まずはThrasherの一曲目。
非常に爽やかな、彼の人柄が表れたメロディックパンクチューンでございます。
本当はこの曲とライブで何度かやったリリーという曲を中心にシングル2枚作ろうかって言ってたんだけど、リリーが他の曲との共存を拒んだのと、他の曲もかなり良かったので今回の6曲になりました。
P!P!P!は非常にノストラダムスらしい、明るくてポップな曲なんだけど、コード進行はルシがこの手の曲でよく使うカノン進行ではなく、結構天邪鬼な進行なんですね。
えんどうさんてパッと見3人の中で最も大人で常識人に見えるし、実際そうなんだけど、あの人あたまおかしいんですよ。
DTMから仕事まで色々なことを彼から学んで、否応なく俺の考え方や人生に多大な影響を及ぼしてるお方だし、もちろん共感するところも普通の人と比べると多いんだけど、学べないところというか、理解できないところというか、真似できないことがたくさんある。
非常に合理主義的に、とある目的に向けてどうするのが最も効率がいいかを考えて、計画的に実行するんだけど、俺が絶対に犠牲にしないことを平気で切り捨てたりする。
例えば、俺は非常にめんどくさがりやで、できるだけ外にすら出たくなくて、はらが減って死ぬほどチャーハンが食いたくなっても冷凍のチャーハンが家にあるなら出かけなくていいしレンチンすりゃいいから、それ食えばいいって考えるんですよ。
でも多分えんどうさんは、死ぬほどチャーハン食いたかったら、死ぬほど美味いチャーハンを死ぬほど安いコストで作って食うことに時間も命も惜しまないんだよ。
おそらくコメをどこのやつ使うから決める。
タイ米が安くてパラパラしていい感じなら、車で2時間くらい平気で走ってでも手に入れるでしょうね。
そして中華鍋がなければ、家にある中で中華鍋に最も近いフライパンが何か、熱伝導率とかカーブのRとか計測して厳選するだろうし、火はガス会社とコンロのメーカーに資料請求して吟味のうえ構造を割り出してホームセンターで買った部品で完全な代替え品を手づくりし、卵なんかも鶏育てるとこから始めるかもしれない。
そうして幾多の試作品を試食し続けてはトライアンドエラーを繰り返し、三年後くらいには横浜中華街の老舗と同じかそれ以上のクオリティーのチャーハンを開発しては200円くらいで周囲に振る舞い、皆の喜ぶ顔をみて静かにニコニコしてるような人なんですよ。
それでも、よく見ると付け合わせのスープが中華スープじゃなくてカレースープだったりすんだよ。
え!そこは中華じゃないんすか?!
と俺が驚いていると彼はニコニコしながら、
「うん、個人的にはカレースープのほうが好きだし意外と合うと思う」
とか言ってのけるわけ。
アホかと思ってスープ啜ったら美味かったりするわけ。
という、完全に例え話なんだけど非常にリアルですね。
敬意を込めて言う。
あんた頭おかしいよと。
狂ってるよと。
つまりP!P!P!は、同じポップパンク曲でもルシがレンチンで作るチャーハンみたいな、均等に美味くなる曲とはちょっと違う、えんどうさんによる非常に天邪鬼で偏執的な道程の上に成り立った曲だと思っています。
これが、かみむらくんの250km/hで首都高を逆走していくブルドーザーのようなドラムによって破壊的に均されてノストラダムスサウンドになるんだから不思議ですね。
そんなわけで歌詞は、音感としては爽やかで痛快に響くワードでもって、サイコな心情を紡ぐことを意識しました。
イメージは好きな映画で「悪の教典」という作品に出てくるハスミさんという主人公。
普段は女子生徒からも大人気の爽やかイケメン英語教師なんだけど、本当は人を殺すことなんてなんとも思わない人。
ハスミンは快楽殺人よりは、自分に有利な状況に運ぶために必要なら人殺しも普通にしますって感じのサイコパスなんだけど、P!P!P!やひみつの主人公には根源に性欲がある。
殺すことでしか性的に満足できなくて、それが社会悪だとは理解しているものの、人情としては分かってないんです。
きっと死んだとしてもその衝動は消えないし、1人殺したら2人も3人も変わらないから、時間が残されてる限り、立派な快楽殺人犯としてバリバリやるぞー!ワハハー!
という歌です。
どうしても極端でわかりやすいものが好きだから、猟奇的なテーマを持とうとすると快楽殺人になりがちなんだけど、程度は違えど俺がえんどうさんに感じるような一種の敬意や自分との違いは、多分皆様も日々周囲の方に持つことがある眼差しなのではないでしょうか。
きっと100パーセントわかり合うことさんて無理オブザ無理なんだけど、相手の振り切り方と目指す方向性だけ分かっていれば、案外それが敬意になり、結果的に相手を尊重することに繋がると思ってます。
まあ、性犯罪は絶対許しちゃいけないけどね。
そんな歌がフツーに出てくる俺だって、本当は何考えてるかわかんないんだよね。
おそろしい。
そんな恐怖を爽やかにパックしましたので、是非とも楽しんで頂きたい。