じゃあブレーキランプが4回しか点滅しなかったら? | 君を殺しても

君を殺しても

THE NOSTRADAMNZ Lucci

こんばんは、ルッです。


↑Netflixオリジナルで製作中のアニメ、「Nostradamnz -the beginning-」とかっぽい画像です。


さておき、4枚目のアルバムの全貌が発表されましたね。



リリックビデオも公開と相成りました。



ぼくは手前味噌ながらめちゃくちゃヘビロテしてます。歌詞を覚えるとかじゃなくて好きで聴いてます。

勉強のために他の方の音楽も聴かなければ!と思いつつ、ついつい聴いてしまいますね。


以前セカンドアルバムを出したとき、セカンドアルバム特集をやりました。

文中でも触れてるけど、4枚目ってそのバンドのひとつの到達点的なアルバムになることが多いなと思ってたりするので、4枚目特集をやってみたいと思います。


紹介というのはおこがましいほどの名盤ばかりですが、これまた思いついた順にまいります。



L'Arc〜en〜Cielの、DUNEから数えて4枚目、Trueでございます。

何を隠そう、この一枚こそぼくが初めて自分のおこづかいで買ったCDです。

小学校を卒業してから中学の入学式までの春休みに毎日毎日飽きもせずずーっとリピート再生しておりました。

いわゆる白系のバイブルとしてのDUNE、そこにメジャーシーンへと切り込むポップさと骨太さが加わったTierra、さらにヴィジュアル系のどことなくヤンキッシュだったりオタキッシュだったりといった微妙に垢抜けない雰囲気からスルッと抜け出したお洒落さのあるheavenly、からの、ラルクの今に繋がるパブリックイメージの割と中心に近い部分の原点がTrueにはあると思います。

まずバラードで始まるという意外性からの、ハウスあり、ハードでストレートなロックあり、全英詞曲あり、そしてチャートを賑わせたヒットソングありと、ラルクがラルクにしかできない振り幅を明確にもったことがわかるアルバムだと思います。

ラルクきっかけで音楽をやるようになった人ってとんでもない数いると思うのですが、LUNA SEAとは対照的に、音楽的なフォロワーって少ないと思うんです。

hydeさんぽい歌い方の人とか、kenさんやtetsuyaさんぽい弾き方の人とかはめちゃくちゃいるんですけど、True以降のラルクっぽい音楽性のバンドってあまり思いつかないですよね。

何故なら彼らの音楽的なアイデンティティーって音楽性そのものではなく、「とんでもない振り幅の広さなのに全部ラルクだとわかる楽曲になる」というところだと思います。真似できるはずがない。

これっておそらく世界的に見ても稀有な例で、たぶんビートルズとかU2とかの領域にいるんだと思います。


ちなみに、「A Whore New World」の曲順を決めるにあたっては、歌詞の内容からの流れも意識しつつ、このTrueの構成を自分なりに分析して参考にしました。興味をもっていただけるならそんなところも比較してもらえるとうれぴよです。



ぼくがラルクから入ってエックスにたどり着いたのは有名な話ですが、X JAPANの解散前最後のアルバムがDAHLIAです。

前回紹介したBLUE BLOODとは未だに甲乙付け難いのですが、まあ単純比較できないくらい全く違う地平にある2枚だからだ無理もないと思います。

いわゆる80年末のバンドブームにあって、バンドサウンド!!!!という感じをこれでもかこれでもかとギュウギュウに濃縮しまくったBLUE BLOODとは違い、打ち込みやオーケストラ、エフェクトボイス、ポエトリーリーディングまでが大々的に取り入れられていて、white poem Iなんかは後々のviolet ukに繋がる雰囲気をめちゃくちゃ感じます。

かといってYOSHIKIさんのパーソナルな音楽性だけで成立しているわけではなく、タイトル曲のDAHLIAやRusty nailが普通のメロディックメタルに聴こえないのはhideさんのギターに依るところが大きいし、「SCARS」がこのアルバムに入ってるのも構成要素としてめちゃくちゃデカい。

そしてHEATHさんが中心となったWRIGGLE、後にzilchでセルフカバーされるDRAINと、いうて90年代半ばの日本のバンドと考えるとかなり先進的なトラックばかり。

さらには、並のバンドならアルバムに一曲入ってたら大当たりレベルのバラードが4曲も入っているという。どうなってんだってハナシ。

まさに既存のジャンルの枠をブチ破りながらも、老若男女に刺さる「歌」の力も持っているという、日本発世界基準のアルバムだと思います。


そんなラルクやエックスから、ロックを勉強しよう!と思ってギター屋さんに入り浸り、「ロックが好きならこれを聴け!でなけりゃ話にならん!」とうるさがたのおじさんに借りて聴いたのが大英帝国の立派な4人組ことLed Zeppelinでした。

最初に聴いたのは1stだったんですが、最初は全然ピンときませんでした。後のハードロック/ヘヴィメタルの礎的な作品だと聞いていたのに、ハードさもヘヴィさもわからなかった。

でも、何故か気になってずーっと聴いてたら、あれ?ひょっとしてかっこいいのかこれ??となり、仕方がないので厚木市立図書館で借りてきたのが、このタイトルもバンド名もジャケに書いてない4枚目でした。

ちなみに、母方の叔父がハードロック好きで70〜80年代のロックのアナログレコードを色々持っていて、貰ってきたレコードの中に2ndが入ってたんだけど、それも全然ピンときませんでした。

でも4枚目はやたら好きでしたね。

Misty mountain hopという曲が非常にクセになります。

2曲目のRock and rollという曲もとてもスリリングで、当時は、思い描いたままの古いロックンロールだ!と思いました。

何より名曲「天国への階段」の終盤の盛り上がりのところで、ラルクのHEAVEN'S DRIVEの元ネタフレーズを発見したときは、うおー!そういうことだったのか!!とめちゃくちゃテンションが上がりましたね。

THE NOSTRADAMNZのリスナーの方々にも、なんかそういう経験を提供できたらいいなと思っているので、新作にもパロディーや引用を色々いれてます。おたのしみに。


ちなみにボツになったジャケ案でこんなのがありました。


シェハーンの末裔がツェッペリンのジャケにいる、みたいな。


つづきまして、



hydeさんやXのメンバーが多大に影響を受けたと語るGASTUNKも、ぼくの頃は中々作品が手に入らない状態だったんですが、たしか町田のディスクユニオンで発見して即買いしたのがこちら「MOTHER」のアナログレコードでした。

正確には4thアルバムというか3rdにあたるはずなんですが、2ndのUS盤が出てるのでリリース順が4枚目ということで何卒。

これは直にブッ刺さりましたね。スピーディーでメロディアスでダークでパンキッシュでメタリックでって、要素だけでそもそも嫌いなわけがないという。

ぼくが初めて針を落とした時点で、発売から十数年経ってたわけですが、自分の年齢のせいかもわからないけれど、2020年代から見た2000年代後半より、2000年代から見た80年代後半のほうが遥かに距離というか断絶を感じます。

ぼくは当時、断絶の向こうにある80年代にそうした憧憬を抱いていたというか、なんか「伝説の〇〇」みたいな雰囲気がとても好きでした。(まあ、ぼくのような層向けに、当時の大人たちがそういう演出をマーケティング的にしていたのだと思うけれど。)

それでいてGASTUNKはそうした断絶の向こうの雰囲気を持っていながら、楽曲もサウンドもそうした断絶フィルターを突き破って刺さりました。

特に4曲目のNecrophobiaは、少年のぼくが思い描いたまさにのかっこよさがあって、もう心をぶち抜かれました。

あと6曲目のMOON CHILDも、なんども口ずさみたくなる超名曲です。



そんな断絶と憧憬の更に向こう側に居たのが、ぼくの直接のヒーローになった方々が口を揃えて影響を語るKISSでした。

KISSで初めて聴いたのは、これまた厚木市立図書館で借りたライブ盤の「ALIVEⅡ」だったんですが、その冒頭で少年ルシファーの心をぶち抜いた曲の、スタジオ録音版がこちらのアルバムに収録されています。

70年代のハードロックを聴こうとしてレッドツェッペリンやブラックサバスで挫折したあなたでも、このアルバムは楽しい気分になれると思います。前3作よりサウンド的にも明らかに洗練されているし、楽曲も彼らのレパートリーを代表するキラーチューンが多数入っています。

キッス、クイーン、エアロスミスが御三家と呼ばれていた時代があったそうですが、ぼくはダントツでKISSが好きです。

ロックの楽しいところを全部詰め込んだバンドだと思います。

あとルックスのイメージと楽曲とのギャップがぼくにはとても刺さりました。痛快なパーティーチューン、ヘヴィなロックナンバー、そして珠玉のバラードまで、あますところなくキッスの良いところが詰まったアルバムです。

そうした要素だけを切り取って並べてみると、エックスってやっぱりキッスからの影響デカいんだなと思うし、我々ノストラダムスもその影響下に間違いなくいるよなと思います。



そんなKISSのお友達とかだろうと思って間違えて買ったのがMISFITSの「EVILIVE」だったのですが、少しあとになって、この再結成後のミスフィッツを聴くことになります。

もうとにかく大好きで何回も聴いたし、バンドでもコピーしたし、めちゃくちゃ血肉になっている一枚です。

未発表だった初期の「STATIC AGE」を1stとして数えるとこれは5枚目になってしまうんですが、一応当時は4枚目扱いでした。

とはいえ、これの前に出た「American psycho」とは2枚で1枚的な感覚をぼくはもっているというか、同じメンバーによる同系統の路線なので両方チェックしてほしいです。

再結成前のアンダーグラウンドでハードコアな、ちょっと近寄り難い雰囲気とはまた少し印象が違い、だいぶわかりやすくとっつきやすい感じにはなってると思います。

いずれにせよ、メタリックな音像で掻き鳴らすギター、負けじと歪んだベース、ヘヴィかつ疾走するドラム、そして胸を打つメロディー、それでいて残虐でホラーな歌詞と、今に至るまでのぼくの好き要素が大体揃ってます。

再結成前のグレンダンジグさんの歌もめっちゃ好きですが、後任のマイケルグレイヴスさんの高らかに歌いあげる感じも同じくらい好きですね。

The Nostradamnzにも要素はそのまま反映されまくってますが、ぼくらの「何もいえない」はミスフィッツの「Saturday night」をめちゃくちゃ意識して作ったので是非聴き比べてみてください。



とはいえ影響でいうと、ぼく個人への直接的な影響が最も大きいバンドはバルザックだと思います。

すげえコピーしてたし、曲を作る時のコード進行とか"この音の次はこっちに行きたくなる"みたいな手クセはバルザックが下地にあると思います。

たぶん同世代では珍しく、ぼくはミスフィッツを先に聴いてて、一般的にもバルザックってミスフィッツの影響がデカいバンドとして認知されてたし実際そうなんですが、ミスフィッツとは全く違った良さも多々あります。

ホラーのイメージとポップなコーラスのパンクロック/ハードコアというところでは確実にスタイルは継承されているのだけど、下敷きにフィフティーズのロックンロールを感じるアメリカ人バンドのミスフィッツとはまた違う、日本ならではの歌メロだと感じるし、アングラやメジャーを問わない日本のパンク/ロックの文脈の中にいるバンドだと思います。

更にやっぱりHIROSUKEさんの声が唯一無二。ミスフィッツは何度かボーカリストが変わってても全部ミスフィッツだけど、バルザックはHIROSUKEさんの声じゃないとバルザックにならない。

4枚目の「全能ナル無数ノ眼ハ死ヲ指サス」は、特に元々あったデジタルハードコア的な要素がぐっと芯に入り込んできている感じがします。

そしてこのアルバムにはinto the light of 13 dark nightという曲が入っていて、これはいつだか骨折した状態でライブを観に行ったとき、大人しくしてよ〜と思ってたのに始まった瞬間テンション振り切ってしまって暴れざるを得なくなったオモイデがございます。

丸尾末広さんのアートワークもめちゃくちゃ好きです。アナログ盤も買ったくらい。



そんな日本のパンクの文脈の中で、ホコ天出身のアイドルバンドとして見られていたBAKUは、あまり影響を語るミュージシャンを見かけないのですが、ぼくはめちゃくちゃ影響うけてます。

ラルクよりずっとずっと前、物心がついてすぐくらいの頃に、BAKUの「ON AND ON」が家族の車の中でかかってて、子供の頃のぼくはよく1人で遊びながら「おーれーのー♪」とデタラメな歌詞で歌っていたのを覚えています。

この幼少体験が無かったら、おそらくぼくが今もポップパンクの曲を作って歌っているということはなかったんじゃないかと思います。

そんな、ぼくにとっては最初の体験だったこの曲が、彼らにとっては最後の曲だったんだと知ったのはずっとあとになってからでした。



このあと、ボーカルの谷口さんはソロの歌手やメロディックパンクバンドSHURIKENのメンバーとして活躍されました。ギターの車谷さんはspiral life、そしてAirで活躍され、特に後のミクスチャーシーンへ音楽的に多大な影響を及ぼしました。




この4枚目のアルバムは、代表曲「ぞうきん」が収録されていて、少年の素朴な眼差しから紡がれる底抜けに明るいビートパンクという、まさしくBAKUのパブリックイメージを象徴する楽曲と共に、前3作には無かったような深みやアーティスト性も感じられ、中にはプログレッシブでテクニカルな印象すら受けるフレーズも入ってきており、後の彼らの片鱗が見え始めている感じが非常にいいです。

クライマックスの「生きる」がそのあたりを象徴しているというか、少年が青年になるにあたっての葛藤をひしひしと感じます。

で、間髪入れずに5枚目の「DAY AFTER」が出るのですが、打って変わってアイドル感が無くなり、ロックバンドとしての風格が前面に出てきます。葛藤そのものの渦中から、怒りすら感じるというか。


今、BAKUの作品はサブスクにも乗っかってるので、バンドブームという現象の中で少年たちがもがきながら大人に変わっていく様を是非追ってみてほしいのと、きっとぼくの曲が好きな方には刺さるバンドだと思います。




そんなBAKUに居た車谷さんからの影響を公言していたkjさん率いるドラゴンアッシュの4枚目もまた名盤です。

90年代にメタル/ハードコアとオルタナ、そしてヒップホップの流れが合流し、いつしか「ミクスチャー」と呼ばれて2000年代に爆発的に流行しました。

日本ではRIZEや山嵐が草分け的存在ですが、その中でもセールス面で最も成功したのはDragon Ashでした。

ぼくはもうド直撃世代ですが、このアルバムを素直に聴けるようになったのは割と大人になったあとでした。

というのも、当時日本のロックシーンではLUNA SEAやGLAY、そしてラルクがヒットチャートを賑わしていたわけですが、RIZEの「Why I'm me」とDragon Ashの「let your self〜」「Deep impact」そして「Grateful days」がドーン!ドドド!といった感じで立て続けに風穴を開けてったように見えました。

空いた風穴に、そのあとORANGE RANGEやラップ/ヒップホップ勢がこれまたドドドーと押し寄せてきて、入れ替わるようにV系出身のバンドはあまり目立たなくなっていった、というのがリアルタイムの印象でした。

まさしく歴史の転換期というか、hideさんが亡くなってDragon Ashが台頭し、しまいにキングギドラが「公開処刑」を発表したあの数年でシーンはガラッと変わったと思います。しかも何度か。

ぼくはどうしても、流行りモノに飛びつくような振る舞いが素直にできず、リアルタイムで真正面から楽しむことが出来なかったことを若干後悔してたりもします。そのぶん古いものやアンダーグラウンドなものに触れられもしたので、それでよかったとも思うけれど。

そんな中でもこの4枚目に収録されている「百合の咲く場所で」はカラオケで誰かしらが歌えばサビで盛り上がるアンセムソングでしたね。

音楽の授業の発表で友達とコピーしたのも良き思い出で、ぼくも今だにカラオケいくと高頻度で歌うくらい好きな曲です。



そんな、世界を席巻したミクスチャーロックは、ニューメタルやモダンヘヴィとも呼ばれていたわけですが、その草分け的存在がコーンでした。

いわゆるミクスチャーというとDragon Ashやリンプビズキットのように、ラウドロックにラップが乗るスタイルを想起するのですが、コーンはラップが乗る曲はあんまり無くて、メタルの音像にヒップホップ的なグルーヴ感を取り入れた、、という説明が一般的です。

しかしぼくはコーンの魅力は弦ダルンダルンのダウンチューニングとパーカッシブなベース、そしてジョナサンの歌だと思います。ここが、5枚目以降はちょっとバランスが変わってきてしまって個人的にはあまり好きではなく、でもバンドとしてすごくまとまっている3-4枚目の時期のコーンをいちばんよく聴いてました。

とくにこの4枚目は案外メロディアスで聴きやすいですし、いまこそ近年のDIR EN GREYとかが好きな若い方にも是非手にとっていただきたい。

今回久しぶりに聴いたら1曲目がめちゃくちゃThe Nostradamnzの入場SEぽくて、やっぱり影響って怖いなと思いました。



それこそお茶の間でDir en greyが大暴れしていた頃と時を同じくして、遠く離れたアメリカで日本のV系と限りなく近いルーツから収斂進化した像のひとつがマリリンマンソンさん率いるマリリンマンソンだと思います。

個人的な出会いは、ぼくの旧約聖書である「L'Arc〜en〜Ciel大辞典」に、ラルクのメンバーが好きなバンドとして載っていた記事を読んだのが最初でした。さらに「バンドやろうぜ」の誌面でちょうどこのHOLY WOODが発売されるにあたっての特集記事が組まれてして、ポスターも付録されていたので部屋に貼っていましたね。

もちろんCDも本厚木のタハラで試聴してすぐ買いました。

ぼくにとっては、リンキンパークやリンプビズキットよりも、このマリリンマンソンの4枚目こそがリアルタイムな洋楽のラウドロックでした。

そりゃもう衝撃的なヘヴィさとハードさで、毎日爆音で聴いて部屋で1人で暴れていましたね。かわいい。

入りがV系だったためか、ストリートファッションよりもこういうゴシックなメイクとステージ衣装を着たお兄さんが好きだったし、リンキンやリンプに無かった「なんか親に言えないようなヤバいものを聴いている」という感覚にゾクゾクしたものです。

同時期に、厚木のヴィレッジバンガードに通ってマリリンマンソンの自伝を立ち読みしてましたが、そのエピソードらもなんかもヤバみが深くて、アルバムのアートワークのヤバさも込みでマジでやべえと思ってました。

あとは、基本的に歌モノしか聴かなかったぼくが、いわゆるエクストリームミュージックの方面にも脚を踏み出せるきっかけになったのもマンソンだったと思います。正確にはデスボイスとかとは違う発声なんですが、「叫ぶ」ってかっこいいんだなっていう価値観。

が、今聴くとめちゃくちゃポップなんですよね。

当時は友達から「あんなの叫んでるだけじゃん」と言われてぐぬぬと思ったものですが、マンソンはものすごくちゃんと歌ってる方です。実はしっかりとメロがあって、ライブ映像とかでも音痴さを感じたことがない。

それこそ、彼らにロックの楽しさを教えたのがキッスだったとしたら、ぼくにとってそういう衝撃をもたらしたシン・キッス的な存在は、hideさんとマリリンマンソンだったんだと思います。

特にこの4枚目は、インダストリアルシーンに出自のあるマリリンマンソンさんの他のアルバムに比べて、アナログな質感のロックバンド的なラウドさが前面に出ていて、その点でもオススメです。



バンド形態という表現方法のひとつの到達点として、ぼくはレッドツェッペリンのバランスって完成系だよなーと思うのですが、椎名林檎さん率いる東京事変もそういうバランスになっているバンドだと思います。

林檎さんお一人名義のときにも東京事変のメンバーさん各々が演奏に参加してたりもするんですが、やっぱり「バンドである」という特有の雰囲気がありますね。

このアルバムはブラックミュージック的なエッセンスがふんだんに入っていて、その点でもパンクやオルタナ/グランジの雰囲気が色濃かった椎名さんのソロとは違うノリがあるなと思います。

CMにも使われてた「能動的三分間」なんかはそれがガッツリ出ていつつも非常にポップで、MVなども含めて唯一無二だと感じます。

あとは、ロックバンド編成でブラックミュージックのノリで、というのは実は東京事変以前にはあまり無かったと思っていて、後のSuchmosやゲス極、そしてKing Gnuがメジャーシーンを席巻する布石のひとつでもあったんじゃないかなと個人的には思っていたりもします。

特にぼくは一曲目の「生きる」がとても好きで、「アカリファの花」はこの曲みたいなのをやりたいと思って作ったという経緯がありました。



よく「グルーヴ」といわれるものって、それこそ東京事変の「能動的三分間」のノリなんかが、聴いてておぉ〜グルーヴしてるなぁ、、なんて思うのですが、音楽っぽい話でいうと、曲のリズムの向こうで大小の三連符を感じさせるものなんじゃないかと個人的には考えています。よく「楕円が回転してるイメージ」なんていわれますが、それって実はビートの向こうに2拍と1拍それぞれに対する3連符が隠れている状態を指すんじゃないかと思います。

レッドツェッペリンのジョンボーナムのドラムにはよくその拍でゴーストノートが入っているのだけど、これが彼のドラムがヒップホップでよくサンプリングされる理由のひとつなんじゃないかと。

しかし根っこにパンクがあるぼくやかみむらくんは、リズム隊でありながら「グルーブ?なにそれ?都市伝説?」みたいな態度だったりするのと、ぼく個人ではグルーヴとテンポはトレードオフみたいな感覚も持ってるのですが(実際はそんなことないともわかっていつつ)、「根っこにパンクがあってテンポが速くてもグルーヴできますよ」と笑顔で喉元にナイフを突きつけてくるのはいつもメリーです。

ヴィジュアル系から離れていた頃に偶然メリーを観て偏見をぶち破られたという話はそこかしこでしているのですが、楽曲やガラさんの歌やパフォーマンスはもちろん、ネロさんのドラムも衝撃的でした。

こんなに上手い人いるんだ、、とそのときは思ったんですけど、その感覚の正体は、テンポを上げてっても3連のノリが消えずに残ってるということなんじゃないかと思ってます。これはV系シーンの、しかもパンク寄りのバンドのドラマーでは皆無なんじゃないかと思います。

さらに叩いている見た目が、手数が多くてド派手でかっこいいんですよね。

4thにしてメジャーデビュー作になったこの「nuケミカルレトリック」も、もちろんそれが存分に感じられる一枚だと思います。

あとぼくは「溺愛の水槽」の歌詞がすごく好きです。飼っているウーパールーパーが死んだ話だという説を聞いたことがあるのですが、ずっと水槽の外から中を視る目線で語られていて、クライマックスの「見ててほしいんだ」以降で視点が水槽の内側からに突然変わってると思うんです。

これって、水槽の中の愛玩動物を眺める風景から翻って、バンドマンの目線を重ねて抉り出してるんじゃないかなあと思います。ぼくも飽きるまでずっとこの先も見ててほしいですもん。

よくカラオケで歌います。


あと最後の「空っぽな歌」も、あの頃の前後に流行った青春パンクを、V系的な土台のうえで再解釈したような内容になっていて、ぼくはめちゃくちゃ共感します。

そう!!ぼくもそれが言いたいんすよ先輩!!!!という気持ちになります。

よくカラオケで歌います。



これを4枚目として語るのは非常に卑怯なのはわかるのですが、先にオリジナルアルバムが3枚でていてそのあとなので勘弁してくれさい。

hideさんの、たしか初のベストアルバムです。


ぼくが最初にhideさんのソロに触れたのは、ちょうど楽器を始めてエックスを聴いたあとくらいの頃にリアルタイムで発売したコレでした。

子供だったし、何枚もCD買えるような状態じゃなかったので、網羅的に聴けて曲もたくさん入ってるベストアルバムは大変ありがたかったですね。

通して聴いて思うのは、ロックとひとくちに言っても、どんだけ音楽性が広いんだよっていう。

メタルあり、パンクあり、オルタナあり、インダストリアルあり、バラードあり、でも全てがそのときの最新版どころか、やや未来の音像をしてるという。どの曲がいつ出たものなのか確認して毎回びっくりするっていう。

それでいてめちゃくちゃポップでわかりやすい。当時、特別ロックとかV系とか好きじゃない、普段ジャニーズとか聴いてた同級生の女の子が普通に好きで聴いてて驚いたのが印象に残ってます。


あと、ダサさとかいなたさとかが全く皆無なんですよね。95年あたりより前の作品は、ぼくから見ても90年代っぽいなと思うし、若い方が見たらさらに時代性を感じるところもあるんだろうけれど、95年よりあとの作品は、ぼくは普遍的なかっこよさを感じます。シドヴィシャスやピストルズ時代のジョンライドンが持ってるような、時代に左右されない普遍的なパンクのかっこよさみたいなもの。初期パンク勢でもあの2人は「うわ〜70年代だな」とか思わないし、spread beaverやzilchの頃のhideさんにも「うわ〜90年代だな」とは思わない感じ。

しかしゼロ年代以降、hideさんが打ち出した美意識の表面だけをなぞったようなダサい人たち(うわ〜90年代後半だな、と感じました)をたくさん見ましたが、本質は表層ではなく、自分がかっこいいと思ったものを、自分がどう消化してどうアウトプットするか、だと思います。

自分がそれをできているとは言い切れないけれど、音楽やファッションよりも、そうありたいと思うスタンスこそが最も影響を受けた部分だと思います。


以上でございます。

たぶん4枚目くらいだろうと思っていたものがどう数えても3枚目だったり5枚目だったりして紹介できていない名盤は無数にありますので、また折を見て妙な縛り方をせずにご紹介申し上げたいと考えております。


いずれも、ぼくが紹介するものは大なり小なりTHE NOSTRADAMNZに反映されていると思いますので、ぜひぜひ「A WHORE NEW WORLD」と併せて触れてみてください。