今回は、「その他の物質の使用または曝露による頭痛」についてです。
「国際頭痛分類 第3版β版」では、「物質の使用または曝露による頭痛」として
物質の使用または曝露による頭痛
一酸化窒素(NO)供与体誘発頭痛
即時型一酸化窒素供与体誘発頭痛
遅延型一酸化窒素供与体誘発頭痛
ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬誘発頭痛
一酸化炭素(CO)誘発頭痛
アルコール誘発頭痛
即時型アルコール誘発頭痛
遅延型アルコール誘発頭痛
食品および添加物誘発頭痛
グルタミン酸ナトリウム(MSG)誘発頭痛
コカイン誘発頭痛
ヒスタミン誘発頭痛
即時型ヒスタミン誘発頭痛
遅延型ヒスタミン誘発頭痛
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)誘発頭痛
即時型CGRP誘発頭痛
遅延型CGRP誘発頭痛
外因性急性昇圧物質による頭痛
外因性ホルモンによる頭痛
頭痛治療薬以外の薬剤の一時的使用による頭痛
頭痛治療薬以外の薬剤の長期使用による頭痛
その他の物質の使用または曝露による頭痛
のように分類され、最後の3つをまとめて述べていきます。
身の回りは活性酸素を生み出す要因だらけ
先日は、片頭痛の痛みの発生機序のなかで述べましたが、「片頭痛体質(酸化ストレス・炎症体質)」を基盤として、ちょっとしたことで(ストレスなど何らかの理由で)「活性酸素」や「遊離脂肪酸」が過剰に発生することによって血小板から血管外へセロトニンが放出され、血管を収縮させます。その後、役割を果たしたセロトニンは減少しやがては枯渇し、今度は逆に血管は拡張します。
血管が拡張することによって血管に絡みついた三叉神経が刺激され、頭痛が起きます。さらに、三叉神経が刺激されると、サブスタンスPやCGRPなど炎症を起こす物質が放出され、血管を刺激して痛みが出てきます。この二つによって、片頭痛が起きてきます。
実はこの”活性酸素”は、私たちが生きていく上で、どうしても発生してしまうものなのです。私たちが体に酸素を取り込み、消費する過程で活性酸素は自動的につくり出されます。 激しい運動をしているときはもちろんのこと、仕事や家事などをしてふつうに生活しているときも、くつろいでいるときや眠っているときも発生するのです。
私たちは生きている限り活性酸素から逃れることはできません。
太古、地球の生物が酸素を体に取り込んで生きるようになったときからの、宿命といえるかもしれません。
もちろん活性酸素が体の中で増える一方だと、人間はたちまち死んでしまいます。
そのため、私たちの体は活性酸素を取り除く手段を持っています。
ただ、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、病気や老化が起きるのです。大量発生のきっかけにはさまざまなものがあります。
体が傷を受けたり、ウイルスが侵入したときもそうですし、太陽光線も原因になります。
これらは昔から、私たちの体に活性酸素を発生させる原因になってきました。
その上、現在では、更に活性酸素を発生させる原因が増えています。
それが食品添加物や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質であり、大気中の有害物質や放射線などです。これらの原因は、昔にはなかったものです。
豊富な栄養をとっているにもかかわらず、現代人に病気が多いのは、このことが原因ではないかと言われています。
ウイルスや細菌は、病気を引き起こす元凶ですが、これも活性酸素発生の原因になります。これらの外敵が入ってくると、白血球が出動してきて外敵を殺そうとします。
このときの武器が活性酸素なのです。白血球が敵の数に合わせて、びったり適量の活性酸素しか出さなければいいのですが、白血球は外敵を確実にやっつけるために必要量を上回る活性酸素をつくってしまいます。その余分な活性酸素が、まわりの細胞まで傷つけてしまうのです。体にとっての異物は、ウイルスや細菌ばかりではありません。
実は、病気を治すために飲む薬や、空気中に存在する有害物質、そして食品添加物や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質も、体にとっては異物なのです。
これらのものは、つい最近まで、人類の体内に入ることはなかった物質なので、体は異物と理解してしまうのです。
そして、異物を解毒しようと、ある酵素を出します。この酵素が働く過程でも、活性酸素が発生してしまうのです。
このように特に、現代の科学や文化の発達が生んだ数々の人工的な要因が、私たちを更にむしばんでいることが伺えます。
薬や食品添加物の氾濫、農薬の普及、排ガスによる大気の汚染、水の汚染、原子力の利用による放射線被爆、電気製品による電磁波・・・・・生活環境の変化、破壊はすなわち体内での活性酸素の大量発生につながっているのです。
昔から受けてきた紫外線にしても、オゾン層の破壊により、増加し続けています。
こうした要因は、ほんの数十年の間に急速に増えてきたものです。
私たちの体の働きは、太古から少しずつつくられてきたものですから、この数十年の変化にはついていくことができません。
体の中には活性酸素を取り除く働きもありますが、人間のミトコンドリアは、活性酸素の発生源が今よりずっと少ない時代につくられていますから、新しい要因が生み出す過剰な活性酸素まで取り除くことはできない状態にあります。
活性酸素をつくり出す原因がこれだけ増え、体の中には対抗する手段が充分にはないとすると、私たちの体の中には、過剰な活性酸素が存在しているということになります。
これが現代人の体をむしばみ、病気をつくり出しているのです。
食物の豊富な国に住み、快適な暮らしをしているにもかかわらず、現代社会に暮らす日本人は病気から逃れることができません。
ガンや糖尿病、心臓病などの成人病の発生が増えているのも、昔はあまりみられなかった喘息や花粉症、アトピーなどのアレルギーが増えているのも、環境の悪化による活性酸素の増加が原因と考えられます。
日本は長寿大国となりましたが、長寿を謳歌している人の多くは、活性酸素を発生させる要因が少ない時代に育っていることを忘れてはいけません。
また、昔の日本人の食事は活性酸素を取り除くために理想的な食事ともいわれています。 活性酸素の発生要因に囲まれ、欧米風に変化した食事をとって育っている若い人や子供が、長生きできる保証はどこにもないのです。
また、高脂肪・高タンパク質食品に偏った食生活を続けると、カロリーのとり過ぎとあいまって、「SOD」(スーパーオキシドディスムターゼ)や「グルタチオンペルオキシダーゼ」、「カタラーゼ」といった、抗酸化酵素”の活性に必要不可欠なマンガン、鉄、銅、亜鉛、セレンなどのミネラル元素の不足を引き起こします。結果、活性酸素の発生が抗酸化作用より常に優位な状態、いわゆる「酸化ストレス」になります。
偏食や過食は活性酸素の発生を加速し、がんや認知症などの疾患にも悪影響を及ぼします。カロリーのとり過ぎは活性酸素の発生量を増加させ、逆にカロリーを制限することは活性酸素の発生を減少させ、老化の進行を抑制します。
さらに、活性酸素の増加させる”環境の悪化”があります。
環境ホルモンとは?
環境ホルモンが問題となりはじめたのは、1980年頃に世界各地で異常が発見されることによって、研究がされるようになりました。環境ホルモンは、外因性内分泌攪乱物質または外因性内分泌攪乱化学物質と呼ばれています。
環境ホルモンという呼び名は、あるひとつの物質の名前ではなく、”生物のホルモンの働きを狂わせてしまう物質”の総称です。環境ホルモンは、体内の正常な働きをするホルモンの働きを壊すことで、様々な異常を引き起こします。
体内のホルモンの働きを乱し、生殖機能への影響などが心配されている環境ホルモンは、人工的に作りだされた化学物質で、正しくは内分泌攪乱化学物質といいます。環境ホルモンの多くは有機合成化合物で、環境庁が1998年5月に策定 、2000年11月に改定した「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」では、“動物の生体内に取り込まれた場合に、本来、その生体内で営まれている正常ホルモンの作用に影響を与える外因性の物質”とし、疑われる化学物質として65物質をあげています。
また、ゴミの焼却の際に生ず環境ホルモンも大問題になっていますが、私たちの周りには 医薬品、農薬、食品添加物、合成樹脂、合成洗剤など、人が作りだした化学物質がたくさんあります。
問題は人体がダイオキシンなど環境ホルモンである有機化合物を受け入れやすく、分解・排出しにくい点です。そのために体の中に残って害をもたらすのです。たとえば、女性ホルモンに似た環境ホルモンが体内に入り込むことで、ホルモン本来の働きが乱されることになります。環境ホルモンは、前立腺ガンとの関係が心配され、免疫力を低下させるのではという不安もいわれています。
食物では、アメリカの肉牛や養殖の魚に環境ホルモンの残留が見られますが、これは家畜の飼料やエサに成長を早める成長ホルモンが混ぜられているからです。
私たちはゴミを出さないなど、身近にできることから取り組み、これ以上環境ホルモンを作らないようにすることも重要ではないでしょうか。
環境ホルモンの原因
環境ホルモンの原因となっているのは、化学物質です。化学物質を大量に摂取しているとは、誰もが思わないのでしょうが、日々の生活の中で環境ホルモンは、身体の中に取り込まれているといってもよいでしょう。殺菌剤・防腐剤・殺虫剤・農薬・食品添加物・ダイオキシンなど、約70種もの化学物質があげられています。さらに、環境汚染された状態の川や海などからも有害物質が検出されています。産廃処分場の侵出水から、30種以上の環境ホルモンが検出されたという例もあります。
環境ホルモンの影響
環境ホルモンは、知能低下・学力障害・注意力欠如・ストレスへの過剰反応・ 拒食症・強迫神経症・様々な不安症・鬱状態・アレルギーなど、人や生物に、多大な悪影響を及ぼすことがわかっています。さらに、環境ホルモンの影響を受けている動物の肉などを食べることも環境ホルモンの影響があります。そして、人間への影響として、キレやすい子供が増えたことも環境ホルモンの影響ではないか?と言われています。
私たちが、なにげなく食べているジャンクフードには、着色料や保存料といった食品添加物(化学物質)が大量に入っています。さらに、カップメンやお弁当などの容器や缶ジュースの缶には、化学物質が使われていて、微量ですが、溶け出しています。私たちが、安全だと思っているものには、実際、多くの化学物質が入っているというのが現状なのです。しかし、そういったものは、私たちの目に見えるものではなく、見逃してしまいがちです。
食事から摂取される有害物質
以下は、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生からの論説から引用致します。
日常の食事から摂取される有害物質には次のようなものがあります。
・DDT、PCB、有機水銀、カドミウム、ダイオキシン類などの環境汚染物質
・タール系色素、亜硝酸塩、臭素酸カリウムなどの食品添加物
・OPP、TBZ、イマザリルなどのポストハーベスト農薬
・有機塩素系農薬、有機リン系農薬、燻蒸剤、除草剤などの残留農薬など
・ヒジキ、ワラビ、ふきのとうなどの天然食品、カビ類、調理法により生成する発がん物質など
これらの有害物質は大別すると次の二つに分類されます。
①食べるとただちに細胞などを傷つける細胞毒性が強い有害物質
②長い時間をかけて体に毒が溜り、やがて毒性が発現す残留(蓄積)性有害物質
①の細胞毒性が強い有害物質は、毒性試験での因果関係がはっきりしていますし、食品への表示義務があるものが多いためあらかじめ分かります。しかし、②の残留(蓄積)性有害物質の多くは、食べてもすぐにその悪影響が現れることがないので厄介です。知らず知らずのうちに体が毒されていき、あるレベルになると突然に毒性を発現すのがほとんどだからです。
そのため、仮にその毒性が現れたとしても、その因果関係が明らかとされることはなく、多くは「原因不明」とされるか、「遺伝的体質」とされるか、別の病名が付けられることになります。
「酸化ストレス・炎症体質」の誘因物質となる①の細胞毒性が強い有害物質の代表的なものとしてとして無機ヒ素やベンゾピレン/多環芳香族炭化水素、カビ毒などがあり、②の残留(蓄積)性有害物質の代表的なものとして、メチル水銀、ダイオキシン類、PCB、カドミウムなどがあります。
これらの有害物質による病気は間違った病名がつけられることも多く、得てして難治性慢性病として扱われがちです。また、さまざまな生活習慣病の隠れた発症原因となっていると考えられます。
有害物質(過酸化脂質、残留農薬、食品添加物、抗がん剤、アルコール、タバコ、大気汚染物質など)を解毒するときに、活性酸素が発生します。そして、発生した活性酸素はミトコンドリアの働きを悪くさせることになります。
身体に溜まって蓄積していったらやがて身体に悪い影響になる可能性があります。
体内にたまった毒素が悪影響して、栄養の吸収を阻害したり、細胞まで栄養が届くことを邪魔したりします。
有害ミネラルは身体に蓄積されやすく、生理機能や代謝機能を阻害し、体調不良や精神の不安定が起こります。
なんだかいつも疲れやすい、寝つきや寝起きが悪い、うつ傾向がある、気力が沸かない、イライラして甘いものを食べるのがやめられない、集中力が続かない、些細なことで腹を立ててしまう、などの問題があります。
毒素は体内での栄養の吸収を阻害したり、細胞の活動を停滞させたりします。
新陳代謝の低下につながってしまいます。
水銀や鉛などの有害ミネラルは、体内で酵素と結合しやすい特徴があります。酵素は体内の様々な器官や組織を活発に働かせる代謝に欠かせない存在です。脂肪を燃焼させる(脂肪をエネルギーに変えて使ってしまう)ということももちろん酵素の働きが必要です。酵素の働きが有害ミネラルによって阻害されたらもちろん脂肪だって燃えにくくなってしまいます。
また水銀は褐色脂肪細胞の働きを低下させてしまうとも言われます。褐色脂肪細胞は熱を作ってエネルギーを放射する細胞です。この細胞がどれだけ活性化しているかということが、ミトコンドリアの働きをよくさせることによって、体温や基礎代謝に影響するのです。体温が高いということはそれだけ熱を作るためにエネルギーをたくさん使うということですから痩せやすいということなのです。しかし水銀はその褐色脂肪細胞の働きを鈍らせてしまうのです。片頭痛に悪影響を及ぼします。
それと毒素は自律神経の働きにも影響を与えます。もし自律神経が乱れてしまったらやはり代謝やエネルギー消費が落ちてしまいますし、毒素が溜まっているということは、便秘になっていたり、血行が悪くなっていたりする場合が多いわけですから、様々な片頭痛治療への悪影響が考えられるのです。
こういった有害物質が蓄積することによって、「酸化ストレス・炎症体質」を増悪させる要因になってきます。
片頭痛発症の引き金となる「活性酸素」や「遊離脂肪酸」は栄養素の摂取過不足による化学ストレスの代謝結果であり、多くの重度の片頭痛の方々が陥っている「薬物乱用頭痛」は薬剤による典型的な化学ストレスの結果だということさえも理解できない、一部の「頭痛専門医」がいるということです。
また、精神的ストレスであれ、化学的ストレスであれ、強いストレスや慢性的ストレスにさらされると、そのストレスを癒す体の仕組みが働きだし、コルチゾール(副腎皮質ホルモンの一種)が分泌されます。コルチゾールは脳の海馬を萎縮させる作用がありますので、アルツハイマー病の危惧までも生じてくることになります。
また、コルチゾールやアドレナリンなどのホルモンが分泌された時には、ホメオスターシス(恒常性維持)といって体を正常化する(「化学的ストレス」を正常に戻す作用)コントローラが働き、過剰に分泌されたこれらのホルモンを分解する際にも、過酸化水素やヒドロキシラジカルなどの活性酸素が多量に発生することになります。
ところで、“化学ストレス”って、一体何なのでしょうか?
簡単に言うと、体の中でおきているさまざまな代謝(化学的な反応)、例えば、食べたものが消化吸収され筋肉やエネルギーになったり(全て化学的な反応です)、血圧が上がったり下がったり、血糖値が上がったり下がったり、・・・・・、などに偏りが起きたときに、体がストレスを感じてしまうことをいいます。
日常生活でいうと、栄養のとり過ぎや栄養不足、および、化学物質(薬、環境汚染物質、食品に含まれる有害物質など)のとり過ぎなどその原因となります。
先ほど述べました「薬物乱用頭痛」や「脳過敏」などは、鎮痛剤や片頭痛発作予防薬の慢性的な服薬により生じる「化学的ストレス」の結果が、本来体に備わった鎮痛作用や発作抑制作用などにかかわる、ホルモンや神経伝達物質(シナプスでシグナル伝達に介在する物質)、プロスタグランジンなどのエイコサノイド、ヒスタミンなどのアミン、アンジオテンシンやブラジキニンなどのペプチドなどのバランスを狂わすことによって生じる現象だと考えられます。
そのため、このような薬剤による「化学的ストレス」の解消にはストレスの原因となる薬剤から離脱するしか方法は無いのですが、実際の医療現場では「脳過敏症候群」などの新たな病名をつけ、さらに異なった薬剤を投薬するなどの奇異な医療行為?が一部の頭痛専門医により奨励されています。
さて、このような「化学的ストレス」はこれらの薬剤の服薬以外にも、日常の食生活なかにも幅広く存在し、私達は知らず知らずのうちにその悪影響を受け続けているのです。
そのため、食事とともに摂取される糖質・脂質・タンパク質の三大栄養素、ビタミン類、ミネラル類、微量金属などの過不足にともなう片頭痛発症への対策や有害化学物質に対する対策が必要不可欠となります。
ここでは体内でどのように有害化学物質の代謝が行われるかについて説明することにします。
有害化学物質の体内での代謝について!
食品とともに取り込まれる有害化学物質には、PCB、ダイオキシン類、メチル水銀、カドミウムなどの環境汚染物質をはじめ、食品添加物、残留農薬などがあります。
また、これら以外にも、工場や車の排気ガスに含まれる有害物や医療用の薬品類なども含まれます。
これら、ほとんどの有機有害物質は肝臓で代謝酵素により、エステル化などの加水分解や酸化反応(シトクロムP450などによる)、還元反応(グルタチオンペルオキシターゼなど)、抱合反応(硫酸、リン酸、グルクロン酸、タウリン、グリシンなど)などにより解毒されます(代謝により毒性の強まる物もある)。
これらの多くは代謝により親水性を高め分解や排出しやすくされたあと、胆汁または尿を経て排泄されます。
肝臓による解毒処理では有害化学物質の9割以上はシトクロムP450(水酸化酵素ファミリーの総称)が関与しています。シトクロムP450は脂溶性でその代謝する物は、PCBやアルコール、一部の薬剤などのように蓄積すると毒性を示す物が多く、特にPCBをはじめとする残留性有機汚染物質はこれらの酵素により代謝されにくいため、必要以上の酵素を誘導してしまいます。
また、排気ガスやタバコの煙、こげた食べ物などに含まれるベンゾピレンはシトクロムP450で水酸化されることにより、さらに毒性の強い発癌物質を生成することが知られています。
食品添加物として含まれている有害化学物質、残留農薬、環境汚染物質などの代謝、医薬品と、飲み過ぎのアルコール・アセトアルデヒドの代謝は同じ代謝経路で処理されます。
また、シトクロムP450をはじめこれらの代謝にかかわる酵素は、いつでも十分な状態で用意されている訳ではなく、通常は必要な時に必要な酵素が合成・補充されます(代謝酵素の過剰誘導は別として)。 一般に解糖系(ブドウ糖をエネルギーにかえるなど)の酵素は長寿命であり、酸化系酵素は短寿命(数分~数時間)ですが、タンパク質の合成などと同じように絶えず合成と分解がおこり動的平衡状態(いつも必要な物質がプールされた状態)にあります。
そのため、酵素合成に必要なアミノ酸類は通常不足することはありませんが、一つの物質の酵素代謝にも補酵素やビタミン、ミネラルやホルモンなどさまざまな物質が関与しているため、そのなかの一つでもが欠乏するとすべての一連の代謝に支障に生じることから全体としての酵素活性化低下する)、欠乏の起こりやすいビタミンやミネラルの摂取状態が重要な課題となります。
また、肝臓の解毒負荷としては、他に腸内細菌有害菌により生成するアンモニア、アミン類や硫化水素などの硫黄化合物、未消化タンパク質や尿素由来の毒性産生物もあります。
多量の医療薬服薬などを除けば、肝臓の解毒負荷は、食品などからの有害物質以上にアルコールの過飲や、腸内悪玉菌からのアンモニアなど有害物の産生(腸内細菌の状態で産生量が異なる)が問題となります。
特に、大腸の後半の部分(横行結腸~下降結腸)では、腸内を健全に保っていた場合であっても、悪玉菌が産生するアンモニアや硫化水素などの有害物質が激増しますので、何よりも早い排泄が必要となります(便秘をしないことが重要)。
さらに、この薬物代謝経路を使い空腹時などの脂質からのエネルギー代謝やコルチゾールなどステロイドホルモンの生合成も行われていますので、解毒負荷の増加はこれらに影響を与えることになります。
以上、解毒代謝について説明しましたが、デトックス(解毒)を行う上での基本的な対応は、次のようにまとめられます。
1.有害化学物質を摂らない、発生させない(薬、飲酒、魚介類、腸内細菌の健全化など)
2.有害化学物質を体内に吸収させずに排出する(食物繊維、硫黄を含む野菜類など)
3.吸収したものは排泄する(皮脂、含硫アミノ酸・野菜、キレート剤、水分不足など)
4.解毒代謝を向上する(ビタミン・ミネラル類、解毒負荷軽減など)
「その他の物質の使用または曝露による頭痛」は、片頭痛発症過程を考える上で、極めて示唆的であり、現在の頭痛専門医の頭の中には、こうした考え方は存在しません。
まさに、残念な限りです。