世界/ジャ・ジャンクー






天敵ジャ・ジャンクーの『世界』をやっと鑑賞。

ジャ・ジャンクーの映画は『長江哀歌』もそうだけれどどうも好きになれない。
唐突にカット・インするアニメーションや
助長な間など好きな人には好印象を与えるが退屈に感じてしまう。

ラストシーンへのエピローグも
虚像のように儚すぎて感情移入できなかった。
(『長江哀歌もそうだった』)

相性の問題もある、と思う。
とはいえ、主人公とロシア人ダンサーとの
交流のシーンは美しく感動的だ。
言葉が通じなくても意思が通じ合う。
そのシーンは言語のコミュニケーションを超えたところから雄弁に私達に語りかけてくる。

ていうかシネスコだから映画館で観ないと正当には評価できないな。


これで、今月5本か。
7月は0だったし厳しいぜ。

LE VOYAGE DU BALLON ROUGE/ホウ・シャオシェン






アルベール・ラモリス監督の『赤い風船』のリメイク。

不勉強で『赤い風船』を観ていないので語る資格はないのだが

ホウ・シャオシェンファンとして2、3の事を。

カットやシーンの強度、人物・風景の呼吸やパースペクティヴは素晴らしい。

『珈琲時光』でもそうだったが

自らが住んでいない街をこんな風に活々と撮れるのは

ホウ監督以外いないだろう。

だが『珈琲時光』と違って

今回はオマージュがくど過ぎる気がする。

登場人物に『赤い風船』の映画を語らせたり、

主人公がリメイクを撮っているというのは

構造としては非常に面白いが

そうなると偶にふと画面を横切る風船の神秘性が損なわれてしまう。

できれば『珈琲時光』の

陽子が都電で懐中時計を眺めるシーン
(言うまでもなく『東京物語』へのオマージュ)

のような控え目で美しいシーンが観たかった。


あ、レッドバルーンは近々渋谷でやるので観ます。

あしからず。

藍色夏恋/イー・ツーイェン






台湾シネマ・コレクション前哨戦。
いやあ、これが驚くほどよかった。
自転車で台湾の街を駆け抜けるシーンの瑞々しさ、
階段を降りる部屋の構図とそれに連なる体育館のシーン、
そして貼られたラブレターを足で剥がすシーンは
まるで『はなればなれ』!
ステップもシーンも何度も反復される。
反復は退屈さに繋がるけれど、それが夏休み。

歩いても 歩いても/是枝裕和






小津、だよね。
確かに他の映画監督が撮る『小津っぽいもの』よりも
格段に良く出来ている。
特に樹木希林が喋りながら料理を作っているシーンはどれも素晴らしい。
だが、ところどころ挿入される
是枝監督のエッセンスにやはり違和感を感じる。
(子供達が花の匂いを嗅ぐ、黄色い蝶etc...)
そして、気が付いた。
是枝監督の映画的エッセンスは非常にジブリ映画に近いのだ。

(『誰も知らない』と『蛍の墓』の共通点)
幻想的と言えば聞こえはよいかもしれないが、
やはりそれは何処か現実感を欠いた風景のように映ってしまい

そのせいで全体のシーンがぶれている。
ただ、これはこれでいいような気もするが・・・・・・

みんなジブリ好きだし。
好みの問題か。




これでやっと30本。

8月半ばでこのスコアはちょっと苦しい・・・・・・

台湾映画祭がなかなかよさそうだったのでそこで稼ぐか。

イースタン・プロミス/デヴィッド・クローネンバーグ






クローネンバーグの新作。
ストーリー的には『ヒストリー・オブ・バイオレンス』に近い。
ていうかディパーテッド。
クローネンバーグのエグさはそのままに超ハリウッド的な映画。
うーん、こんないい映画監督だったっけか。
ノートやタトゥーという視覚的なものが
言語よりも説得力があるというのは面白い。
映画の本質だ。