これまでOCNのブログ「頭医者のつぶやき」に掲載していたものです。
アクセス数の多かったものを、ここに再度掲載させて頂きます。
最近の当医院への頭痛患者さんの受診状況が大幅に変わってきました。
片頭痛の患者さんの場合は、これまでの情報活動のおかげで、医療機関では治せない病気であり、トリプタン製剤のような”高価”な薬剤は、あくまでも”一時凌ぎの薬剤”であることが浸透し、自分で治すべき病気であることが次第に浸透してきたためと思っております。
ところが、ここ数ヶ月間、片頭痛の患者さんの新患は少なく、これに対して「群発頭痛」の患者さんが異常に増加しており、ほとんど毎日のように、田辺市内でありながら受診されます。こうした理由がどこにあるのかを、これまで受診された方々を振り返りました。
そうしますと、軒並みに、頭痛の発作の都度”イミグランの注射薬”それも自己注射薬を指示されて、注射されて来られた方々でした。酷い患者さんでは、1日に3回も発作がある人は、3回も注射されておられる方もおられました。こうしたことから、このような治療方法は、患者さんの経済的な負担は計り知れないものがあり、何とかならないものかというものでした。
確かに、群発頭痛にはスマトリプタン(イミグラン)の注射が即効的です。
そして、これまで、発作時に何を使っても効かなかった患者さんにとっては、本当に効いた薬剤そのものであり、まさに麻薬なみの効果を発揮します。
そして、患者団体の厚生労働省への働きかけもあり、群発頭痛に対するイミグラン注射は保険適応が得らようになりました。
2007年までは病医院に行かないと注射していただけませんでした。
2008年より患者さんが自分で打てるイミグラン自己注射キットが認可されました。
私は、このような段階になった時点で、群発期にある患者さんが、群発期の1~3カ月間を毎日、このような対処をする人が出なければと懸念しておりました。
ところが、このような患者さんがいらっしゃることを目の当たりにして、まさに驚愕しています。
これを逆の面から眺めてみますと、群発頭痛の治療方針は、本来”予防治療”が本幹であり、発作時に対する対処方法は、もっと”安価”な手段があることは、トリプタン製剤が開発される以前から存在していました。このような方式は、医療機関には何ら利益をもたらさないものですが、極めて有効な手段であることは容認され、なお行われています。
ところが、群発頭痛には「イミグラン注射薬」が保険適応になっているという、ただそれだけの理由から、このような方式を採用される「一般開業医」が存在するという事実を見逃してならないと思います。まさに、「麻薬なみの薬剤」を注射され、こういった方法しかないといった考えを植え付ける時代をまさに憂うばかりです。
このような 群発頭痛に対して「イミグラン注射薬」を保険適応にすべく奔走された患者団体の役割は何だったのか、私は極めて疑問に思っております。
もっと、群発頭痛に対する考え方を改めるべきと考えております。
一部というか、ある頭痛研究者は、群発頭痛と帯状疱疹ヘルペス・ウイルスとの関連を指摘されるようですが、群発頭痛患者さんは、ことごとく「ストレートネック」を呈しております。こうした観点から、慢性頭痛の「発症要因」としての、「ミトコンドリア」「セロトニン」「ストレートネック」「有害物質の摂取」との関連、とくに「セロトニン」「ドーパミン」との関連、さらに「体内時計」との関与から考察すべきです。
といいますのは、群発頭痛の患者さんを詳細に分析する限り「群発頭痛」と「片頭痛」をいったり来たりを繰り返される方がすべてのようです。
現在の頭痛外来は、余りにも患者数が多すぎて、患者をさばくことに第一義に置く余り「数分間の診察時間」では、このような洞察すらできない現実が存在することを忘れてはなりません。
私は、このような観点から「群発頭痛」と「片頭痛」をいったり来たりを繰り返される方が、これまで私の主張する方式で、群発頭痛そのものへの移行を阻止できる方々が存在することを付記させて頂きます。
こうして俯瞰する限り、後藤日出夫先生と作成した、「読んで治す片頭痛」はある意味で真髄を穿ったものと思っております。