これまでOCNのブログ「頭医者のつぶやき」に掲載していたものです。
アクセス数の多かったものを、ここに再度掲載させて頂きます。
片頭痛の前駆症状の代表的な症状に便秘があります。普段は特に便秘気味ではないのに、突然便秘となり、その後、片頭痛が現れるという経過をたどります。片頭痛が生じた後も、暫くの間、便秘は続きます。このように、便秘は片頭痛の前触れとなります。片頭痛を放置しますと、便秘は次第に慢性化してしまうこともあります。
4つ目の段階で、片頭痛の痛みは軽減しますが、他の症状が現れる後発症状の段階です。便秘などの胃腸症状、食欲不振、疲労感、不機嫌、二日酔いのような症状が現れます。
このように、片頭痛に伴う便秘は、片頭痛が生じる前の前駆症状や片頭痛が軽減された後の後発症状でよくみられます。
このように、頭痛発作に関連して便秘が起きる場合と、発作とは関係なしに便秘気味の方もおられるようです。こういった便秘は、セロトニン不足や運動不足など、腸管の蠕動運動の悪さが原因となっている便秘が多く、これらの基本的な体質改善や生活習慣の改善を行わない限り、便秘は改善されない場合が多いようです。
自律神経系は、血管のみならず、腸の蠕動運動もコントロールしています。副交感神経が優位に働きますと、腸の蠕動運動が促進され、排便が促されます。一方、交感神経が優位になりますと、腸の蠕動運動は抑制され便秘の原因となります。すなわち、片頭痛および便秘ともに、自律神経の乱れによって生じるものと考えることができるのです。さらに、便秘は、腸内に生息する大腸菌などの悪玉菌による腐敗発酵によって生成する有害物質が自律神経系のバランスを乱すために、片頭痛を悪化させるリスクが高まります。慢性便秘に片頭痛が多いといわれているのも、この理由によるものです。
これまで、片頭痛の基本的に「ミトコンドリアの活性低下」が存在しこのために「セロトニン神経の働きの悪さ」から「脳内セロトニン不足」が招来されると述べました。
これによって、自律神経への働きに問題が生じてきます。
これとの関連からみていきます。
自律神経の乱れが便秘を引き起こす
腸内環境と自律神経の深い関係
便秘に悩まされている患者さんの自律神経バランスはほとんどの場合、崩れています。自律神経は体温維持や血液循環、呼吸、消化吸収など生命の維持に重要な機能をコントロールする神経系統で、交感神経と副交感神経という相反する働きを持つ2つの神経が、高い活動レベルを維持しつつ、状況に応じてどちらかがやや強く働きながらバランスを保っているのが理想です。内臓は交感神経が強くなると機能が活発になりますが、胃や腸などの消化器官だけは副交感神経が強く作用する時によく働きます。
女性の場合、40歳を過ぎると副交感神経の活動が急激に低下してくるため、腸の蠕動運動が鈍くなり、便秘になりやすくなるのです。便秘が常態化してしまうと、便が長く腸内に滞留し、腐敗が進み、悪玉菌が急増するため腸内環境が悪化します。重要な腸管免疫力が低下するだけでなく、腸内で発生した毒素が血液に乗って前進をめぐり、体調不良が起きやすくなるのです。40歳を過ぎた女性にめまいや頭痛、イライラが多く見られるのは、副交感神経が弱くなり交感神経のほうが過剰に働き、バランスが崩れていることが原因です。
自律神経の乱れを整えて便秘を解消
便秘を解消するためには、腸内環境を整えることが重要です。では、そのために、どんなことが大事なのでしょうか?
最も重要なポイントは、腸の蠕動運動です、蠕動運動というのは腸の内容物を先へ先へと押し出す動きのことで、この動きが弱まると、食べた物が腸内で異常発酵するなどして、悪玉菌が活動しやすい悪い腸内環境になってしまうのです。一方、蠕動運動が活発になると、腸に残っている物がスムーズに押し出され、腸内がきれいになり、善玉菌が活躍しやすくなります。
そして、この蠕動運動を支配しているのが、自律神経のひとつ、副交感神経なのです。自律神経が乱れている人の多くは、副交感神経の働きが低下しています。このため、蠕動運動も不活発になり、便秘がおきるのです。逆に、副交感神経の働きを高めてやれば、蠕動運動も活発になり、腸内環境が整います。すると、さらに副交感神経の働きが高まります。この好循環によって、便秘が解消する方向に向かうのです。では、副交感神経の働きを高めるためには、どんなことが必要でしょうか?
自律神経の切り替えが大事
交感神経と副交感神経は、一日の中でリズムを持って働いています。交感神経は朝から上がり始め、昼をピークに夕方に向けて下降します。一方、副交感神経は昼から上がり始め、夜中をピークにして、朝方に向けて下がっていきます。この2つの自律神経の切り替えが正しく行われることが重要になります。
みなさんは、体内時計という言葉をご存知でしょうか? 人間の体の中には、時間の流れを管理してホルモン分泌や新陳代謝など、時間ごとに行動をおこさせる機能があります。 これまでは、そのような体内時計が脳の中に存在すると考えられていましたが、最近の研究では細胞それぞれに時計遺伝子というものが存在し、これが時間を管理していることがわかりました。
自律神経の切り替えには、この時計遺伝子を作動させることが重要です。そのために鍵となるのが、朝の太陽の光と、朝食です。
朝起きたら、まずカーテンを開けましょう。曇りの日や雨の日でも、窓際であれば時計遺伝子をリセットするために十分な朝日が得られるはずです。時計遺伝子をリセットすることが自律神経の乱れを整える第一歩です。仕事の関係で、夜働いて、朝寝る生活をしている人でも、一日に一度は太陽の光を浴びてください。人工の光では、時計遺伝子はリセットされません。夕方でも構いませんから、一日一度は日光を浴びて、時計遺伝子をリセットしましょう。
朝の光と並んで、朝食を食べることも大事です。実は、時計遺伝子をリセットして作動させるためなら、朝食に何を食べてもかまいません。バナナ1本にヨーグルトという朝食でも十分です。あくまでも朝食をとる習慣をつけることが大事なのです。
体内時計とセロトニン
ご存じの通り、私たちは、約24時間周期の体内時計を持っているわけで、それが狂うことで、睡眠に障害がでるというのが、これまでの考え方でした。
しかし、その体内時計ををつかさどっている脳の中枢が、正常に機能していても、脳の別の部分で神経伝達物質「セロトニン」が不足すると、睡眠と目覚めのリズムが崩れることがラットの実験で分かったというのです。以下、その研究の概要です。
睡眠・覚醒機能と24時間リズムをセロトニンが束ねる
-睡眠・覚醒のサーカディアンリズム形成機構を神経活動レベルで解明-
「睡眠のリズムが崩れた」とか、「生活リズムが単調で」とか…。日常の会話でも体調に関わるリズムが話題になります。実は、単細胞生物からヒトにいたるまで、24時間周期のリズムが自律的に働いていて、睡眠や覚醒も制御されているのです。これをサーカディアンリズムといいます。ラテン語でサーカは「約」、ディアンは「1日」という意味。それで「約1日のリズム」。そのまんま!分りやすいと思います。
これまでの研究で、脳の奥にある視交叉上核(SCN)が、この24時間周期のリズムの主たる“時計”の役割を担っていることが分かっていました。しかし、SCNからの信号がどこに伝えられ、どのように睡眠・覚醒のリズムを作っているのかについては、よく分かっていませんでした。
便秘になりますと、
大腸菌などの悪玉菌が増え、それにより腐敗発酵がすすんで、アンモニアやインドール類などの疲労物質が多量に生成します。これらの疲労物質は、大腸から血液中に吸収され、全身に運ばれ、筋肉内に蓄積します。これによって、肩から頭周辺の筋肉が疲労し、緊張することによって、肩こりとなり、緊張型頭痛も起こることになるのです。女性は、便秘を起こしやすいので、これに伴って、肩こりや、これに連動した頭痛も起こしやすいということになります。ですので、便秘の解消は、肩こりや頭痛の解消にもつながることになります。頭痛や肩こりを感じたら、まずは便秘を解消することが、とても大切なこととなります。
便秘の解消は、頭痛や肩こりの解消につながります。イヌリンのような天然成分で、プレバイオティクな水溶性食物繊維を多く摂って、便秘を解消しましょう。また、イヌリン食物繊維は、善玉菌を増やし、腸内環境を整える作用に優れています。ですので、その結果として、疲労物質を生成させる悪玉菌が減り、頭痛の原因となる肩こりなどの筋肉疲労に対する直接的な対策にもつながります。 頭痛を伴う便秘には、イヌリン食物繊維がとてもよく効きます。
便秘には便秘薬や食物繊維より、セロトニン!
便秘の大きな原因は、強いストレスにさらされて生活を送っていることと考えられています。
私たちの体は、活動をつかさどる「交感神経」と、リラックスをつかさどる「副交感神経」のバランスによって保たれていて、このふたつを自律神経と呼びます。
仕事など、日中活発に動いているときは「交感神経」が優位に働いており、就寝前など体がお休みモードの時やリラックスしている時は「副交感神経」が優位で、胃や腸の動きが活発になるのもこの時です。
現代社会はストレス社会と言われ、仕事のストレス、職場のストレス、人間関係による
ストレス、睡眠不足など、生活習慣がもたらすストレスなど、日々ストレスフルな機会と
遭遇します。
このようなストレスでリラックスできない状態が続くと、自律神経が胃腸の働きを低下させ、便秘を引き起こしやすくなるのです。
セロトニンは、興奮や緊張物質であるノルアドレナリンやドーパミンの過剰分泌を抑え、
心のバランスを整える作用のある神経伝達物質であり、精神を安定させる作用があります。
セロトニンは年齢と共に、また過度なストレスにより減少することが分かっています。
脳内のセロトニンを増やすことは、心のバランス、自律神経及びホルモンバランスの調整に役立ち、便秘の緩和・解消に役立ちます。
特に女性のセロトニン総量は、男性と比較すると約52%しかなく、日々のストレスによってセロトニン不足になり、便秘になりがちな女性が、セロトニンをケアすることは、現代のストレス社会の中で必要不可欠となってきています。
セロトニン量のもっとも多い消化管では、消化管の運動(収縮と弛緩)による食べ物の攪拌、消化、食べ物を次第に下方に輸送する蠕動運動が活発になされています。
それは主としてその部分の神経にあるセロトニンによる筋肉への刺激のためとされています。このため、セロトニンが少ないと便秘になりやすくなります。
なぜセロトニンが増えると便秘解消(予防)につながるのか?
これは、主としてその部分の神経にあるセロトニンによる筋肉への刺激のためとされています。よって、セロトニンを増やすことで便秘解消効果があるといえるわけです。
実は、セロトニンの90%は、「腸」で作られています。
そして、自律神経を整えるために「脳」で作られるのは、たったの2%
残りの8%は、「血液」に含まれています。
ただし、腸で作られているセロトニンは、腸を動かすだけの役割しかありません。
ですから、脳で作られているセロトニンとは、全く別ものなのです。
ただし、腸の動きのバランスは「自律神経」が行っていますから、自律神経をコントロールする「脳のセロトニン」と腸を活発にする「腸のセロトニン」
この2つを同時に合わさることで、便秘の改善が早くなります!!
そこで、「腸のセロトニン」をバンバン出す方法は「きっちり睡眠をとる」ことです。
ですから、睡眠不足の方や、寝る時間が遅い方は、この「腸のセロトニン」が少ないために、便秘が起こっている可能性が高いのです。
自律神経に異常が発生し、腸に悪玉菌が増加
ストレスが溜まると、人間の自律神経に影響がでます。自律神経は、交感神経と副交感神経に分類され、どちらもストレスに影響を受けやすいと言われています。特に、消化器官を司っている副交感神経に悪影響がでると厄介です。胃や腸などの消化器官に異常が発生し、消化液の分泌が抑制されます。消化液の分泌量が減ったことで、肉などのたんぱく質の消化もうまくできなくなると、完全に胃で消化されなかった肉類は腸で腐敗が進み、悪玉菌の格好のエサになってしまいます。そしてその結果、腸内が善玉菌よりも悪玉菌が生き延びやすい環境に変化し、便秘の症状を引き起こしてしまうのです。
セロトニンが減ると蠕動運動に問題が
慢性的にストレスが続くと、「セロトニン」と呼ばれる物質の分泌が減ってしまいます。このセロトニンが減ると、便秘が起こりやすくなってしまうのです。実は体内のセロトニンの90%が消化管にあります。セロトニンの多い消化管では、蠕動運動が活発になされています。腸で行われる蠕動運動は、便を外に押し出す働きがあります。つまり、腸内のセロトニンが減って蠕動運動に支障が出ると、排出の力が低下して便秘の症状につながるのです。
男性よりも女性に便秘が多いのには理由がある
「日本人女性の2人に1人は便秘」と言われているぐらい、日本人女性の多くが便秘に悩んでいる傾向にあります。なぜ、女性は男性よりも便秘になりやすいのでしょうか?
男性と比較して腹筋力が弱い
まず理由のひとつとして考えられるのが、男性と比較して腹筋力の弱さがあげられます。腸は蠕動運動という作用によって、便を外に排出しようとしています。蠕動運動とは、腸の輪状筋がミミズなどの虫のようにウネウネと動くことで、腸に入ってきた食べ物を肛門まで移動させて、排便へと導く運動のことです。この蠕動運動を活性化させるのが、腹筋力です。女性は男性よりも筋力が少ないので、当然腹筋力も弱い傾向にあります。また、生理前のホルモンバランスの乱れによって、腸の蠕動運動が低下することもありますので要注意です。
大きな原因のひとつが「ダイエット」
さらに、女性が便秘になりやすい大きな原因のひとつが「ダイエット」です。ダイエットによって食事の量を減らせば、必然的に食物繊維や水分の摂取量も減ってしまいますので
便が排出されにくくなります。食物繊維は便のかさを増してくれ、水分は便をやわらかくして排出されやすくする効果があるので、便秘回避にはとても大切な成分なのです。
また、脂肪分を極端に控え過ぎると、便のすべりが悪くなることもあります。ダイエット中でも、食物繊維や水分を十分に摂取できるメニューを考案したり、食事の量を極端に減らさずに、運動をとりいれた方法で行うなどの工夫をしましょう。最近は女性の社会進出も進んでいます。仕事が忙しいと一日に一食しか食べなかったり、朝ごはんを抜くという人も多いでしょう。食事時間が不規則だと、便意を感じる時間も不規則になり、排便のリズムがつかめません。
便秘は肌荒れにもつながるので女性は要注意
便秘になると、腸内の善玉菌が減少して、その代わりに発生した有害物質が血液や腸壁に溶け出して全身を駆け巡ります。有害物質が肌細胞の中に運ばれると、肌の持っている老廃物の排泄機能が低下し、正常なターンオーバー(肌の生まれ変わり)に支障が出てしまうことも。これによって肌はどんどん余分な汚れや皮脂を溜め込んで、にきびや吹き出物ができたり、くすみの原因となることもあります。便秘は女性にとっては大敵ですので、十分に注意してください!
便秘の方は悪玉菌は増やす食べ物を減らしましょう
人間の腸内には膨大な数の細菌が生息しています。その中でも、働き方によって「善玉菌」と「悪玉菌」に分けられます。健康に役立つ働きをしてくれるのが、腸内ビフィズス菌や乳酸菌、腸球菌などの善玉菌です。それに対して健康に悪影響を与えてしまうのが、大腸菌やブドウ球菌、ウェルシュ菌といった「悪玉菌」です。
不規則な生活スタイルや加齢によって増加
悪玉菌が増えることによって発生する有害物質が血液を通して全身に運ばれると、様々なトラブルの原因となります。また、腸内の腐敗が進んで動きも鈍くなるので、便秘にもつながってきます。悪玉菌は、不規則な食生活やストレスなどで体調を崩すと増加してしまう可能性があります。加齢とともに善玉菌が減ってきて、それに伴い悪玉菌が増加する傾向もあるので年齢を重ねるほどに注意が必要です。
悪玉菌を増やしてしまう食品に注意!
悪玉菌を減らす方法は、食事やサプリメントなどで善玉菌を摂取することです。また、普段の食事の中に悪玉菌を増加させる食材が含まれている可能性があるので気をつけるようにしましょう。悪玉菌を増やしてしまう食品には以下のようなものがあります。
肉類
悪玉菌は肉が大好物です。完全に胃で消化されなかった肉類は、腸で腐敗が進み、悪玉菌の格好のエサになってしまいます。外食やインスタント食品、コンビニエンスストアのお弁当などが増えると、どうしても肉の摂取量も増えてしまう可能性があります。外食する際には野菜中心のメニューを進んで食べたり、肉を食べる場合は少しでも消化しやすいように、しかり噛んで食べるなどの工夫をしましょう。
動物性タンパク質や動物性脂肪を含む食品
悪玉菌は、胃で完全に消化されずに残った動物性タンパク質や動物性脂肪などを分解するという役割を持っています。つまり、消化されにくい動物性タンパク質や動物性脂肪動をたくさん摂取してしまうと、体は悪玉菌が必要と判断してその数が増えてしまうのです。動物性タンパク質はもともと消化されにくいという性質があります。動物性タンパク質や動物性脂肪の多い食品には、ラード、バター、ロース肉、チーズ、卵などがあります。また油で揚げたスナック菓子などにも、たくさん含まれていることがありますので気をつけましょう。
食物繊維の少ない食品
腸内環境を善玉菌にとって増殖しやすい状態へと導いてくれるのが食物繊維です。食物繊維の不足している食品ばかり食べていると、善玉菌が増えずに、代わりに悪玉菌が増加してしまいます。食物繊維の少ない食品は、白米、肉類、魚類、パン、麺など、砂糖類、アルコール類などです。食物繊維は水分を含んで便のかさを増やしてくれる作用もあるので、便秘には大変効果が期待できる栄養成分です。便秘を回避するためには、積極的に摂取しましょう。
●セロトニンを増やす腸内細菌・・・
腸の腸内細菌が殆どのセロトニンを製造しているのです。つまり腸内細菌の働きが欠かせません。
セロトニンには必須アミノ酸のトリプトファンが不可欠ですが、トリプトファンを食品から取り入れても、セロトニンの前駆物質を作るには、この前駆物質を作り出す酵素の働きが必要となります。
さらにその酵素は腸内細菌によって作られるのです。
つまりビフィズス菌など善玉菌とされる腸内細菌の十分な量が確保されていないと、セロトニンは作られないことになるのです。
糞便の半分量は腸内細菌とその死骸ですから、糞便量でおおよその腸内細菌の様子を知る事が出来るようです。現代の日本人は糞便量が一日に150g程度で、昔の半分以下なのだそうです。また食物繊維の摂取量も減少し平均12g程度で、これも同様に半分以下なのです。
これらの事実からも現代日本人の腸内細菌の数は減少傾向にあります。その原因は食材選びや食習慣、運動の習慣にあります。
植物性食品を減らし、動物性食品を多量に摂り始めてからの変化であり、腸内細菌数の減少と共に糞便量も減少し、心臓病や糖尿病など生活習慣病の増加が顕在化したのです。
また食物繊維の摂食量の減少と共に、アレルギー疾患や喘息患者が増加し、さらにうつ病などの精神疾患が増えてきました。
●幸せ物質で腸安心・・・
腸内細菌が増加し充実すれば、セロトニンの前駆物質が産生され、幸せ物質が脳に送られる事になるのです。
乳酸菌が腸に有益であることは様々な研究から確認されていますが、豚に乳酸菌のエサを与えた実験の結果が報告されています。
豚は人間に近い腸内細菌叢を形成するのだそうですが、豚に乳酸菌を投与し続けると病気がちの豚は健康になり、肉質の変化もさることながら、とても穏やかな気性の豚に変化するのだそうです。
通常脳には血液脳関門なる関所があり、ここから先は脳に必要なもの以外異物の進入は出来ません。しかし腸内細菌が作ったセロトニンの前駆物質はこの関所を通過し、セロトニンとして働いてくれます。
セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンが必要ですが、合成には葉酸やビタミンB6など複合ビタミンB群が必要で、これらを腸内細菌が作ります。
結局ビフィズス菌などの善玉菌と、日和見菌を味方に付ける腸内環境が整うことで、幸せ物質が作られるのですが、そこには食材選びと食養生が欠かせないわけです。
腸に良い食養生こそ、脳に良い養生法となるのです。
●腸内細菌がビタミンを合成・・・
人間の進化は“腸”にあるらしい・・・。
生物の進化から見ると、どうやら神経系が誕生したのは腸が先らしいのです。
脳でなく腸が神経系の魁で、脳を持たない生物が生息してその原型が腔腸動物なのだそうです。
難しいことは専門書に譲るとして、腸が脳より先に神経系の機能を有していたらしく、その機能が現代人にも腸内細菌の産生物が脳に働いていると考えられているのです。
2009年には、腸内細菌がストレス時にコルチコステロンと言うホルモンの分泌を抑えて、脳のストレスを減少している事が解明されました。
ストレスが過剰になると、腸内細菌が減少し、ビタミンの合成が減少します。
現代人は、ビタミン剤をサプリメントで補給する傾向にありますが、まず腸内環境を整えるために、乳酸菌の加工食品を摂り入れるプロバイオジェニックスや、オリゴ糖や食物繊維を摂り入れるプレバイオテックスが必要なのです。
この食習慣を取り戻す事が、結果的にビタミンを合成し脳の神経伝達物質を補給する事に役立つのです。
●腸と心の深い関係・・・
ストレスが加わると腸内細菌の数が減ります。
この事実は、ココロのダメージと腸は関連していることを物語っています。
緊張が高まることで日和見菌の立場は悪玉菌の働きに同調し、身体的ダメージとして症状が現れますが、ストレスの原因が改善されると、たちまち症状は回復するのです。
時には緊張性下痢として発症するのですが、ストレスで産生した酵素が大腸菌を増殖させて下痢を誘発させたり、腸内細菌のバランスが崩れて同時に免疫防御機能を低下させる事になります。
慢性的なストレス過多状態が続くと、心を司る脳の扁桃体や側坐核に影響を与え、心の病にまで発展することにもなりかねません。
脳と腸とは脊髄と自律神経を通じて、腸管粘膜に存在する神経細胞につながっています。ストレスは脳の神経細胞にダメージを与えると同時に、腸管細胞壁の神経叢に反応するのです。そして何とその神経細胞の数は腸が最も多いのだそうです。
腸はココロの変化にもつながる臓器といえるのです。
●腸を元気にすれば、脳も元気になる・・・
腸を元気にするコツは腸内のビフィズス菌を増やすことですが、その方法は一つに限ったものではありません。
セロトニンとドーパミンを増やすには、植物性食品や発酵食品を中心としたバランスの良い食事をとることや適度の運動、プロバイテックスやプレバイオテックスなどで腸内細菌が増える工夫を摂り入れることが欠かせません。
善玉の腸内細菌が増えると、これらの細菌から酵素群が産生され、神経伝達物質が合成される事になります。この科学的な根拠を見ても腸内細菌の重要性がうかがい知る事が出来ます。
つまり人間は、腸内細菌と共生しなければならない宿命にある・・・と言っても過言ではないのです。微生物の進化の歴史は人間のそれとは比較にならず、ヒトは微生物の前にひざまずかねばならない低位の存在なのです。