5歳~6歳向け逐次読みの改善方法:親子の体験談(続き)」からの続きです。⇒

 

ゆうくんは、発達障害グレーゾーンの診断を受けており、公金からも補助をいただきながら療育に通っています。療育の先生に資格は必要ありませんが、うちがお世話になっている放課後等デイサービス(児童発達支援)の事業所では、事業所に1人は臨床心理士が配置されています。
もちろん子供好きだけど専門知識は保有しない先生(というか、時給1,100円のアルバイトのスタッフさん)もいますし、経験豊富で勉強熱心な先生もいらっしゃいます。

そんな先生方から教えていただいた、児童心理学に基づく療育テクニック。その中には、診断を受けていないお子様にも有効なのでは? と思うものも幾つかあります。発達障害の有無に限らずお子様の特性は千差万別なので、たまたま「あ、うちの子にピッタリかも」という要素があれば、参考にしてもらえれば嬉しいです。

療育でなくても、「褒めて伸ばす」は子育ての常識ですよね。褒める代わりに、ただ「感心する」「驚いてみせる」といったテクニックもあるかと思います。

さて、発達障害のタイプの1つに、「自己肯定感が低い」というものがあります。発達障害の中では、かなりメジャーなのではないかと思います。
自己肯定感が低いと聞くと、すごく控えめで、謙虚なイメージを持ちますよね?

逆です、逆。

プライドが高く、他人からの指導や指示に反発します。マイルール(こだわり)が強く、外部から変化を強いられることが耐えられないのです。失敗する自分を許容できないので、変化に挑戦させられることを極端に嫌います。
これは、ありのままの自分(他者より優れていない自分、失敗することがある自分)を肯定できない特性によるものです。脳の機能障害なので、残念ながら現代医学では、一生、治ることはないとされています。

プライドが高く、他人からの指導や指示に反発? おや? 社会人の皆さまなら、職場や取引先で、そんな人種の方々に心当たりはありませんか? 療育の先生はおっしゃいました。

「大丈夫、大丈夫。ワンマン経営者って、みんなこのタイプですよ?」

そう、発達障害は良く凸凹(でこぼこ)に例えられます。従順さや素直さに欠ける反面、自分ならではの考えが強いことは、他の特性との組み合わせや生き方次第では、プラスに働くこともあるのです。
ただし、中学受験に限れば致命傷です。何しろ中受で最も重要な特性は「素直さ」ですからね。教えられた勉強法、解法を素直に取り入れないお子様は、成績が伸びにくいと言われています。

「自己肯定感が低い」タイプは、「褒めて伸ばす」効果が乏しいです。褒めたとしても、素直に受け入れてくれません。「自己肯定感が高い」タイプのお子様に比べると、何倍も何倍も褒めないと、同じだけの効果を得られないのです。
※ 褒めるのが無駄という意味ではありません。褒める量が同じなら、一般的なタイプよりも効き目が薄いので、もっと多量に褒めないとダメです。即効性を期待しちゃダメだってことです。

さらにゆうくんは、「コミュニケーション面は凹」「合理面は凸」という特性も兼ねています。先生がおっしゃるには、このタイプは親が本心で褒めているのか、下心があって褒めて我が子をコントロールしようとしているのか、大人の意図を察してしまうそうです。我が子ながら、可愛くないなーー!

ここで療育テクニック!

「褒めてもダメなら、物で釣れ!!!!」

マジでーーーーーーーーッ!?

言葉で褒めただけでは、効果ゼロではないものの、心に届きにくく即効性を期待できないタイプ。このタイプは、精神的な言葉「だけ」ではなく、物理的なメリットを与えた方が手っ取り早いそうです。イチオシなのは、「現金」とのことでした。

マジでーーーーーーーーッ!?(2回目)

注意点としては、ご褒美を親が決めてはいけないこと。目標と、その目標に対する報酬は、お子様自身に決めさせることが大切とのアドバイスでした。

聞かせてもらったエピソードとしては、最初に親御さんが、どーんとまとまった金額を前払いでお子様に預けてしまったそうです。そのお子様は「これが出来たら、幾ら使って良い」とマイルールを自ら設定し、自ら立てた計画通りに勉強を進めたことで、良い結果を得られたとのお話しでした。
「現金」がイチオシなのも、使い道を親ではなく、お子様自身で決められるから。目的達成のため合理的だと自分で納得できるなら、このタイプは他人からの指導や指示も自ら取り込んでいくのです。

療育の基本は、「我が子を、ありのまま受け入れること」。その基本通りに我が子を信じ、結果を求めず、我が子から求められたリソースだけを与えた。教科書的な成功例と言えます。

うん、中学受験トップ層の成功エピソードと同じで、「そのまんま真似したらヤバい」雰囲気がすっごくします。でも、理には叶っています。
ゆうくんが本当に自ら「達成可能性がある」学習計画を立てられるようになったら、チャレンジしてみたいなーと思えるテクニックでした。


⇒「中受に役立つ療育テクニック:発話できないなら、タッチで意思表示!」に続きます。

 

最初から読む◆ 「中学受験」に療育っ子がチャレンジ!
◆ 「家庭学習」で四谷大塚の授業に追いつきたい!
◆ 「療育」(発達グレー)のあれこれ!