Bring the noise | 君を殺しても

君を殺しても

THE NOSTRADAMNZ Lucifer K nemoto

こんにちは、ルシファーです。


THE NOSTRADAMNZはごりごりとアルバム制作中でして、先んじてNOTEにて販売開始した曲もあり、毎月一曲同じように配信してまいります。

是非その渇ききった心に染み渡る化粧水、乳液、コンシーラーみたいな感じでお楽しみに!



⬛︎BAD HOPの話

ぼくのブログを読んでくださる方には、HIPHOPリスナーってほぼ皆無だと思います。

V系やパンクが好き、もしくはぼくの顔ファンという方が殆どだと思うのですが、今たぶん日本のHIPHOPだけでなく音楽史、はたまたユースカルチャー史にとって重大な局面にあると思わざるを得ない事態になってるのです。

ヴィジュアル系についてなら知ってる、という方にも伝わってほしいと願い、ぼくの個人的な見解で語りたいと思います。


⬛︎LUNA SEAの話

今に繋がる、ヴィジュアル系のコンテンツとしての完成形とその手本となったのは、ぼくはLUNA SEAだと思ってます。

もちろん、DEAD ENDやBUCK-TICKやデランジェ、その前後の方々がオリジネイターだと思います。

そしてもちろん、ジャパメタやジャパコアやトランス系やナゴムとは別の、新しいフィールドを打ち立てたのがエックスだというのは、誰もがほぼ異論はなしだと思います。

で、そのフィールド上で、「ぼくもこんなふうになりたい!」と思わせるコンテンツを最も多く生み出し、フィールドを完成させたのがLUNA SEAである、というのがぼくの歴史観です。


ぼくは実は、LUNA SEAは微妙にリアルタイムから外れてるというか、ROSIREとかの頃は完全にミニ四駆に夢中だったし、音楽に興味が出てきたころにはRYUICHIさんではなく河村隆一さんでしたし、楽器を持った頃には一旦終幕しました。

それでも影響力の大きさは感じたし、今でももちろんファンです。


今回LUNA SEAの凄さで特筆したいのは、彼らが「地元のツレ」で結成されたバンドだというところです。

神奈川県秦野市周辺に住んでいた少年たちが、学校の視聴覚室から日本を代表するロックスターに成り上がるストーリーが現実にあったこと。

これは「ひょっとしたら俺たちも」と思わせてくれる大きな勇気づけになったと思うんです。

結果、ESPから販売されたLUNA SEAモデルの楽器は史上最高の売り上げになったそうです。

未だに中古屋さんやフリマサイトを見ると、LUNA SEAモデルのギターやベースってめちゃくちゃよく見かけるんですよね。

特に少年たちがお年玉やバイト代をかき集めて買ったであろう廉価版モデル。

ここが凄くて、ライダーベルトを着けても仮面ライダーにはなれないと悟った少年たちが、LUNA SEAにならなれるんじゃないかと、こぞってギターベースを買いに走ったということです。


地元のツレバンドでいうとBUCK-TICKもそうなんですが、 BUCK-TICKってああいう風になりたくてもなれない感が強いんですよね。どちらかというと少女漫画に出てきそうな雰囲気というか。

それはそれでめちゃくちゃ格好いいし、もちろんぼくはBUCK-TICKもすごく好きです。

ただ、「少年から観たヒロイックさ」でいうと、個人的にはLUNA SEAに軍配が上がります。

週刊少年マガジンで彼らのストーリーが漫画化されてたことがそれを物語ってますよね。

ぼくも当時あれを読んでバンドにやや興味を持ったクチです。




ただ、ぼくも長年バンドをやってきたから余計にわかるのですが、LUNA SEAのメンバーのスキルって常軌を逸する高さなんですよ。絶対真似できない。

でも「それ風」だったら割と出しやすいという、すごいバランスだったりもします。

そんなメンバーが神奈川県内だけで揃って出会ってバンドを組む可能性って、プールに時計をバラバラにして入れてかき混ぜただけで時計が再び組み上がるくらいの確率ですよ。


もう一つ、彼らは名声を手にするにあたって、最初期には大人の手を全くと言っていいほど借りなかったのも大きいです。

「ス〜」でお馴染みの最初のフルアルバム「LUNA SEA」は、セルフプロデュース作品です。

「ノーシンセサイザー」とわざわざ書いてあるの超かっこいいのですが、大人の力を借りなかった故に、当のメンバーはこのアルバムを「世界一音の悪いアルバム」なんて言ってたりしました。

しかし、本作はヴィジュアル系のクラシック中のクラシックであり、ヴィジュアル系の歴史を語るのにこれを聴かないでどーすんだランキングでは多分1位です。

後に再録されるのですが、このオリジナル盤のほうには再録には無い若々しい衝動を孕んだ魅力があるのも事実です。


そして10年かけてどんどんと歴史を切り拓いてゆき、人気絶頂の中で、彼らは終幕します。



そして誰もが認めるレジェンドとなりました。


⬛︎BAD HOPは

彼らはもちろんV系バンドとは全く違う文脈上のHIPHOPクルーです。


BAD HOPはラッパー8人組なのですが、実はまさしく神奈川県川崎市の「地元のツレ」グループです。

メンバーの1人は調布市出身ですが、4人は保育園から一緒です。

そして、彼らは大人の力を借りずに自主運営で日本のHIPHOPのトップランカーになりました。

そして今月、10年の活動に東京ドーム公演で終止符を打ちます。



すげえLUNA SEA度高いと思うのぼくだけですか?

何より、彼らの出現によって、ラップをやってみる少年たちは間違いなく爆増しました。


その「俺もああなりてえな、やってみるか!」と思わせるパワーってのが、ぼくはヒロイズムだと思います。


⬛︎舐達麻とのビーフ

ビーフとは牛の肉のことなのですが、HIPHOPカルチャーでは個人やクルー同士のイザコザをビーフと呼びます。語源は諸説ありますが、今度喋る機会があったら語ります。


で、舐達麻というのは、埼玉県熊谷市らへんから集まった超人気グループです。

ヴィジュアル系に置き換えると、BAD HOPが LUNA SEAだとしたら、舐達麻は黒夢だと思ってください。



レペゼン名古屋的な出自の黒夢ですが、今でこそV系の歴史に組み込まれているものの、当時の彼らは、似たルーツから似たスタイルに収斂進化した他のバンドとは意図的に距離を置き、よりストリート感のある、ロックバンドとしての「ホンモノさ」を打ち出していたと思います。

(LUNA SEAやラルクがフェイクで黒夢がリアルといいたいわけでは全くないのは伝わってると思います。)


そこそこお姉様やおじさまで、あの頃を覚えてるという人は、90年代の末に、終幕直前のLUNA SEAと黒夢が客の前で大喧嘩してバチクソに揉めてたら、と想像してみてください。

まだ若いし生まれてないんですけど!(怒)とか言うアカチャン様方は、ライブハウスの後ろの方で腕組んで若手を観ながら「フッ、おもしろい子たちじゃないの」とか言ってそうなお姉様に訊いてみてください。そんな人、居そうでいませんので。


とにかく、あの頃でいう黒夢vs LUNA SEAガチ喧嘩みたいなことが、本当に起きたのです。

本当にあった怖い話です。



これは、まあ色々な理由があって、LUNA SEAでいうと SUGIZOさんかJさんにあたる方が、インタビュー中の清春さんの胸ぐらを掴んでゴルァー!てなった感じです。大変なことです。


これに対して、黒夢はLUNA SEAを名指しで痛烈なにディスる曲を作って公開しました。



これがまた楽曲としてめちゃくちゃクオリティが高くて、キッズたちは「やっぱ舐達麻サイコーだな!」という感じになってました。


当初、BAD HOP側はインスタライブにて、この件についての曲は出さないと言っていましたが、ファンの熱い要望に応える形で、先日ついにアンサーソングが公開されました。



これまためちゃくちゃ格好よくて、キッズたちは「やっぱBAD HOPサイコーだな!」となりました。


ちなみにぼくは、騒動の経緯は置いといて、実は音楽性的には舐達麻のほうが好みでした。

何年か前にかみむらくんが教えてくれたんですよね。超かっこいいなと思いました。


原行のHIPHOPの中でも両者はスタイル的にほぼ真逆というか、ヤクザスタイルの舐達麻とギャングスタイルのBAD HOPというコントラストがまた良いんですが、このアンサーは敢えてビートを舐達麻のスタイルに寄せてたりします。

普段、BAD HOPはいわゆるケロケロボイスというか、オートチューンを多用した今ナウのアメリカのスタイルを輸入したかたちだったので、ドスの効いた声でしっかりめに韻を踏む舐達麻の曲のほうが個人的に好みではありました。

しかし、このアンサーのあまりにも説得力のあるリリックに胸打たれまして、最近めちゃくちゃBAD HOPも聴くようになり、すっかりファンになってしまいました。


⬛︎YZERRという男

ワイザーさんと読むのですが、この方がBAD HOPのブレーンであり、上記の騒動の当事者で、アンサーのラップをしてる人です。

この方、先程ぼくはSUGIZOさんやJさんに例えましたが、もっと近いのはYOSHIKIさんだなと思います。


この動画がめっちゃわかりやすいです。



YOSHIKIさんも、実家がお太めとはお伺いするものの、言うなれば千葉のヤンキーだったわけですが、今では日本のロックシーンをすっかり塗り替えたカリスマ中のカリスマであり実業家であることは国民全員が義務教育で習っていると思います。

自分の足で情報を得て、自主レーベルを立ち上げ、そこからhideさんと共に後輩たちをフックアップしたりプロデュースしたり、という一連の功績なしには、Vkeiが海外で通じる単語にはならなかったでしょうね。 


つまり、BAD HOPは「20代の頃のLUNA SEAのメンバーの中にYOSHIKIさんとhideさんがいて、全く大人の力を借りずに東京ドームにたどり着いていたら」が実現した世界線にいると言っても過言ではない存在なんですよ。


それホントにすげえってことに、HIPHOPではなくロックが好きな人たちにこそもっともっと知られてほしい。


久しぶりに、YZERRさんはそういうパワーのあるホンモノの若きカリスマだと思います。

ラッパーとしてはもちろん、ビジネスマンとして超優秀だし死ぬほど頭良いなと思いますね。


⬛︎ロックスターは何処へ

以前Twitterで、ロックとヒップホップの役割がいつの間にか入れ替わったことを端的に示す画像として、こんな画像をみたことがあります。





つまり違う世代のだいたい同じ層の文化的受け皿が、完全にロックからヒップホップに移った、ということだと思います。


V系はロックのカルチャーの中ではやや特殊な括り方だと思うので、完全にアメリカ発祥で今もアメリカがカルチャーの中心であるヒップホップとは単純比較できないのだけれど、ぼくは双方の発展を願う者として、双方の成功と失敗、そして時代の違いを互いに見出し合うってことは決して無価値じゃないと思います。


本当に色々なファクターからこの政権交代が起こっているので、それはまた別の機会を設けたいくらいですが、いずれにせよ今、人気絶頂の中で解散するBAD HOPとYZERRさんの動きは、チェックしといて損はないと思います。


大きなファクターとしては、ネットの発展、スマホの普及、コミュニケーションの有り様とコミュニティの形成の変化、そして経済格差だと思います。

1万円の入門用ギターを買って友達とバンドを組むより、iPhoneからビートを流して輪になってラップ

することで自己表現ができる世界になったんです。


そうこうするうちに、少年たちがこうなりたいと思う影響力の大きいロックスターは、かつてに比べると皆無になりました。

コンテンツがつまらなくなったのではなく、時代の変化に対応出来なかったのです。


おそらくこの現状をロックスターたちも気づいていて、その打破を標榜してるであろう動きをとってくれています。

つまり、ヒップホップにあってロックになかった「タテヨコの繋がり」をしっかり打ち出すこと。

すなわち、清春さんの楽曲にSUGIZOさんが客演したり、THE LAST ROCKSTARSだったり、ルナフェスやV ROCK FESだったりですね。

ただ悲しいかな、あの頃少年少女だった令和の中年

たちが大喜びする一方、今の少年少女に刺さったかと言われると、残念ながら微妙と言わざるを得ない。


ぼくはそうした光景を見たり見なかったりしながら、結果的に時代の変化による不可避な状況が起こるべく起きてるだけなのだろうと思っていました。

ネットおよびSNSの発展で、ジャンルとコミュニティが細分化されていった結果、大きなユースカルチャーの波はもう来ないのだろうと。

しかし、あながちそうでもないことをBAD HOPが証明してくれました。

今を把握する嗅覚と、強固な戦略と戦術とがあれば、まだまだ特定のコンテンツが世の中を少年たちの心を席巻でき得るということです。

これがBAD HOPの凄さです。


⬛︎オススメ

どう見ても話の通じない怖いお兄さんたちにしか見えないBAD HOPのメンバーですが、今Abemaで「1週間1000万円生活」なる番組が放映されています。



これがめちゃくちゃ面白いです。
これをこの段階で公開するビジネスセンスも含めてサイコーって感じです。

⬛︎LUNA SEAにもBAD HOPになれなかったぼくら
が、集まったのがTHE NOSTRADAMNZだったりもして、それはそれでドラマとロマンを孕んでいるとぼくは謙遜でも自慢でもなくナチュラルに思っています。
ぼくらはまだ、「わたしの〇〇」と思える規模と距離感にいると思うので、引き続き推し続けていただきますようよろしくお願い申し上げます。

これを読んで、私があなたのYZERRさんになります!いやYOSHIKIさんになります!というかお金払います!という方は、お金を払ってください。

おわり