「マイ・ディア・ミスター」の主人公イ・ジアンの魅力! | ブルーアイランド

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ここ近年、邦画より韓国のドラマ・映画をNetflixやAmazonPrimeで観る機会が多いのですが、近頃観た「マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~」の主人公イ・ジアンを演じるイ・ジウンの演技と佇まいに独特の暗さの魅力を感じてしまう。

 

個人的には、どこか暗さや影のある役柄に惹かれるのであるが、イ・ジウンの着こなしや表情や言葉にやたらメランコリックな孤独な雰囲気が漂っているとこにリアリティを感じてしまう。

 

韓国ドラマといえば、サスペンスや時代劇を今まで観ていたが、「マイ・ディア・ミスター」は、久しぶりに琴線にふれるドラマであり、今の韓国の世相を反映したストーリーでシリアスに物語が進みながら最終話に近くなるとドライ&ウエットな面が人間関係の中で描かれたドラマである。

 

現代はカラフルで明るい「ハレ」の部分が強調される社会であるが、それとは裏腹に「ケ」の部分を持ち合わせた内向的で人との関係を断って孤独に生きる現代人を題材にした作品であるとこに、共感できる作品である。

 

孤独な中に借金を背負い、体の不自由な祖母を背負い、殺人者といった3重にも4重にも生き辛さを背負いながら日々生きる主人公イ・ジアンの姿に同情ではなく共感させられる。

 

ドライに自分の人生を受け入れて背負っているとこに女優イ・ジウンのナチュラルな演技による孤独なリアリティを感じるし、彼女にとって新たな役柄との出会いによって自分の未知の無意識な部分を体現したことで、私にとってイ・ジウンがいつまでもこの作品の役柄イ・ジアンによって記憶されることになる。

 

最終話に近づくことで、人との出会いによって内向的な孤独な面が徐々に溶解していき、人と心が打ち解けていくという流れの中で、現代人の持ち合わせている孤独感を描いた作品でもあり、イ・ジウンが孤独感を表情や言葉で体現しているとこに惹かれてしまったドラマであった。

 

特に最終話においてウエットな面が強調されるが、只の情緒的ということではなくドライな中から生まれたウエットであるが故にどちらかに偏らず心地よい距離感の中にバランスよく描かれた素晴らしい結末に出会えることになる。

 

写真家として、メランコリックで孤独な表情を持った個性的な主人公イ・ジアンを演じる女優イ・ジウンの演技力と役柄の孤独感が漂っているシチュエーションにインスパイアされ被写体として撮ってみたいと思わせてくれる。

 

是枝裕和監督最新作『べイビー・ブローカー』にもイ・ジウンは出演しているけど、是枝氏が彼女を選んだのも「マイ・ディア・ミスター」の演技を観て決めたということである。