱すことになります。結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります。
 ”腸内環境”は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。
 また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。 家畜に投与された抗生物質が食肉を摂ることで体内に取り入れられ、有益菌を弱らせるようなこともあります。
 ”腸内環境”は「頭痛体質形成」には極めて重要な位置を占めております。

 こうした諸々の要因から「ホメオスターシス三角」そのものの釣り合いを乱す根源ともなり、頭痛を引き起こしやすい状態を形成してくることになります。


慢性頭痛の生涯経過


 片頭痛は、約3割が自然に治癒し、約4割が症状は変わらず、残りの3割が慢性化して増悪するとされます。緊張型頭痛は、ごくありふれた取るに足らないものとされます。
 片頭痛が緊張型頭痛と連続したものであり、緊張型頭痛→片頭痛→慢性片頭痛(トリプタン乱用による薬剤乱用頭痛)へと移行してくるものと考えますと、緊張型頭痛は、専門医に言わせると取るに足らない頭痛ということから東洋医学でいう”健康”の段階に位置するものであり、片頭痛は東洋医学でいう”未病”に相当し、”慢性片頭痛(トリプタン乱用による薬剤乱用頭痛)”に至って、初めて”病気”としての頭痛となるということです。


 このことは即ち、自然治癒した3割は、ホメオスターシス、すなわち”恒常性を維持するための「環境に対する適応力」により治癒したものと思われます。
 恒常性(ホメオスターシス)には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深くかかわっており、それはストレスなどに大きく影響されます。
 そして、この3つがバランスをとりながら相互に作用しています。


 このなかの、”セロトニン神経系””生理活性物質””腸内環境”の問題点が持続して存在すれば、「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が継続され、4割の方々が、症状が変わらない状態が持続することになります。東洋医学でいう”未病”ということです。
 そして、「ミトコンドリアの問題」、「脳内セロトニンの低下」、さらに「体の歪み(ストレートネック)」等々の慢性化の要因が加わることによって「ホメオスターシスの三角形」が”崩れる”ことによって、2~3割の方々が慢性化に至るということを意味しています。 ここでやっと”病気”になります。このような段階に至れば、もはや改善は至難の業となってくることになります。このため、早期に対策を講ずる必要があります。

 東洋医学でいう「未病」を病気に進みつつある状態と捉えますと、はやい段階で「未病」のサインを認識し、しかるべき手を打てばその進行を抑え、本格的な病気に移行することを防ぐことができます。
 中国最古の医学書「黄帝内経」の中において「未病を治す」という表現がありますが、未病は病気ではないのに、「治す」というのはどういうことなのでしょうか。
 これは、健康であろうと病気であろうと、常に自らの生活習慣に気を配り、より本来の姿に近い心身の状況にもっていこうとする、生き方の姿勢をあらわしている表現なのです。この人間本来の姿を、東洋医学(漢方)の世界では「中庸」と呼んでいますが、これはすなわち、健康と病気のまん中あたりのことを意味しています。
 つまり、健康すぎても、また病気だらけでも、いけない。
 からだの状態とは、どちらか一方向への偏りがないのが一番よいのだ、ということを意味しているのです。
 こういうことから未病の段階にある「片頭痛」で治さなくてはなりません。
 このように”緊張型頭痛→片頭痛→慢性片頭痛→群発頭痛?”へと、段階を経て進展することから、ここを踏まえて”慢性頭痛”には対処しなくてはならないということです。


生命の根源となるミトコンドリア


 片頭痛は、私達の体を構成する細胞の中にある”ミトコンドリアの機能障害”による頭痛です。ミトコンドリアは食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出していて、エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。
 そして、私達が日中活動している際に常時活動している神経系がセロトニン神経系です。 このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。
 言い換えれば、ミトコンドリア働きが悪いと、脳の神経細胞の場合、「セロトニン神経」が選択的に「ミトコンドリアの働き」の影響を受けやすく、セロトニンを産生しにくく、セロトニンの合成やその合成のための酵素も充分な量を生成できなくなってしまいます。 その結果、「脳内セロトニン不足」が引き起こされてきます。
 脳内セロトニンの低下は、「衝動性、過敏性、こだわり、緊張」が強くあらわれ、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの五感すべてが過敏になり、わずかな刺激にも敏感に反応してしまい、さまざまな自覚症状を訴えるようになります。
 この「脳内セロトニン低下」も「脳過敏」を引き起こす要因となっています。
 「セロトニン神経系」は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。


 脳内セロトニンの働きとしては


  1.大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調節する
  2.自律神経調節する
  3.筋肉へ働きかける
  4.痛みの感覚を抑制する
  5.心のバランスを保つ
 
 このように、脳内セロトニンは、私達が覚醒している間中絶えず脳の広い範囲に影響を与えている神経系で、生命活動の”要”ともなっています。慢性頭痛の場合、自律神経系、脊椎起立筋群、痛みの抑制、心のバランスをとるといった重要な働きをしています。


 ミトコンドリアは、全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ「抗重力筋群」に多く存在し、ミトコンドリアの働きが悪くなれば当然のこととして「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こしてきます。
 セロトニン神経は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることによって、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉に働きかけていることから、セロトニンが不足してきますと、セロトニン本来の働きである「正しい姿勢の保持」が、困難となり、「体の歪み」を招来し、結果的に「ストレートネック」を引き起こします。
 このように、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
 片頭痛の場合、「ミトコンドリアの働きの悪さ」に「脳内セロトニン低下」が加わることによって、姿勢保持が困難となり、前屈みの姿勢が長期間に渡って持続することによって、容易に体の歪み(ストレートネック)を形成してくることになります。


 このようにして、日常生活を送る際の”何気ない姿勢(とくに前屈みの姿勢)や動作”などが長期間持続することによって「体の歪み(ストレートネック)」が形成されることになります。そうなってきますと、さらに、緊張型頭痛が増強されることになり、さらに「体の歪み(ストレートネック)」を基盤として片頭痛になる可能性のある方は、生まれつき「ミトコンドリアの働きの悪い」”遺伝素因”があり、頭痛を訴える度にアスピリンを含んだ鎮痛薬を服用し続けたり、ミトコンドリアをさらに弱らせる抗生物質の服用・マグネシウム不足・有害物質の摂取等々の生活習慣等によって、さらに「ミトコンドリアの働きが悪く」なって来ます。これとは別に“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれば「脳内セロトニンが低下」することになり、これがさらに増強されてきます。こうした「ミトコンドリアの働きの悪さ」があるところに、さらに「マグネシウム」の不足が持続してきますと、「脳過敏」を引き起こしてきます。そして先ほどのストレートネックが持続すれば、頸部の筋肉が絶えず刺激を受けることになり、この刺激は三叉神経核に絶えず送られることによって、さらに「脳過敏」を増強させます。これに生活習慣の不規則・ストレス・生理周期により「脳内セロトニンの低下」の要因が追加されて、「脳過敏」を増強させ、さらに症状を多彩なものとさせます。
 このように「脳過敏」を引き起こす要因が次々に追加されることによって、緊張型頭痛から片頭痛へと移行することになります。


 このことから「慢性頭痛の病態」は以下のように考えるべきものです。


  まず、片頭痛と緊張型頭痛は連続した一連のものです。
 さらに、慢性頭痛の基本的病態には「体の歪み(ストレートネック)」が存在します。
 片頭痛は”ミトコンドリアの機能障害による頭痛”です。
 そして、片頭痛の大半は、”多因子遺伝”です。
 その”環境因子”として、以下の6項目があります。

   1.ホメオスターシス・・ストレスの関与
   2.免疫(腸内環境)の関与
   3.生理活性物質との関与・・脂肪摂取の問題
   4.体の歪み(ストレートネック)の関与
   5.セロトニン神経系の関与・・脳内セロトニン
   6.ミトコンドリアの関与


 このように、慢性頭痛は、緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛の3つを併せて考えるべきものです。これらを、バラバラにして論ずることは、慢性頭痛の本質的な部分を見失うことになり、結局何が何だか分からなくなってきます。
 そして、片頭痛を考察する場合の基本は、片頭痛の大半は”多因子遺伝”であり、ミトコンドリアの機能障害による頭痛であり、その遺伝素因として”ミトコンドリアの活性低下”が存在し、これにこれまで述べたような6つの”環境因子”が存在するということです。この6つの”環境因子”の関わり方は、患者さん個々で異なるということです。
 そして、慢性頭痛の基本的病態には「体の歪み(ストレートネック)」が存在します。


片頭痛の”緊張型頭痛”はsmall migraine


     片頭痛
   big(true)migraine
  連続体
緊張型頭痛  
         緊張型頭痛
small migraine       (脳内セロトニンの関与)


 そして、緊張型頭痛は、上のように分けて考えるべきです。
 この差異は、片頭痛素因(ミトコンドリアの活性低下)の有無で決まります。


    ”脳過敏”を引き起こす要因として


  1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
  2.脳内セロトニンの低下
  3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続

 片頭痛はミトコンドリアの機能障害による頭痛であり、上記の「脳過敏」の3つうちいずれかもしくは全てが関与して、緊張型頭痛から片頭痛へと進展していくと考えるべきものです。
 さらに、この3つが、片頭痛の慢性化を引き起こしてくることになります。
 群発頭痛は、「体内時計」の乱れから起きてくるものと従来よりされていますが、これにはミトコンドリアおよびセロトニンが関与しています。


 このように片頭痛は緊張型頭痛から片頭痛へと進展し、さらに群発頭痛へと変化します。 このように段階的に進展していくものと考えるべきものです。3つを別個に分けるべきではありません。ということは、頭痛を最初に自覚した段階において、頭痛出現時に存在する「ホメオスターシスの乱れ」を是正すること、と緊張型頭痛を引き起こした「前屈みの姿勢を強いられる生活環境」に適切に配慮することが重要になってきます。このため、安易に市販の鎮痛薬でお茶を濁すようなことはあってはならないことです。この段階で、片頭痛の芽を摘み取ってしまうことが重要になってきます。

 これまで、片頭痛を発症して間もない方々は、このような考え方で、「ホメオスターシスの乱れ」を是正することと、先程の「脳過敏」を引き起こす3つの要因を潰してしまうことによって、以後、片頭痛の再発が見られなくなる方々も多く出てきました。
 これは、片頭痛発症後、極力早期に対処することの重要性を示しています。今後、改善が得られたあとの、これまでの「生活習慣の改善」がどこまで継続できるかが問われていることになっています。
 これまでも述べていますように、とくに子供さんの片頭痛への対処は極めて重要と思っています。子供さんの場合は、親の協力が得られやすく、できるだけ早く対処することが大切になってきます。ただ、専門家の方々は、「体の歪み(ストレートネック)」を決して容認されないことから、なかなかコンセンサスが得られないようです。


現実には・・
 
 しかし、現実には皆さんが受診される「頭痛外来」を担当される専門家は、片頭痛が”多因子遺伝”で、ミトコンドリアの機能障害による頭痛とは考えていません。そして、「体の歪み(ストレートネック)」は問題外とされ、発作が起きれば「トリプタン製剤」を服用し、発作頻度が多ければ「予防薬」の服用を勧められ、あとは「ケセラセラ」でなるようにしかなりません。治る人もおれば、治らない人もおり、概して「一生、お付き合いしましょう」ということです。これは、ただひたすら国際頭痛学会の偉い先生の教えを信じ、さらに「国際頭痛分類 第3版β版」を厳守した結果です。決して、専門家の口癖である”エビデンス”のある確たるものが存在するわけではありません。専門家のいう所謂”エビデンス”に過ぎないことは忘れてはなりません。ただ、信じているにすぎません。

 しかし、これまで、極めて多くの方々が自分で工夫に工夫を重ねて、自ら片頭痛を克服されてこられた事実は忘れてはなりません。このような方々を見る限り、自分で治そうとする”意志”さえ持てば、必ず、治っており、治らない人はいないようです。
 私の考え方は、こうした方々の考え方をすべて総合し、総括した形で構築したものです。ということで、私も、治す意志さえあれば、必ず、治せるものと信じています。
 これは、私の片頭痛経験から割り出した考え方でもあります。


片頭痛治療は「健康学・美容学」


 以上、私達が”最初に頭痛を自覚”する段階では、「ホメオスターシスの乱れ」が存在します。これに、”前屈みの姿勢(ストレートネックに至る前)”も関与します。
 ここにミトコンドリアの問題が関与してくることになります。
 ミトコンドリアは、私達の体のエネルギーを産生する謂わば”生命の根源”ともなるものです。このミトコンドリアの機能が悪くなれば同時に「セロトニン神経系の機能低下」が引き起こされます。ここに生活習慣の問題が加わり「脳内セロトニンの低下」が起きます。そうなれば、この両者が関与して「体の歪み(ストレートネック)」を形成させやすい素地が作られてきます。このため、日常生活を送る際に”前屈みの姿勢”を強いられる生活環境に置かれることによって「体の歪み(ストレートネック)」を形成します。
 そして、ミトコンドリア・脳内セロトニン・「体の歪み(ストレートネック)」の3つが「脳過敏」を引き起こしてくる素地を作ってきます。これら3つは慢性頭痛を”慢性化”させる要因にもなってきます。
 このようにして、緊張型頭痛から片頭痛へ、さらに群発頭痛へと進展していきます。

「セロトニン神経系」は、生命活動に直結する重要な神経系です。


 ということは、片頭痛が”多因子遺伝”であり、ミトコンドリアの機能障害による頭痛であり(遺伝素因として、ミトコンドリアの活性低下”がある)、ここに先程の”環境因子”が加わって、片頭痛を発症・進展させていくと考えるべきものです。


 私の「片頭痛治療学」は、全ての人の「健康と美容」が叶えられるものと思っています。 その基本となるものは、「ホメオスターシスの乱れを正し」「ミトコンドリアの機能を是正」「脳内セロトニンを増やすこと」「体の歪み(ストレートネック)の是正」です。
 これらは全て、私達の”健康と美容”に直結するものです。”健康と美容”を害するものは何一つないことは、これまでの”素朴な疑問”120問から明らかなはずです。
 例えば、「体の歪み(ストレートネック)の是正」しさえすれば、姿勢がよくなり、美しくなり、「脳内セロトニンを増やすこと」で、顔つきもシャキッとして、姿勢もよくなります。ミトコンドリアが活性化すれば、活性酸素も少なくなり、美肌になります。
 こうしたことから、片頭痛が改善されますと皆さん10歳以上は若返る人が多いようです。
 美容上、すべて好ましいことばかりで、いうことはないはずです。
 逆にいえば、「片頭痛が再発する」ということは、なお、”健康と美容”を阻害する生活習慣上の問題点がどこかに存在すると考えるべきです。


 昨年、10月に、こちらのブログにお邪魔した当初でも述べたことですが、片頭痛治療の場面だけでなく、一般診療においてさえ、患者さん個人の尊厳を守ることから厳しく”生活習慣”の問題点を指摘しなくなってきたようです。現在では、どこの医療機関でも、患者さんをお呼びする際には「〇〇さま」とお呼びする時代です。こうしたことから、糖尿病や高血圧症のような生活習慣病の方々が、例え”太りすぎ”であったとしても、初診時には面と向かって「やせなさい」とは医者は言わなくなったようです。仮に、「やせなさい」とでも言おうものなら、患者さんは気分を害して来なくなってしまいます。医者にとっては死活問題ですので、口が裂けても言わないのが、当たり前になっているようです。こうしたことから、降圧剤、糖尿病薬がいくらでも使え、医師も製薬会社も両方儲けることができるようになっています。


 このように考えてみれば、片頭痛の方々も生活習慣病に匹敵する病気です。これまでのあなたの「生活習慣上の問題点」から起きてきたものです。これらのなかには、直接、患者さんにダイレクトに言えないこともあります。以前、受験をめざす高校生の片頭痛の患者さんに「睡眠時間が短いから、よくない」と助言し、大変な眼にあったことがあります。 こうした苦い経験から、ダイレクトに患者さん自身に言わなくても済むように「片頭痛のセルフケア集」を作成したこともあります。
 このような生活指導をどのように片頭痛の方々に行っていくのか、といった問題点がなお存在します。これまでも、再三、提示してきましたような


     片頭痛はどのようにして発症するのでしょうか????
     
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12032919047.html


    片頭痛の生活習慣の改善
     
http://taku1902.jp/sub132.pdf

    片頭痛の生活習慣の改善 食事療法編
     
http://taku1902.jp/sub276.pdf


 こういったものを参考にして頂いて、これまでの生活習慣と照らし合わせて、自分で問題点を見つけてもらうのが、現代では最もベストではないかと思っております。

 このようにして、自分の片頭痛が、最初の軽い頭痛の段階から、どのような生活習慣の変化・環境の変化によって、増悪してきたのかを、冷静に”内省”することが大切になってきます。どこかに、何かがあるはずです。無ければ、増悪することはないからです。
 問題点が見つかりさえすれば、あとは自分で是正・改善するだけのことです。
 ただ、誰も改善・是正してはくれません。するのは、あなたです。
 片頭痛が”生活習慣病”である以上、これが、生活習慣病の治し方です。

 ただ、糖尿病や高血圧症のように、放置することによって脳卒中のような致命的な合併症に至ることはないだけ、片頭痛の場合は”軽いもの”と考えるべきです。
 片頭痛で問題となるのは、放置することによって、次第に頭痛が増悪するか、もしくは一生、発作を繰り返すか、あるいは、トリプタン製剤を過剰に飲み過ぎることによって薬剤乱用頭痛に至り、片頭痛が慢性化し、頭痛地獄を味わう程度ですが、死なないにしても注意が必要になってきます。


最大の問題点


 しかし、最近専門家は、片頭痛は本来「脳のなかに異常のない頭痛」とされていたのが、脳幹部という生命維持に直結する部分に病変を有する「中枢性疾患」であり、それも「進行性疾患」とまで考え方が改められて参りました。これが、本当であれば、片頭痛と診断されれば、「致命的な頭痛」と考えなくてはならなくなってきました。もう安閑とはしておられなくなりました。ですから、今後は、身構えて対処しなくてはならなくなったようです。いや、今後は、片頭痛と診断された場合は、いずれ、死を覚悟しなくてはなりません。
 以前は、片頭痛の患者さんは将来、脳梗塞になる確率が高く、とくに前兆のある片頭痛の場合、この確率が高いと専門家が警告を発した時は、片頭痛患者さんを不安に陥れました。今回は、そんな甘っちょろいものではないはずです。致死的となるわけですから・・


 しかし、こうした考え方が如何に馬鹿げた考え方であるかは、これまでの片頭痛の方々を振り返ってみれば歴然としていることです。皆さんの家族で、これまで片頭痛で苦しまれた方々が、片頭痛のためにこれが死因となって死亡された方がおられたのでしょうか?
 確かに、現代は活性酸素に満ちあふれた生活環境にあり、このような観点から説明された上で、述べられるのであれば説得力があるかもしれませんが・・
 これまでも述べてきましたように、専門家が、片頭痛が中枢性疾患とされるのは、あくまでも片頭痛の病態をトリプタン製剤の作用機序から説明してきたための当然の成り行き・結末に過ぎないもので、思考過程の誤りの結末と考えるべきです。

 片頭痛は、あくまでも、ミトコンドリアの機能障害による頭痛であり、同時に引き起こされた「セロトニン神経系の機能低下」によって、諸々の生活習慣の問題点から生じた「脳内セロトニンの低下」から、「体の歪み(ストレートネック)」が引き起こされ、この3つの要因から「脳過敏」「慢性化」が引き起こされたものです。
 専門家の言う「中枢性疾患」とされる片頭痛発生器の部位は脳幹部とされていますが、これはセロトニン神経核のある「脳幹部の縫線核」と考えられるもので、ここに病変があるのではなく、ミトコンドリアの機能障害によって引き起こされた「セロトニン神経系の機能低下」であり、あくまでの「機能低下状態」にあるものと考えるべきものです。こうした要因を想定する限り、片頭痛の大半は”多因子遺伝”と考えなくてはならないということです。このような単純なことが、専門家には理解されていないだけのことです。
 こうしたことから、決して中枢性疾患でもなく、致死的なものではありません。


 このような考え方をする以前の問題として、片頭痛が果たして”多因子遺伝”なのかどうかを学会が総力を挙げて検討すべきではないでしょうか?
 ”多因子遺伝”であるとの結論がでさえすれば、片頭痛は”生活習慣病”ということになり、それこそ患者さんにとっては最大の”福音”となるはずです。それは、片頭痛が治る可能性が保証されたことになるからです。
 これまでのような研究方法でなく、実際の患者さんのあり方から判断すべきです。発想法の変換が必要であり、現実の患者さんを見つめて判断すべきです。
 こういった意味でも、現在のように、片頭痛が「脳幹部に病変をもつ進行性の中枢性疾患」といった、患者さんを地獄に突き落とすような悲観的な見解・考え方は厳に慎むべきと思われます。ここでも、現実の患者を診ていないことを示しています。
 余りにも、患者さん不在の軽率な考え方としか言えないようです。こういった考え方を問題視されない学会員全体の資質も問われているように思われます。


 以上、慢性頭痛を考えていく場合、「国際頭痛分類 第3版β版」の基準に従って、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、その他の一次性頭痛といった個々の頭痛から考えるのではなく、慢性頭痛のなかで、これらの個々の頭痛がどのような位置・段階にあるかといったトータルで思索・思考していくことが先決であり、この推論に基づいたエビデンスを確立することによって”傍証”を得るといった手法をとるべきです。
 片頭痛を、独立して個別に、いくらエビデンスを積もうとも全体像は見えてこないはずです。
 片頭痛は、これまでも述べてきましたように、多面的・流動的な頭痛です。ここに片頭痛研究の問題点が存在すると考えるべきです。
 現時点に於いて、この点、指導性が問われていることになります。