蛇の生殺し?・・月経時の片頭痛 2013/07/29 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 片頭痛で悩まれる方々は、女性が多く、その大半の方々は、生理時の片頭痛を最も苦しんでおられます。
 そして、こういった方々に向けて、あるトリプタン製薬メーカーは、ある種の薬剤の売り込みに躍起になられておられるようです。それは、もう一つの「トリプタン製剤」の後発品が発売されたことにも原因があるようです。そして、現在「売り込み中のトリプタン製剤」ですが、この薬剤の「血中半減期」が他のトリプタン製剤よりは「長い」ということから、「月経関連頭痛」は、いつもの頭痛よりは「長時間持続する」といったことを根拠として推奨されているようです。そして、このトリプタン製薬メーカーは、頭痛専門医を入れ替わり立ち替わり、役者を違えて、この製剤を宣伝しまくっています。 
 2014/07/20のHMSJ-Osakaでも「月経関連頭痛」に対して、この薬剤を勧めます。

 問題は、こうした「月経関連頭痛」が、なぜ、いつもの片頭痛発作より、強度で長時間持続するのかという考察が全く欠如しています。この点を問題にすべきです。
 少なくとも、日本の片頭痛医療を主導される頭痛専門医たる立場からこのような考察がなされないことに対して疑問を持つべきと考えます。
 生理痛と「月経関連頭痛」の異同をどのように考えるのか、こういった論理が全く欠如しています。こうしたことから、今回「片頭痛の生活習慣改善・・食事療法編」をHPに掲載致しました。こちらをご覧頂ければ、全てが氷解されるはずです。
     http://taku1902.jp/sub276.pdf
 まさしく、片頭痛の原点から遠ざかり毎日の治療、特に対症療法に終始し、魂をどこかに置き忘れた製薬メーカーの走狗のごとき方々が頭痛研究者に多いとしか思えません。
 私が今回提示しました「片頭痛の生活習慣改善・・食事療法編」を念頭において、この通りに「食生活」を改善さえすれば、片頭痛そのものを改善でき、生理時の苦悩から解き放たれるはずです。このことは、これまでの臨床実績から明確なはずです。こういったことから、これまでの繰り返しですが、敢えて掲載します。


「月経関連頭痛」について



 皆さんの中には、生理時にいつもとは異なる「片頭痛発作」に苦しめられておられるかと存じます。こういった発作時に色々工夫されておられていると思います。
 先程述べた某トリプタン製薬メーカーは、このような頭痛には、ア〇ージがお勧めとか、予め鎮痛薬を”服用”すべきとか、予防薬をこの生理期間中に服用するとか、プレドニンといった副腎皮質ホルモンを服用すべきとか、いろいろ試されておられるかと存じます。
 これらは、すべて一長一短があり、的確なものはありませんでした。


 これとは別に、「脳過敏症候群」の問題が存在します。


片頭痛を治療しなかったのが脳過敏症候群の原因 

 治療しなかったと言うと叱られるかもしません。当時(昔)は正しかったのだと思います。現在は研究が進み、現時点から診ると間違った対応だったという意味です。

1.我慢する


 昔は「我慢すれば治る」と多くの人は思っていました。今もそう思っている人もいます。
 正しい治療しないのが間違い。痛みの原因を治さなければ、どんどん慢性化します。

2.市販の鎮痛剤で凌ぐ


 鎮痛剤の飲み方を正しく守らず多量に飲むと薬物乱用型と言う新たな痛みを起こします。
 元々の片頭痛の上に乗った、厄介な痛みになります

3.間違った思い込み


  慢性頭痛にも色々あり、治療法が異なります。自分の間違った思い込みが痛みを悪化させます。

 これらの状態が長く続いた結果、脳の異常興奮が慢性化して脳過敏症候群へ移行します。
脳過敏症候群は過去の片頭痛を適切に処置しなかったのが原因です。我慢する、鎮痛剤と多量服用する、間違った思い込みなどです。


 これを予防するために、予防効果のある食品を摂りいれる

  マグネシウム、ビタミンB2に予防効果が有ります。


こういった考え方が、脳過敏症候群へ移行への予防手段とネット上では述べられています。
これが、果たして真実なのでしょうか? 私は甚だ疑問に思っております。
 私には、ある点では納得はするのですが、今ひとつ「奥歯に物がはさまった」ような感覚です。先述の生理時の発作時の対応の仕方にも疑問を持っております。


 両者とも、マグネシウム、ビタミンB2に予防効果が有ります。これは事実です。

 しかし、これらがどうして効果があるのかという根拠が示されておりません。
 なぜなのでしょうか?この理由は、頭痛研究者が、謂わば「半信半疑」でこのようなことを「皆さん」にお勧めしているとは、少なくとも考えたくはありません。
 このようなことを”小出し”にして、片頭痛の本質を覆い隠す意図しか見えません。


 この「マグネシウム、ビタミンB2」に片頭痛改善効果があるという根拠はどこにあるのでしょうか?


 片頭痛は全身的な”ミトコンドリアの機能障害”をともなう疾患です。


 ミトコンドリアの機能障害により引き起こされる「ミトコンドリア病」という病気があります。このミトコンドリア病のほとんどの患者さんには、片頭痛が存在します。
 ここに、これまで述べてきた”原点”が存在します。謂わば、片頭痛の疾患モデルです。

 まず、最初に「ミトコンドリア病」についての概略を説明致します。


ミトコンドリア病とはどういう病気?

 ミトコンドリアは全身のひとつひとつの細胞の中にあってエネルギーを産生する働きを持っています。そのミトコンドリアの働きが低下すると、細胞の活動が低下します。例えば、脳の神経細胞であれば、見たり、聞いたり、物事を理解したりすることが障害されます。心臓の細胞であれば、血液を全身に送ることができなくなります。筋肉の細胞なら、運動が障害されたり、疲れやすくなったりします。
 ミトコンドリアの働きが低下することが原因である病気を総称してミトコンドリア病と呼んでいます。多くは生まれながらにしてミトコンドリアの働きを低下させるような遺伝子の変化を持っている方が発症しますが、薬の副作用などで二次的にミトコンドリアの働きが低下して起きるミトコンドリア病もあります。

この病気の原因は?

 ミトコンドリアの働きを低下させる原因として、遺伝子の変化に由来する場合と、薬物などが原因でおきる場合があります。大部分は遺伝子の変化で起きるであろうと考えられていますが、ミトコンドリアの働きに関わるタンパク質は優に1000を超えると推定されており、それらの設計図である遺伝子の変化がすべてミトコンドリア病の原因となる可能性があります。すでに200種類程度の遺伝子の変化がミトコンドリア病に関係することが分かっています。
 さらに、これら遺伝子には、細胞の核と呼ばれるところに存在する核DNA(通常のDNAです)に乗っている遺伝子と、ミトコンドリアの中に存在する別のDNA(ミトコンドリアDNAといいます)に乗っている遺伝子があります。新しいミトコンドリア病の原因が核DNA上の遺伝子から次々と明らかにされています。また核DNAに比べると短いミトコンドリアDNA上の遺伝子にも、病気に関係する変化が患者さんで見つかっています。
 ミトコンドリアDNAはミトコンドリアの中に存在していますが、実は1個のミトコンドリアの中に5~10個くらい入っています。そのようなミトコンドリアはひとつひとつの細胞に数十から数百個あるので、1細胞でみるとミトコンドリアDNAは数千個も存在していることになります。ですので、数千個もあるミトコンドリアDNAのほんの一部が変化しても細胞のはたらきに何も影響しないし病気にもなりません。ミトコンドリアDNAの変化で病気になっている人は、通常は変化したミトコンドリアDNAの割合が高いことが知られているのです。


この病気ではどのような症状が?

 ほぼすべての細胞にミトコンドリアが存在します。細胞は同じ種類のものが集まって組織というものを作ります。神経組織、心筋組織などと呼ばれますが、それらの組織が血管や結合組織などの他の組織といっしょになって、身体のために効率よくきちんと働くようになっている構造体を臓器といいます。これが脳とか心臓とかになりますが、症状というのはこのような臓器のはたらきが低下した場合に現れます。
ミトコンドリアのはたらきが低下して起きるミトコンドリア病の場合は、ひとつひとつの細胞のはたらきが低下したり、そのような細胞が消滅したりします。それがどの細胞にも
起きる可能性があるので、いろいろな症状が現れることになります。けいれん、脳卒中、精神症状、発達の遅れなどの脳の症状、物が見えにくい、音が聞こえないなどの感覚器の症状、運動ができない、疲れやすいななどの筋の症状など、挙げればきりがありません。

 その中でも、比較的エネルギーを多く必要とする神経、筋、心臓などの臓器の症状が現れやすいと考えられています。
 ミトコンドリア病の症状の特徴は、あらゆる年齢の方に、あらゆる症状が、あらゆる組み合わせで現れることと言えます。

ミトコンドリア病の症状として、中枢神経系では、けいれん、ミオクローヌス、失調、脳卒中様症状、知能低下、片頭痛、精神症状、ジストニア、ミエロパチーが起きます。


 こうしたことから、片頭痛という病気は、ミトコンドリアの機能障害によって起きる病気であり、神経系の「セロトニン神経系」の機能低下を来すために起きてくるものです。


ビタミンB2の関与


 1998年にShoenenらによって発表された論文によりますと、ミトコンドリア病の患者さんに1日1回400mgのビタミンB2を服用させた所、ミトコンドリアが元気になりミトコンドリア病が改善しました。このミトコンドリア病の主症状が片頭痛です。この事にヒントを得て、ミトコンドリア病に限らず片頭痛の患者さん55人に1日1回400mgのリボフラビン(ビタミンB2)を3ヶ月服用させた所、片頭痛の起す割合が半分に減った患者さんが37名だったと言う事です。
 この理由は、ビタミンB2がミトコンドリアの電子のやりとり(電子伝達によりエネルギーを産生する)を円滑にしたことにより、ミトコンドリアの代謝機能を向上させたからだと推測されます。
 この論文によれば、半数以上の患者さんの片頭痛に効果が有ると考えられますから(頻度が半分に減る程度だとしても)、片頭痛を目的にビタミンB2を服用して良いと思います。そしてこのビタミンB2は水溶性ビタミンと呼ばれていて過剰量服用した場合、体外に尿より排泄されてしまって副作用は起こり難いですから安心感も高いと思います。


「マグネシウム不足」との関連


 次に、片頭痛の患者のおよそ半分が「マグネシウム不足」が存在します。以前までは片頭痛とマグネシスムの関連性が明らかになっていませんでしたが、最近の調査では片頭痛を抱えている半分の患者がマグネシウム不足であることが判明しております。


 それでは片頭痛発症に、なぜマグネシウムが関係しているのでしょうか?


 片頭痛は、これまで”ミトコンドリアのエネルギー代謝異常あるいはマグネシウム低下によって引き起こされる脳の代謝機能異常疾患”であるとされています。

 (Welch KMA, Ramadan NM Review article; Mitochondria, magnesium and migraine. J Neurol Sciences 134 (1995) 9-14)


片頭痛患者の3~5割はマグネシウム不足


 片頭痛患者の3~5割はマグネシウムが不足していて、頭痛時の脳内マグネシウム濃度を測定すると通常の濃度より19%低いことが報告されました。これにより片頭痛とマグネシウムが関係していることが知られるようになりました。

マグネシウムとは、カルシウムや鉄と同様に人間にとって必要不可欠なミネラルの一種です。
 マグネシウムはカルシウムと深く関係しており、血管や筋肉・神経など様々な細胞の緊張と弛緩のバランスを保つ働きがあります。
  マグネシウムが不足すると、筋肉が痙攣しやすくなり、めまい、ストレスがたまる、疲れやすい、足がつるといった症状が起こります。
また血管も痙攣しやすくなり、痛みに敏感になるため、頭痛の原因になるとも言われています。
 マグネシウムが片頭痛に有効なのは、血小板が凝集するのを防いだり、血管の収縮を抑えたりといった効果があるからです。


マグネシウム欠乏で片頭痛の起こるメカニズムとして


 マグネシウムイオンは細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造ならびに細胞膜構造において膜の安定性を保つ役割をしています。
マグネシウムイオンが不足すると細胞のイオンポンプの力が弱くなり、細胞内小器官であるミトコンドリア膜の透過性も亢進し、すると細胞内に入り込んだカルシウムイオンは、細胞外へ出ていけません。カルシウムは細胞内に少しずつ蓄積してきます。細胞内カルシウムイオンの増加が起こります。それを薄めるために細胞浮腫、つまり水ぶとりの状態になります。
 したがって、マグネシウムイオンの低下は細胞内カルシウムイオンとナトリウムイオンの増加およびカリウムの喪失による細胞内でのカリウムイオンの低下を招きます。これは能動的にナトリウムポンプを調節しているマグネシウムイオン感受性のナトリウム/カリウムATPaseの活性低下を招くとともに、同じくマグネシウムイオン感受性のATP依存性カルシウムポンプの活性低下を招くことになり、細胞は興奮しやすくなります。
このようにしてマグネシウムイオンの減少はミトコンドリアの好気的代謝異常をきたして、神経細胞の易興奮性をもたらすことになります。
 これらは片頭痛の根本的原因として考えられているものです。
 ミトコンドリア代謝異常が基礎にあったとすると、ミトコンドリアはマグネシウムイオンの減少による影響をさらに受けやすくなることになります。マグネシウムイオンの低下は片頭痛発作の結果でなく発作の始まる前から存在しているのです。神経細胞の易興奮性はマグネシウムイオンの減少の結果あるいはミトコンドリアの代謝異常の結果として生じているものと思われます。この点から、これまで「片頭痛は本質的に、てんかんと同一」であるとされた理由です。


 またマグネシウムが片頭痛の改善に効果的である、という研究結果が発表されています。

 アメリカではマグネシウムが片頭痛の改善にどれだけ有効かを調べる治験が行われました。その結果、1日600mgのマグネシウムを毎日摂取すると、片頭痛の頻度が減り片頭痛の改善に繋がることが分かったのです。
 片頭痛の発作が約4割減少するという治験結果で、片頭痛改善効果としてマグネシウムの有効性が注目されました。
 厚生労働省での1日のマグネシウム所要量は、成人男子280~320mg、成人女子240~260mgです。しかし日本では、ほとんどの人が一日の必要量を満たしていません。

 片頭痛改善目的で、注目されているマグネシウムは食品から摂れる栄養素ですが、なぜ不足しているのでしょうか。


マグネシウムは海藻類や乾物、豆腐、ゴマなどに多く含まれています。

 しかし戦後、日本人の食生活は肉中心の欧米型へ変わりました。
 昔ながらの和食を食べなくなったことが、日本人のマグネシウム不足につながっているのです。さらに白米、白砂糖、精製塩などの精製食品も、マグネシウム不足の原因と言われています。
 また添加物、土・水・大気汚染などが、マグネシウムの働きを阻害しているとも言われています。現代の食生活ではマグネシウムが不足しやすくなっています。
 片頭痛の改善にはストレスをためない以上に、栄養面での見直しがもっと必要です。
 また片頭痛のきっかけになってしまうほかの要因は、妊娠・月経・アルコール・ストレス・ある種の利尿剤(この他の薬剤も可能性があります)などが挙げられます。


 更年期以前の女性では、月経前にエストロゲンが上昇し、血中のマグネシウムを骨や筋肉へと移行させます。その結果、脳内のマグネシウム・レベルが低下することになります。
 このように「月経時片頭痛」の発生にはマグネシウム欠乏が重要な役割を果たしています。 Mauskop A et al. Serum Ionized Magnesium Levels and Serum Ionized Calcium/Ionized Magnesium Ratios in Women With Menstrual Migraine Headache. 2002;42(4):242


 こうした要因すべてが、体内や筋肉内・脳内などのマグネシウム量を減らしてしまう原因となります。
 マグネシウムは現代人にとって実に欠乏しやすいミネラルで、よほど気を付けていないと食事から摂るべきマグネシウムも減ってしまうから注意が必要です。


以上のような観点から、「マグネシウム、ビタミンB2」の2点を考慮しなくてはなりません。ここに、片頭痛における”根源的”な意義が存在しています。

決して、経験的なことで論じられたものではないはずです。

そして、片頭痛とミトコンドリアに関しては、1999年に鳥取大学の下村登規夫先生が指摘されておられることです。(神経研究の進歩 46(3): 391-396,2002)


 多くの研究が、片頭痛の程度と頻度は個人のマグネシウム量と関係しているという説を唱えています。

「片頭痛の方の50%はマグネシウムが欠乏しています」と、Dr. アルトゥラ博士(ニューヨーク州立大学ダウンステート・メディカルセンター生理学、薬理学、および医学部教授:在ブルックリン、NY)は語ります。 マグネシウム欠乏には多くの原因が考えられます。 「片頭痛患者の60%は、遺伝子の分散によってマグネシウムを効果的に代謝して体内に送り届ける機能が妨げられているのです」と、Dr. アルトゥラは説明します。

これらの患者に点滴でマグネシウムを体内に入れると、急性片頭痛は直ちに消え、その状態が続くのです。Dr. アルトゥラらの実験によると、イオン化マグネシウムを点滴したところ、15分以内で片頭痛患者の80%以上の痛みが明らかに軽減されました。同Dr.の別の実験では、マグネシウム点滴で、吐き気や光恐怖(過敏)症などの片頭痛によって引き起こされる症状が完全に消えたそうです。(マグネシウム点滴は病院で受けるものです)

 マグネシウムは、脳の血管をリラックスさせ、カルシウムが血管を収縮させないようにすることで、片頭痛にはたらきかけるのです。
何事も治療より予防するほうが好ましいものですが、片頭痛に関していえばなおさらです。 幸い、マグネシウムの経口摂取で片頭痛の頻度と期間を軽減できることが証明されています。マグネシウムは月経性片頭痛の予防に特に重要な点です。月経時片頭痛とは、妊娠可能期にある女性にみられるもので、非月経性片頭痛より頻繁かつ激しい傾向にあります。また、片頭痛がみられる場合、神経関係の症状が重くなることと低マグネシウムの間には相互関係があるため、片頭痛の疑いがある方はマグネシウムを充分に摂取するよう常日頃心がける必要があります。


片頭痛の急性発作に対するマグネシウム静注法


患者40人 に対して、1g硫酸マグネシウム(10%溶液)を5分以上かけて注射
注射15分後35人(87.5%)は痛みが少なくとも50%以上軽くなりました。
9人(22.5%)は痛みが完全にとれました。
35人の患者のうち21人で24時間もしくはそれ以上痛みは軽減したままでした。
マグネシウムの効果は治療前のマグネシウムの血清濃度と相関していました。
結論:マグネシウム静注が片頭痛発作に対して有効な治療法
特に血清マグネシウム濃度が低い患者に有用である。

MIGRA-LIEVEのWEBSITEのhttp://www.naturalhealthmed.com/より


片頭痛発作に硫酸マグネシウム静注が著効

0.5mol、20ml静注を10分間で静注。
20分以内に8/9例が「わずかな」痛みに、1時間以内に痛みは消失した。
(第27回頭痛学会A-5、1999)金ら(埼玉医科大学神経内科)


マグネシウムはなぜ頭痛によいか


細胞はイオンの出入り(イオンポンプ作用)があって初めて正しく働きます。
イオンポンプ作用になくてはならないのが、マグネシウムなのです。
マグネシウムは細胞内のカルシウムイオンを取り出すように働きますので、
マグネシウムはカルシウム拮抗作用を有することになります。
マグネシウムはカルシウムの血管収縮作用を防ぎ、血管を広げる作用もあります。
これがマグネシウムの片頭痛改善のもとです。
マグネシウムは緊張型頭痛も治します。
マグネシウムが不足すると、カルシウムイオンがスムーズに細胞内から排出されず、
筋肉の硬結(収縮したままの状態)になります。
また「細胞浮腫」状態、つまり細胞の水ぶとりの状態となります。
これが緊張型頭痛の原因となります。
神経の興奮性が抑制され、疼痛過敏が抑制されます。


繰り返しますが、なぜマグネシウムが不足がちとなったか


今の日本は、マグネシウムが不足がちです。
日本では従来からミネラル類のうちカルシウムだけを重要視する傾向があります。
 マグネシウムの摂取はほとんど無視されてきました。
摂取量はカルシウム1に対してマグネシウムは0.5~1くらいあれば良いのです。
しかし、今日はマグネシウムを1日220~270mg程度しか摂取していません。
昔は塩化マグネシウムであるニガリを使って味噌、醤油、漬け物を作ってきました。
現在では天然塩を使用しないため、マグネシウムが不足するのです。
水道水もマグネシウムがあるとまずくなるためにこれを極力取り除きます。
浄化装置もマグネシウム不足に拍車をかけています。


マグネシウム摂取を増やす


Dr. アルトラによると、マグネシウム不足を解消する最良の方法は食事の改善です。 
ナッツ、濃い緑色の葉野菜、豆類、全粒穀類、一部の魚など、高マグネシウム食品は多数あり、これらはすべて健康食としても知られています。 「オメガ3脂肪酸を多く含む魚には、マグネシウムも多く含まれています」(Dr. アルトラ) 水からもマグネシウムを摂取することができますが、その含有量は水源によってかなり異なります。
加工食品はミネラルやビタミンが欠乏しがちです。アメリカ人は加工食品をたくさん食べているため、マグネシウムを食事だけで補給するのは至難の業となっています(調理することでも食品中のマグネシウムは失われます)。
 男性のマグネシウム1日推奨摂取量は420mgで、女性は320mgといわれていますが、多くの専門家は1日500mg以上(成人対象)摂取するよう薦めています。

利尿剤、抗生物質、ガンの治療薬である抗新生物薬などといった特定の薬物は、マグネシウム欠乏を引き起こします。これらの薬物を服用している方、もしくは潜在的な特定の健康障害がある方(クローン病、アルコール中毒、グルテン過敏症、腸疾患、高血糖など)は、マグネシウムの補給によってなんらかの改善が得られる可能性があります。

しかし、マグネシウムを極端に摂り過ぎると下痢や腹痛などといった副作用を引き起こすことがあります。腎不全の方などは血液中に過剰に貯まったマグネシウムを排除することができないため、マグネシウム中毒を起こすおそれがあります。過剰マグネシウムが引き起こす症状には、吐き気、下痢、食欲低下、筋力低下、過度な低血圧などがあります。


マグネシウムを多く含む食品


玄米によるご飯100g  48mg
白米によるご飯10g    4mg
米、麦こうじ味噌100g 80mg
豆こうじ味噌100g  130mg
アーモンド30g     87mg
カシューナッツ30g   72mg
国産大豆30g      66mg
落花生30g       60mg
干しひじき10g     54mg
納豆1パック100g  100mg
かき70g        50mg
ほうれん草70g     50mg
木綿豆腐1丁300g  100mg
いんげん豆30g     45mg
かつお100g      40mg
あおのり3g       40mg
あずき30g       36mg
とうもろこし1本120g 35mg
枝豆50g        35mg
バナナ100g      34mg
純ココア7g       30mg


マグネシウム・ドリンク液、湖めい医水(こめいいすい)について


 株式会社メイティアという会社から湖めい医水(こめいいすい)というマグネシウムのドリンク液が販売されています。
 湖めい医水とは、西オーストラリアの500万年前にできた、「デボラ湖」という海水由来のピュアな塩水湖から採れたマグネシウム・ミネラル液です。
 マグネシウムは片頭痛の改善に良いことが知られています。
片頭痛をサプリで治したい方にお勧めのドリンクです (とくに片頭痛+便秘の方)。
マグネシウムは体にとても大切なのですが、どういうわけか口当たりが悪いのが欠点です。
それをグラヴィオーラ果汁(アマゾンのフルーツ)で味付けして飲みやすくしています。
湖めい医水の詳細はhttp://www.matier.co.jp/ を参照してください。
 ちなみに、めいは[金美](金へんに美しい)と書きます。字が出てこないのでひらがなで書きました。[金美]はmagnesiumのmaを美(mei)の音であらわした新作字だそうです。マグネシウムは金属なので金へんです。
マグネシウムを「金へんに美しい」と表現したのは、マグネシウムの大切さを表した素晴らしい作字です。

 こうしたサプリメントもよいのですが、高価な点が欠点です。以前も紹介しましたように薬局で「塩化マグネシウム」(500g/1本、1000円~1200円)を買い求め、自分で「マグネシウム液」を作成し、「必要量」を確実に補うことが一番です。
 マグネシウムサプリメントも市販されていますが、よほどの大量の水とともにとらない限り体内に吸収される事はありません。通常はカルシウムとともにマグネシウムも排泄されますが、ひどい場合は体内のマグネシウムやカルシウムまで排泄されてしまうこともあるようです(下痢になった場合はこのような状態です)。



 以上、これまで述べてきましたようにマグネシウム、ビタミンB2に”予防”効果があるといった程度の知識では、タイトルに掲げたような「蛇の生殺し」のような治療にしかなり得ません。片頭痛を”根本的に改善”させる方法と認識を改めるべきです。



 以上がまだ納得できない方々に繰り返します。


 片頭痛は全身的な”ミトコンドリアの機能障害”をともなう疾患です。

 この機能障害改善の目的で、「マグネシウム、ビタミンB2」が必要不可欠ということです。

先程も述べましたように、”セロトニン神経系”は特異的に「ミトコンドリア活性」の影響を受けやすく、「ミトコンドリア活性」はセロトニンの合成、セロトニン合成酵素の合成、・・・のように、全ての体内代謝のエネルギー源として関わっています。片頭痛では本来、ミトコンドリア活性が低く、このためセロトニンの合成能も低く、セロトニンの合成やその合成のための酵素も充分な量を生成できなくなってしまいます。その結果、脳内セロトニン不足が引き起こされてきます。
 脳内セロトニンの低下により、「姿勢保持」が十分でなくなり、このために「体の歪み」を引き起こしストレートネックを形成し、このため片頭痛の誘発・増悪因子となります。


ストレートネック→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
↓                ↓
↓       脊髄を介して三叉神経脊髄路核
↓                ↓
↓       中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
↓                ↓
↓         脳の過敏性、興奮性の増大

自律神経失調症状 → 交感神経機能低下→頚性神経筋症候群
                               (慢性頭痛)


「片頭痛は本質的にてんかんの一種である」とされ、このため「脳の興奮性の亢進」が強調されて参りました。
しかし、こうした 神経細胞の易興奮性はマグネシウムイオンの減少の結果あるいはミトコンドリアの代謝異常の結果として生じているものと考えるべきです。

このようにざっと概観した限り、片頭痛には「ミトコンドリアの機能異常」が第一義的に存在し、これから「セロトニン神経の働きの悪さ」が引き起こされ、これによってストレートネックが形成され、片頭痛の病態をこれらが修飾しているものと考えるのが妥当です。


「親からの遺伝と思われている体質」の多くは、自分自身の生活習慣、とくに食習慣の中に潜むさまざまな要因に起因しています。それにもかかわらず、多くの生活習慣病や慢性疾患に対して生まれながらの体質のためと諦めている人たちが多いのではないでしょうか。とくに片頭痛は、この典型的なものです。すなわち、遺伝的要因とされる「ミトコンドリアの活性低下」は、生活習慣とくに食生活に問題がありますとさらに「ミトコンドリア」の働きを悪くさせ、活性酸素が過剰に産生され、「片頭痛体質(「酸化ストレス・炎症体質」)が作られてきます。また、日常何気なく行っている動作により、姿勢を悪くし、ストレートネックを形成したり、慢性的な「セロトニン不足」が引き起こされます。
 こういったことが、片頭痛発症に関与しているために、”あたかも突然起こってくるような錯覚”を持たせる原因になっていました。


 以上をご理解頂ければ「脳過敏症候群」という考え方の正当性については、論ずるまでもなく、「抗てんかん薬」の投与の適否は論外という結論に至ります。


 このように、片頭痛の本質がどこにあるのかといった観点から片頭痛を見直すことが大切です。


 こういった基礎知識をもとに、今回、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生が出版された”お医者さんにも読ませたい片頭痛の治し方”(健康ジャーナル社)をご覧になれば、より理解されるものと考えます。