二次性頭痛(その他) 22  ヒスタミン誘発頭痛 | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 アレルギー性片頭痛(allergic migraine)という病名があります。そのくらいアレルギーと片頭痛の関係は深いのです。アレルギー性疾患の原因となるヒスタミンが片頭痛に悪影響を及ぼしていると考えられています。アレルギーをコントロールすることで、片頭痛が改善されることは多いようです。アレルギーの原因となるたヒスタミンと、片頭痛で重要なセロトニンは、どちらも血管の壁に働きかけるオータコイドという物質(生理活性物質)の仲間です。
 群発頭痛は、従来ヒスタミンとの関連が注目され、ヒスタミン頭痛histamine cephalalgia,ホートン頭痛Horton's headache とも呼ばれた時期もありました。
 群発期には、発作は定期的に起こるほか、アルコール、ヒスタミンまたはニトログリセリンにより誘発されます。
 発作中に発作中に血液中や尿中のヒスタミン濃度が上昇していることからヒスタミンが頭痛に関係しているのではないかと言われています。
 ヒスタミンはアレルギーを起こす物質として有名なので、群発頭痛は「内頚動脈のアレルギー」とも呼ばれています。
ヒスタミンは脳血管内皮細胞のH1 受容体に結合して、NO合成酵素を活性化する(Toda、1990)。ヒスタミンが誘発する 頭痛にも多分NOが関与する(Olesenら、1995)とも言われています。

このように“ヒスタミン”という物質にも血管拡張作用があるため、頭痛を誘発します。
ヒスタミンは炎症惹起物質で炎症反応が強くなるほか、血管を拡張させ片頭痛が悪化します。


 「国際頭痛分類 第3版 β版」では、「物質の使用または曝露による頭痛」のなかに
「ヒスタミン誘発頭痛」として、以下のように規定されています。


ヒスタミン誘発頭痛


即時型ヒスタミン誘発頭痛


A.頭痛は以下の特徴のうち少なくとも1項目と、CおよびDを満たす
1.両側性
2.前頭側頭部
3.拍動性
4.身体的活動により増悪
B.ヒスタミンの摂取
C.ヒスタミン摂取後、10分以内に頭痛が発現
D.頭痛はヒスタミンの吸収が終了した後、1時間以内に消失


遅延型ヒスタミン誘発頭痛


A.一次性頭痛の患者では、頭痛はその一次性頭痛タイプの特徴と、CおよびDを満たす
B.ヒスタミンの吸収
C.ヒスタミンが血液中から消失後に頭痛が出現する
D.頭痛は単回の暴露後、72時間以内に消失


◎花粉症では・・どうして目や鼻が痒くなるの?鼻水がでるの?


 花粉症には『ヒスタミン』という物質が重要な役割を果たしています。
 体内に外界から異物が入り込むとそれを排除しようとする仕組みが私たちの体には備わっています。
 異物はすぐに排除しなくてはなりません。異物が入ってきてから、準備して反応するのはとても遅いのです。そこで私たちの体は巧妙な仕組みを考えました。
 あらかじめ必要な物質を用意しておいて、ちょっとでも引き金が引かれたら大きな反応がおきて、速やかに異物を排除する仕組みです。
 それが、アレルギー反応です。ごく僅かな量の蜂の毒や、ソバ、エビ、カニなどによって体中にじんましんが出たり、血圧が下がるショック症状を起こしたりという激烈な反応が起きるのも、まさにそのためです。
 花粉症の反応も同じで、目には見えないごく僅かな花粉が引き金を引くと、目や鼻がかゆくなり鼻水があふれ、頭がぼーっとするといった大きな反応がおきてきます。もともとこういった反応は、異物である花粉を体外へ排除するための反応だったものが、過剰になってしまっている訳です。

◎大切なのはアレルギーの連鎖反応


 大切なのはケミカルメディエーターです。ロイコトリエンなどのケミカルメディエーターはアレルギー反応を担う細胞と細胞の連絡をする物質です。ヒスタミンはケミカルメディエーターであるのと同時に組織に直接影響を与える物質です。
 ある細胞が異常を察知すると、ケミカルメディエーターを放出し、受け取った細胞がさらにケミカルメディエーターを放出するという様に、あっという間に連鎖反応式となり、最終的に多くのヒスタミンが放出されます。
 ですから、花粉症の治療には、ケミカルメディエーターとヒスタミンのコントロールが重要となります。
主に、ヒスタミンによる影響は素早い反応で鼻水に、ケミカルメディエーターによる影響は時間をかけて鼻づまりに現れます。

◎花粉症と片頭痛の関係


アレルギー性片頭痛(allergic migraine)という病名があるぐらい、アレルギーと片頭痛は密接に関連しています。
花粉症、喘息、アトピーの方に片頭痛が多い事が報告されており、アレルギー性疾患の原因となるヒスタミンが片頭痛に悪影響を及ぼしていると考えられています。
 治療の上でも、抗ヒスタミン薬であるシプロヘプタジン(ペリアクチン(R))や抗ロイコトリエン薬のプランルカストが頭痛の予防薬に用いられるのはそのためです。(プランルカストはさらに、血小板からのセロトニン放出を抑制する作用があります。ですから、花粉症をきちんとコントロールする事は片頭痛に確実に良い影響を及ぼします。

『花粉症と頭痛を一緒に治療しましょう』と申し上げますと、つながりが分からずびっくりされる事も多いのですが、実は体の中で両者はつながっているのです。花粉症で登場したヒスタミンと、片頭痛で重要なセロトニンはどちらも血管の壁に働きかけるオータコイドという物質の仲間でもあります。

食べ物の影響

 血管の収縮・拡張は食べ物によっても起こることがあります。
 ヒスタミンは血管を拡張されることが知られています。
 ヒスタミンが生成される食品やヒスタミンが含まれる食品を大量に食べると片頭痛の原因となります。
 ほうれん草・ナス・トマト・発酵食品などがあります。
レクチンやエンドトキシンなどは肥満細胞からヒスタミンを出させることを促進します。
卵白やアルコール・チョコレートなどに含まれます。
チラミンは血管収縮作用があり、その効果が切れると血管が拡張します。チーズやワイン・ナス・トマトに含まれます。
食べ物の影響を受けやすい方はアレルギー体質であることが多く、ご自分ではあまり自覚がない隠れアレルギー体質の方も多く見られます。


輸入ワインを飲むと必ずその後頭痛がします


 通常のワインには酸化防止剤として亜硫酸が用いられていますが、亜硫酸は、通常の条件では頭痛の原因にならない上に、瓶詰め後に急速に減少し、実際に飲む際にはごく微量しかワイン中に残存していない場合がほとんどです。
ワインの場合、頭痛の原因となる物質に、ヒスタミンと呼ばれる物質があり、人体で免疫反応に関与しており、血管拡張作用を有しています。したがってこのヒスタミンが多いワインを摂取すると、血管が急速に拡張して頭痛を誘発することがあります。ヒスタミンは、ブドウ由来で、ワイン中にも存在する乳酸菌によってワインの製造工程で作られ、乳酸菌を活用してりんご酸を乳酸に変える工程(マロラクチック発酵)を経ることの多い赤ワインに多く存在することが知られています(特に欧州のワインは多い傾向)。ヒスタミンに対して敏感な人は、赤ワインを飲むと頭痛になる場合があります(白ワインでは大丈夫でも赤ワインを飲むと頭痛になる人は、まず、ヒスタミンが原因と考えて間違いありません)。
国産の無添加ワインの場合には、乳酸菌による上記マロラクチック発酵が起こっていないか、乳酸菌の種類が異なり、ヒスタミンをあまり生成していないために、ヒスタミン含量が低く、頭痛を起こしにくいものと考えられます。

ヒスタミン食中毒(アレルギー様食中毒)


川柳に「はづかしさ医者にかつおの値が知れる」 というのがありますが、これはカツオを食べてヒスタミン食中毒になったことを詠んだものです。皆さんの中にも”しめさば”やカツオのたたきを食べて、ヒスタミン食中毒になった方がおられるのではないでしょうか。
 ヒスタミン食中毒は、衛生状態も悪かった1950年初頭までは主要な食中毒の一つでした。現在では低温流通 が普及し大規模な事件は減少しましたが、小さな食中毒は依然発生しています。
 ところで、「サバに当たる」という言葉が普段使われるように、魚自身に問題があるように思われていますが、実は細菌が原因で起こる食中毒なのです。しかし、この事を知っている人はごく少数のようです。


1.ヒスタミンは細菌がつくる



 ヒスタミン食中毒とは、ヒスタミンを大量に含む魚介類を食べることにより、摂食後、数分から2、3時間という短い間に悪心、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、舌や顔面 の腫れ、じんま疹、金属様の味(peppery taste)、めまい感といった症状を起こす食中毒です。このように多くの症状がありますが、実際にはこのうちの2,3の症状しか示さず、長くても1日程度で自然に治ります。どの症状が現れるかは、摂取したヒスタミンの量 や患者の個人差によりますが、心臓や呼吸器に基礎疾患のある人が発症した場合、重症となる可能性があるので注意が必要です。一般的には、魚肉中に500μg/g以上のヒスタミンが蓄積されると食中毒が起こるとされていますが、感受性の高い人ならば50μ g/gで発生する場合もあります。
 ではなぜ、魚肉中でヒスタミンが増えるのでしょうか?原因となる食品はいわゆる赤身魚(マグロやサバといった血合いが濃い魚)であり、刺身以外でもイワシやサンマの干物やサバ缶 でも起こっています。赤身魚は筋肉中にアミノ酸の一種であるヒスチジンを多く含んでいます。魚を室温で放置していると、ヒスチジンをヒスタミンに変える酵素を持っている細菌(ヒスタミン生成菌)が増殖し、それに伴いヒスタミンも増えるのです。また、魚の腐敗の指標となるアンモニアなどの生成量 がまだ少ないにもかかわらず、ヒスタミンは大量に産生されることがあり、気づかずに食べてしまうと食中毒になるのです。現在ヒスタミン食中毒を引き起こすとされている菌は、もともと人や動物の腸内にいる菌であるため、細菌の汚染は魚が水揚げされてから以降に起こります。


2.ヒスタミン食中毒と食物アレルギー


 この食中毒はアレルギー様食中毒とも呼ばれていますが、これは食中毒の症状がアレルギーの症状に似ているからです。そこで考慮しなければならないのは、たとえばサバを食べて数分後に前述のような症状が出た場合、それがヒスタミン食中毒なのかサバに対するアレルギーなのかを区別することです。まず、過去にサバを食べて同じ様な症状を示したことがあるかを患者に確認する必要があります。また、皮内テストやサバ特異的 IgE 抗体テストをすれば、アレルギーであるか否かが判断できます。アレルギーならば以後サバを食べないように注意し、単なる食中毒ならば今後もサバが食べられるということになります(当たってからサバが嫌いになったという話をよく聞きますが)。しかし、どちらにしても抗ヒスタミン剤を使えば簡単に治りますし、普通 は症状が軽いことから病院に行くことは少ないようです。


3.冷蔵、そして早く食べるのが一番の予防法


 ヒスタミン生成菌による汚染は意外と高頻度に起こっており、私たちが赤身魚とその加工品を検査したところ、その中の約60%が汚染されていました。ただし、ヒスタミンの検出率は10%未満でした。マグロとカツオ生節は、ヒスタミン生成菌は多いにもかかわらず、ヒスタミンは検出されませんでした。検査した時点でヒスタミンを生成していなかったからだと思われます。それに対して、この時のイワシ丸干しでは、細菌も認められ、ヒスタミン濃度もかなり高いものでした。したがって菌に汚染されていても、菌が増殖しヒスタミンを生成しなければヒスタミン食中毒は起こらないということです。
 冷蔵中は菌の増殖およびヒスタミンの生成は完全ではありませんが抑えることができるので、魚が水揚げされてから私たちの口に入る間の冷蔵保存が重要となります。しかし、近年は発展途上国からの魚の輸入が増えており、ヒスタミン食中毒の予防で最も大事だとされる水揚げされてからすぐの冷蔵が適切に行われていない場合があります。この場合、食品中でヒスタミン生成菌がかなり増殖しており、ちょっとした隙に(たとえば買い物帰りの長話の間に)ヒスタミンを生成してしまうのです。また通 常、ヒスタミン生成菌は低温ではヒスタミンを生成できないとされていますが、大量 に菌が増殖した場合は冷蔵中もヒスタミンを生成するとの報告があります。
 赤身魚は買ってきたらできるだけ早めに食べるか、保存するなら冷凍すべきです。ヒスタミンは102℃で3時間加熱しても一部しか壊れないため、「少しぐらい傷んでいても加熱すれば大丈夫だろう」と考えるのは大きな間違いです。


4.最後に

 今日ではヒスタミン食中毒は低温保存の普及により、あまり発生が見られませんが、海外ではHACCP (hazard analysis and critical control point ) を導入して加工品製造における衛生管理を徹底するなど、ヒスタミン食中毒に関してはかなり気を使っているようです。特に我が国では魚を生で食べる機会が多く、ヒスタミン食中毒の予防には消費者の認識も必要になってきます。赤身魚は買った日に食べ、保存するなら冷凍しましょう。

低気圧や台風で、頭痛や関節痛がつらい!


「雨の日や雨の前、台風が近づいてくると頭痛や関節痛が悪化するのはなぜ?」 という疑問です。


 まだまだ研究解明が進められているテーマのようですが、ヒスタミンという神経伝達物質の過剰反応や、気圧の変化に伴う体内圧のバランスなどに、原因の一旦があるようです。
 雨や台風の接近などで気圧が低下すると、ヒスタミンが血中に増加すると言われています。
 ヒスタミンが体内で増加すると、アトピーや喘息などのアレルギーや炎症を起こすことはよく知られていますね。…などと言うと凄く悪者のように思えますが、血管や内臓などの生理機能に関与する重要な物質でもあるんです。
 しかし、侵入したウィルスなどへの防御反応として炎症を促す役割もあり、それが過剰に反応する事が問題になるようです。
頭痛などはこのヒスタミンの過剰分泌や、低気圧による血管拡張(ヒスタミンにも血管拡張作用があります)などが作用して頭痛の原因になると言われています。

そして低気圧と関節痛の関係にも諸説あります。

 低気圧に伴う急激な気温の低下による血行不良も一因でしょうし、慢性的な腰痛や関節痛で軟骨が擦り減っているような場合、過剰分泌されたヒスタミンに敏感に反応してしまうのも原因になるようです。
これらの症状には血行を促進してあげることが必要で、周りの筋肉を温めたりほぐしてあげると痛みが和らぐと言われています。
 また私たちの身体は、体細胞を守るために身体の中の圧力をコントロールして、外気圧とのバランスを取ります。
ですから低気圧で外気圧が下がって来ると、体内圧を上げてバランスを取ろうとするんですね。
 これを関節の場合で言うと、体内圧が上がる事で関節内の細胞が膨張し神経が圧迫されたり、関節包という関節内部で骨を包んでいる膜が、膨張による伸張痛を起こす事もあります。 関節への圧迫を和らげるように、優しくゆっくりを関節を緩めてあげましょう!

『イソニアジド』と『魚』


 魚に含まれるヒスチジンという物質の代謝を阻害するため体内にヒスタミンが蓄積し、ヒスタミン中毒症状(顔面紅潮・頭痛・全身脱力・発疹・吐き気・嘔吐など)がでることがあります。魚に含まれるヒスチジンの量は、新鮮度によって異なり古い魚ほど多く含まれます。
ヒスチジン含有量の多い魚介類には、強力なヒスチジン脱炭酸酵素をもつProteus属が増殖しやすく、その結果ヒスタミンの産生・蓄積がおこります。これを摂取することでヒスタミン中毒がおこるといわれています。また、そのような魚介類にはメチルグアニジン・アグマチン・アルカインなどのアミン類、サウリンという迷走神経刺激物質が共存することが多く、それによりヒスタミンの作用を増強される可能性があります。
新鮮度の高いものがもっともヒスチジン含有量が低く、時間の経過に伴いヒスチジン含有量は上昇します。
報告のある魚としては、カジキ、たらこ、すじこ、かつお、さんま、ツナ、飛び魚、いわし、サバ科の魚類があげられています。




 以下は、専門的になりますが・・参考までに記載しておきます。


ヒスタミンとは


•ヒスタミンは侵害受容線維自由終末のH1受容体と結合→PLCの活性化により侵害受容線を興奮させます。
•ヒスタミンは強力な血管作用をもつ。同時に血圧がさがり、血管壁の透過性が亢進します。ヒスタミンは脳血管内皮細胞のH1受容体に結合して、NO合成酵素を活性化します(Toda、1990)。
•ヒスタミンが誘発する頭痛にも多分NOが関与するだろう(Olesenら、1995)。
•アミノ酸の一種であるヒスチジンが脱炭酸されてできる生体内アミン(アンモニアの誘導体)のひとつです。
•ほとんどすべての動物の体細胞の正常な構成成分となっています。
•血液中の好塩基球、肥満細胞、表皮、胃粘膜、中枢神経系、成長組織などでつくられます。
•ヒスタミンが放出され、アレルギー反応を起こします。
•ヒスタミンは子宮や胃腸、気管支などの不随意筋を収縮させる作用もある。関連する腺から分泌がおきる。たとえば、ヒスタミンの刺激で胃液がでます。
•最近では、ヒスタミンは神経伝達物質として中枢神経系や末梢神経系で働くことも明らかにされています。
•中枢神経系では、ヒスタミンは覚醒、興奮などをもたらし、血圧や痛みの調節に関与しています。
•抗ヒスタミン薬は中枢作用により眠気を催します。
•[頭痛との関連]では・・
◦片頭痛の一次的な物質ではない。
◦ヒスタミンを注射しておこる頭痛は頭蓋内起源である。
◦抗ヒスタミン剤は片頭痛の治療・予防にはそれほど有効ではない。
◦群発頭痛には大いに関連している可能性がある。
◦血管周囲の肥満細胞が、片頭痛の際顆粒を放出させることをみた学者がいる。
◦この顆粒はヒスタミンとヘパリンを含む。
◦両者は片頭痛血管に痛みを起こすのに関係する。
◦発作の間欠期は顆粒が蓄積されるまでの時間である、とも解釈できる。

•ヒスタミンは脳血管内皮細胞のH1受容体に結合してNO合成酵素を活性化します.
ヒスタミンが誘発する頭痛にもたぶんNOが関与します。
Olesen J et al : The nitric oxide hypothesis of migraine and other vascular headaches. Cephalalgia 15 : 94, 1995


神経伝達物質としてのヒスタミン


 西村伊三男先生は、福居顕二/医学のあゆみ189(3):196-197,1999 で以下のように述べています。


•ヒスタミンはL-ヒスチジンから脱炭酸酵素により合成される生体アミンである。
1910年Daleにより麦角から単離された。
•作用:平滑筋収縮、毛細血管拡張、胃酸分泌を有する。
1970年以降、中枢神経系の作用が明らかになってきた。
ヒスタミンニューロンの細胞体は視床下部後部に限局して存在し、結節乳頭核(tuberomammillary nucleus)を形成している.
大脳辺縁系から豊富な入力を受けている。
投射系としては、脳、脊髄のほぼ全領域に神経線維を送り出している.
脳内ヒスタミン神経系は大脳辺縁系と密接にかかわり脳全体の活動性を制御している
•ヒスタミン受容体は、H1、H2、H3の3種類のサブタイプに分類される.
ヒスタミンの標的細胞に発現するのは、H1、H2受容体である.
H1、H2受容体はニューロンのみならずアストログリアや血管内皮細胞にも存在する.
H3受容体はおもに神経終末に存在して自己受容体として機能する.
•ヒスタミン神経系は、睡眠・覚醒、食欲、性行動など基本的な活動性を制御する。
覚醒剤精神病や分裂病の病態にはヒスタミン神経系が関与している。
ヒスタミンを中心としたモノアミン神経系による覚醒維持機構とGABA抑制性の睡眠活性ニューロンによる睡眠・覚醒の調節機序が明らかになりつつある.
ヒスタミンの遊離を促進する薬物が、意識障害を改善する治療薬に発展する可能性もある。


以上のように、述べておられます。


このように、ヒスタミンも頭痛を誘発させる原因物質とされています。