片頭痛はどのようにして発症するのでしょうか???? | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 ここで、これまで述べてきたことを”まとめ”ておくことにします。これまでの繰り返しですが、一部の特殊な精神疾患もしくは心療内科的な問題・原因をもとにした慢性頭痛以外のものは、以下のような発症様式をするものとまとめられます。(あくまでも一般内科開業医の視点からみた慢性頭痛です)


慢性頭痛は、「生体のリズムの乱れ」を引き起こす”生活習慣”から


 「脳の中に異常のない頭痛」の一次性頭痛(慢性頭痛)は、「生体のリズムの乱れ・歪み」を引き起こす”生活習慣”から生じてきます。生活のリズムは恒常性(ホメオスターシス)によって維持されています。恒常性には自律神経、内分泌系、免疫系の3つの働きが深くかかわっております。3つの相関関係は「ホメオスターシスの三角形」と呼ばれます。
 「ホメオスターシスの三角形」は、ストレスにさらされることでバランスを崩し、頭痛に繋がっていくことになります。慢性頭痛は、ストレスの影響が極めて大きいのが特徴です。
 自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系はホルモンと”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めております。
 緊張型頭痛は、環境因子の色彩の濃い頭痛です。この発症には、身体的ストレスと精神的ストレスが関与します。身体的ストレスには「体の歪み(ストレートネック)」が関与してきます。精神的ストレスには、「脳内セロトニンの低下」が関与します。
 片頭痛は、「ミトコンドリアの機能障害」による頭痛であり、その大半は、遺伝形式は”多因子遺伝”によるものであり、”ミトコンドリアの働きの悪さ”という遺伝素因を基盤として、これに”環境因子”が加わって発症してくるものです。この環境因子として、”ミトコンドリア”、”脳内セロトニン”、”体の歪み(ストレートネック)”の3つの働きを悪くする要因があります。


「ホメオスターシスの三角形」を歪める要因

 自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系はホルモンと”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めております。


 ”セロトニン神経系”の機能低下により「脳内セロトニンの低下」が引き起こされ、これは生活習慣の不規則・ストレス・生理周期により低下・変動し、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると低下してくることになります。


 ”生理活性物質”は、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、 局所ホルモン(エイコサノイド)(プロスタグランジン)のバランスを乱すことになります。結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります。


 ”腸内環境”は、欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。こうしたことから、高タンパク・高脂肪・低食物繊維の欧米型食事は、腸内環境にとって最大の敵と言えます。
 また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。 抗生物質は病原菌をやっつけるだけでなく、よい腸内細菌まで殺し、腸内フローラを悪化させます。家畜に投与された抗生物質が肉を摂ることで体内に取り入れられ、有益菌を弱らせるようなこともあります。
 ”腸内環境”が「片頭痛体質形成」には極めて重要な位置を占めております。


 さらに長期間に渡って”ストレス”に晒されることで、「ホメオスターシスの三角形」は、バランスを崩し、マグネシウム不足(ミトコンドリアを弱らせます)、脳内セロトニンの低下、過剰な活性酸素を産生してきます。


 このようにして、「ホメオスターシスの三角形」に”歪み”を引き起こしてきます。


現代社会は、”活性酸素”に満ちあふれた生活環境にあります

 私達の体を構成する細胞の中にある”ミトコンドリアは食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出しています。エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。活性酸素は、ミトコンドリアがエネルギーを作る際に産生されてきます。
 ミトコンドリアは、全身を支え、姿勢を整える筋肉グループ「抗重力筋群」に多く存在し、ミトコンドリアの働きが悪くなれば当然のこととして、姿勢が悪くなってきます。


 そして、私達が日中活動している際に、常時活動している神経系がセロトニン神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。
 「セロトニン神経系」は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。
 セロトニン神経系は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることによって、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉に働きかけていることから、セロトニンが不足してきますと、セロトニン本来の働きである「正しい姿勢の保持」が、困難となり、姿勢が悪くなってきます。
 このように、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。


 結果的に「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こしやすくなってきます。



 現代社会では、活性酸素に満ちあふれた生活環境に置かれていることを考える限り、ここ50年間の間のうちにミトコンドリア自体の働きが人間界において、悪化していることから、「脳内セロトニン低下」と相まって、「体の歪み(ストレートネック)」を引き起こしやすい状況にあります。
 すなわち、脊椎起立筋群に対して、ミトコンドリアの働きの悪さは、”筋肉そのもの”への関与、さらに脳内セロトニンは、”神経系の要因”として、関与しています。
 こういったことから、現代では、「ストレートネック」が日常茶飯事にみられるようになってきました。こうした背景をまず、念頭においておくことが大切です。


 さらに、知らず知らずのうちに摂取される環境汚染物質や残留農薬などの有害物質は「代謝異常」にも深く関わり、「ミトコンドリアの働き」を悪くさせます。
 日頃から、こうした有害物質を除去させるためには、デトックスが必要となり、水分摂取が不十分で、食物繊維の摂取が少なければ、有害物質が蓄積することになります。その結果、益々、「ミトコンドリアの働き」を悪くさせます。
 また、身の回りには活性酸素を発生するものが多く存在し、これがまた「ミトコンドリアの働き」を悪くさせる要因となります。このため抗酸化物質の摂取が不十分であったり、睡眠不足になれば、活性酸素が過剰に蓄積することになり、これらがすべてミトコンドリアの働きを悪くさせてきます。
 片頭痛はミトコンドリアの機能障害による頭痛です。こうした背景をもとにして、これらが「酸化ストレス・炎症体質(片頭痛体質)」を形成してくることに繋がってきます。


 このような要因が”慢性頭痛の発症の基本的な病態”として存在しています。このようにして、「ホメオスターシスの三角」のバランスがとれなくなり、「ホメオスターシスの三角」の歪みを生じることになります。
 このような要因が存在するため”片頭痛体質”である「酸化ストレス・炎症体質」が潜在的に形成されることになります。


 このような背景をもとに「体の歪み(ストレートネック)」が引き起こされやすい状況にあります。


慢性頭痛の発症の起点は”前屈みの姿勢”


 日常生活を送る上で、私達は前屈みの姿勢をとる生活環境に置かれています。特に、女性の場合は、炊事・洗濯・掃除を行う際に”前屈みの姿勢”を日常的にとっています。
 さらに職場では、事務系の仕事が多いためパソコンの操作を終日行うことになります。仕事が終われば四六時中スマホ・携帯を覗き込む姿勢をとっています。
 こうした前傾姿勢は知らず知らずのうちに後頸部の筋肉に負担をかけることになります。 これにさらに、イスに座るとつい脚を組んでしまう、ヒールの高いクツを長時間履いている、立っている時はたいていどちらかの足に体重を乗せている、横座りをする、立ち仕事や中腰の姿勢でいることが多い、いつもどちらかを下にして横向きに寝ている、または、うつ伏せになって寝ている、長時間座りっぱなしの仕事、イスやソファーに浅く座ってしまう、バックなどはいつも同じ方の肩にかける、重たいモノを持つ仕事をしている、 赤ちゃんをダッコしていることが多い、などの無意識に”おかしな体の使い方”をしていますと、知らず知らずのうちに仙腸関節がズレ、骨盤の歪みから脊椎( 背骨)の歪みが生じてきます。仙腸関節のズレは、脊柱に影響が及びひいては頸椎にまで及んで、「体の歪み(ストレートネック)」を最終的に引き起こしてきます。
 このようにして「体の歪み(ストレートネック)」が作られてくることになります。


緊張型頭痛の起こり方


 人間の背骨(脊柱)はS状の湾曲を呈しています。人間は直立位を保っていますから、背骨が一直線ですと、全体重が下方の背骨全体にかかることにより、すぐに下部の背骨がダメになってしまいます。こうしたことにならないように脊柱はS状の湾曲を呈しています。S状の湾曲を示すことによって体重の掛かり方を分散させています。ということは頸椎は前に湾曲を示していることになります。ところが、頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いておれば、バランスがとれず後頸部の筋肉の片側だけに張力が常に加わることになり、これが肩こりに繋がり、この”こり”が上部へと拡がることによって鈍い痛み、締め付けられるような痛みとなってきます。これが、専門家が”とるに足らない頭痛”とされる緊張型頭痛です。このように頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いてることが、重要なポイントになってきます。


片頭痛の起こり方


 このようにして、日常生活を送る際の”何気ない姿勢(とくに前屈みの姿勢)や動作”などが長期間持続することによって「体の歪み(ストレートネック)」が形成されることになります。そうなってきますと、さらに、緊張型頭痛が増強されることになり、さらに「体の歪み(ストレートネック)」を基盤として片頭痛になる可能性のある方は、生まれつき「ミトコンドリアの働きの悪い」”遺伝素因”があり、頭痛を訴える度にアスピリンを含んだ鎮痛薬を服用し続けたり、ミトコンドリアをさらに弱らせる抗生物質の服用・マグネシウム不足・有害物質の摂取等々の生活習慣等によって、さらに「ミトコンドリアの働きが悪く」なって来ます。これとは別に“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なれば「脳内セロトニンが低下」することになり、これがさらに増強されてきます。こうした「ミトコンドリアの働きの悪さ」があるところに、さらに「マグネシウム」の不足が持続してきますと、「脳過敏」を引き起こしてきます。そして先ほどのストレートネックが持続すれば、頸部の筋肉が絶えず刺激を受けることになり、この刺激は三叉神経核に絶えず送られることによって、さらに「脳過敏」を増強させます。これに生活習慣の不規則・ストレス・生理周期により「脳内セロトニンの低下」の要因が追加されて、「脳過敏」を増強させ、さらに症状を多彩なものとさせます。


「ストレートネック」→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
↓                 ↓
↓       脊髄を介して三叉神経脊髄路核
↓                 ↓
↓      中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
↓                 ↓
↓          脳の過敏性、頭痛の慢性化

自律神経失調症状 → 交感神経機能低下→頚性神経筋症候群
                               (慢性頭痛)


尾側亜核で三叉神経と頚神経が収束する


 ストレートネックのために、頭半棘筋に凝りが出ると、それが大後頭神経を刺激し、その刺激が三叉神経に伝わります。大後頭神経と三叉神経は脳のなかで、三叉・頚神経複合体を形成していて、つながっていますので、大後頭神経の刺激は三叉神経にも伝わります。
 このため、「体の歪み(ストレートネック)」が改善されないまま、放置されることにより、後頸部筋肉群にかかった刺激は常時、三叉神経核に送られ続けられることになります。 このようにして、脳の過敏性、頭痛の慢性化へと繋がっていくことになります。さらに、閃輝暗点を引き起こす要因にもなっています。


 片頭痛も緊張型頭痛も共通して「頸部筋肉群の疲労」を基盤として発症すると考えられます。この根拠として、両頭痛に共通してストレートネックが認められる点です。
 片頭痛の遺伝素因(ミトコンドリアの活性低下)のない場合は、首の筋肉のこりは、大後頭神経に痛みのみ起きることによって、純然たる「緊張型頭痛」を発症します。
 片頭痛の遺伝素因(ミトコンドリアの活性低下)があれば、片頭痛の場合は、「セロトニン神経が働きが悪くなって「痛みの感じやすさ」が存在するところに、首の筋肉のこりの刺激が、大後頭神経から三叉神経に絶えず刺激が送られ続けます。このため、「痛みの感じやすさ」がさらに増強され、常時、脳の過敏性が高まった状態が継続していきます。


             ”脳過敏”を引き起こす要因

          1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
        2.脳内セロトニンの低下
        3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続


 片頭痛の基本的な病態は「脳過敏」(脳がちょっとしたことで反応しやすくなることです)にあるとされます。このように少なくともこうした3つの「脳過敏」を引き起こす要因が次々に追加されることによって、”緊張型頭痛”から”片頭痛”にまで進展していくことになります。だいたいこうした時期は、女性の場合、初潮を迎える13歳頃に一致します。この点に関しては、女性は健常男性より 約52% 脳内セロトニンを産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の4倍減少する、と言われています。
 女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は、月経周期でその分泌量は大きく変わります。
 特にエストロゲン(卵胞ホルモン)が減ると、それに伴って神経伝達物質であるセロトニンも急激に減ります。
 その時に頭の中の血管が拡張することで片頭痛が起こると考えられています。
 このエストロゲンが減少するのが排卵日や生理の初日前後です。
 つまり排卵日や生理の初日前後にはエストロゲンが減少するためにセロトニンも減少→頭の中の血管が拡張して片頭痛が起こりやすいということなのです。
 
 以上のように、だいたいこうした時期は、女性の場合、初潮を迎える13歳頃に一致します。こうした年代に女性の場合は、片頭痛を発症してきます。
 そして、発症当初は、発作の程度も頻度も少ないのですが、これが結婚を契機として出産・育児を経験することになり、これまでの生活習慣は一変します。具体的には、睡眠時間が、育児に際して、十分に確保できなくなることを意味しています。片頭痛の場合、睡眠時間が確保できませんと、ミトコンドリアの働きを悪くさせ、ひいてはセロトニン不足に繋がってきます。根底にあるストレートネックは経験的に30歳までに改善させませんと、固定化してきます。こうしたことから、概して女性の場合、30歳を超えてきますと、とたんに頭痛の頻度も増え、程度も酷くなってきます。


次々に追加される悪化要因


 このため30~40歳代の苦難の時期を迎えてしまいます。さらに特に女性の場合、家族・夫婦間および職場でのストレスなどの”さまざまなストレス”が加わることにより、「脳内セロトニン」不足が持続することになります。
 こうした時期になると、鎮痛薬やトリプタン製剤の服用も月に10回を超えるようになり、これがさらに「化学的ストレス」となって(見方を変えれば、鎮痛薬やトリプタン製剤も私達の体には異物です。異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程でも、活性酸素が発生してしまうのです。このため発作を起こりやすくします)、益々「脳内セロトニン」低下を倍増させてきます。これに対して抗てんかん薬(特に、デパケンは注意が必要です)を追加されることにより、一時的には発作回数は軽減されることはありますが、長期間連用しますと今度は「ミトコンドリア」を弱らせる結果、さらにトリプタン製剤の服用を減らすことができなくなるといった”泥沼の状態”を引き起こしてきます。 まさにエンドレスの状態に至ってしまいます。さらに、更年期を過ぎてきますと、若い頃のように血管の”しなやかさが失われ”反応性も乏しくなり、片頭痛本来の拍動性頭痛でなく、緊張型頭痛のような鈍い頭痛に変化してきます。これは、ストレートネックがそのまま持続しているためです。そして、頭痛に加えて、イライラ、不眠、めまいなどの不定愁訴が加わってきます。これが、東京女子医科大学脳神経外科の清水俊彦先生が提唱される「脳過敏症候群」そのものであり、東京脳神経センターの松井孝嘉先生の提唱される「頸性神経筋症候群」に相当します。こうしたことから、うつ状態・めまい・冷え性等々のさまざまな”共存症”を合併することになります。これは「脳内セロトニンの低下」によるもので、こうした時期には同時に、本来は痛くない刺激を痛みと感じる”アロディニア(異痛症)”が出現してくることになります。また、片頭痛発作が天気・低気圧に左右され、寝過ぎで発作が誘発されやすかったりと多彩な症状を呈してくることになります。


 男性の場合は、「体の歪み(ストレートネック)」に加えて、食生活の問題から「ミトコンドリアの働き」が悪くなり、これに生活習慣の不規則により、また仕事上のストレスが重なることによって「慢性的な脳内セロトニンの低下」が引き起こされることによって、片頭痛へと発症していきます。


根底にはストレートネックが存在します


 このように、慢性頭痛発症の根底には、まず、体の歪み(ストレートネック)が存在します。このストレートネックは早い人では子供の頃から既に存在します。遅い場合は、前屈みの姿勢を強いられる作業環境に置かれ続けた場合、後天的にも形成されてくることになります。こうした方々は、片頭痛の発症時期は当然遅くなってきます。30歳以降に発症してくることも多いように思われます。
 また、ムチウチの事故に遭遇しますと、その後、ストレートネックが形成・増悪してきて、このために緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛のいずれの形でも頭痛が引き起こされてきます。しかし、国際分類では、ムチウチ後7日までに出現しませんとムチウチとの関連性は否定されます。しかし、現実には、ムチウチ後、かなり時間が経過してからムチウチと同じ症状が出現してくることは日常茶飯事ですが、この点は、国際分類では極めて曖昧な形になっています。これは、頭痛と頸椎病変に関する取り決めが極めて曖昧なことによります。こういう点から、ムチウチからストレートネックが形成されてくるという松井孝嘉先生の主張を頭痛専門医は全く受け入れることなく、片頭痛の”慢性化の治療不可能な要因”として”頭部外傷・頸部外傷”を挙げています。これは余談ですが・・

 また、群発頭痛の場合、最初は片頭痛のようなパターンをとりながら、ある時期から群発頭痛へ移行したり、片頭痛と群発頭痛との間を行ったり来たりする場合も経験されます。 群発頭痛は「体内時計」の乱れによって起きてくることが従来から指摘されています。 体内時計は、ミトコンドリア、セロトニンと関係があります。こうして考えれば、緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛の慢性頭痛は、一連のものと考えなくてはなりません。


根本的に存在する要因


 このように慢性頭痛の発症には、「体の歪み(ストレートネック)」「ミトコンドリア」「セロトニン」の3つの要因が関与しています。根本原因は、「ミトコンドリアの働きの悪さ」にあり、この3つがお互いに、密接に関与し・影響しあっています。決して、この3つが独立して存在するわけではなく、相互に関係しあっています。
 この3つが片頭痛の”環境因子”となっていて、これらの関与の仕方の比重は各人・各様であり、どの要因のスペクトラムが色濃く関与しているかの違いと思われます。

 こうした観点から予防・治療の対策を考えなくてはなりません。そして、根底には先述の「酸化ストレス・炎症体質」が潜在的に形成されていることから、このような体質にならないよう配慮するとともに、これを改善しませんと根治には至らないということです。

 このような基盤ともとにして、過剰に産生された活性酸素が誘因(引き金・・トリガー)となって、容易に、「片頭痛」発作が引き起こされてきます。
 この際トリガーとなる活性酸素の”量”によって、片頭痛発作の程度が決まってきます。
 この片頭痛の発症の仕方は、項を改めて述べることにします。


 以上、片頭痛の発症様式を考える場合、以下が基本となっています。


  まず、片頭痛と緊張型頭痛は連続した一連のものです。
 さらに、慢性頭痛の基本的病態には「体の歪み(ストレートネック)」が存在します。
 片頭痛は”ミトコンドリアの機能障害による頭痛”です。
 そして、片頭痛の大半は、”多因子遺伝”です。
 その”環境因子”として、以下の6項目があります。

  1.ホメオスターシス・・ストレスの関与
  2.免疫(腸内環境)の関与
  3.生理活性物質との関与・・脂肪摂取の問題
  4.体の歪み(ストレートネック)の関与
  5.セロトニン神経系の関与・・脳内セロトニン
  6.ミトコンドリアの関与


 このような基本的なことを念頭において、片頭痛の発症様式を考えなくてはいけません。

 
 以上のように、慢性頭痛の基本的病態には「体の歪み(ストレートネック)」が存在します。これほど、「体の歪み(ストレートネック)」は、片頭痛発症においてまさに重要な位置を占めており、これ抜きには論ずることはありえないものです。


 これまで述べてきましたことは、「”頭痛”はなぜ女性に多い?」で述べたことと重複している部分が多いのですが、片頭痛がどのようにして発症してくるのか、さらに片頭痛が慢性頭痛のなかでどのように位置づけされるのかを理解することが大切です。
 今後片頭痛を改善させるためには不可欠な・基本的な知識となるものです。こうしたことから、敢えて繰り返して述べました。

 このような基本的な病態を念頭において、自分の頭痛と向き合うことが必要です。


 片頭痛の病態は、トリプタン製剤の作用機序の面からだけしか考えないということでは、自ずと限界があるということを認識しなくてはなりません。


 残念ながら、全世界の頭痛の専門家は、頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」に注目することなく、片頭痛の病態は”頭蓋内の病態”にしか眼が向いておらず、こうしたことから日本の専門家は全てこれに従う現実があるようです。このような状況が持続される限りは、片頭痛の病態はいつまでも明らかにされることはないようです。
 それも、「国際頭痛分類第3版 β版」を頭痛研究の”絶対的な基準”とされることだけを考えても、永久に解明されないのではないでしょうか。

 少なくとも、つまらない議論を繰り返す以前の問題として、”閃輝暗点という前兆のある片頭痛患者”の「体の歪み(ストレートネック)」を徹底的に改善させることによって、こうした”閃輝暗点という前兆のある片頭痛患者”がどのような状況に至るのかを確認しさえすれば、簡単に結論が出るはずでありながら、このような”単純な”ことすらされない専門医には、問題があるとしか言えないようです。このような疑問を解く鍵は、極めて身近に存在するはずです。ただ単に、頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」の関与を、何ら検証もすることもなく、問答無用にエビデンスなしとすることに問題があります。


 これが、私の極めて”素朴な疑問”です。


 ただ、専門家には、このような「体の歪み(ストレートネック)」を改善させる”スベ”を持たず、さらにどのようなものが「体の歪み(ストレートネック)」なのかといった基礎的な知識そのものがないため、こうしたことを期待すること自体無理なのかもしれません。


 今回を持ちまして「体の歪み(ストレートネック)」に関する”素朴な疑問”は終了することに致します。