『RAISE THE FLAG』でのØMI君のさりげない仕草や岩ちゃんソロの振り付けには…… | Your Smile️‍

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EXILEからLDHにハマリ
今は三代目がメインですが
LDH全般が好きです。

かなりミーハーで(笑)
自己満なブログですが
どうぞよろしくお願いします♪


イケメンをこよなく愛する岩ちゃん、臣くんが大好きな加賀屋さんが


記事を書いて下さってますよ チュー



三代目 J SOUL BROTHERSに宿るブラックネス ルーツへの敬愛がステージにもたらす独自性


三代目 J SOUL BROTHERS(以下、三代目JSB)のサウンド面を語るとき、ひとつ大きな謎がある。“お箸の国のR&B”を標榜し、ひときわマチュアな雰囲気漂うメロウネスを体現してきた日本R&B界の立役者・松尾潔がデビューシングル曲「Best Friend’s Girl」(作詞)を手がけて以来、同じ布陣の「旅立つまえに」や森大輔の筆による「君となら」を除いて、彼らはJ(ジャパニーズ)なソウルナンバーをほとんどリリースしていないということ。国民的な大ヒットとなった代表曲「R.Y.U.S.E.I.」で志向するEDMトレンドが、三代目JSBサウンドの基調になったからだと言えば、一応説明がつくように思われる。でも僕は単なるEDM路線が理由だったとは考えていない

“三代目”として継承することの重みと責任

 2021年のドームツアー『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2021 “THIS IS JSB”』千秋楽で、松尾が日本語詞を手がけたカバー「Last Christmas」(Wham!)が1日遅れのクリスマスナンバーとして歌われたとき、今市隆二とØMIのツインボーカルが、EXILEのオリジナルカバーよりもむしろR&Bマナーを遵守するような歌い込み方ではなかったか。あるいはFANTASTICSがLDHのブラックネスを象徴し、EXILE TRIBE全体にとってのアンセムである「Choo Choo TRAIN」を2022年仕様でカバーしたが、考えてみると屋台骨である三代目JSBが同曲をカバーしていないことがあまりにも意外に思えてくる。

 ちょっとやそっとの覚悟では歌えない。ある種アンタッチャブルな領域のナンバーをカバーすることを辞退したのではないかと想像してしまう。それくらいJ SOUL精神を三代目JSBとして継承することの重みと責任があることは確かだ。そしてそれはどこか、『明治侠客伝 三代目襲名』(1965年)の鶴田浩二が、金看板だけを背負って文字通りの“三代目”を襲名した気概にも似ている気がする。

潜在的な“隠れ”ブラックミュージック路線

 三代目という響きには重みがある。リーダー 小林直己の武士道的な佇まいが象徴している義理堅さと慎ましさもある。そのため彼らはブラックミュージックへの敬愛を表明しつつ、むしろそれを抑制し、ひた隠しにすることで、潜在的な“隠れ”ブラックミュージック路線を保とうとしたのではないだろうか。するとどうだろう、2023年のアリーナツアー『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2023 “STARS” 〜Land of Promise〜』では、セットリストに「君となら」をしのばせてきた。デビューから丸13年を経た彼らが歌い上げるフレーズの一つひとつが、誠実かつ繊細極まりない。ライブ全体の箸休め的なバラードの配置として目配せが過ぎはしないだろうか?

2019年のドームツアー『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2019 “RAISE THE FLAG”』でも同曲はセットリストに組み込まれ、「Eeny, meeny, miny, moe!」→「RILY」(今市隆二ソロ)→「君となら」へと神セトリでつないだ。サビ途中、ØMIがカメラに向かって手をくるくるっと回転させるさりげなさ。つややかなジェスチャーはジェントリーなØMIらしい仕草だったが、昨年末ある黒人グループの来日公演を観たとき、僕は咄嗟にそんなØMIのことを思い出した。意外や意外、フィラデルフィアソウルを代表するThe Stylisticsだ。4人組のコーラスグループである彼らは特に目立つ振り付けがあるわけではなく、トラックの拍にピタリと合わせたフィンガースナップやわずかな指の動き、肩の揺れなどを動きのパターンとする。その指の動きとØMIの仕草が符号するのは音楽的な偶然の好例。細部にこそ神は宿るのだとすると、三代目JSBの隠れブラックミュージック路線は、実はこうした些細なポイントによって観測されるんだと僕は思う。


2021年にソロデビューを果たした岩田剛典にも仕草のつながりを指摘できる。2022年の初ライブツアー『Takanori Iwata LIVE TOUR 2022 “THE CHOCOLATE BOX”』にて、「Keep It Up」のコーラスで、岩田が左肘を右手拳で打った。客席への愛を伝える振り付けのひとつだが、あの打ち方と拍の取り方は、もしやB.B.キングではないか。B.B.が曲途中でサイドギターをやめ、左手の平を右手拳ひとつで打つだけで音楽を完成させてしまう。ブラックネスの最高峰だ。実際、岩田のソロナンバーはよくアシッドジャズ的といわれることが多く、ブラックミュージック的な洗練が認められる。UKソウル好きの僕には、岩田のソロ曲のビート感は、ニュージャックスウィングに対する抑制が効いたグランドビートにも聴こえる。そもそもダンサーである岩田はれっきとしたBボーイ。ストリートなブラックネスが潜在的に刷り込まれているのだろう。路上の黒人ダンサーとダンスバトルを繰り広げた山下健二郎のYouTubeチャンネル『YAMASHITA BASE』での「(神回)ベガスでストリートダンサーとダンスバトル!」や、ヒップホップ志向のNAOTOやCrazyBoy(ELLY)が持つストリート感覚も同様だ。



すべての音楽ジャンルをインテグレートする豊かさ

 なるほど、そうか。現行の三代目JSBは、メンバーのソロ活動で(意識的、無意識的問わず)各々がブラックネスを志向し、深化させようと努めているのかもしれない。7人の中で最大のR&Bラバー、今市隆二はどうだろう。三代目JSBの楽曲は、ØMIに先んじて今市の歌い出しとなることが多い。時折これは今市のソロナンバーなのではないかと錯覚することがある。「旅立つまえに」なんて特にそう。敬愛するブライアン・マックナイトからの教示など、ブラックミュージックへの愛好が偏愛へと深化する中で、今市は2018年にソロ活動を開始した。

タイムリーな話題だと、ブルーノ・マーズからの影響も明らかだ。東京ドームで行われた先日の来日公演を観て、なるほど今市のソロプロジェクトは、ほぼ同年代のブルーノを相当意識してるんだなと。ブルーノのファンクグルーヴやマイケル・ジャクソン的な振る舞い、公演終盤カラオケゲームと称して弾き語りを披露したその佇まいは、Nord Stage 2の前に座る今市を読み解くきっかけになる。でも僕個人の感覚では、アンダーソン・パークとのデュオ Silk Sonicとしてではないブルーノ単体より俄然、今市のソロステージの方がずっと伸びやかでメロウに聴こえる。


深い敬愛はときに最大の恵みをもたらす。今や今市隆二のオリジナリティはひとつのジャンルとして確立されているといえるだろう。これを辿れば(例えばミシシッピなどの)源流までひとっ飛び? ルーツミュージック的なうねりが三代目JSBのライブへ持ち込まれたとき、単なる模倣ではない三代目JSB発信の豊かさが広がる。ライブ開演直前のワクワク感を思い起こしてみるといい。それは、夜明け前の淡い時間。あるいは、ローランド・カークによるエキセントリックなバカラックカバーや、カーラ・ブレイのアレンジ力が炸裂するうねりなど、直後に音楽がパッと華やぐマジカルな煌めきに至るまでのチャージタイム。極めてジャズ的な開演前。そこから開演後、圧巻のライブ演出には、リッカルド・ムーティがヴェルディのオペラ序曲でタクトを振るときの雄大さを引き合いに出してもいい。ポップスではなく、ジャズやクラシック音楽を三代目JSBに見出すと戸惑われるかもしれない。でもそれだけさまざまな音楽的感性が隠れている。三代目JSBとは、すべての音楽ジャンルをインテグレートする豊かさのことなのだ。