チューリップ賞では、「目の病気などで乗り役を引退した調教師」の管理馬に注目しています | 元JRA調教師・山田要一のブログ

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厩舎OBという立場から、パーフェクトホースマンズの一員としてファンの皆様と違う視点で競馬のことを掘り下げたいと思います。

前走、2月14日(日)の東京4Rに組まれていたダート1600mの3歳1勝クラスを勝った、中川公成(ただしげ)厩舎のグランツアーテム(牡・父マクフィ)は、次走の予定が、3月27日(土)の伏竜S(中山・ダート1800m)です。

この馬を管理している中川君は、高知県高知市の出身で、高知西高校から茨城大学の農学部畜産学科に進みました。

大学の部活で馬術を始めた中川君は、卒業後も馬術を続けたくなって、栃木県の那須塩原市にある「那須トレーニングファーム」に就職したんですよ。

そして、1989年の5月に競馬学校の厩務員課程に入って、その年の9月から、藤沢和雄君の厩舎で厩務員をやっていました。

その後は、1990年の4月から石毛善衛さんの厩舎で、1998年の3月からは萱野浩二君の厩舎で調教助手をやっていて、調教師の試験に受かったのは2005年のことです。

中川君がいた頃、石毛さんの厩舎には、1992年のフラワーCを勝ったブランドアートがいましたし、萱野君の厩舎には、2002年のフローラSを勝ったニシノハナグルマがいましたから、こういう風に、それぞれの厩舎で走る馬を間近で見られたことが、彼にはいい経験になったのでしょう。

そして、2006年に自分の厩舎を開業した中川君は、最初の年こそ5勝しかできなかったのですが、その後は、2年目が10勝、3年目が14勝と順調に勝ち星を伸ばしていて、ゴールドアクターを使った2015年のアルゼンチン共和国杯で初めて重賞を勝つと、その年の暮れには、この馬を使った有馬記念で初めてGIを勝っていましたし、2016年には、ゴールドアクターを使った日経賞とオールカマー、マジックタイムを使ったダービー卿CTとターコイズSなど、19勝を上げて、「6億1121万円」という、今までで一番の賞金を稼いでいました。

でも、その後の4年間は、

2017年→14勝・獲得賞金2億8977万円
2018年→12勝・獲得賞金2億1936万円
2019年→20勝・獲得賞金2億4895万円
2020年→19勝・獲得賞金2億4517万円

と書けば分かる通り、賞金が2016年の半分以下でしたから、今年の中川君は、「必ず巻き返したい」と気合いを入れているのでしょうし、実際、先週までが「6勝・獲得賞金6693万円」という成績で、去年の同じ時期(3月1日【日】まで)の「4勝・獲得賞金4026万円」を大きく上回っているんですよ。

もちろん、今の中川君は、「賞金の高いレースを勝って、もっと厩舎に勢いを付けたい」と考えている筈ですから、1着賞金が1800万円の伏竜Sに向けて、グランツアーテムをどう仕上げてくるのか、注目したいと思っています。

そしてここからは、栗東の武英智(ひでのり)厩舎がチューリップ賞に登録しているメイケイエールについて、私の頼もしい仲間の一人、「元調教師のHさん」から届いた報告を紹介しておきますね。

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武英智君は、親父さんが乗り役と調教助手をやっとった武永祥(ながよし)君で、お祖父さんが、タイギヨウを使った1966年の阪神3歳S(現在の阪神ジュベナイルF)とか、重賞を20勝、通算で735勝を上げとった元調教師の武平三さんやな。

でもって、2014年の2月に調教師を引退した武宏平さん(2009年の菊花賞を勝ったスリーロールスなどを管理)や、去年の2月まで栗東で厩舎を構えとった作田誠二さんや、乗り役と調教師をやっとった武邦彦さん(故人)や、武豊君と武幸四郎君とかが親戚っちゅうのも、皆さんはよう知っとるやろ。

こういう「筋金入りの競馬一家」に生まれた英智君は、当たり前のように競馬の世界に進んだんや。

1996年に「第15期生」として競馬学校の騎手課程に入った英智君は、1999年に領家政蔵厩舎から乗り役としてデビューして、この年に22勝を挙げて、関西の新人騎手賞を受賞しとりましたな。

そんで、2年目には18勝を上げとったんやけど、3年目からはずっと勝ち星が1ケタやったし、目の病気になってしもうたこともあって、2012年の9月に乗り役を引退したんですわ。

その後は、木原一良厩舎で調教助手をやって、ここでは、2013年の共同通信杯を勝ったメイケイペガスターや、2017年のみやこSを勝ったテイエムジンソクとかを担当しとりました。

2016年、調教師の試験に受かった英智君は、そのまま木原厩舎で技術調教師として腕を磨いて、2018年の3月に自分の厩舎を開業したんや。

結局、最初の年は、レースに使った数が少なかったんで「9勝・獲得賞金1億8503万円」っちゅう成績やったけど、一昨年は「19勝・獲得賞金2億9301万円」と一気に数字を伸ばしとりました。

そんで去年は、「14勝・獲得賞金3億2850万円」っちゅう成績で、勝ち星は減ってしもうたんやけど、メイケイエールを使った小倉2歳Sで初めての重賞勝ちを飾っとったし、同じメイケイエールを使ったファンタジーSも勝って、今までで一番の賞金を稼いどったんですわ。

それに、今年も勢いは続いとって、先週までが「4勝・獲得賞金4396万円」と、去年の同じ時期(3月1日【日】まで)の「1勝・獲得賞金2575万円」を大きく上回っとります。

もちろん、今の英智君は、「この勢いでもっと稼ぎたい」と考えとるんでしょうな。

それに、2018年の春に開業した調教師は、英智君の他に、高柳大輔君、武幸四郎君、田中博康君、林徹君、安田翔伍君、和田勇介君の6人がおって、今年は、

■武幸四郎厩舎→8勝・獲得賞金1億2222万円
■安田翔伍厩舎→5勝・獲得賞金9644万円
■高柳大輔厩舎→5勝・獲得賞金7724万円
■和田勇介厩舎→5勝・獲得賞金5419万円
■林徹厩舎→4勝・獲得賞金5143万円

と、5人が英智君よりも賞金を稼いどるんやから、今の彼は、「同期に負けたくない」とも考えとる筈や。

そんな中、今週は、1着賞金が5200万円のチューリップ賞にメイケイエールを登録してきましたんで、気合いを入れて仕上げてくるやろうな。

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武英智厩舎がチューリップ賞に登録しているメイケイエールについて、「元調教師のHさん」から届いた報告は以上です。

さて、話は変わりますが、私が所属している「パーフェクトホースマンズ」では、ホームページや、いくつかのブログの中で、「馬券に欠かせない情報」を包み隠さずに公開していますので、「正確な情報を知って、馬券に活かしたい」と考えている方には、こまめに確認することをお勧めしておきますよ。

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今日は、ここまでにしておきます。

それではまた。