2019年を振り返って002
2019年5月 転職活動編
5月のこの頃、僕は転職活動が最終局面を迎えていた。先述した通りボーナスが支払われなかったこととこれから結婚してもっとお金を稼がないといけないということを考えて僕はもっと条件の良い会社を探していた。何社か実際に面接に行ってあと一歩のところまでこぎつけていた。僕の条件はその時の年収が480万くらいだったので500万以上のところで自分のスキルと経験を活かせるところ。ある日、登録していたエージェントから「オハラ様にぴったりの求人を見つけました」と連絡があった。その時の僕は大手企業に駐在してそこの商品パッケージの印刷を管理するというかなりニッチな仕事をしていた。海外ではこのビジネスモデルをPrint Managementという。日本ではまだ定着していない。この仕事は印刷のプロとしてあらゆる駐在先からのあらゆる質問に即答しないといけないしクライアントが出したい色や納得のいく印刷仕上がりにならないと途端に文句の総攻撃を食らう危険なポジションでもある。外資系だからもちろん英語も問われる。イギリスに留学してデザイン勉強をした僕にはうってつけだった、まあ印刷の知識はそれほど無かったが。正直当時の仕事は嫌いじゃなかった。プレッシャーもあったがやりがいもある仕事だった。パッケージデザインという自分の好きなフィールドだったし英語も生かすことができる。あのボーナス無し事件がきっかけで「このままで良いのか?」という疑問を持つことになったが、こう思うのは大事なことだ「こんなもんでいっか」で終わらせず常にこのままこの会社にいて良いのか?今の仕事で良いのかという危機感と疑問を持ち続けないとこれからの社会はやっていけない気がする。当時の会社のプリントマネジメントは最初は印刷の知識をどんどん蓄えていったけど2年ほど勤めれば知識の天井にぶつかった感覚があった。もちろん掘り下げれば印刷はもっと奥深いものだし流石に印刷機械を実際に操作したことがある人レベルの知識までは得ることができなかったが、正直それは必要ないと思った。タクシー運転手がある程度は車のことを知っておく必要があるが車の製造の仕方まで知る必要がないのと同じでPrint Managementはあくまで最低限度の印刷知識を持ち合わせればそれで良いのである。
ここまでくるとあとは同じ仕事の繰り返しである。あと2年3年と勤めてももうそれほど新しい発展は望めないだろう。しかも営業職とかと違って仕事の評価をしづらいのである。営業ならいくら売ったかなど指標が立てやすいがPrint Managementはそれがない。せいぜい「自分はこれを頑張りました」と自己申告でやるしかない。「ミスを無くすよう努力しました」とかその程度しかアピールできないのである。昇給率なんて毎年2%くらいだ。こんなニッチな業種だがハマれば僕のような人材はかなり重宝される。印刷のことがわかって英語も喋れるという人材がまずいないのだ。印刷関係の仕事している人に英語はほぼ必要ない、なので印刷知識と英語が結びつかない。この時にエージェントから紹介されたのは当時僕の勤めていた競合つまり同業他社である。4月頃に最初にこの会社の面接を受けに行った。内容は大手企業のクライアントに駐在しそこでデザインの仕事をクライアントから受けて、それをデザイナー達に振り分けるという仕事だった。そのデザイナー達が全員外人というから英語ができる必要がある。似ている内容ではあるが話をよく聞くと案件を聞いてそれをデザイナーに振り分けるという業務はAccount Managerという仕事だ。Print ManagementとAccount Managerはちょっと違う。よくよく話を聞くとこのポジションはPrint ManagementとAccount Managerの両方を一人でこなさないといけないらしい。これは経験者の僕からしたら激務だ。本来二人でやることを一人でやるどう考えても計算が合わない。ということで僕は一旦このオファーを断ったのだ。
そしたら後日このエージェントから「この前の会社がオハラさんに別のポジションをオファーしたいと言ってます」とまた連絡があった。今度は駐在はしないが本社でAccount Managerの仕事をするというオファーだった。僕はPrint ManagementだったがAccount Managerは経験がなくどういう仕事なのかよくわからなかったがオファーされた年収が500万以上は出せるということでもう一回面接に行った。この時面接を担当したのはこの前の担当者とは別の人で、外資系でずっとやってきた感じの清潔感のある60手前くらいの白髪混じりの男性でカジュアル目なストライプのシャツと大きめなメガネが印象的だった。胃が悪いのではなくおそらく虫歯の影響かもしれないが口臭がきつかった。面接担当者はとても僕の経歴を気に入ってくれた、とにかく印刷と英語がわかる人が少ないのでテンションが上がったらしく「じゃあ、今から英語で話してみましょうか?」といきなり英語での面接が始まった。イギリスでは何の勉強してたかとか前の仕事では何をしていたかなどもちろん僕は何も問題なくサラサラ答えることができた。10分ほど英語で話すと担当者は「はい、もう結構です」と英語での面接を終えた。「それくらい話せれば十分です」ともうこの時点でほぼ内定が決まった。あとで聞いたらこの担当者は某ビジネス英語で定評のある大手英会話学校の元ビジネスディレクターをしていたらしい。「俺からお墨付きもらったんだからお前の英語は大丈夫」と太鼓判を押してくれた。こうして1回目の面接(実質二回目ではあるが)を終えて、一旦冷静に考えてみた、悪く無い感じだがどうしても引っかかるところがある。それは仕事内容が印刷を扱う仕事ではあるし現職と同様に印刷屋とクライアントの間に立つというポジションは変わらない、でも内容がどう聞いても営業職なのだ。「クライアントから印刷依頼が来たら、それを一斉にベンダーに見積もり依頼を投げられる特別なソフトウェアがあるからそれで相見積もりをとって一番いいところを精査する。そしたらうちがそれにマージンを乗せてクライアントに見積もり出してあとは進行管理」とこんな感じだ。僕は営業を望んでいない、営業経験は過去にあるがいわゆるただの御用聞きだった。客から作りたいものがあると依頼が来たら飛んで行って話を聞いて海外の工場へ英語で説明するとかそういうのをやっていただけで、いわゆる値段の交渉とか見積もりにマージン乗っけて粗利がどうのこうの年間売り上げ目標がどうのこうのということはやったことがない。売り上げを上げないといけないというプレッシャーとかそういうのは経験がないしやりたいとは思わない。面接担当の人に「営業職じゃないですよね?」と僕は聞いたが「違います」と答えが返ってきた。違うと言っているが心配だったので一応転職エージェントにも聞いてみた。エージェントはその面接担当官に電話で「志望者が営業ではないかと不安に思っています」と伝えて詳細を聞いてもらったが「いや、営業ではないです。営業担当者は他にいます」という返答が返ってきた。オファーされている条件は現職よりも年収アップは確実にできるし、話によれば自分の印刷知識や経験そして英語を生かして活躍できるということだったが、どうもあの見積もりを作るという作業に引っかかりを覚えた。今までPrint Managementやっていて見積もりなど作った試しがなかったから。
親愛なる読者の皆様にも参考にしてもらうべくこの時の他の会社の面接のことも綴っておこうと思う。営業職は望まなかったが、自分は「英語を活かしたい」ということが一番のプライオリティとしてあった。できればそれに付随してデザイン留学時代に培ったillustratorやphotoshopなどの技術そして印刷の知識を活かせるというポジションがあればうってつけだなと思っていた。英語は普遍の武器である。将来的に英語ができて当たり前の時代はもうすぐやってくるだろう。その時に英語ができますと誇らしげにアピールしても「で?」と言われて終わりかもしれない。英語ぐらいできて当たり前、それだけでは不十分でも英語ができることでとりあえずその土俵に立つことはできる。僕はその英語プラスアルファの部分を作っていかないといけない。日本人はまだまだ英語が話せない人が多くいるというかほとんど話せないだろう、自分は本当に留学に行っておいてよかったなとつくづく思う。
話は少しそれたが、英語を活かしたいというふわっとした目的しかなかった、言い換えれば英語を生かせればそれ以上は問わないということで射程範囲は広いのである。でも、これはとりあえずなんでもいいから仕事が欲しい人はいいかもしれないがキャリアアップを狙う30半ばの僕のような男には未熟な志望動機でだった。今思えば、ボーナスカットとこれ以上ここにいてもな~という現状からのエスケープがしたかったのが一番の転職理由だったのかもしれない。現にこの時に他に面接に行った会社は「海外営業」が1社、「広報担当」が1社と幸か不幸か合計3~4社しか面接を受けてないで最終的に内定が決まったのだ。
「海外営業」で面接を受けた会社は中堅規模の会社で良くも悪くも40年以上続く歴史のある典型的な日本企業だった。香料を扱っている会社でそれなりに化学材料などの知識は問われるかもしれないが、実は僕は2016年頃に1年ちょっとだけ薬品の承認申請をサポートする会社の海外の動物実験場の日本営業代理をやっていた時代がある。簡単に言うと化学品を取り扱うための動物実験をする海外の実験場の日本営業である。全く畑違いのところで営業をやっていたが、どうやらこの時の経歴がこの香料の会社の目に止まったようだった。実際僕に化学の知識及び動物実験の知識など皆無である。実はこういう臨床試験などの営業をやっている人で完全に試験内容を把握できている営業はあまりいない。本当にビールの泡部分のような薄い知識だけでやっている人がほとんどだ。だからこの香料の会社でも僕は全く心配していなかった。入社してから覚えればいいし、そんな専門的なことは勉強する必要ないと思っていたから、営業なんてそんなもんである。
面接に行くと感じのいい50真ん中くらいのメガネのおじさんが「こちらです」と面接室へ通してくれた。いきなり面食らったがなんとそこには同じく40後半や50過ぎのおじさんたちが6人ぐらい長テーブルにいて、12個の眼差しがこちらをじっと見つめていた。全員役員クラスの人でこの面接を通れば次に社長面接でそのまま採用みたいな流れらしい。人事のおっさん一人に任せずみんなで決めるという合理的なやり方ではあるが事前に言っておいてほしい。僕は用意しておいた志望動機とこの会社で今までの経験を活かしてどうしたいかを緊張しながらもなんとか伝えた。
ここに入れば年収はちょっとだけ上がるが、中堅どころ日本企業特有の福利厚生や家族手当などが充実していたところに惹かれた。親愛なる読者様は僕は営業を望んでないのに矛盾しているように思うだろう。その通り、この時は矛盾していた。営業を望んでないが海外営業だから英語を活かせる、年収上がる、福利厚生充実、安定している、という魅力に惹かれて妥協したのだ。転職は100%自分の望み通りには行かない、ある程度は妥協が必要である。一通り質疑応答を終えて、僕は面接室を後にした。最後にオフィスを簡単に見学してくださいと言われ、3Fと2Fのオフィスを簡単に見学させてもらった。さらに最後に交通費まで用意してくれた。今時珍しい会社である。
残念ながらこの会社には縁がなかった。入っていたら日本のサラリーマンとしてある程度安定してゆるく長く働けたんじゃないかと今では思う。
もう一社「広報担当」として面接を受けた会社は豪華クルージングを運営する会社でそこの集客の為に日本オフィスを構えている会社だった。本社は香港の大きいクルージングの外資系の会社である。それはそれは豪勢なきらびやかなホームページをお持ちだったので期待して面接に行ったが、面接に行ったオフィスがいわゆるマンションの一室を借りている系の会社だった。僕は前にもこういう会社に面接に行って時間を無駄にしてしまったことがあったので、この時点で帰ろうと思ったが逆にネタになるかと思って突入した。偏見かもしれないがちゃんとしたオフィスを構えず、マンションの1室しか借りれない資本の会社ということはその会社の売り上げや将来性は…僕はいい印象を持たない。部屋に入ると案の定靴を脱いでスリッパに履き替えて応接室に通された。まずこの時点で軽くオフィス内というか部屋内を見渡したが小さめの机が4つほど並べてあって、そこに30歳くらいの女性が3人ほど机にかじりついて、一人はヘッドセットで英語で何かを話していた。ちなみにこの時点で20:00前である。誰一人帰宅しようとしていない&女性しかいないという点で「ああ、こういう会社か…」と悟ってしまった。僕は一番最初に入った会社がブラックでその会社も見事に女性しかいなかったし、22:00くらいまで余裕で働いていた。あの頃は僕は世間知らずだったからあんな会社に入ってしまったが、僕もあれから学習したのである。やばい会社の特徴として女性しかいない会社というのは1つの特徴である。時代は変わってきているが女性と男性で雇用の多さが格段に違う、女性の正社員のチャンスはまだ少ないのが現状だ。こうすると東京に上京してきた若い女性などはとにかく自分を正社員で雇ってくれるところならどこでもという思考回路に陥りやすくなる、その結果ブラックな会社でも甘んじて受け入れてしまうのだ。なんとなくブラックの空気を感じ取りながら応接室へ。ここでもやばいポイントがあったが、面接担当の社長がなかなか来ない。15分くらい待たされた。やっとのことで「すいません」と部屋に入ってきたのは40後半くらいの168cmくらいの小柄な男性で小洒落たビジネスカジュアルに身を包み、髪型も昔流行ったソフトモヒカンで肌もゴルフ焼けしている感じのいかにもベンチャー社長やって独身楽しんでますな感じだった。「いやー、うち豪華クルージングの会社でね~」と聞いてもないのにどんどん会社説明を始め、面接というか一方的に向こうの自慢話とか会社の功績を聞かされるだけだった。散々話して満足したのか、「それで志望動機は?」とやっと30分したくらいから僕に話を振ったが、僕が1を答えると向こうは10を話すという具合で全く面接という面接にならず、ほとんどこのおっさんは僕の話を聞かなかった。というかさっきからずっと気になっていたがこのおっさんの横に一緒に座っている女性は何者なのだ?妙に色気のある30半ばくらいの女性でミニスカートから覗かせる白い足を左に「く」の字に揃えて座っている姿が妙に色っぽいこの女、前になんか愛人を熱海で刺してニュースになった岩本和子という美魔女グラドルに似ている、ちょうどこの時に岩本さんにはまっていた僕は妙に興奮した。どうやら社長の秘書らしい。絶対に嘘だ、こんな小さな会社の社長になぜ秘書が必要なのだ?このおっさんの愛人にされているに決まっている。まあ、この時点でいや入室する前でこの会社に入社することは無いし完全に受かる気がなかったのでいい機会だからこの会社の実情を色々と聞いてみようと思った。
「福利厚生などはございますか?」と聞いたが「いや、うちは特に無いです」という返答。「残業代とか家族手当、住宅手当は?」と聞いても「いや、それも無いです。うちは全部給料に入ってます」とのこと。「わかりました、それでは全部手当などは給料にその分含まれているということですね?それで年収はどれくらいでしょうか?」と聞いたら400万ギリギリ行かないくらいだった。聞いた瞬間ずるっと新喜劇みたいにこけてやろうかと思った。
「この会社は女性が多いんですね?」と質問すると「うーん、男性が来ないんだよね~」と言っていた。おそらく男性はこの給料ではやっていけないんだろう。そりゃ男が来るわけない。こう考えるとここで働く女性従業員が可哀想に思えた。彼女たちは英語が結構達者で電話で話しているのもかなり流暢だったし、みんなまだ30代前半くらいだった。なんかもっといい場所があるように思える。
「仕事内容についてお伺いしたいのですが、広報とは具体的にどのようなお仕事を任されますか?」と聞くと「いや、広報とはいえいろんな仕事を担ってもらう予定です。まずは営業に一緒に同行して営業活動をやってもらいます」と言っていた。この時点で気がつかないといけないのは何でも屋になってしまうということ。つまり広報とか言っておいて結局は主に営業をやって、そのほか雑務などその都度足りない部分を補ってもらう何でも屋が欲しいのだ。ダメな会社の典型で、本来その人の仕事じゃないのになんでも任せようとする。「いろんな経験できるよ」とか綺麗事をいうが体良く使われるだけである。「あ、じゃあこれは営業のポジションなんでしょうか?」と聞き返したが「いや、営業ではなくあくまで広報ですがいろんな仕事を任せたいと思ってます」ほらやっぱり何でも屋をやらせるつもりだ。結局この会社にも縁はなかった、まあ、こちらから願い下げであるが。ていうか今やクルージング業界ってやばいんじゃ…。
結果的に僕は先ほど書いたあの口臭がする面接官の会社に入社を決めた。入る直前にもう一回面接をしたが「営業じゃないし、見積もりとか作ったことないなら大丈夫だよ、全部教えてあげるし、いきなりクライアントを一人で担当させるとかしないし」という約束を得た。僕は「営業知識経験はゼロ、粗利とか見積もりとかそんなん何も知らない」ということをしつこいぐらい宣言した上で雇ってもらった。こうして僕の転職先は決まり、内定通知書によればボーナスを入れれば現職より100万円以上年収がアップすることになった。早速、現職に転職をする旨を伝えた、頼りない社長は渋々という感じで受け入れてくれた。後にこの時の職場の人たちと飲みに行ったがあれから僕がやめて、他のメンバーも次々と辞めていったらしい、中には8年近く勤めた人も辞めたという。それだけあのボーナスショックはでかかったのだ。僕の初出社の日は6月10日になった。
2019年6月 有休消化編
有給が10日ほど余っていたので僕は5月の最終くらいから初出社までの間にどこか旅行でも行こうと思った。僕はあと2ヶ月後に婚姻届を出して正式に夫婦となる彼女がいる。その彼女と旅行にいっても面白くない、これから毎日一緒に暮らすのだ、旅行だっていつでも一緒に行ける。ということで、bachelor旅行に行くことにした、もちろんあの伝説の男ウィリーと共にである。
ウィリーさんは1つ返事でOKしてくれた。最初は福岡に行って博多っ子をナンパしに行こうという企画を考えたが、ウィリーさんがせっかくならもっと南下して沖縄に行こうという話になった。オハラ独身最後の大傾奇の舞台として琉球へと赴くこととなった。いつもそうだがこういう旅行の段取りもウィリーさんは頼もしい。さらっとネットでチケット込みの激安ツアーを見つけてきた。二泊三日で飛行機込みで4万円ぽっきりの超格安パックを探してきた。ホテルではなく貸し部屋みたいなところにベッドを2つ並べてる部屋で写真で見るなりかなり清潔感がありオシャレだったのでここで確定、問題は向こうで何をやるかである。ウィリーさんだからもちろんナンパは計画のうちに入っているがそれだけでは間が持たない。せっかく沖縄に行くのだから沖縄戦の歴史を辿ろうということになった。ということで平和記念公園はマストで行くことに。その他は水着ギャルを求めて離島に行ってみようということになり、水納島(みんなじま)というクロワッサンのような形をした小さな離島にシュノーケリングに行くことに決めた。二泊三日なのでこのくらいの予定で「あとは成りで」ということになった。
久しぶりのウィリーさんとの傾奇行脚に胸を躍らせながら僕たちは成田から那覇へと向かった。空港から外に出た瞬間身体全身を包むようなむわっとした湿気と熱気、日本なのに南国に来たような高揚感を覚えながらも僕たちはマイクロバスに乗ってまずはレンタカー屋へ向かった。僕は完全なペーパードライバーなのでウィリーさんが運転を担当してくれることに。ウィリーさんと若い頃に旅行に行ったが彼はずっと運転を担当してくれた。東京から岐阜まで車で5時間近くかけて向かったこともあったが彼の強靭な体力と集中力で全くトラブルも無く目的地へと僕と仲間たちを運んでくれた。名のしれない沖縄限定のレンタカー屋で車を借りて僕は助手席、ウィリーさんは運転席へ、これがいつも彼と出かける時の定位置だ。ウィリーさんが19歳頃に免許を取得してから僕を助手席に乗せていろんなところに連れて行ってくれた。僕がブラック会社に就職して夜に終電を逃した時に迎えに来てくれないか?と頼むと彼は文句1つ言わずに僕を車で迎えに来てくれた、車の中で今の会社でずっと勤めてていいのかなとか相談して「これが全てじゃないぞ」とか優しい言葉を言ってもらえるたびに僕の心は癒された。どんな時もウィリーさんは僕を助けてくれて外の世界に連れ出してくれた。そんな彼とも僕が結婚して彼女と一緒に住むことになったらあまり会えなくなるんだろうなと思うと寂しくなった。もしかしたらウィリーさんも同じ気持ちになったかもしれない、ウィリーさんはわざとらしく戯けた口調で「普段と違う車を乗りこなすのは腕が鳴るね」というとサイドブレーキを落として車を走らせた。夕暮れ時の那覇市はちょうど帰宅ラッシュでやや道が混雑していた、沖縄は電車では無く車社会なのだろう。僕はスマホで宿泊先を検索しウィリーさんに指示をしていた。空港から50分ほどで僕たちの宿泊施設に着いたが大通り沿いでは無く住宅街の中の小さな5階建マンションみたいな建物だった。一階が駐車場になっていて、車が7台くらい止められるスペースが広がっていて、ウィリーさんはその見事なハンドルさばきで駐車した。
駐車場の奥に入り口があり中に入るとエレベーターが一基あり周辺の観光ガイドのパンフレットがラックにいくつか並べられていて、寄せ書き用の使い古されたノート、小さめの宅配ボックスまたはロッカーのようなものが備え付けてあった。ロッカーの上に注意書きとここの宿泊の説明が書いてある。どうやらこの宿泊施設は基本的に無人で運営していてこのロッカーの中に部屋の鍵があるからそれを入手したらあとはチェックアウトまで勝手にやってくれというスタイルらしい。4Fに出ると通路両脇に3部屋ずつ、合計6部屋くらいの小さめなマンションの佇まいで僕たちは一番奥の角部屋だった。僕たち以外にも部屋に泊まっているようでかすかに音楽や話し声が聞こえた。鍵を開けて中に入ると1Kの間取りになっていてトイレと風呂は別で玄関上がってすぐに左には狭いキッチン右手には風呂とトイレ、そして奥に6畳くらいの部屋にベッドが2台、軽作業ができる程度の机とその上には小さなテレビ、よく見るとそのテレビにはWindowsPCが繋げられていた。申し訳程度に小さな丸いテーブルに椅子が二脚ついていた。白く清潔感のある壁紙とワックスのきいたフローリングの床、ベランダからは外の通りの様子が少し伺える程度だが、これで飛行機も混みで二泊三日で4万ぽっきりは安い。正直男の旅だったら申し分ない。妙な匂いもしないし女の子でも十分満足できる清潔な部屋である。荷物を置いて軽く着替えたら早速外に繰り出すことに。
時刻はもうすぐ19:00を回ろうとしていて、あたりはすっかり夜の闇だった。僕たちはとりあえず国際通りに向かった。タクシーを呼び止めここから国際通りは10分くらいである。国際通りは平日にも関わらず外国人や日本人観光客で賑わっていた、とりあえず大通りを闊歩する僕とウィリーさん。ウィリーさんは道を一周してだいたいの場を把握したのか「なるほど」と頷き微笑んだ。とりあえず一杯やろうということで通りに面した適当な居酒屋に入った。入ってみると狭い店で観光客と思われる若者や外国人観光客で賑わっていた。僕たちはカウンターに通されて、その隣に若い女性が一人退屈そうにスマホを凝視しながらビールを飲んでいた。とりあえず沖縄なのでオリオンビールを頼み火照った体を冷やすように一気にジョッキ半分まで飲み干した。夏を先取りし平日でみんなは明日も働いているんだなと思うと今の自分の身分に優越感を感じた。ウィリーさんと一緒に台湾に旅行に行ったことはあるが沖縄は初である。実は僕たちは友達になったばかりの小学1年生の頃にお互いに家族旅行で沖縄に行ったことがある。90年初期頃は沖縄旅行が流行っている時期だった。森高千里さんのCMソングが大ヒットして沖縄の真っ青な海、日本なのに南国気分を味わえる近くのリゾートということで今では珍しくないが当時は沖縄旅行に行くのがトレンドだった。「僕はOOというホテルに泊まったよ」「僕はXXビーチホテルに泊まった」とかお互いに自慢していたのを覚えている、まさかその30年後にこうして二人だけで来ることになるとは思いもしなかった。お互い大人になったなあ、そんな自分も結婚か~とオリオンビールを飲みゴーヤチャンプルを食べながらしみじみ感じているとウィリーさんは気がつくと隣の一人で退屈そうにしている女性に声をかけてすっかり仲良くなっていた。
その女性はどうやら一人で沖縄に旅行に来て、友達と沖縄で合流することになっていたらしい。ということでこのあともう一人合流するから2対2のちょうどいい塩梅になるいきなり幸先のいいスタートだった。この女性は年齢は28くらいで顔面レベルは中の下。特にこれといった特徴がない本当にフツーな体型、フツーな旅行ファッション、フツーな化粧、散々いろんな女性を見てきた僕でも形容に困るレベル、セミロングの茶髪を1つに束ね、会社の行き帰りの電車の中でくたびれた顔をしてディズニーつむつむをしいしい、金曜の夜には自分へのご褒美と称して職場の駅近くのトラットリアに入りアラビアータと飲めもしない赤ワインのグラスとティーライトを適当に並べた写真をスマホで撮影し、最近スタディサプリで覚えたTGIFをわざわざ「TGIF(Thank God, It’s Friday!)ワイン絵文字」とかっこで何の略なのかを英語わかっている風に書きインスタグラムにアップし30手前で独身の自分でも半分自虐的に一人をエンジョイしている風を見せているが、食事が終わって金曜の夜なのに特に何も予定は無く最寄駅の本屋に入っては王様のブランチで紹介されていた女性作家が書いたどこにでもいるフツーの20歳女性が彼氏に振られて傷心のところに30半ばくらいのすらっと背の高い美人女性に「涙は自分のためだけに流しな」という60点くらいの金言みたいなことを言われたのちその人が経営しているおしゃれ雑貨屋さんで働くことになり、その女性から人生教訓めいたことをいくつか教わりつつ自立した女性へと成長していくみたいな超ご都合主義小説を自分も読んだら人生変わるかもみたいな淡い期待を持ちながら購入(結局一度も読むことなくBook Offへ)、アパートへ帰り化粧を落とすも引き続きやることがなく3日前に買っておいたほろ酔い(ホワイトサワー)を飲みながらベッドに横になり一番くじを全部購入して「ウェーイ」とか言いながら商品を紹介するYoutube動画を見ながらそのまま寝落ち。みたいな感じの女性。こういう女性は我が強くない分、こちらのペースに引きずりこみやすく、しかも旅行先という妙な偶然性が重なるだけでかなり声がけに対してオープンになる傾向がある。ウィリーさんは見事にそれを見抜き、人懐っこい笑顔とカウンター隣という優位なポジションを利用しすでにこちらのペースに引きずり込んでいた。程なくしてもう一人の友達の女性が到着。どうやらこの遅れてきた女性はフラダンスの先生か何かをやっていて沖縄にもワークショップできていたらしい。この女性はあさぐろの健康的で綺麗な肌をしていて、髪は漆黒の肩下まで伸びた黒髮にウェーブがかかっておりあさぐろの肌と相まってやや野性味溢れるというか確かにこのまま腰蓑とレイをつけていればフラダンスをしている人というのが容易に想像できるアクティブな女性だった。顔面も友達の女性とは対照的にアイシャドウが濃い目で浅黒い肌から覗かせる白い歯が健康的な清潔感を醸し出しており、アイシャドウ濃いめその瞳からはダンスを生業にしている彼女の意志の強さを感じさせた。2対2の非常にいい塩梅ではあるが結果的に僕たちはこの女性たちを放流した。なぜかというとまだ僕たちは沖縄の国際通りに降り立って一時間も経過していないのである。これからまだ先があるかもしれない、ここで決めてこの後の行動を制限されるのは惜しい。ここがコリドーならこれで構わないが今我々は遠征して沖縄にいるのである。僕たちはビールとハイボールをそれぞれ飲み終えると店を後にした。彼女たちのLINEは聞いていない。
さて僕たちの行くべき場所は屋台村である。屋台村は近年できたばかりの新名所で20軒ほどのいろんな居酒屋が密集した飲屋街のことである。食と酒の文化をみんなに伝えるみたいなことが書いてあるが要はナンパ街である。上野のアメ横を彷彿とさせるように軒を連ねる居酒屋そしてその店前に出した大きなテーブルと腰掛けに座って初夏の夜のぬるい風を感じながら赤提灯の下で早速酒飲みたちが大盛り上がりしていた。沖縄伝統料理の店やおでん、広島風お好み焼きなどあらゆるジャンルの居酒屋が密集していて、異常な熱気が立ち込めていた。早速ウィリーさんとせっかくだからと店前テーブルに陣取ってこれまたビールを頼む。キンキンに冷えたジョッキをぶつけて飲むオリオンビールが格別だった。適当に枝豆とスパムの炒め物などを頼んで周りのお店や行き交う人たちを眺めた。年齢的には僕たちと同じ30半ばの男性が多かった。そして誰もが目をぎらつかせている。つまりコンペティターである。積極的に声をかけるものもいるし中にはすでに出来上がっているようで「どこからきたの?何歳?」と盛り上がっているテーブルもあった。沖縄でもファイトは行われているんだなとウィリーさんはまんざらでもない表情でそれを見つめていた。ウィリーさんは別に自分だけがモテればそれでいいと思っているわけじゃない。ウィリーさんのように鮮やかにナンパをやってのけることが正しいわけじゃなく下手でも不器用でも勇気を出して女性に声をかける勇ましい日本男児が一人でも多く増えてくれればいいと思っているのだ。ずっとスマホばかりいじってないで、アニメばかり見ていないで、街に出て生身の女性に声をかけて駆け引きや性交渉またはそこから付き合ったり場合によっては結婚したりという関係に発展することだってあるかもしれない。野郎だけで飲んでても面白くないし女性だって女性だけで飲んでても面白いもんでもないのだ。どこか艶っぽい会話とドラマや映画で見るようなシーンを実際に自分が体験してみるといい。そこから人間がわかるだろう、みんな異性や人間がよくわかっていないから異常な犯罪が起きたりするんだ。ストーカーやDV、無理矢理犯したりとかそんな異常行動は相手を知らないからだ。可愛い女の子はみんな優しくて良い子で純情、なんてのは幻想で自分の都合のいい妄想なんだと気がつくべきだ。可愛くて優しくて気立てが良くても平気で男を手玉に取ったり付き合う気がない男をキープとして取って置いたり、一方であまり好みじゃないなと思った女性が自分と趣味や価値観が合う人かもしれないし一緒にいたいと思える優しい女性だったりするかもしれない、そうすれば自分は今まで顔面がカワイイ子以外は全く興味がないと言っていたけどあまり可愛くなくても子供が好きで誰にでも平等に優しく接する女性を愛おしいと思ったり、そんなタイプじゃなくても一回ベッドで裸で抱き合ってみた時に彼女が肌を密着させ自分に全て委ねるように甘えてくる姿を見てこの子こそ守ってあげたいと思うかもしれないそれは自己発見なんだ、一日中誰にも会わずに本を読んで全人間を知ったような気でいたり、自分に一方的に好意を寄せてくれるアニメを見ても仕方ないのだ。こうしてたくさんのコンペティターがその腕を振るおうと勇気を持って女性に声をかけているのは喜ばしい光景だ。
とはいえ、正直女性の数が少ない。オフシーズンだし、あまり若い女性が見当たらなかった。野郎率が70%くらいを占めていた。しかしながら、こちらも正直他にあてがない。国際通りのストリートで堂々とナンパするのは気が引ける。どうしようかと思いながらもウィリーさんとくだらない昔の話や政治経済の話をして引き続き酒を飲んで楽しんだ。こういう仲間が人生に一人は必要である、自分の人生を見つめ直すと同時に乾いた心を潤してくれる、自分に足りないものは何か、また自分と共感できることを気の許せる仲間と共有することで自分は間違ってないのだということを確認できる。このままここでクダを巻いても特に何も発展しないと踏んだ僕たちは一旦この屋台村を後にした。屋台村の入り口付近でいい感じのギャル二人組がいたがさっさと戦闘力の高そうな日焼けした細マッチョ男子二人組に取られてしまった。酔いが回り火照った体を夜風が冷やしてくれて気持ちがよく二人の足取りは軽かった。ウィリーさんといるとどこに行っても怖くなかった。仕事のしがらみもない今の僕は最高に楽しいはずなのに僕はいつでも最高の気分になる前に自分で歯止めをかけてしまうのだった。「ウヒョー、超楽しい」となる2ステップ前くらいで足が止まってしまい、ふとこれから先の人生や仕事のことなどを考えてしまう。内定は決まった、でもその会社がブラックだったらどうしよう?全く今までの自分の知識経験が通用しなかったらどうしようとか、これから結婚して彼女と一生涯やっていけるのかとか、いま考えなくてもいいようなことが次から次に浮かんで自分のハイテンションを無理に落とそうとする。結果的に天秤のようにバランスが取れて僕はハイになることはない、ある意味情緒が安定しているというのだろうか。
時刻は21:00を過ぎていた。実はウィリーさんには1つ行きたいところがあるようだった。ちゃんと下調べをしておくのもウィリーさんのいつもの戦い方だ。場所を把握すること、地の利を味方につけるだけでナンパの成功率は格段に上がる。沖縄の国際通りの若者は土曜の夜などにどこに集まるのかを下調べしたところ、とあるクラブに集まるという。クラブなんて久しく行ってない2015年くらいにウィリーさんと銀座のクラブにハロウィーンの時に行ったきりだ。国際通りの大通りに面してはいるが少し中心から外れたところにそのクラブはあった。ラーメン屋などが立ち並ぶ雑居ビルの二階にそれはあり、暗く怪しげな階段を登っていくとクイズ番組の司会者が使うようなテーブルが階段上がってすぐ左に構えてあって、どうやら土日はここで入場制限をかけているらしかった。この日は平日なので誰も構えておらず、そのまま素通りして中に進むと右手側が広いダンススペースになっていてバーカウンターも設置されてあったが平日のオフシーズンの夜はここは誰も使っていないようでピンクの照明だけがぼんやりとついていて天井から吊るされたテレビに何かの海外ラッパーのプロモビデオが延々と流れていた。奥の廊下には青いネオンで「ZIMA」という字が暗闇の壁で怪しく光っておりさらに奥を見やるとトイレらしきサインが見えた。左側には重厚な非常扉のようなものがあり、どうやらここがメインの入り口らしく恐る恐るその中に入るとこれまた大きめなダンスフロアとその壁際には4つほどの大小異なるサイズのテーブルと椅子が置かれていて、その反対側の壁にはバーカウンターが設置されていて中でバーテンダーがせっせと酒を作っていた。店内にはもちろんガンガンに英語のラップミュージックがかかっていて大型のスクリーンにはそのプロモ映像が延々と再生されていた。残念ながら今日は客がまばらで奥にはVIPルームもあるようだが誰も使っていなかった。女性客といえばテーブルに地元のちょっと派手めな感じのおばちゃんと花の高い外国人が楽しそうに話ていて、あとはカップルや3、4人組でボトルの酒を飲んで談笑しているだけだった。正直ここに勝機はない。でもせっかく来たのでここの空気にも触れておこうということになり僕たちはハイネケンをボトルで頼んだ。音楽がうるさ過ぎてほとんど会話にならなかった。こういう時楽しそうに話をしているカップルやグルーピーを見ているとよくこんなうるさいところで話ができるなと感心する。でもクラブそういう場所である。大きい音楽をかければ必然的に近づいて話をするようになる。外人のそれを見てみると男が女性の耳にぴったりとくっつけて話をしていたりする。こうやって距離を縮めてボディタッチを増やす、クラブの大きい音楽にはこういう効果があることを忘れてはならない。30分ほどいたが全く新しい客が入ってこないので、ウィリーさんに「もう出よう」と目で合図して外に出た。しかし困ったことにもうこれ以外の場所にあてがない。結局夜風に当たって散歩しながら僕たちはさっきの屋台村に戻ってきてしまった。総合的にみてここが一番人が集まるしテーブルの距離感や開放感などを鑑みると一番やりやすい場所なのだ。僕たちは朝まで遊ぶ気なんてさらさらないので、ここであと一時間酒でも飲んだら23:00前には帰ろうと決めていた。さてと困った、もう店じまいをそろそろ始めているところもあるのである。どの店で最後の一杯を飲むかと思っていると二人組の若い女性が目の前を歩いていた。早速ウィリーさんが「こんばんは」と横から声をかけた、後ろからでもない前からでもない横から声をかけるのが相手に怖さを与えない基本ポジションである。なかなか食いつきのいい女性達で一杯ならということで了承した。一箇所お土産屋兼飲み屋みたいな店があり、その中で飲むことにした。流石に遅い時間で店内はガラガラ、奥の方がお土産コーナーになっていて、手前側が角打ちのように自分で好きなボトルビールや泡盛を選んで飲むスペースになっていた。適当な場所に腰をかけてご当地のエールを4本選び乾杯をした。彼女たちは一人は明るい茶髪のショートボブで白いTシャツに黒いショートパンツという夏を先取りな格好だった。もう一人は黒髪を後ろで束ねた細身の女性でもう片方の女性と比べ控えめな印象を感じた。年齢は26歳くらいでOLをしているという片方は東京在住でもう片方は名古屋在住と言っていた思う。早速ウィリーさんの軽快なトークを始めたが、こちとらもう閉店も近く夜も遅い、しかも話した感じとかからいわゆる即ハボタイプではないとすぐに感じた。つまりこの後、すぐにどこかに連れ込むということはないのである。こうなると適当に会話と酒を楽しむことにシフトするのが吉である。「なーんだ、やらせねーのか?」なんて某国民的男性アイドルのメンバーじゃないんだからそんな野蛮な真似はしない。あくまで僕たち二人は紳士なのである。早々に彼氏の話にシフトしていった。ナンパの会話は最初は出身や仕事など他愛もないことを話して相手の警戒を解きながら少しずつ情報を引き出していく。そして30分もしたら恋愛の話にシフトするのが鉄則だ。いつまでも趣味の話とか仕事の話しても面白くもないし、それ以上には発展しない。最終的にはベッドに持ち込むためには少しずつエロい方向に話を持っていかないといけない(まあ、この日は即ハボ狙いではなかったが)
その第一弾として恋愛トークは万能なオープナーである。「彼氏はいないの?」この話を切り出せばそれでいい。そこからいない、いるの話になったら「なんでいないの?出会いないの?」とか聴きながら「前の彼氏はいつ?どんな人だった?」と深掘りをしていくと「うーん、束縛するタイプだったかな」とかどんどん喋らせる。そして大抵前の彼氏の浮気が原因で別れたに決まっているんだから「そういう男だったんだ。でもそういう悪そうなやつに惹かれちゃうんじゃないの?」とか「自分も実は浮気したりあったんじゃない?」とかそういうパスをして「う~ん」みたいな苦笑いでもしたらしめたもの。「え、自分も他の男と会ってたの?」とどんどん突っ込む。いちいち話題なんか探さないでもこれだけ大盛り上がりである。そして仕返しだろうがなんだろうが他の男と寝る女は好色な女でここまできたらどういうプレイをするのかとかそういうところをちょっとずつ深掘りしていくのである。いつまでも健康的な会話ばかりしていても何も発展しないが、ここまで好色な話をすれば自ずと雰囲気も好色になっていく。悲しい話をすれば場が悲しくなるのと同じでエロい話に持っていけばエロい雰囲気にもなっていくのである。
そんなこんなでウィリーさんがちょっとずつ彼氏の話に持っていくと意外なことにこの茶髪のショートパンツの方ではなく黒髪細身の彼女の方が現在の彼氏の話をどんどん話し始めた。どうやら茶髪の方は以外に身持ちが固いようで、「彼氏いない、前の彼氏フツー」というやる気のない会話をするだけでこの黒髪女性の方を僕たちは一方的に攻めた。この子は打てば響く子で聞けば必ず何か受け答えをしてくれる感じのいい女性だった。最終的にどういうプレイをするのかまで話を発展させコスプレをするのかまで聞き出した。ちなみにこの子は彼氏の頼みで女子高生の格好をきてあげたことはあるが恥ずかしいから「心の中では中指を立てていた」というインナパンクス精神を見せ、僕たちを驚嘆させた。0時をそろそろ周る頃、僕たちはLINEも交換せず「楽しかった、またね」と彼女たちと別れた。何も性的な見返りはないがこれでいいのである。野郎だけで飲んでも面白くないからガールズバーやキャバクラに行く。すると一時間4000円や5000円取られてしまう。でも僕たちは酒を一杯おごっただけで女性と話をして楽しん時間を過ごせた、金銭の授受なしに。なんとも健康的だろう。
タクシーを捕まえて、僕たちは宿に帰った。近所のコンビニで水を購入してスナック菓子も少し購入して部屋に戻った。結構飲んだが明日は水納島でシュノーケリングをするのだ。それこそが本番である。シャワーを浴びて僕たちはそれぞれのベッドで眠りに入った。
翌日、朝9:00前に目が覚めてシュノーケリングの前にいくつか名所を回ろうということになった。軽く顔を洗って髪型も整えて歯を磨いて外に出た。小さいことだがウィリーさんも朝にちゃんと歯を磨いていたことに僕は喜びを覚えた。というのも僕は朝ごはんを食べないが必ず歯を磨いてから外出する。僕の彼女は歯磨きが嫌いらしく、朝ごはん食べないから磨かないで会社にいくというさらには朝起きて一番に口をゆすぐ習慣もないらしい。親愛なる読者の皆さんはちゃんと朝に歯を磨く習慣があるだろうか?寝起きの口の中は大便スプーン1杯分くらいの菌が充満しているらしい、そのまま飲み物でも飲んだらどれだけ不衛生かお分かりだろうか?そうじゃなくても寝起きは口が臭いから口をゆすぎたいと思わないのか?口臭は唾液の分泌によって解消することができるが、元々の口腔内が食べ残しや歯垢や菌などで汚れていたら唾液を出しても意味がない。だから朝はちゃんと歯を磨くのは当たり前と僕は思っていたが、彼女はその習慣がなく、久しく僕がマイノリティなのかと思っていたがウィリーさんも朝は必ず歯磨きをする習慣があるようで安心した。考えても見て欲しい、朝に歯を磨かない人はおそらくお昼もオフィスで歯を磨く習慣はないだろう、そうすると夜23時くらいまで歯を磨かないものだから口の中は菌だらけで嫌な匂いで充満しているはずである。「あ、俺今すげー息臭いな」とか感じないのだろうか?女性で歯を磨かないのは本当にがっかりする。営業でくる若い可愛い女の子も近づいて話をするときとか夕方16時くらいにモワッと歯垢と昼に食べたものと唾液の生臭さが混じった異臭を放つもんだから一気にげんなりする。顔とか髪型や服装には清潔感を保つくせにどうして口腔内にはそれが及ばないのだ?お風呂に入るのが大好き、体を綺麗に清潔に保ちたいという願望はあってもなぜ口腔内は汚く臭いままで平気なのだ?
続く
2019年を振り返って001
どーも、オハラです。
久々に筆をとってみようと思います。
みなさんお元気でしたか?僕は昨年2019年は本当にいろんなことがありました。
昨年を振り返るとともに、2020年の所信表明をしていきたいと思います。
ということでまずは親愛なる読者のみなさんと一緒に昨年2019年にオハラの身に何が起きたかを順々に追っていきましょう。
あの伝説のナンパ師ウィリーさんも途中参戦するよ。
2019年1月
年明け早々にボーナスが全面カットの旨を会社から告げられる。前のブログにも書きましたが、前の職場でボーナスが全面カットされました。理由は日本は良かったけど海外がズタボロだったから連帯責任というふざけたものでした。
ボーナスは確かに業績が悪かったら出ないもので本来当てにしてはいけないものであるが、去年くれたものが今年0というのは納得いかない。しかもこちとらいい業績を上げているのである。その理由がUSやEUが業績悪かったからということで、それらは今まで良かった試しがないのである。つまり今後も同じ理由でカットするに決まっている。こういう時に社長が頼りないと僕は一気にげんなりする。2015年に勤めていた会社で僕は海外の研究所の日本代理店営業をやっていたが、その研究所が買収されて僕の仕事がなくなってしまった時にその当時の社長が「決まったもんは仕方ない」と何も行動しなかったのを見て「ああこの会社はまずいな」と思った。この時に社長がもし「俺が直々に向こうの会社に行って直談判してくる」なんて言ってその研究所に「どういうことですか?私何も聞いてませんよ?説明してください」と詰め寄る態度でも見せてくれた上で「すまん、みんな買収が決まってもうどうにもならないんだ、俺のせいだ」みたいに従業員に頭を下げてきたら「いや、社長いいですよ」とこっちもやれることは全部やってくれたんだなと納得できるが「決まっちゃったんだからしょうがない」で済ませる社長を僕は信用しない。今回の会社もメールで「少しは寸志でもください」と社長から言ったらしいが、せめて電話で激しく抗議する様子を見せるとかしてほしい。
僕には2月に彼女にプロポーズするという目標があったのだ。中古の軽自動車が買えるくらいの指輪をプレゼントすることになっていた。ここでボーナスがないのは計画が大きく狂ってしまう。
それでも僕は有言実行が今年のテーマだったから周りの人に彼女の誕生日である2月にはプロポーズをするという計画を遅らせるわけにいかないのだ。予定通り2月のプロポーズに向けて、指輪を買いに行ったりと準備を進めていった。へそくりを全部かき集めてやっと指輪の購入金額を作った。
某有名な海外ジュエリーブランドに行き、彼女が前からずっとほしいとねだっていた指輪を予約した。その時に対応してくれた担当者のおっさんが予約の控えの紙に書いた金額に消費税を入れ忘れたせいで僕は後日ぴったりの金額を現金で持って行ったら足りないという事態に陥った。僕は事前にそのおっさんに「この¥XXXXXだけ支払えばいいんですよね?」と口頭で確認し「はいそうです」とそのおっさんははっきりと答えたのだ。その結果がこの体たらくである。僕が「プロポーズするんですよ」と相談した時にそのおっさんは「きっと大丈夫ですよ、この指輪に魔法がかかってますから(笑)」とかほざいたことを抜かしやがって、魔法の前にちゃんと消費税をかけた控えを渡しやがれ。
もちろん僕はメールでクレームを入れた。「せっかく人生の一番大事な贈り物なのに非常に残念です」とクレームを入れたら後日電話がかかってきて、そこの店長から謝罪がきた。当日、その店長が対応してくれて、もう現金で払うのはやめてカードで支払うことにした。不手際を起こしたおっさんが「どうもすいませんでした」と頭を下げてきたが僕は許す気が無かったので「はぁ」とだけ言っておいた。騒ぎ立てるつもりはないが、世界的に有名なブランドでさらにプロポーズに使う品物を扱っているんだからこんな不手際をやらかすこのおっさんを許したく無かったので「もういいです」と許しはせず「はぁ」とだけ答えておいた。40ちょっとくらいの若い見た目の店長が終始穏やかに対応し、ようやく指輪を購入。これだけクレーム入れたから何か埋め合わせがあるのかと思ったが、謝るだけで何も無かった。世界的有名ブランドが聞いてあきれる。もっとうまいやり方があるだろう?例えば、「そういえば結婚指輪はもうお決まりですか?もしよろしければ、今回のお詫びの印に結婚指輪を当店でお求めいただければ20%割引させていただきます」とかすれば少し利益は減るが次の売り上げにも繋がるしお客だってリピーターにできるかもしれないのに。もっとうまい商売をしてほしい。最後に「よろしければ当店は期間限定のレストランを経営しておりますので、お連れ様ご一緒にぜひ機会があればいらしてください」とだけ言ってきた。割引券も何もなし。ここでこの店長も「私の名前を出せば割引するように言っておきます」とかすれば自分に恩を売ることもできるのになんてヘタクソなんだ。しかもあとでそのレストラン調べたらつい最近に食中毒出していて対応がめちゃくちゃ悪かったとネットニュースで大炎上してるじゃないか。
そんなこんなでプロポーズの準備を終える。
2019年2月
彼女の誕生日パーティは2/23に決定。彼女が大好きな天ぷらを食べに行くことに。この天ぷら屋がまあ高い。彼女がずっと行きたかった天ぷら屋らしく予約取るのも一苦労。3ヶ月前くらいに電話してやっと取れたのが夜の9時の席だった。この天ぷらだけで二人で3万5千円くらいだった。本当に女は金がかかる。
天ぷら屋さんに行く前にまたもクレームを入れる事件が起きた。それは2月の初旬くらいだったと思うが、会社でいつものようにお昼ご飯を食べていた。僕はコンビニの小さい弁当と春雨ヌードルを食べていたが、弁当を食べている時に「ガリ」と砂を噛んだような音が鳴った。そぼろ弁当だったが吐き出してみると何か0.5mmくらいの透明な粒のようなものが出てきた。プラスチックの破片?もしくは砂つぶ?とにかく全国展開しているコンビニの弁当にあるまじき事態だ。僕はすぐにメールでクレームを入れた。このコンビニは誰もが知っているテレビでもCMを見ない日はないくらい有名なコンビニで、さすがは対応がしっかりしていて、メールして10分もしたらすぐに携帯に電話がかかってきた。女性のオペレータが真摯に謝り状況を聞いてきた。この前のジュエリー屋さんとは大違いである。
その夕方に弁当を作っている工場の責任者から電話がかかってきた。「このたびは大変申し訳ありませんでした」と電話越しに謝罪。なんと家まで行って謝りたいと申し出た。流石にそこまではと言ったが「その入っていた異物を詳しく調べたいので受け取りだけでも行かせてください」とのこと。あのジュエリー屋もこの対応見習わなければならない。世界ブランドだからと調子に乗っているといつかしっぺ返しを食らうことを覚えておくといい。その週の日曜日の指定した時間にその担当者は家にスーツで現れた。もちろん手には菓子折りを持っていて、まずは深々と頭を下げて謝罪した。僕は取っておいた弁当の箱とジップロックに入れておいた異物を手渡した。「一応聞いておきたいんですが、この異物を調べたりするんですか?混入経路とか?」と聞いたら「はい、専門業者に頼んでこの異物を調べてもらい、工場内も調査いたします」と答えた。僕は「個人的に気になるので、異物の正体がわかったら教えてください」とだけ伝えた。その担当者は「これよかったら」と菓子折りを差し出してきた。「いや、そういうつもりは」と断ったがどうしてもというので一応受け取った。本来ならこれで受け取るということは謝罪を受け入れたことになり、のちに裁判とかで不利になるが僕は別にこれ以上争う気は無かったのでもらっておいた。さらに弁当代金も返してくれた。
ここまでしてくれたら流石に良識ある人なら「もう結構です」と許すのが筋だ。僕も特にこれ以上いう気はなくこのことは納めた。ちなみに後日、あれは石だったと判明したがどこからどうやって入ったのかは不明という報告をちゃんと電話で僕にしてきた。おそらくお米の中にごく稀に砂を拾ってしまうことがあるという。みんなも気をつけよう。
そして、2月某日僕は彼女の誕生日祝いと称して池袋に誘った。プロポーズするからには「今日はちょっと違うんだぞ」と匂わせないといけない。池袋は二人の出会いの場所でもある。そして二人で初めて食べに行ったスペイン料理の店にランチしに行った。彼女はこの店に来たことなどすっかり忘れていて「来たことあったっけ?」とぬかしやがった。さて、夜9時まで暇である。僕のカバンには数十万円相当の指輪が入っているもんだから気が気じゃない。とりあえず、二人で池袋の大きなゲーセンに行ってメダルゲームをして4時間くらい入り浸った。彼女はメダルゲームが好きで3時間も4時間も平気でやっている。最近では家でメダルゲームのyoutube動画を見てるくらいだ。こうして時間を潰し、その有名な天ぷら屋に行った。さすがは有名な店で完全予約制のカウンターに3組までしか座れない高級店。奥にチャラそう&金もってそうな若いカップル、その手前に20代中盤くらいのちょっとウブな感じのカップル、そして我々という采配だった。
これから二時間たっぷりかけて高級な天ぷらを食す。静かな店だから会話も間が持たない。というか早くこちとらこの指輪を渡したいのである。二品目の天ぷらを食べたあたりで会話の間が持たず彼女が「今日撮った写真見せて」と僕のスマホを所望した。僕は何も警戒せず見せてしまったが、これが大きな落とし穴であった。いくらか写真をスワイプしたのちに彼女が「あ」と言って僕にスマホを返した。何かと思って見ると指輪の高級な包みが写った写真だった。僕は一応記念にと昨日のうちに指輪の箱の外観を撮影していたのである。バレた…。完全にバレた。サプライズが道半ばで失敗である。僕はとっさに「ちょっとトイレ」と個室に入った。「ちょっとトイレ」魔法の言葉だ。僕をどんな時でも一人にしてくれる。落ち着いて自分に戻れる場所だ。
口にハンカチを当てながら「きゃあああああ!!!」と叫んだ。「いっつもそうじゃん!!いっつもそうじゃんよ!!」と自分を責め立てた。トイレから出てきて、その後7品くらいある天ぷらを食したが全く味を感じない。早く時間が過ぎてくれるのを待った。23時ちょっと前にようやく解放され、当時彼女が住んでいた部屋に入ってすぐ「もうバレちゃったね」と言いながら指輪を差し出した。それでも彼女は涙を流して喜んでくれた。そのまま肌を重ねればロマンチックだったが、彼女があの日だったらしく仕方なくオーラルでフィニッシュ。ハリウッド映画みたいに「Will you marry me?」「Sure, I love you」と言って接吻しそのまま燃えるようなセックスというわけにいかなかった。現実はこんなもんである。
2019年3月
親に報告し、僕たちの結婚への準備が進み始めた。ウチの親は東京生まれ東京育ち、家も端くれではあるが東京にある。僕はいわゆる子供部屋おじさんで、幼稚園の時に買ったベッドでずっと36歳まで寝泊まりしていた。彼女は実家が島根県なのだ。ということで本来なら男が女側の親に先に会いにいって「娘さんを僕にください」という三文芝居をしないといけないのだが、遠方の都合上まずは彼女に僕の両親に会ってもらった。両親も目を丸くして「こんな美人が息子の結婚相手とは」とびっくりしていた。彼女は身長170cmのすらっとした女性で背中まである長い茶色の髪と茶色いカラコンを装着した大人美人である。ちなみにFカップあるが見た感じそこまで大きくは感じないが形は綺麗だ。
3月のとある土曜日の昼に時間を取って彼女を僕の家に連れてきた。念入りに掃除して西陽をふんだんに取り入れた清潔感のあるダイニングにてテーブルを囲んだ僕たちはまず彼女の紹介から簡単に始めて会話がスタート。僕の両親もドギマギしながら話をしていき、主に父親が喋っていた。というか歳をとると何か話をしていないと気が済まないのか、どんどん聞いてもいない昔話や僕の幼少の話をしていった。僕たちの出会いはなんと説明すればいいのか、ネットの出会い系アプリで知り合ったとは言いづらいが、僕のお兄ちゃんはネットの有料お見合いサービスで知り合ったので、それと同じようなものとだけ伝えた。
お兄ちゃんがどんなサービスを使ったか知らないが僕が使ったのはテレビでもたまにCMやっている出会い系アプリだ。セフレとかでは無い恋人探しに特化したもので、女性は無料で男は有料。月学4000円近く払って一月に30回女性に「いいね」が送信できる。「いいね」を送らないと何も始まらないので必然的に課金が必要になる。「今ならいいねが通常の二倍もらえるキャンペーン」というのが定期的に行われ10,000円で本来は100いいねもらえるのを200いいねもらえるというから僕は何回かそのサービスを利用した。結果として半年近くこれを利用しその間に何回か10,000円を課金しているので都合10万以上は使っていると思う。一方で女性は無料、何が男女平等だバカ野郎。百歩譲ってお酒を飲むパーティで女性は会費半額というのは「女性はあまりお酒飲まないから」という理由があるからまだ理解できる。でも恋愛とかお見合いサービスでなんで男女差が出ないといけないのだ?結局女性は受け身で男からアプローチしてくれないと嫌だとか抜かすし、ホテルに誘うのも男からだし、食事代だって男が出すし、プロポーズも大枚を叩いて指輪を購入して膝をついて「結婚してください」と男の方から言わないとだめという女性が優遇されすぎている不愉快千万なこのシステム。食事代とかプロポーズとかそういうのは男がやる代わりに男が無料で登録して女が金払えばいいんだ。事実、女が無料だったから傲慢な女が結構いた、例えば高い飯に連れていってくれないと嫌だと会うのを拒む女がいたし、会ってみたら手前はこの世の終わりみたいなつまらなそうな顔で終始こっちの質問にもろくに答え無いくせに男を完全自分主観の評価基準で点数をつけては「ろくな男がいない」と宣う女もいた。女も女で男女平等とかいうくせにこういうところは甘えているのが現実だ。これで女性の方から「男女平等を考えたら男もアプリは無料にするべきもしくは女性も有料にするべき、女だって稼いでるんだから」という声が上がれば大したものだが、そんなこという女性がいない、男女平等とか言っておきながら「やっぱ女は得よね~」とか飲み切れもしない馬鹿でかいタピオカミルクティーをチューチュー。だいたいベッドの上でも男が女を気持ちよくするのに筋肉痛になりながら舌と指と腰を使って必死で汗だくでやっているのに女はただ仰向けになってan-an言ってるだけじゃ無いか。快楽指数でいうと女の方が男より倍以上の快楽を得るとかよく言われているのも納得できん、男が必死に汗だくでやる代わりに女より倍以上の気持ちよさを得るなら筋は通るが。
閑話休題
とにかく親愛なる読者のみなさまには僕のようにアプリから結婚にこぎつけた人間もいるということを知ってもらいたい。アプリから恋人になって結婚する人は今の世の中たくさんいる。出会いなんてどうでもいいじゃ無いか。運命の出会いとかいうけど運命なんて後付けだ。出会いの形なんてどうでもいい。銀座でナンパしても馬が合えばいいじゃ無いか。
親にはそんな感じで簡単に自分たちの出会いを説明して彼女の人となりも軽く説明してその日は終わった。問題はこの後、彼女のご両親に会いに行かなくてはいけない。彼女の両親は島根県にいるのだ。
2019年4月
花粉が舞い、桜が目黒川を彩る艶やかな時期に僕は飛行機に乗って彼女とともに島根へ向かった。一応スーツに身を包んだ。そんな硬くする必要はないが一応誠意は見せねばいかぬ。朝9:00頃に羽田空港に集合し一緒に朝飯のカレーうどんを食べた。僕は営業をやっていた時によく海外出張で台湾に行ったが必ず成田でカレーうどんを食べた。自分なりに縁起をかついで物事がツルッとうまくいくようにと願掛けを込めていた。豪華クルーズ船などの船長も狭い橋などを通る時は縁起かつぎのためにうな重を食べるという。ウナギのようにするっと橋を通り抜けるようにという意味だ。
国内線に乗るのは久しぶりだった。僕は国内旅行にほとんど行かないので国内を旅するのに飛行機に乗るという感覚がまだ馴染めない。しかも国内線はすごい揺れるイメージがある。この時も結構揺れた、上空で揺れるのはどうもいい気分がしない。でも雲の間を通ったりすれば揺れるのは当たり前で飛行に問題はないのである。事故にあう確立も車の運転より圧倒的に少ないので飛行機が苦手な人は「車より安全だし」と思えば気持ちが楽になるだろう。
ほとんど国内旅行に行かない僕が島根県に降り立った。厳密には米子空港だから鳥取県だったが。米子空港はゲゲゲの鬼太郎を全面に推しておりイラストや銅像などが飾られていた。その時はふーんくらいしか思わなかったが、僕は現在NETFLIXで鬼太郎にハマりまくっている、現代社会を皮肉った内容と鬼太郎の熱いバトルと萌えキャラクター、オススメである。
空港からバスに乗り島根県の松江市に向かった。申し訳ないが田舎である。時々畑が顔を出し、家々は低くマンションなどがあまりない土地持ちのでかい庭がついた一軒家がいけどもいけどもベルトスクロールしてくる。この辺の家は古い名残で築地松という松が庭に植えてある。もともとは海風を防ぐために植えられた背の高い松だが、今では建築技術も洗練されてただのオブジェとなっている。松江市の少し古めのホテルにチェックインし一息ついた、彼女の両親は開業医、つまり町医者である。まさか自分が医者の娘と結婚することになるとは想像していなかった。親父さんの情報を事前に色々と聞いていたが荒っぽい、昔気質、喫煙者、ギャンブル好きで身長180cmというVシネに出てきそうな人物像。写真で見たことはあるがおひょいさんで有名な藤村俊二さんに顔が似ていた。お医者さんなので昼間は仕事ということで夜に食事をすることになっていた。何を話そうか、やっぱり娘さんをくださいとかやるのかな~などとホテル目の前にある宍道湖の綺麗な夕日を眺めながら考えていた。
島根県は神話の国と言われていて、スサノオノミコトの伝説で有名である。眼前の宍道湖に沈む夕日を見ているとそれがまざまざと実感できる。海と間違えるほど大きく広がる湖の水面に金色の夕日が照らされてその向こうは建物がなく山々と空が映えている黄金の空の雲の隙間から今まさに神様が宍道湖へと天下りして来そうなそんな錯覚を覚えるほどに美しい光景だった。そんな夕日を見ながら自分はついに結婚するんだなとしみじみ感じていた。23歳でイギリスに留学してから早10年が経過した。イギリスに留学に行ったのは簡単に言えば自分探しだった。僕は私立の中学高校に行って6年間男だけの空間で育って恋愛対象がアニメキャラで女性を知らなかった。卒業して1年留年して結局あきらめて僕は専門学校の道を選んだ。初めてそこで女性との社会を経験した。僕は女性を知らず、男だけの偏った世界で育ちそのまま社会に出ることに言いようのない不安を覚えた。前にブログで書いたが専門学校で初めて経験した恋愛があの体たらくでしかもそれが20歳の時だった。このまま働きに出てそのまま30、40と人生が流れていくのがすごく不安だった。その時に自分が行きたいと思ったのがたまたまイギリスだったということだ。英語に興味があり、グラフィックデザインを勉強したかった。その最適な場所がイギリスだったというだけだ。結果的に留学に行って良かった。英語という普遍的な武器を習得したし、女性との初体験も経験したし、日本では経験できない体験もたくさんした。正直イギリスに行かなくても人間を知ることや自分探しなどはできる、でもその経験をする場所や環境を選ぶのは本人の自由である。経済的に僕の家はそれを許してくれる親だった、世の中には留学したくても経済的にできない家とかがあるじゃないか、僕はたまたまそれができるラッキーな家に生まれたんだなと思ってありがたく留学に行かせてもらった。親にはとても感謝している。そんな自分ができる一番の親孝行はこうして結婚をして幸せな家庭を築くことなんだと思う。少し前までは自分が結婚するなんてと想像が全くできなかったが、今こうしてそのいわゆる「幸せ」というものに近づいているんだなとしみじみ感じていた。
留学に行った頃から結婚をしたいという気持ちが芽生えたのは事実だ。それまでは結婚なんてしない、自分は一生独り身で自由にくらして好きな女とやりまくるなんて考えていた。おそらくほとんどの男性が若い頃はそう考えるだろう。でも、イギリスで僕は精神的にも物理的にも孤独を味わった。地球の裏側で家族に会いたくても友達に会いたくてもそれができなかった。基本的に一人でクリスマスなどイベントごとを過ごさなくてはいけない。クリスマスから新年までが一番きつかった。クリスマスは家族で過ごすイベント、つまりイギリスに家族がいない僕は一人ぼっちだったのだ。そんな時、今はまだ20代でこの孤独になんとか折り合いをつけられるけど、40歳すぎたくらいからだんだんと体だけじゃなくて心も老いていくだろうと考えると果たして自分はこの孤独をやり過ごすことができるだろうかと真剣に悩んだ。40すぎてからやっぱり結婚したいと思うのは遅すぎるとは言わないが現実的ではない、そう考えると帰国したら恋人を作ってちゃんと結婚を考えようという気持ちになった。こんな風に思ったのは自分だけかと思ったが去年テレビで武藤敬司さんが自分と同じ経験をしたと語っていた。武藤敬司さんは若い頃、アメリカにプロレスの興行の遠征に行って日本から来た悪役レスラーとして大人気だった。その時、クリスマス時期になるとスタッフもみんな国に帰ってしまって誰も相手にしてくれなかったという。遠い異国でクリスマスの寒い時期を一人で過ごした時にふと「家族が欲しいなあ」と思って結婚を考えたという。まさに僕と同じ経験だった。その気持ちに気づいただけでもイギリスに行って良かったんじゃないかと最近ではよく思う。
若い頃に想いを馳せながら19:00を迎えた。竹内まりやさんが松江出身ということでそのご実家の近くにある料亭でご両親と待ち合わせた。鼓動が早くなり、料亭の玄関口で両親とご対面。営業スマイルでペコペコ頭を下げて簡単に挨拶したのちに個室へと通された。6畳くらいのこのまま4人寝泊まりができそうな広い和室に通され、テーブルを挟んで2対2で対面。お父さんは写真で見たままな感じで、お母さんは小柄な160cm無いくらいの背丈で切れ長の目でいつもにこやかな綺麗な女性だった。僕の緊張を感じ取ったお父さんが「そんな固くならなくていいよ、許すから」とあっさり向こうから結婚の許しをもらった。「ただし、後悔だけはさせないでくれよ」と真剣な顔で言われた。僕は「はい、もちろんです」としっかり頷いた。それからは会話も弾み、ここでもやはりお父さんが会話の主導権を握っていた。医者だから若い頃はドイツに赴任していたとかちょうどその時にベルリンの壁が崩壊してなど非常に興味深い話をたくさん聞けた。ちなみに彼女が生まれたのはそのドイツにいる時、ドイツの母子手帳を今でも大事に持っているらしい。僕の父親とは真逆の環境で仕事をしてきた人だと感じた。僕の父親はコンビニの経営者である。もともと酒屋を営んでいて、日本でコンビニを流行らせようとした某有名チェーン店が話を持ちかけてきてコンビニに転身した。東京の下町で他に競合がおらず今もまだうちのコンビニは存続している。僕の父親はコンビニ経営者というだけでなく店長として店に立ち続けた、つまり休みなんてほぼない。何か問題が起きたら夜中でも飛び起きて対処しないといけないし、自分の店を守り続けたからキャリアを変えることもせずずっとあの東京の下町から出ることはなかった。一方で彼女のお父さんは若い頃は外科をやっていて、ドイツにも行ったし、神奈川の病院に勤めたり、長野の病院に勤めたり、最終的に島根に戻って現在は自分の病院をやっている。転々とした人とずっと同じところにいた人、結婚した今この二人はどっちも僕の父親になるわけだが、とても対照的な二人だが、昔気質で江戸っ子っぽいところは互いに共通している気がする。
彼女のお父さんはお酒が好きでとにかく飲まされた。こういうとき酒に強くて良かったなと思う。僕は人並みよりは強いと思う。若い頃は無茶な飲み方をいっぱいしたが、今はもう飲み方を知っている年齢だ。自分が何杯で限界なのかとか「あ、この酒は飲みすぎるとやばいな」とか判断ができるからペースを計算して飲みすぎなければいい。それが飲み会でのうまいかわし方だ。こうしてご両親への挨拶は22時前には終了、そこまで緊張する必要はなく気さくなお父さんとお母さんだった。
2019年5月 顔合わせ編
この頃からいよいよ生活が目まぐるしく変化していく。今度のミッションはうちの両親と向こうの両親の顔合わせ&略式結納をするということ。ゴールデンウィークの時に向こうのご両親が長男すなわち彼女のお兄ちゃんに第二子が生まれたということで東京に遊びに来るというのだ。その時を見計らって僕は新宿の駅ビルの最上階にある料亭を予約し顔合わせと略式結納をするため段取りを組んだ。
失敗しないように前もってそのお店を下見に行った。予約もちゃんととれているし準備は万端である。あまり今の時代結納をすることはないと思うがうちの両親がこういうのはちゃんとやった方がいいということでこの席を設けた。やり方は簡単である。これは親が主に先導してやることだ。それぞれの父親が決められたセリフがあるのでそれを互いに読み上げていく。デパートとかで結納セットが売っているからそれを飾って、昔はお互いに家宝を譲渡しあったりしたようだが今はお金を渡すのがしきたり。人身売買のようだが嫁に来てもらうということで僕の親が向こうの親に100万円を渡すのである。日本の文化は本当にユニークでせっかく100万あげるのに「悪いから」という理由で半返しとして50万円を返すという謎のしきたりがある。そして結局、100+50の合計150万円をこれからの結婚生活の資金にしなさいという名目で僕たち二人に渡すというなんとも回りくどいお金のやりとりがあるのだ。まあこれも一生のうち1回ことだからやってみていい経験だったと思う、別に自分に負担になることは一切なかったし。
結納はものの10分で終了。あとは乾杯して歓談である。僕は全く心配してなかった、向こうのお父さんはお医者さんだけどとても気さくだし僕の両親とも仲良くできるだろうと確信していたから。僕の父親も顔が真っ赤になるまで結構お酒を飲んでいた。父親がお酒を飲むようになったのは仕事を引退した60すぎてからだ。コンビニ経営と店長の立場から酔っ払うことができなかった。夜中でも飛び起きていかないといけない使命感があったから、でも今はもうそれに縛られなくていい、立派に店を潰すことなく60歳まで守りきって僕とお兄ちゃんを結婚できるまで育て上げたから酔っ払う権利は十分ある。もう自分の好きに趣味のゴルフ、庭いじり、映画鑑賞と楽しい酒を十分味わってもらいたい。向こうの父親も僕の父親も昔話が尽きなかった、向こうの父親は若い頃は新宿で遊んでいた、僕の父親は若い頃は吉祥寺に住み込みで働いていた、そんな話を楽しそうに話していた。僕は小さい頃からこうして父親とかおじいちゃんとか大人の男が楽しそうに話しているのを見るのがなぜか好きだった。別に自分は何も面白くないしその話題についていけないのに大の大人の男が二人または大勢で笑顔で懐かしい話とかしているのを見るのが何かこっちも嬉しくなるというかそんな気持ちになるのだった。
彼女は結婚したら絶対に子供が欲しいと言っている。僕も子供は嫌いではない、うるさくて生意気な他人の子供はあまり好きじゃないけど自分の子供だったら可愛いに決まっているんだ。自分も父親と同じように子供が結婚するまで育て上げることができるだろうか?手探りでもやるしかないんだろうな。顔合わせも無事に終わって最後は彼女のお父さんが宜しくお願いしますと握手を求めてきた。これであとは結婚式なのだが彼女が島根にちなんで出雲大社で結婚式がやりたいと言い出した。「いいよ」と僕は1つ返事で答えたが少しこのことを後悔している。
特に何も考えず出雲大社でやるということに了承してしまったが、考えてみれば都内で結婚式をあげるのも一苦労なのに出雲大社…。何から初めていいのか全くわからん。取り急ぎ、自分たちのやるべきことは結婚式は来年で今は二人が住む場所を決めることが先決だった。彼女はしきりに高田馬場に住みたいと言って譲らなかった。理由はもともと彼女が新宿に住んでいて、新宿区から出たくないということと高田馬場を一緒に散歩した時に飲食店や駅前のBIG BOXなどをかなり気に入ったからだ。これに対してもいいよと僕は答えたがこれも少しだけ後悔している。もう少し色々とみた方がいいんじゃないかという気がしたからだ。この時はどっちもまだ軽く考えていた。二人の婚姻届けを出す日は決めていた、それは僕の誕生日つまり広島原爆の日である。
続く
最終話 世界を売った男
どーも、オハラです。
もうすぐで平成が終わります。以前よりお伝えした通り、ウィリーさんの傾奇者伝説ももう終わりです。最近ではもう鳴りを潜めて、あのコリドーにもあまり行かなくなりました。
つい先日の日曜日にウィリーさんと久しぶりにコリドーに向かいました。次の日が平日である日曜日に行くことは数えるくらいしかなかったが、この前はウィリーさんからの誘いで日比谷ミッドタウンに映画を観に行こうと連絡があった。彼からの誘いは珍しく、僕は即座にOKした。日比谷や有楽町で映画を見るということはそのあとはコリドーに行くということ、つまり「後は成りで」の状態だ。
ちなみに観た映画はスパイダーマン・バース。アニメ映画だったがすごい面白かった、是非ともマーベルファンだけでなくアクションものやアニメが好きな人にはお勧めしたい、デートで見てもまあ楽しめるのでカップルもおすすめだ。映画を見終えると20時を回っていた。腹が減って仕方なく、どこか適当に店に入ろうとしたがウィリーさんはこの辺のうまい店を知り尽くしており「お好み焼きとラーメンだったらどっちがいい?」と聞いてきた。ウィリーさんは抜け目がない。コリドーに詳しいのはここが2013年以降の彼の戦場だったからだ。ナンパにおいて大事なのは導線である。女をナンパして「どこの店行こうかな?」と移動に手こずっていると女の方も冷めてきてその後の展開に全く期待できなくなる。あらかじめ場を熟知している必要がある。女は自分で決めることが苦手だ、何を聞いても「なんでもいい」と返す習性がある。ナンパのときは女に2択で迫るのがコツである。飲みに行こうと誘うと大抵は「えー、どうしようかな?」と迷う。「うん、いいよ」とは絶対にならない。「どうしようかな?」となったら「お腹空いてる?飲みに行く感じ?」と選択権を与える。「帰る」というオプションを入れないで選択を迫るのだ。こうすると「ご飯は食べたけど〜」という、そこで「じゃあ、ビール好き?ワイン好き?」と迫る、もしくは「居酒屋系がいい?バル系がいい?」でもOKだ。「うーん、バル系かな?」となればしめたもの。そこで場所を熟知していれば「じゃあ、そこにワインバルがあるから行ってみようよ」とそのまま連れて行くのだ。これで女性もそのまますんなりついてこれる。女は理由がいるのだ。自分が好きで行ったんじゃない、向こうがどうしてもというからついていったのだという理由が欲しいのだ。
お好み焼き屋に入ってウィリーさんとまずは瓶ビールで乾杯。僕たちは必ず瓶ビールで頼むことにしている。樽のサーバーは中身を洗わずに使い回しているし下手な奴が注ぐと全然美味しくないからあえて瓶ビールとグラスで乾杯する。適当な焼き物をつまみながら、ウィリーさんと先ほどの映画の話をした。僕は映画を観終わってウィリーさんと互いの感想を言い合うのが大好きだった。ウィリーさんはなんとなく前評判や出演者、監督から推測して「絶対に面白い」と思ったものを僕と一緒に観に行く。ミニシアター系やマニアックなものは未知数だから一人で見にいって後で僕に感想を聞かせてくれる。「面白かったね」では終わらない「あのシーンは何を表現していたのかな?」とか深いところまで語り合うのだ。僕たちは小学一年生で友達になったから、今年でついに30年の付き合いになる。おそらく死ぬまでこの関係は続くんだろう、そんな友達が一人でもいるだけで僕は満足だ。
思えば、こうして夜に一緒にご飯を食べるのも久しぶりな気がする。それもそうだ、実は僕はもうすぐ付き合って2年の彼女と結婚をする予定なのだ。ウィリーさんが平成で引退するのと同じように僕ももうこの戦場から離脱する。触れないでいたがウィリーさんに「もうすぐ引退だね?」と聞いてみると「そうだな。もう終わりだよ」と戦い疲れた兵士がヘルメットを外して塹壕でタバコでも吹かしているかのように呟いた。思えば2013年からコリドーにナンパに繰り出し6年もの年月をずっとウィリーさんは戦い続けた。僕とコリドーに行くこともあったが彼は一人でも平気でナンパに出かける。もちろん一人でナンパに繰り出しても成功率は70%を超えている。今までナンパでベッドまで持ち込んだ女性の数は数えていないが50人以上行ってるかもしれない。
しんみりしてしまう前にさっさと会計を済ませて僕たちは夜のコリドーに久しぶりに乗り出した。日曜日なので比較的道は空いていたが、Hubは相変わらずの盛況ぶりだった。この店も最初はこんなに流行っていなかった。最初はコリドーの300円バーがナンパのメッカということで人気だったが、そこに入りきらなくなって仕方なしにHubに狩場が移動した。こうして今やHubがこんなにもたくさんのコンペティターたちの熾烈な戦いの場となっていった。普段の僕たちは移動しやすい&切り上げやすいように350mlくらいのボトルビールを頼むが、今日は日曜日であまり動くこともないから1パイントのhub aleを頼んだ。混雑していたがカニ歩きすれば十分通れるくらいの密集度でとりあえず真ん中の立ち飲みテーブルを陣取った。この立ち飲みテーブルも通い始めの頃はちゃんと長脚のイスが添えてある座り席だった。ナンパが激化してから収容人数を増やすためにいすを撤去したのだ。
まずは場を読む。コンペティターたちは場の2人組の女の子を見つけるなり手当たり次第話かけては盛り上げ、その日の戦果を上げんと必死である。僕たちはもう無駄な戦いはしなくなった。2013年の初期はとにかく数をこなして自分たちの戦い方を確立していった、もちろんそれに失敗はつきものでなんども失敗は繰り返した。特に算段もなく女に奢ってしまったり、がっつきすぎたり、そして一番の失敗は相手を見極めないことだと悟った。なんとなく見ていると人相や振る舞い、声のトーンなどでその女性が自分たちの話に乗ってくるかどうか、おごらせ目的かただ単に「なんかコリドーって流行ってるよ」くらいで来ただけか、そのどれにも当てはまらないliving deadと呼ばれる完全に経験値もゴールドも何も落とさないハズレである可能性もある。それを見極めるのが大事だ。話してもそっけない、コリドーにいる限り女は全員お姫様扱いされるから上から目線な態度で男をあしらう輩もいる。そういう輩はもう話さなくてもなんとなくわかるようになってきた。最近ニュースなどでナンパ男が無理に連れ込んでレイプしたという記事を読んだが、そんな風に女を扱ってはいけない。最初から男側がノリ悪い女かどうかを見極めればこんなことにならないのだ。
Aleを片手に店内を伺ったが女性のクオリティは並くらいだった。昔に比べて女性の数は減った気がする。さらに前の方が可愛い子が多かった気がする。どんどん飽和状態になってきた影響だからか?質より量といった傾向が見える。男の方、つまりコンペティターの方の数も圧倒的に昔に比べて増えた。これはいい兆候だ、若者のセックス離れとか言われてるけど、こうして街に繰り出す人たちがまだいるのだ。この中には少なからずウィリーさんの伝説をブログで読んだりして「俺もやるぞ」と奮起してやってきたやつもいるだろう。少なくとも行動に移している彼らは敬われるべきである。店内に響くノリのいい洋楽とそれに負けないように大声で話している周りの連中の話し声の中、僕たちは時々二言三言会話を交わしただけであとは周りの空気を楽しんだ。もう自分たちは引退なのだなとしみじみと感じていた。
「この辺に住んでるの?え?新宿まじで?俺と一緒じゃん」
「そのコート可愛いね、あそこの子もあの子もみんな着てるけど流行ってるの?」
「前の彼氏はどんなだった?DV系?最後に付き合ってたのはいつ?」
コンペティターたちが必死に盛り上げようとしている会話が至る所から聞こえてくる。動く唇、オーバーな身振り手振り、口を押さえて微笑む女、次々と注がれる琥珀色のビールとカラフルなショット…全てがスローモーションに見えて周りの会話も遠のいて聞こえるような気がするのは主役が自分たちではなく、もう周りのコンペティターに交代した証拠だろうか?時代が移り、店内の洋楽も知らない曲ばかり、ちょっと前までは女の子たちもK-popアイドルを彷彿とさせるこんなはっきりした紅いリップと白い肌はしてなかったと思うし、2013年頃はこんなにみんながスマホをいじってなかったと思う。なんだか寂しい気持ちになってきたが、それを打ち破るようにウィリーさんがAleを片手にテーブルを離れた。これはテーブルを確保しつつ遠隔でウィリーさんがナンパにいく一番安全な作戦である。5分ほどすると僕のスマホにメッセージがきた。ウィリーさんからだ。「座れる席確保したよ」とのメッセージだ。窓側に目をやるとウィリーさんがテーブル席に座っているのが見えた。年齢からか、最近はずっと立ち飲み席では体力が持たない、というより無駄な戦いと体力を使わないのが僕たちの主義なので座れる席があったら遠慮なく座ることにしている。本来バーでのナンパは立ち飲みの方が有利である。どこにでも移動できるし新しく入ってきた女性に近づくのも容易にできるし何より距離を近づけられる。だが、このhubでは座れる席を確保するのが得策なのだ。Hubでは女性が優先的にテーブル席に通されるので、こちらもテーブル席についていれば両サイドどちらにも女性が座る可能性がある。右側がコンペティターに取られていても左側の女性を攻略できるし、たとえどちらも微妙だったとしたらどっちかが帰るまで待てばいい、どうせ女性は優先してテーブルに通されるからこうして座って待っていればチャンスはいくらでもやってくるのだ。
僕たちの両隣にはどっちにも女性が二人組で座っていた。さてどっちを攻めるかと品定めしていると、僕たちの右側の女性二人に果敢にも声をかけにきた男が二人。考えてもみてほしい、今僕たちはテーブル席に座っているそして50cmあるかないかくらいのギャップを隔てて右隣に女性たちの座るテーブルが並べてあるのだ。こんな狭い50cmしかない間に無理やり入り込んできて隣の女性にナンパを始めた。僕はストゥールに座っているがウィリーさんの方はソファ席で隣の席とも繋がっているのだ。そこにドサッと座り隣の女性と話し始めたこの男、体が大きく一目で戦闘力が高そうな男だったが、邪魔でしょうがない。本来これはルール違反である、テーブル席に座ったらその隣に座っている男、つまり我々に話しかける権利があるのだ。店員を呼んでこの男をつまみ出してもらおうと思ったが、よく見るとこの男耳が潰れている。どうやら柔道もしくは格闘技の経験者らしく態度も横柄だし我が物顔で平気でこんな狭いところに迷惑顧みずやってくることから相当な自信があるのだと感じた。逆上されて喧嘩沙汰にでもなったら元も子もないので、しばらく彼らの様子を伺うことにした。というのも、僕とウィリーさんはおそらくこいつのナンパは失敗に終わるだろうと直感で感じていた。おそらくこいつは体を鍛えれば女にモテると思っているパワー系である。確かにマッチョ好きな女も世の中たくさんいるが、それに偏ってはいけない。ナンパにおける鉄則はいかにして相手を安心させるかだ。話しかける女性はもちろん初対面である、自分が女だとしてたまたま入ったお店で怖い顔した男、もしくはムキムキの男にいきなり隣に座られてナンパされたらどうだろうか?おごりを断ったら力尽くで飲まされるのか?誘いを断ったら無理にでも連れ込まれたりするんじゃないだろうかという恐怖を覚えるはずだ。人懐っこいスマイルで相手を安心させて話を盛り上げるのがうまいナンパのやり方だ。一番いけないのは某大手広告代理店に多いのだが名刺を見せるやり方だ。肩書きに頼らないとナンパできないのは見てるこっちが恥ずかしく思える。だいたいその名刺をいたずらにでも使われたらどうするのだろうか?後日、その会社に「御社の佐藤さんという方が名刺ぶら下げてナンパしてました」とか報告が入ったらどうするのだ?
しばらく隣の様子を静観した。マッチョは肩を抱くような勢いで女に迫りいろんな話を振っていた。だが、どうやらこの女性二人は日本人ではないらしい。少し化粧が濃い目で一人は明るめの茶髪にグレーのカラコンをして、もう片方はゆるいウェーブのかかった艶のある黒髪と少し東南アジア系を彷彿とさせる浅黒の肌に真っ黒で綺麗な目をしていた。どちらもなかなかレベルが高めで間違いなくこの日のhubで一番上物である。おぼつかない日本語で女性側も頑張って返事をしたりしているが、どうやらこのマッチョは英語もできないし日本語が上手でない人への対応も全く心得ておらず、10分も経たないうちに「バーイ」と言ってテーブルを離れた。痛快なほど予想通りの展開に僕たちは目を合わせてニヤッと笑い、おもむろにウィリーさんは隣の女性に話しかけた。「さっきの人、怖いよね」というオープナーから入った。ナンパは最初の声がけが大事、これをオープナーという。先に話しかけていた輩を利用するのはかなり有効手段だ。特に声がけに失敗したコンペティターをダシに使うのはかなり効果的である。「さっきの人、しつこかったね」とか「さっきの人怖かったね、乱暴だったね」とか共感を呼ぶと同時に「自分は違うのだ」というアピールも同時にできる。
女性二人は「はい。怖かった」と拙い日本語で答えた。今まで6年の間で日本語がうまい韓国や台湾人をナンパしたことはあったが、半分英語と半分日本語を混ぜないと通じないタイプは初めてだった。二人はタイ人で日本の語学学校に通っているという。僕もイギリスに留学していたからよくわかるが、現地の人は知らずのうちにその現地独自の言い回しをしてしまうことがある。「〜じゃない?」とか「〜な感じかな?」という表現だ。慣れてない人にはゆっくりはっきり、そしてニュートラルな話し方をしてあげるべきだ。最近はコンビニとかでも外国人がバイトをしていることが多々あるが、そういう人たちに不遜で横柄な態度をとる特に日本人高齢者にものすごい腹がたつ。「イラッシャイマセー」とどう考えても日本人じゃないんだなとわかる発音で接客してきた人に対して「マイセン」と無愛想で小さい声で目線も合わせず小銭を放る。もちろんそのアルバイトは「ハイ?」と聞き返す。「マイセン!」と語気を強めて言い返すもまだそのバイト君は理解できない。「ハイ?何デスカ?」と聞き返すと「もういいや」と怒って店を後にする爺さんを見たことがある。なんだか腹たつというか悲しくなった。どう考えても相手は外人で日本語が達者じゃないんだなとわかる相手に「マイセン」なんて完全な造語を無愛想にぶつけるその神経がわからない。「マイルドセブンを1箱ください」と言い、それに付け加えて「あ、タバコね。あの、27番」と指をさして丁寧に教えてあげればいいのだ。ただでさえマイルドセブンは日本のタバコである。ラッキーストライクとかマルボロとかなら海外でもあるから喫煙者ならわかるかもしれないが、完全に日本製のタバコをしかも省略して告げる所業。日本語がおぼつかない人に伝わるはずがない。または「オハシ、ツケマスカ?」がうまく聞き取れない爺さんが「は?なに!?」と強く言い返すのも腹が立つ。頑張ってこの国の言葉を話そうとしてくれている人に対してそんな態度はないだろう。どうやら日本の爺さんは外国人を受け入れない人が多い。おそらく「お客様は神様」と「アジア人への偏見」が重なってあんな横柄な態度に出るのだろう、それとも「英語で話しかけられたらどうしよう?」という恐怖心から虚勢を張っているのだ。「ここは日本だ、日本語で話すのが当たり前で、現地人の方が偉いんだ」とかいう輩もいる。なんたる傲慢な言い草だろうか?ここは日本だから日本人が優先とか日本人の方が偉いなんて思い上がりも甚だしい。海外から来た人も現地人もどちらも偉くないし劣ってもいない。皆同じ人間である。こういう考えが差別や戦争につながっていくのだ。海外から来た人に仕事を取られたとかそんなことで弾圧や暴力に訴えてはいけない。優秀な人材が欲しいのは世界中どこでも一緒だし、むしろ海外から来た人なのにその国の言葉を必死に覚えて、その文化に溶け込んで必死に働こうとする人のひたむきさを讃えるべきである。冷静に考えれば他国の言葉を話せて仕事ができる人材は明らかに優秀だし、そこに日本人も外国人も関係ない。自分に置き換えて海外に出て行ってよその文化と言葉の中で生活の基盤を作る勇気と行動力があるか?ヨーロッパでは陸続きで隣が違う国だから言葉も違うし文化も違う。それでも条件がいい仕事や自分がやりたいまたは住みたい場所があったら勇気を持ってそこに飛び込むのだ。その勇気すらない島国でずっと古い習慣に囚われてばかりで時代に取り残されているのに気がつかないまま「すごいよJapan」とか言って日本の良いところだけをスポットして紹介しているテレビ番組も疑問に思う。何がぶっ込みジャパニーズだ?自分たち日本人の方が飛んだお門違いで「本場イタリアの味」とか書いていて全然違う料理を提供していたりイタリアで修行はおろかイタリアに行ったこともなければ首都もサッと答えられない店長がレストランを経営していたり、英語も間違えまくりな文法で化粧品やTシャツに羅列してるだけの酷いデザインを作ったりしているではないか。技術においても、技術大国はもうとっくに中国に抜かされているのである。
閑話休題
この女性はタイから日本にやってきて、日本で仕事をすることが夢だという。あんなマッチョにナンパされたりしたが「日本は楽しい」「日本人は親切」など日本に対してすこぶる良い印象を持ってくれているようだ。もう少し、踏み込んだ話もしてみたかった。今の日本の政治についてどう思うかとか海外から見て日本という国のやり方、政策、印象はどうなのだろうか?とても気になったが、日本語学校ではそこまでの専門的な日本語を教えていないだろうから、もっとgeneralな話題を振った。好きな男性は?日本のどんなところに行きたい?好きな食べ物は?など。どれも彼女たちは頑張って自分の知っている日本語の単語を紡いで伝えようとしてくれた。彼女たちの話の中で印象に残っているのが、日本人は表面上は優しくて親切だけど本心がわからない、もしくは冷たいという印象があるようだった。特に電車の中とかで平気で優先席に座り続けたり、お年寄りなどがそばにいても席を立たない人が多いのを彼女たちは不思議に思ったそうだ。
確かにそう考えると不思議だ。日本人はお客様は神様扱いするくせに赤の他人に対しての親切心がかなり欠けている気がする。金さえくれれば神様扱いして過剰なほどに相手をもてなす。たかだか一杯300円ちょっとの牛丼を提供するにも「大変お待たせいたしました。ごゆっくりお召しあがりくださいませ」と気味が悪いほどの健やかな笑顔と丁寧な言葉で言うことを強要される。客側もそれが当たり前と思い込んでいて上述のたかだか300円ちょっとの牛丼を食べる際に店員の態度が少しでも悪いとクレームの電話を入れる。モンスタークレーマーとかがテレビで取り上げたり社会問題になったりするがそれは日本が今までに過剰なまでの形式美と伝統に縛られすぎたツケが回ってきた必然の結果で、自業自得である。それだけ業務上は丁寧に接している人でもいざ仕事場を離れれば電車の中では杖をついて歩いているご老人や妊婦さんが目の前にいても席を譲りもしない。これが日本人の現実である。よく「日本人は礼儀正しい」とか「接客は世界一丁寧だ」みたいに自画自賛する日本人がいるが、この現実を見てどう思うか?海外旅行とかで日本人並みの接客が当たり前と思い込んでいる人が海外のソフトな接客を受けて「なんだこいつ?」と怪訝な顔を浮かべ、成田空港に帰ってきてレストランでも入れば「やっぱ日本の接客が一番だな、互いを尊重し合う世界一礼儀正しい国だ」とか宣う奴がいる、そういう人に限って中国や韓国の反日ニュースを見て「礼儀知らずな奴らだ」とか「野蛮人だな」とか彼らを批判するが、先に述べたとおり日本人をもう一度客観的な視点で見えてみることをお勧めする。僕は先日、初めて韓国に旅行に行ってきたが、韓国の地下鉄に乗ったら満員電車の中でも妊婦専用の席や優先席は必ず空いており本当に必要としている杖をついたご老人や妊婦の方だけがそこを利用していた。彼らは年上を敬う礼儀が徹底していて、それを実践していた。日本人みたいに年上は敬う、ご老人は大切にする、ましてやお客様は神様ですなど口では言っているが実行している人間は少ないこの現実とは大違いで、日本人よりもはるかに互いを敬う礼儀正しい人たちだととても感心した。日本人はどこか自分たちがアジアの国では一番優れていてスマートで礼儀正しい、美しい国という驕りがあると感じる。特に政治家にその傾向が強く、近隣アジアの国の人種の中でさも日本人が一番優れているかのような態度と差別的な発言が目立つ。ニュースを見ても半日運動がどうのこうの報道するがネタがなくなったらそればかりをフォーカスする日本の報道の仕方にも問題があるが、とかく日本の政府は首相の支持率が下がると、やたらに北朝鮮や韓国を引き合いに出してきて「北朝鮮がミサイルを発射して日本を攻撃しようとしている」とか大騒ぎして今にも戦争が起こりそうとか民衆を煽るが、実際にはそんなことはなくて北朝鮮のいつも外交手段をしているに過ぎないのである。それをシメシメと逆手にとって「今、日本は最大の危機に直面している。でもこの国を守ってみせます」とさも自分たちが守っているんだぞとアピール。Jアラートを鳴らしたり学校では緊急避難訓練をやったり(まだやってる学校あるのか?)さも彼らが日本の宿敵と言わんばかりに敵視し槍玉にあげる。こうして支持率を獲得しようとしているのが今の首相のやり方である。学校にも韓国籍や在日の生徒がたくさんいるだろうに、その子たちがいじめにあうことも何も考えていない。Jアラートで電車が止まったり経済活動が一瞬止まったことも忘れてはならない。ミサイルが飛んでくるとか言ってるがあれは大気圏に突入して燃え尽きる仕様になっているのだ、つまり日本には着弾しない。それくらい軍事に少し詳しい人でもわかることなのに何を大騒ぎしているのだ?「ミサイルは飛んできませんよ、安心してください」でいいではないか?何を騒ぎ立てて余計に不安を煽っている?中にはすごい勘違いして「日本が戦争に突入する」と本気で心配していた人もたくさんいた。
話がだいぶ逸れたが二人のタイの女性は世界から見たらこんな変なところがいっぱいな日本にきてくれてこの国でしか使えない言葉をわざわざ勉強してくれている。僕たちはそんな二人の美しいタイ人に1杯奢って日本人男性のことや恋愛話などに花を咲かせて、23:00ころの程よい時間にウィリーさんはLineを交換してさらっとHubを後にした。コリドーの路上では相変わらずコンペティターたちの熾烈な戦いが展開されていて今晩の相手を探す男たちが果敢に女性たちに声をかけたりギラついた目で通りを眺めたりしていた。正直、初めてここを歩く女性はかなり怖いと思う。
もうすぐ平成が終わる。ウィリーさんの傾奇者伝説も幕を閉じる時がくる。これからはもう次の世代に託そう。このブログを読んでいる人たちの中にも触発されてコリドーに行った者も少ないないだろう。6年前まではこんなにコリドーに人は沸いていなかった。僕たちの活動をブログに書き始めてからこれだけの人が集まってきた。何度も言うがここに描かれているウィリーという人物は実在する。彼は何度も女性をナンパして金銭の授受もなしに何人もの女性と肌を重ね合わせてきた。その日に会ってそのままベッドに行くなんてAVの中だけと言う輩がいるがウィリーさんはそれを何度もやってきた。決してAVの世界だけではない。やろうと思えばどんな女性も手に入るのだ。ウィリーさんは決してプロでもないし無手勝で成り上がってきた普通の一般の男だ。今日から勇気を出してコリドー、もしくは町に繰り出してみるといい。酒場で楽しそうに飲んでいる女性にさりげなくアプローチして話しかけてみるんだ。ビデオや画像を見ながら自分で慰める行為はやめよう。自信がない、勇気がない、大丈夫だ、お前は一人じゃない。常にウィリーが共にいることを忘れるな。お前はウィリーのドッペルゲンガーなんかじゃない。俺たちは二人でウィリーだ。このサーガも俺たちが作るんだ。俺たちで未来を世界を変えるんだ。お前は俺であり、俺はお前だ。ありがとう、友よ。
これからはお前がウィリーだ。
2013年
ウィリー、初めてコリドーに降り立つ。300 BARにて初陣を飾る
日本、東京オリンピックの開催決定
日本、消費税8%へ引き上げ決定
米国、オバマ米大統領2期目をスタート
ウィリー、ナンパ成功数が10人を超える
米国、ボストンマラソンでテロ発生
2014年
日本、青色LEDを開発した赤崎、天野、中村の3氏がノーベル物理学賞を受賞
ウィリー、300 BARを離脱し、hubを新たな拠点とする
エボラ出血熱でWHOが緊急事態宣言
パキスタン、マララ・ユスフザイがノーベル平和賞を受賞
ロシア、クリミア共和国を国家承認
ウィリー、スランプに陥りLineの連絡先を全部消去
米国、イスラム国にイラクで空爆開始
2015年
「イスラム国」が日本人2人を拘束、殺害映像を公開
ウィリー、メキシコ初入国、ゲリラ兵と交流し革命論と独特の死生観を学びスランプを克服する
米国、キューバと54年ぶり国交回復
フランス、パリで同時テロ、「イスラム国」の犯行
ウィリー、元AV女優及び元グラビアアイドルのナンパに成功
ウィリー、ナンパ即ハボ人数が30人を超える
欧州でシリアなどからの難民が急増
2016年
米国、オバマ大統領が広島を訪問
ウィリー、再びスランプに陥りLineの連絡先を全部消去
米国、大統領選挙でトランプ氏勝利
英国、国民投票で「EU離脱」過半数
ウィリー、ドイツ初入国、アウシュビッツ収容所跡地やナチス資料館などをめぐりスランプを克服する
キューバ、カストロ前議長死去
2017年
日本、天皇退位特例法が制定
米国、トランプ大統領就任
ウィリー、ナンパ即ハボ人数が40人を超える
北朝鮮、6回目の核実験及び大陸弾道ミサイル発射を強行
フランス、マクロン氏が大統領就任
米国、ラスベガス銃乱射事件58人死亡
ウィリー、有楽町や上野などあらゆる場所で局地戦を展開
2018年
米国、史上初の米朝首脳会談を実施
EU、イギリス離脱協定を正式決定
ウィリー、平成の終わりとともに引退を表明
米国、輸入制限発動、米中摩擦が激化
韓国、元徴用工訴訟、韓国最高裁が賠償命令
2019年
日本、天皇生前退位、新元号「令和」に決定
ウィリー、引退、以後は庵に篭り執筆活動に専念
20XX年
ウィリー、自身の自伝兼ナンパ指南書「W」を刊行
ウィリー、男根撲滅団を名乗る女性に狙撃されるも一命をとりとめる
ウィリー、「W」がベストセラーに、後に日本国内にて聖書の次に売れた書籍となる
20XX年
ウィリー、「W」のベストセラーの影響により東京都の出生率を大幅に回復させ厚生労働省から表彰されるも、時の総理大臣との握手を拒否、以後公安から要監視対象人物とされる
20XX年
ウィリー、コリドーにて「人間は虫に非ず」と叫びガソリンを被り自らに火をつける
20XX年
「Sons of W」と名乗るゲリラ集団がコリドーにて蜂起
Fin
ナンパ語録
お久しぶりです。最近は銀座コリドーで傾く頻度も少なくなってまいりました。10月の初めに久しぶりにウィリーさんと傾きに行ったぐらいです。戦績は2組と軽く飲んで終わりでした。1組目は20後半くらいの女性2人組で片方がちょっと髪が明るく化粧も濃いめ&茶色カラコンのギャル感が抜けきれてない女性ともう1人は長めの黒髪に軽く癖をつけただけな感じの子供が2人くらいはいそうなお母さんって感じの控えめな髪型の女性で相方のギャルとは対照的に格好も黒のチャイナドレスを彷彿とさせるような体にぴったりとした長めなドレスにスリットが入った社交界にでも出かけるかのような格好に白いブラウスのようなものを羽織っていて一見するともう主婦にも見えるような佇まいの女性、顔面は愛嬌はいいが化粧で隠しきれてない小皺が目立つ、少し瓜のような長めな顔で美人ではなかった。その後でゲットした2組目はどちらも24くらいで片方がまあまあかわいい色白な肌で相方がちょっと田舎っぽい残念な子だった。
とこんな感じで、ナンパのあるあるなんだが2人とも可愛い良い感じの子のコンビがなかなか見つからない。どっちかが可愛くてどっちかがブサイクというコンビが非常に多い。おそらく、可愛い子はどこか盛り場に行くときに自分より可愛い子を誘わないのだ。理由は簡単、自分がちやほやされたいからである。「そんなつもりはない」と女子は言い訳するが、無意識にそういう相手を選んでいるのが女の罪作りな本能である。優秀なつがいを見つけるために相方は劣等をあえて連れて行く、そうすれば自分がより際立つことを意識せずに理解しつつ実行しているのである。ディズニーやいわゆるインスタ映えするところには自分と同等もしくは可愛い、花のあるパートナーを連れて行く、その方が文字通りインスタ映えするからである。せっかくの綺麗な風景や可愛い店にブサイクを連れて一緒に写真を撮ると雰囲気は台無しである。綺麗なものをより綺麗に保存しておきたい考えからこれも無意識に本能から実行していることである。こういうことを女性に説いたところで彼女達は「ちがうもん」の一点張りだ、なぜかというと彼女たちは自分の頭で考えてから行動することがないからである。感覚で動く、すなわち無意識に自分が良いと思うように動く、すると上述のような考察をすれば結果的にメスの本能むき出しの至極したたかなことを実行しているのであるが脳のフィルターを通さず直感的に動き発言するもんだから本人にその自覚がないのだ。女性政治家を見ても顕著だが、古い話だが「戦闘行為と書くと憲法違反になっちゃうから衝突という言葉で書きました」とはっきり答弁してしまう某女性大臣がいた。はたまた特定の人たちを「子供を産まないから生産性がない」とか堂々と発言してしまう女性政治家もいた。この人は総理大臣に子供がいないことを知っていてこんな発言をしたのだろうか?国民も総理大臣も敵に回す発言だということをよく考えずに言った末路である。
話を戻してウィリーさんとの傾奇者伝説もそろそろ結びの章に入ろうとしています。つまりウィリーさんがそろそろ引退を考えているのである。「平成が終わると同時にもう庵に入る」とウィリーさんは言いました。平成一の快男児ウィリーの最後の大傾奇の伝説が今始まろうとしている。
続報は乞うご期待だが、この辺でウィリーさんと僕とで生み出したコリドーのナンパ語録を作ってみようと思う。かれこれ、ウィリーさんとコリドーでナンパを始めたのは2013年頃だったからもう5年が経過した。最初は地下の300Barから始まって次はHub、最終的に路上の野試合に発展して行ったがこの5年の間に僕が始めたブログに触発されてかなりのコンペティターがコリドーにやってきた。その戦いの中で発展して行った僕ら2人で多用していた暗号のようなものがあるので、その語録を作ろうと思う。
コンペティター:英語で書くとcompetitorと書く。競争相手という意味で、僕たちは自分と同じナンパに来ている人間に使っていた。「今日はコンペティターが多いな」とその日の塩梅を確かめつつ、ビール片手に戦略を練る。
「後は成りで」:ウィリーさんを夜にコリドーナンパに誘うときの決まり文句。ウィリーさんは親しい人間にLineを絶対に教えない。ナンパ専用に使っているのでいざとなったらアカウント削除の強硬手段に出るからである。30年の親交がある僕には電話番号だけを教えてくれているので僕はショートメールでやりとりをしている。誘う時は「やらないか?」「了解、19:00に新橋で」という2回のやりとりだけで終了。最後に僕が「では後は成りで」と返すのが恒例。ちなみにこの「後は成りで」の引用元は数年前に相撲の八百長が発覚した時の事前の打ち合わせの時のメールのやりとりで簡単に流れを決めた後の締めの言葉が「では後は成りで」からとったもの。今思うと随分前から相撲業界ってめちゃくちゃだったんだな。
野試合:路上ナンパのこと。
ババアゾーン:300バーやHubでババアしかいない時間のこと。ババアの定義は年齢ではなくなんとなく見た目で結構歳いってるなーと思うかどうかによる。引用元は漫☆画太郎先生の読み切り漫画のタイトル。当時のジャンプで人気だったミステリー漫画「アウターゾーン」をパクってババアが出てくるストーリー。
YKB:「(Y)よく見たら、(K)結構、(B)ババア」の略。路上ナンパの際にコリドーの夜の闇に紛れてあまり顔が伺えなかったが、改めて飲み屋に誘い込んで明かりの下で見た時にほうれい線や化粧の感じからちょっと年齢いってるなと思った時に使う暗号。「まじ、YKBっすね」と鼻声気味にDAIGOっぽく言うのがコツ。
Yarrows:ヤロウズと発音。元は「野郎’s Bar」の略でHubの入り口で中を伺った時に明らかに女性より男性客が多い時に使う言葉。United Arrowsの略のArrowsをもじったもの。
包茎ボーイズ:本当はナンパしたいのにその勇気がなく「おー、みんな頑張ってるな」や「あいつ、すげー張り切ってるな」とコンペティターを嘲笑する輩を指す。もしくはHubの良い席を陣取っていて、隣に良い感じの女性2人が来たにも関わらず何もしないでいる輩のこと。「童貞ボーイズ」という言葉は昔あったがそもそも道程はこのナンパのメッカには来ない、せっかくのナンパのメッカにいてチャンスがあるにも関わらず妙にカッコつけて(本当は勇気がなくて)向こうから来るのを待っている少し中二病的な輩を指す時に「なんか包茎っぽいなあいつら」と言い出したことがきっかけ。こういう輩を表現するのに一番しっくり来るのが包茎ボーイズだった。
ブーブー:「もう帰ろう」の隠語。ナンパして飲み屋に誘ったものの全然ノリが良くないもしくは奢らせるだけ、横柄な態度を取るなど場が白けた時にアイコンタクトだけでは伝えきれない場合に僕が「ブーブーだな」とおもむろに言ってさらっと会計を頼む。ブーブーの語源は映画「The World’s End」の中で「飲み切ったら、ブーブーだ」と言っていたセリフをパロったもの。ブーブーの意味は不明。
優秀なファイター:隠れ巨乳のこと。冬場だと女子が結構厚着するので体系が如実にわからない時がある。そんな時に飲み屋に誘ってコートを脱いだ時に以外に巨乳だった時に「優秀なファイターだ」と賞賛する。女子は「?」だがあくまで隠語なのでウィリーさんに伝わればいいのである。語源は格闘漫画「BAKI」にて死刑囚ドリアンが加藤と戦った時に下っ端キャラ設定だった加藤が意外に健闘した際にドリアンが「もしかして君は私が思っている以上に優秀なファイターなのかな?」のセリフが元。ここから発展してあからさまに巨乳の人も「あの人、優秀なファイターだね」と使うことも。
Living Dead:本当はゾンビの意味だけど、「ナンパされたいのか女子同士だけでゆっくり飲みたいのか、何がしたいかわからないけどずっとコリドー街をあてもなく往復している女子」のことを指す。毎回必ずいるんだが、何人ものコンペティターがナンパしても乗らず、かと言って誰かと待ち合わせしているわけでもなく、女子同士でしっぽり飲みたいわけでもなく、家に帰りたいわけでもなく、ずっと終電までもしくは終電逃してもずっと彷徨い続けている女子がいる。いつもウィリーさんと「あいつら何がしたいんだろうな」と首を傾げている。だいたいあんなナンパで有名なところを女子2人でずっと行ったり来たりしてるのにどのお店にも入らず、かと言ってナンパしても暖簾に腕押しでずっと徘徊している様がまるでゾンビみたいなことからこの呼び名になった。ちなみに、タートルウォークという言葉があるがこれは有名なナンパ用語で「どの店に入るか決めかねていて、さらに暇そうにゆっくりゆっくり街を歩いている女子のことを指す、こういう場合ナンパ成功率高し。
即ハボ:これは2ch用語だが、正しくは「即ハメボンバー」の略。元は美人を指して「こんな女だったら、すぐにやりたい」という意味だが、ウィリーさんは「その日の内にやる」という意味で使う。「この前ナンパした女とは即ハボだった」という事後報告でよく用いる。
麻雀の役:ナンパした女とやった時もしくはナンパ成功した功績を麻雀の役で例えることがしばしある。一例は以下の通り。
立直(リーチ)→女性に自ら話しかけてナンパ成功すること。大抵の上がりにこの役がつく。
ダブルリーチ→声かけ開始10分以内にナンパを成功させるとつく役。運にも寄るがスキル次第で引き寄せが可能。
一発→その日の内にベッドに持ち込んだ時つまり即ハボした時につく役。ナンパ後日の場合はこの役はつかない。
門前自摸(メンゼンツモ)→声かけからベッドまで自力で持って言った場合につく役。仲間が声がけした女性をもらった場合にはつかない。
平和(ピンフ)→女子大生のナンパに成功した特につく役。
タンヤオ→並もしくはそれよりちょっと残念な女性もしくはYKBをナンパ成功した時につく役。ベッドまで行かずともナンパ成功でつく役。
鳴き(チーまたはポン)→先にナンパされていた女性を横取りすること。隣に座った女性がナンパされている場合でこちらがわに引き込むことをチーと呼び、場のどこからでも横取りをすることをポンという。実際の麻雀と同じでいわゆる人が捨てたハイをもらって最終的に上がることから、先にナンパされていてもいかにもつまらなさそうにしている女性に話を持ちかけてこちらに持って来るやり方。いずれも麻雀と同じで役はつかない。
一気通貫→最初にナンパした女性でそのまま首尾よくベッドまで持ち込んだ時につく役。一発とセットでつく役。
風牌→東南西北のいずれかの方角出身の女性のナンパ成功時につく役。関東出身は東(ただし、東京出身者には役がつかない)、沖縄や九州出身は南、関西出身は西、北は北海道や東北出身にそれぞれ役がつく。ちなみに外国人観光客をナンパ&ベッドまで持ち込むことができたら字一色(ツーイーソー)が適用され無条件に役満となる。(日本滞在期間が長い日本語ペラペラな場合は除く)
ドラ→ナンパした女性の美人度を示す役。ドラ1でAKBレベル。ドラ2で読モレベル。ドラ3で乃木坂レベル。ドラ4で女優レベル。
裏ドラ→隠れ巨乳の子をナンパした時につく役。これはベッドに持ち込むまで判明しない為、ベッドインしないとつかない役。Dカップの子がドラ1、Eカップがドラ2、Fカップがドラ3、Gカップがドラ4となる。
混老頭(ホンロウトウ)→結構年齢行っていても美人のしかも人妻と即ハボまでいった時に成立する役。「美人」と「即ハボ」が条件の為、一発とドラは原則つかない、ただし裏ドラは乗せることができる。YKBの場合はこの役はつかない。
三元牌(白、發、中)→白(ハク)はパ●パンだった時につく役。發(ハツ)は女性側が初体験もしくはナンパでベッドイン初体験の時につく役。中(チュン)は中でフィニッシュした時につく役。ちなみにこれが全て一度に揃うと大三元(ダイサンゲン)が適用され役満となる。どれか2つが一度に揃った場合は小三元で満貫確定となる。
混一色(ホンイツ)→元グラビアアイドルのナンパ&ベッドまで成功した場合につく役。
三暗刻(サンアンコウ)→3Pをした時につく役。男女比は不問だが、女2と男1の場合は特殊役満が成立する。
四暗刻(スーアンコウ)→4Pした時につく役で役満となる。(男女比は不問)
海底自摸(ハイテイツモ)→終電を逃した後でナンパに成功すること。
国士無双(コクシムソウ)→現役アイドルもしくは現役グラドルをナンパ&ベッドまで持ち込めたら国士無双として役満となる。
天和(テンホー)→女側からナンパされてそのままベッドに行く、かなりラッキーな役。滅多にない役満だがウィリーさんは経験あり。
とまあ、こんな感じである。
親愛なる読者の中には今まで書いてきたウィリーさんのナンパ伝説を嘘だと思うかもしれないが全部実話である。
即ハボなんてビデオの話だと思うかもしれないが、ウィリーさんは基本的に即ハボの方がパターンとして多い。大抵若い女の子の方が即ハボパターンにハマりやすい、若い子はセックスを一種のコミュニケーションと思ってるようだ。こちらにとっては都合のいいことである。
元グラドルとの即ハボもウィリーさんは経験済みである。これらは全てあのコリドーでの出来事。
そう考えると色んな思い出がある。僕はナンパする勇気はないからウィリーさんに着いて行くだけで、それでも彼は「任せとけ」と必ず女を捕まえて来てくれた。
その中で僕もいい思いをさせてもらったことも何回もある。全てウィリーさんのお陰なのだ。そんな彼が平成の終わりと共に引退してしまうのはとても寂しい。でも、彼は世の中の男子に生きる希望を与えてくれた。一流企業の連中が自分の名刺を見せながらナンパしてる横でウィリーさんは何にも頼らず徒手空拳で戦っては何人もの女をナンパしてきた。本当の男の価値は来ている服とかキャリアとか財布の中身じゃないということを身を以て証明してきたのである。
世の中の男子達よ、今こそ立ち上がろう。ウィリーさんの伝説を継ぐ逞しい男が現れることを願ってやまない。
オハラ
ジムに通うため、現実を受け入れろ
どーも、オハラです。
前回は愚痴全開な記事を書いてしまいましたね、失敬、失敬。
あの女の涙の記者会見をしたのが先週の月曜日で、実はその日の朝に僕と同郷である有名人の武井壮さんの動画を見ていたらなんだか無性に体を動かしたい、というより格闘技を習いたいという衝動に駆られそのまま勢いでとある格闘技を教えてもらえるジムに無料体験を登録したのである。
秋葉原にあるジムなのだが、マシントレーニングじゃなくてキックボクシンや女性向けの簡単なボクササイズをやっているところで、興味があったら本格的な総合格闘技のトレーニングも教えてくれるかなり総合的に好きな項目を選べる格闘ジムである。
早速、土曜日の朝10:00に行ってトレーニングをして来た。10分ほど早く到着した。広さはそれほどでも無い。中小企業の雑居ビルのオフィスワンフロアを丸々使ったぐらいの広さでマットレスの広いスペースがありそこで格闘技を習うスペースのようだ。マットレスゾーンより手前にちょっとしたマシントレーニングゾーンがあり、トレッドミル1台、サンドバック4つ、エアロバイク1台、カヌーマシン?1台、ベンチプレス1台、ダンベルがいくつか置いてある。
更衣室に入って短パンTシャツに着替えた。とりあえずストレッチをして待っていてくれと言われ、見よう見まねのストレッチを施し、開始を待った。その間に続々と無料体験希望者がやって来て、合計で男女入れて8人くらいになった。女性は30手前もしくは30前半くらいの女性が多く、友達と来ている人もいれば一人で来ている女性もいた。その中に一人、上玉ではないがまあ即ハボ対象者がいた。おそらく30ちょうどくらいの年齢で身長は160届かないくらい、ぴったりめなトレーニングTシャツとスパッツを着用していて、目方から察するに少し膨らみかけたお腹と全体的なぽちゃっとした感じを取り除きたいのだなと推察できた。顔面は色白で少し出っ歯気味の前歯が特徴で芸能人などでは例えようがない。すごく手っ取り早く例えると若い頃にAKBの2軍の中でもかなり目立たないタイプでネットラジオ番組で5分間だけその番組提供のコンビニのオリジナルのお菓子やお弁当などをラジオという音声だけが頼りなメディアにも関わらず「見た目が可愛い」「甘くて美味しい」「これ好き」という持ち前の僅かな語彙力だけで紹介するコーナーを2ヶ月だけ任されていたポンコツ気味な子が結局アイドルでは芽が出ず、かといってグラビア路線でも需要が皆無で25になる前に契約社員で生計を立てることに決め、引退したがとくにファンにも惜しまれず「そんな子もいたなあ」くらいのレベルの顔面である。しかしながら体は少し肉がついているものの、胸がCプラスくらいあり全体的に柔らかそうな印象を与えているため英会話教室やイベントでもし一人で参加でもしていたらまあ当たりな方である。
話しかけてやろうかと思ったが、インストラクターが親しげに一人でやって来た彼女に話しかけていたものだから割って入っていくこともできなかった。仕方なしにストレッチを適当にこなして軽くシャドーボクシングをそれっぽくやってトントンと小刻みにジャンプをしてバキが戦う前にやるような全身を軽くほぐす動きをしてマジ感を出しつつ開始を待った。「はい、それじゃあ始めまーす」と先ほどの彼女に話しかけていたインストラクターがみんなの前に立って、トレーニングが開始された。インストラクターはいかにもそう総合格闘技やってますという感じの体つきと白いTシャツに黒いボクサーパンツという服装で現れた。
まずは簡単に準備運動をして一列に並ぶように指示された。一列に並んで先頭の人が反復横跳びで左右に移動するのを同じように反復横跳びで追いかけるというウォーミングアップを開始した。これはボクシングなどのフットワークの動きの練習になるという。まず最初の人が1分間左へ右へ動きまわる。それを必死で追いかける僕や後ろの列に並ぶ人々。ただの反復横跳びだがこれがキツイ。「はい、次の人前へ出て来て」と交代になった。この時点でオハラHP70/100になっていた。二人目も左へ右へ。「はい、次の人」、オハラHP50/100。そして三人目に交代、オハラHP30/100。そして最後の4人目が出て来た。オハラHP10/100。
「はい休憩、水分取ってください」持って来てあったスポーツ飲料をがぶ飲みした。正直もう動きたくない。なにせこちとらHPが10しか残っていないのだ。呼吸も追いつかない。次のトレーニングは右足を前に立膝をつく形でしゃがみ、「ハイ」の合図で思い切り垂直にジャンプして左足を前に組み替えてしゃがんで着地。つまりこれは構えのスイッチングの練習である。ジャンプ2回までは頑張ってやったが、3回目からジャンプができずそのまま床にへたり込んだ。オハラHP3/100。
これ以上やると失神しそうだったので横に逃げて少し休憩させてもらった。というより、息が苦しい、吐きそう、横になりたい、意識が遠のいているetc。座っているのも苦しいのでマットにそのまま横になった。そんな僕をよそにトレーニングは続いていた。さっきのあの元AKBっぽい女性も苦しそうだが頑張ってトレーニングを続けていた。それだけじゃなく他の女性も男性もみんな僕以外は息を切らしながら汗だくになりながらもトレーニングをちゃんとこなしてみんなついて行っていた。僕だけがみんなについていけないのだ、女性にすら負けるこの体力の無さ。ああ、それにしても苦しい、目の前がだんだん真っ暗になり始めた。まぶたの裏のスクリーンにぼんやりと映像が浮かび始めた。それは僕が4歳の頃、今の実家が新築で建ったばかりの頃に母親が知り合い(おそらく学生時代の友人)の女性を1人、新築を自慢するために招き入れてお茶を飲んでいる時だった。その女性は自分の娘(当時多分5歳くらい)を連れて来ていて、僕とお兄ちゃんとその子は大人たちがつまらない話をしている間、新築の家の中でかくれんぼをしたりして遊んでいた。お兄ちゃんはおもちゃ箱から子供銀行の小さな紙幣を持ち出して来て、ボードゲームか何かを3人でやって勝った人にはこの子供銀行の紙幣を全部あげるというゲームを提案した。僕はそのゲームで一番になってお兄ちゃんにその子供銀行の金銭を要求したが、当然のごとくお兄ちゃんは意地悪をして「嘘だよ〜」と僕をおちょくったのだ。そんな子供銀行の紙幣にはなんの価値もないのだがくれると言ったものをくれないことに僕はすごい腹を立てて泣いて怒った。僕が大声で泣いてお兄ちゃんに訴えるとお兄ちゃんは流石に申し訳なさそうになって「じゃあ半分だけ…」とその紙幣を僕に渡そうとした時に「もういいよ!!」と僕は泣きながら部屋のドアを思いっきり閉めて走ってリビングまで行くと、お茶を飲みながら談笑している母親の胸に泣きながら抱きついた。母親は困った顔ででも優しく僕を抱いて「どうしたの?お兄ちゃんに意地悪されたの?」と聞いて来たから僕は顔を埋めたままコクンと頷いた。母親の友人はそんな僕を哀れむような笑顔で見ていた。僕は男の子なのに、同い年の女の子の前で泣いてその子の親の前でも平気で母親に泣きついて甘える子供だったことを思い出した。今思えばあんな子供銀行の紙幣くらいで怒ることなんて無かったのに、お兄ちゃんに申し訳ないことをした。そんなお兄ちゃんも去年の10月に結婚したのだ、その結婚式の馴れ初めスライドショーの中に小さい頃の僕とお兄ちゃんのツーショットがあったのを思い出した…。
だんだん視界が元に戻り始めた。どうやら軽い走馬灯を見ていたようだった。気づいたらみんなはもうミット打ちまで練習が進んでいた。僕も参加しようと上半身を起こしたが立ち上がれなかった。さっきのジャンプで膝がガクガクで息もまだ追いついておらずHPも5/100までしか回復していないのだ。ああ、さっきまでバキの真似したりしていた自分が恥ずかしい。僕はきっとそういう見栄をはることで今まで生きて来たのだ。イギリスに留学して英語が喋れるようになったと言ってもネイティブや帰国子女には到底かなわない、でも「A〜ha?」とか言ってなんとか取り繕って、だましだまし仕事をして日銭を稼いで生きて来たのだ。仕事できますよ、みたいな涼やかな顔をしてパソコンをパチパチ打っている自分も本当は仕事のことなんかこれっぽちも理解していなくて見せかけだけの自分なのだ。本当はお兄ちゃんにちょっと意地悪されただけで泣き喚いて母親に泣きついてしまうだけの弱い人間なのだ。今もこうして女性もみんな頑張ってトレーニングをしているのに自分は寝転んで立ち上がれない、恥も何もあったもんじゃない。自分は弱い人間なのだ。
これが現実を突きつけられた瞬間だ。練習に参加する前は「まあきついだろうけどなんとかやれるだろう」とタカをくくっていたが自分はウォーミングアップすら満足にできないのだ。筋トレを始めて一年ぐらい経過したが、持久力や体力は全くついていなかった。それはそうだ、有酸素運動は全くやっていない、ランニングなんてここ何十年もやっていない。こうして僕のトレーニングはほぼ見学で終わった。
帰りの道で僕の心はズタボロだった。自分がいかに弱いのか、去勢と見栄だけでこれまで生きて来た自分が恥ずかしい。運動だけじゃない、仕事も趣味も日常生活に必要不可欠な人間としてのエネルギーが僕には皆無だということがわかった。よくこれで今まで生きてこれたなと感心した。よくこんな体力でイギリス4年間を生き延びたと自分に驚いた。
人間こういう時に2つのリアクションがあると思う。「もう歳だし仕方ないか」で済ませてしまうのと「このままじゃダメだ」の2通りだ。僕は後者を選ぶ。こうしてまずは弱い自分を見ること、現実を知ることが大事だ。自分は準備運動でバテてしまうほど弱くちっぽけな人間なのだ。でも言い換えればそんな弱い人間でもイギリス4年間を生き延びたし、仕事もこなして来た。そんな自分に人並みorそれ以上の体力とタフネスを兼ね備えたらどうなるだろうか?体力をしっかりとつけて夕方の仕事で体が疲れず冷静的確な判断を下せる、いつまでもシャープな体と冴えた頭を保てるとしたら、もはや自分は無敵である。
だらだらと生きていた最近の生活に久しぶりに目標が生まれた。まずは基本的な体力をつけよう。当たり前なことかもしれないけどその当たり前なことができている人間の方が少ないんじゃないだろうか?自分の弱さから目を背けずそれに立ち向かおう。親愛なる読者の皆様も弱い自分を見つめ直して立ち向かっていこう。
取り急ぎ、ジムの入会は基礎体力をつけてからである。
オハラ
加害者と被害者そして戦争と平和について
どーも、オハラです。
いやー初夏ですね。皆さんどうおすごしですか?
僕は仕事が忙しくなってきました。というのも会社の担当の一人がプッツンしやがったおかげでそのとばっちりがこっちに回ってきているのです。迷惑千万な話ですね。
この女(仮に静香と呼称)は今の会社に3年くらい勤めていて、なんと言うかポジティブや明るい性格を通り越してうるさいキャラで、それでいて40半ばくらいでしかもバツ1。体が大きく背も170くらいありそうでお腹がちょっとぽちゃってる。まあ顔面は美しくはない、なんとなくセイウチの中では美女って感じだ。とにかくPower系である。何か声に出していないと気が済まないタイプの輩でメールをみていても「あれー、これどうしたっけ?」みたいなことを言いながら仕事するもんだから思考がダダ漏れである。とにかく頭に浮かんだこと、3分まえに自分が経験したことをみんなにシェアしないと気が済まないタイプのようで「今コンビニ行ったらさ~」とか誰も興味のないことを大声で延々言いつづけるものだからこっちの気が逸れて仕方ない。もちろん、僕は思いっきり無理して仕事を淡々と続けている。
この静香が何を起こしたかというと月曜の朝礼の時に急に泣き出しやがったのだ。原因は「仕事が辛い」の一言に尽きる。一気に朝礼の爽やかな空気が凍りついたが、正直僕は「なんだこいつ?」と終始ムカついて冷ややかな目を向けてやった。というのもこの女は僕が去年入ったばかりの頃に言いがかりをつけてきて説教をしてきやがったのである。
前のブログでも書いたが、僕は人に説教をされる天才である。気が弱い、喧嘩弱そう、言い返さない、優男とすべての説教好きの垂涎の要素が全部揃っているのがこのオハラである。酒の席で僕の隣に座ろうものなら、自分がいかに考えて仕事をしているか人生を計画的に生きているかをとうとうと言い続け、それに比べてお前はどうなのか?ちゃんと考えているのか?と問い詰めて僕が「う~ん」と唸ったり答えに詰まったりしたらもうしめたもの、「お前そんなんでいいの?ちゃんと考えているの?」と次から次へと「そんなんじゃやっていけない」「よく今まで生きてこれたね?」「考え甘すぎだよ」とおそらく自分が過去に上司とかから言われて「いつか自分も下の人間に言ってやる」と溜めに溜めた説教ゲージを格闘ゲームの超必殺技のごとくに一気に放出する。まあこういう人間に何を言っても無駄だが、お酒の楽しい席で空気を読まずに説教を垂れる貴様は何を考えて人生を生きてきたのかと逆に聞き返したいが、こっちがそんな反論でもしようものならたちまち喧嘩になるだろう。そういうことを思うと僕は何も言い返さない、それこそその宴会の場にいる全員に迷惑がかかるのだ。
上述のようにこの静香も僕の天性の被説教体質を瞬時に見抜き、その会社に入って2ヶ月目くらいの頃に催された宴会の席で例のごとく僕に説教を垂れたのだ。実はその時、この女と同じ部署、チームで働いていたわけじゃないのに僕のことをろくに知りもしないくせに説教を垂れたのだ。ことの経緯はその宴会の2週間前くらいに静香から僕のチームの固定電話に連絡がきたのがきっかけだった。僕のチームは本社ではなくクライアント側の社内に駐在する形で仕事をしていて一方で静香は僕の会社の本社に常駐して窓口となり依頼された仕事をどのデザイナーに振り分けるかなどプロジェクト進行管理のような役目をしているのだ。静香はその電話で僕に「◯◯の案件のXXの件だけどオハラ君わかる?」と聞いてきた。僕はその案件の担当じゃないので素直に「あー、ちょっとわからないですね、僕担当じゃないんで」と返した。「あ、そうなんだ、じゃあわかった。ありがとね」と普通に電話が終わった。それでも結果的に僕はその後でメール履歴や他の人に聞いて、結果的にその問い合わせに対して答えを獲得して静香にメールで返信しているのだ。つまり担当じゃない僕でも尽力して解決に導いたのである。
それなのに静香はその飲みの席でその時のことを持ち出して、「あんな仕事の仕方じゃだめだよ!!」と説教を垂れたのだ。静香は僕が「ちょっと担当が違うからわからない」と言ったことに腹が立っているらしかった。全く意味不明である、じゃあ静香は自分の担当じゃないことを聞かれても全部答えられるのか?僕は改めて「いや、でも僕本当にわからなかったんです」と言い返したが、「わからないじゃないの、わからなくてもやるのよ!!」と言い出した。「私も新人の頃はわからないことばかりだったけど、でもそれでもやったのよ!!だから、担当じゃないからわからないは通用しないのよ!!」と続けた。僕には僕の担当があって、そっちの仕事があるのだ。だから担当外のことを任されるわけにもいかないのである。それでもその時は余力があったし新人だったから良い印象をつけようと頑張って結果的に解決に導いたのである。人間面白いものでマイナスなところしか記憶に残らないようだ、この静香も僕が結果的に解決したことに何も触れず、「あんなやり方じゃだめ」「社会人として知らない、わからないでは済まされない」の連続攻撃である。そこで僕はいつものようにやり返せば喧嘩になるので一応ウンウン頷いて「はい、すんません」と一応謝罪をした。でもこの謝罪をするのは説教魔神にしてみればポパイにほうれん草を与えるようなもので、「お、謝ったぞ、ほれみろ俺の言う通りだ」とどんどん気持ちが大きくなりどんどの違う論点での説教が始まってしまう。
最終的には静香は人間性まで否定するような説教をし始めた。「今までよくやってこれたね?」「34歳でそれじゃだめだよ?」しまいには「そんなんじゃだめだよ、年下の彼女とか連れてさ~」とか彼女のことまで言い始めやがった。「彼女は関係ねーだろ!」大声張り上げてやろうかと思ったが、これで反論したら思う壺だ。入ってまもない職場で僕が怒りっぽいやつ、やばいやつみたいなレッテルを貼られてしまう。さらにはこういう女のことだから「私ちょっとオハラ君にアドバイスしただけなのに急にキレられた、ほんと器が小さいよね」とか他の女性社員に吹聴するに違いない。とにかく僕はグッと堪えた。酒の席とはいえ人間性を否定したり彼女の悪口まで言うのは非常識極まりない所業だ。
まあ、この静香とはチームが違うし離れて仕事しているから別に良いかと思っていたが、去年の暮れぐらいから静香が僕の駐在チームに入ることになった。駐在しながらこのクライアントのデザイン仕事の窓口をすることになった。その方がクライアントとのミーティングもスムーズに進められるからである。僕は嫌で嫌で仕方なかった、あれ以来静香には近づかず、飲み会もなるべく参加しなくなった。それでも仕事は仕事、僕は営業スマイルの仮面を被って静香と波風立てないように接して仕事をこなした。静香が駐在メンバーになると言うことは言い換えればここの仕事が忙しくなってきたということ。仕事が一気に増えてそれをさばくのも大変で、それが故の自我を保つためのあの独り言&3分まえの出来事の共有が必要だったのかもしれない、まあ迷惑なだけだが。静香はこのどうでも良いつぶやきに反応しない人間を敵とみなす癖があるらしく僕は一切それに反応せず仕事をせわしなくこなしていたものだから影で「オハラ君、冷たい」と他の女性社員に漏らしていたようである、僕から言わせれば「静香さん、うるさい」である。
このクライアント駐在チームが忙しくなり始めたのは去年の秋から冬にかけたあたりで、実はその時に1人男性を雇ったのだがすぐにいなくなってしまった。静香がプロジェクト管理部のマネージャーみたいなポジションなので、基本的に静香は本社に構えながらデザイナーに仕事を割り当てるのが理想的である。そこで男性を一人雇った、仮にツヨシと呼称。ツヨシは僕と同い年くらいで僕と同じくイギリス留学経験があり英語が堪能だった。僕となんか似ているところがある優男で気が弱そうで小物臭のする反論できないタイプである。彼が静香の手となり足となり、クライアントから仕事をもらってはそのデザインの内容などを聞いてきて、それをデザイナーに振ると言うポジションである。ツヨシはこう言うデザイン業界は初めてでわからないことばかりだった、この境遇も僕と似ている。そんな初心者で知識もないツヨシの上司になったのがあの静香である。全然違う業界からきた人間だからわからないことの連続で半年くらいは大目に見ながら優しく教育しなくてはならないだろうが、静香はツヨシがクライアントから聞き逃したことや知識が足りないがゆえに間違った指示を出してしまったりした際に「なんであいつわからないのかな?ばかなのかな?」などと周りの人間に漏らしていたのを覚えている。
最終的に静香は完全なパワハラに当たるメールをツヨシに送信した、その内容は「なぜあなたは私の言ったことを理解してくれないのですか?私の説明が悪いんですか?それともあなたの理解力が足りないからですか?教えてください」というメールを送ったのだ。僕もCCに入っているから何かあった時のために一応証拠として取っておいてある。結果的にツヨシは耐えきれなくなって3ヶ月もしないうちに退職した。僕はツヨシをかわいそうに思った。静香も静香だが、この会社も会社である。業界未経験者でも良いからと言う条件で雇ったはずなのに、彼を育てることをしなかったのだ。下手したら、職業斡旋のエージェントに「パワハラをされた、証拠のメールも残っている。あの会社は全く人を育てようとしなかった」とか言われたら注意または指導が入るだろう。もしツヨシが精神的にやられて通院でもしたら、場合によっては訴えられることもあるだろう。静香はツヨシが去った後で「あれぐらいで辞めちゃうなんて弱すぎだよね?今までどうやってきたのかな?どこ行ってもああいう人はダメだよね?」とか言っていた。
こうしてツヨシが去り、代わりにこの駐在メンバーとして静香がやってきたのだ。上述のように静香は一人の人間(もっと過去にも被害者はいたかもしれないが)を精神的に追い詰めて辞めさせたのだ。僕もあの説教を食らって同じ職場に静香がいることに精神的な苦痛を少なからず覚えてはいる。説教はそれ以来食うことはなかった、と言うのももう酒の席で静香に近づかないようになったしあまり積極的に絡まないから君子危うきに近寄らずの状態を保っているのである。それでも仕事中に細かいどうでもいいことでいちゃもんをつけられたことはあった、例えばクライアントと話している時に僕が忘れないようにメモを取っていた。紙ではなくパソコンで音がなるべくしないようにゆっくりとタイプしてメモを取っていた。打ち合わせが終わった後に静香から「あのさ、お客さんの前でパソコンでかちゃかちゃするの失礼だよ?」と注意された。だが、そのクライアントも同じようにパソコンでメモを取っていたのだ、じゃあ同じことをクライアントにも言えよと思ったが、飲み込んだ。僕はそんな仰々しくパソコン打っていたわけじゃないし極力音を立てなかった。ただ、静香の横で時々聞こえるキーボードの音が耳についたから「お客の前で失礼だ」ともっともらしい理由をつけて注意してきたのだ。この後日、別のクライアントとの打ち合わせで静香がパソコンで堂々とメモを取っているのを見たのだが、もちろん僕は何も言わなかった。
そして最近になり、ニュースで例のとある大学のアメフト部の問題が出ると静香はやたらそのニュースを追いかけているみたいで、「ねえねえ、あの監督から相手を潰せって指示された男の子どう思う?本当かわいそうだよね、ああ言う酷い監督とか本当に許せないよね」とかぬかしやがった。ことあるごとに「あの子かわいそう」とこのニュースのことをいつものでかい声でずっと言うもんだから、何度僕の口から「お前が言うな」と言いそうになったことか。
冷静にこの出来事を見てみると人間の面白い部分がわかる。いじめる側といじめられる側、加害者と被害者、戦勝国と敗戦国、なんにせよ危害を加えた側は自分が加害者であると言う認識がないのだ。いじめっ子も同窓会で久しぶりにいじめていた人間と再会しても自分が非人道的なことを学生時代に相手にしていたとは覚えてないし、そんな意識すらないだろう。いじめられた側はいつまでもその仕打ちを覚えている。でもいじめた側はそれを覚えていない。日本は第二次世界大戦でアメリカに負けて、終戦記念日や原爆の日に追悼式を行なって犠牲者を弔う習慣がある。中にはいまだにアメリカを敵視し「何万人もの人がお前たちのせいで亡くなった」と咎める人がいる。しかし、それを言うなら日本もそれよりもっと前に中国に対して残虐な行いをしているのだ。この歴史を知らないで敗戦国と言うことで自分たちだけが被害者だと言わんばかりである。それを知らずに「中国が日本に対して反日運動をしている、韓国が慰安婦問題を取り上げて反日運動を起こしている」と迷惑そうな顔で嘲笑し、「全くいつまでやってんだよ?いつの時代の話を延々といってきてるんだよ?」とニュースを見てはまたも嘲笑。じゃあもしアメリカが「いつまで原爆落とされたことを根に持ってるんだよ?」とか言ってきたらどう思うか?「お前らが落としたんだろが!!」とブチ切れるだろう。それと同じことを中国や韓国にしていると言う意識にどうしてみんな気づかないのか?それは上述のように日本が加害者、いじめっ子の立場だったからである。もしかしたら「中国や韓国は原爆を落とされてないだろ?日本は二回も落とされているんだ、規模が違う、一緒にするな!!」とか言う人もいるかもしれない。じゃあ、仮に10万人の被害者が出た事故と1万人の被害者が出た事故があったとして10万人の方が被害者多いからそっちだけ特別扱いをしたりするのか?1万人の遺族の人にそんなこと面と向かって言えるのだろうか?日本の教育でも戦時中に東京大空襲でたくさんの人が亡くなったとか広島と長崎に原爆を落とされたとかはフォーカスされて試験にも出るし、敗戦して戦後にアメリカがどのように日本に命令し今の国の礎を築いたかとかは勉強するが日本がいきなり真珠湾攻撃を仕掛けてそこから第二次世界大戦が始まったと言うことはほぼ習わない。自分たちがしたことは目を背けて、反省せず、忘れ去り、被害にあったことだけを取り上げいつまでも忘れないでいると言うこの現象、話が戦争まで膨らんでしまったが、今回の静香のような事象を見るとそれがよくわかり非常に興味深い。
ツヨシを精神的に追い詰めて退職させたのに、あのアメフトコーチのことは糾弾するこの矛盾に静香は全く気がついていない。そして、話は冒頭に戻るが最近になって仕事が忙しく自分が追い込まれてくると静香は会社の上の人間に「もう少し人手を増やして」とか「忙しくて大変です」と相談はしていたのだが、すぐにはそれが叶わなかった。そしてついに月曜の朝礼でプッツンし、涙を流してその辛さを皆に訴えた。静香は泣きながら「辛いです、助けてください」と声を震わせて言った。
「知るかー!!!」(その時の僕の心の声)
散々、僕やツヨシに偉そうに説教を垂れ、「そんなんじゃダメだよ」「よく今までやってこれたね?」「34でそれじゃダメだよ」とか宣うくせに手前がちょっと仕事が忙しくなっただけで全職員の前で号泣して「助けてください」だと?「40過ぎなのに仕事が辛いとか言ってみんなの前で泣いちゃダメだよ、よくそれで今までやってこれたね?」と言ってやりたかった。辛い、忙しいのは静香だけじゃない、みんな大変なのは一緒である。自分だけが一番きついとでも言うのか?上記の10万人の被害者と1万人の被害者の話じゃないが「私の方が数百倍辛かった」とか言うつもりなんだろうか?追い込まれたツヨシが3ヶ月で辞めた時は「あいつ弱い」とか言ってたくせに手前はどうなのか?ツヨシは辛くてもみんなの前で泣いたりはしなかった。静香に至っては上司にこっそりと別室で相談している時につい泣き出してしまったとかではなく、全職員の目の前でいきなり泣き「私こんなに追い詰められてるの、可哀想でしょう?」と悲劇のヒロインを気取って全員に甘える始末。因果応報とはこのことだ、僕は天罰が下ったんだなとメシウマな状態で静香の涙の記者会見を眺めていた。前のブログで僕は人に言い返せないたちだと書いた、その理由は自分もそういう失敗や「まあ、自分も悪いところあるしなあ」と思うと人に対して説教を垂れたり文句つけたりができないのだ。そのいい例が今回のこの静香の一件だ。
結局、静香は月曜の朝礼で泣いた後そのまま家に帰りやがった。会社からの提案で1週間くらい休みを与えることにした。何も引きつぎ無しに休んだものだからこっちはいい迷惑である。「引き継ぎもしないで家帰っちゃって、そんな仕事の仕方じゃダメだよ」と言ってやりたい。会社のパソコンも置いて帰った、「仕事のメール見たら吐きそう」とか言っていたらしいが「それぐらいで吐きそうなんて弱すぎだよね?今までどうやってきたのかな?どこ行ってもああいう人はダメだよね?」をそのまま返してやりたい。とりあえず1週間休むが僕はもう静香は戻ってこないと思う。前の職場でも病気か何かで長期の休みに入った人がいたけど結局退職をしてしまったケースがあった。一度プツンと糸が切れたらもう元には戻らないのだろう。まあ僕にはwelcomeな話だが。
これを機に静香が人の気持ちや痛みがわかるような人間になってくれたら幸いだ。何も静香だけの話じゃない、世界中のみんながお互いを思いやって平和に暮らせる日がくることを願ってやまない。
オハラ
結婚をしたがらない若者たち〜あなたにとってのたった一輪のバラは?〜
どーも、オハラです。
最近、周りが結婚ラッシュでございます。僕の兄も去年の10月ごろに結婚をしました。というより彼女がいたことをまず僕は知らなかったし、初めて家に連れてきた女が結婚相手とは度肝を抜かれました。馴れ初めを聞いてびっくりしたが、要はお見合いサイトみたいなものを通じて二年前の12月ごろから付き合って、去年の2月にプロポーズをしたとのこと。つまりその人と1年も一緒にいていないのに結婚を申し込んだという。
僕はあまり兄貴と話さないし、そんな馴れ初めや恋バナを男兄弟で話し合うような気持ち悪いことはしないので、結婚式でそれを初めて聞かされて我が耳を疑いました。一生添い遂げる相手をたった2か月で決めたというのだから。同性の友達だって二か月でどんなやつかわからないのに、一生の伴侶をそんな短期間で決めていいのだろうか?もしその人が変な宗教に入っていたら?同棲してみたらすごいズボラで家事も何もやってくれないとか、一緒に暮らしてみて初めて「あ、こいつとは合わないな」とわかってくるところもたくさんあるだろう。さすがに恋人として最低1年も付き合えばそういうところが浮き彫りになるだろうが、二か月…。
次に見た目の問題もある。美人は三日で飽きるというがブサイクは一生飽きないのか?もしかしたらブサイクは論外と言いたい金言なのかもしれない。兄の奥さんのご尊顔を初めて見たときの僕の正直な感想は「う~ん?」である。「お兄ちゃんは結構恰幅の良い女性が好きなんだなぁ。こう言う顔の女性が好きなんだ?初めて知った」というのが僕の感想だ。はっきり言うと僕のタイプではない。性格はよく笑う、ハキハキと喋る明朗快活な女性で今の所僕からダークサイドは見えていない。見せていないだけかもしれないし。まだわからない、お兄ちゃんはこの女性を知ってやっと一年くらいだし、僕に至っては半年も経過していないからまだどんな人間かわからない。まあはっきり言えることは「僕のタイプの女性ではない」ということだけである。
こうして結婚ラッシュだと、一人の女性だけを生涯愛し続けるとはどういうことなんだろうとよく考えるようになった。僕にも彼女がいる。生涯で3番目くらいの彼女だが、初めて一年以上付き合っている彼女だ。僕もいい年齢だしいつまでも恋人ごっこをしている場合じゃない。遅くても東京オリンピックまでには結婚をしないとと思っている。でも、僕は「この女性だけ一人を果たしてこの後の人生ずっと50年も60年も愛し続けることが可能なのか?」といつも疑問が湧いてくる。
おそらく僕だけじゃない。みんなそう思いながらも結婚をしているだろう。そしてその中で本当にうまくいかず離婚をしてしまったり妻に気がつかれてないだけで浮気をしたり、愛人がいたりと人それぞれ何かあると思う。中には本当に妻が好きでやっと手に入れたから他に目移りしない、または本当は妻以外の女性とも関係を持ってみたいけど、そんな勇気がなくて仕方なく我慢しているとか、そういう人もたくさんいるだろう。
現代の若い男に特にそれが顕著だと思う。昨今結婚しない若者が増えている、願望も薄くみんな一人で生きていくだけで精一杯という人が多い。「結婚はしたくない、一生伴侶の面倒を見る自信がない」「経済的に不安でそんな勇気がない」「日本の将来に希望が持てない」とか理由は様々である。若者がなんで結婚してくれないのかなと悩んでいる首相の顔見ているとムカムカする。プレミアムフライデーとか経済効果がどうのこうのとか若いやつが結婚に一歩踏み出せないのはそういう理由じゃないんだバカヤロー、と言いたくなる。
話がそれたが、若い男性に結婚願望が少ないが女の方は結婚願望はまだ強いと思う。早くいい人を見つけたい、幸せになりたいと女性は昔からそうだが結婚に幸せが結びついているようだ。女性進出している社会とはいえ、やはりちゃんと稼いでくれる男性を若く美貌があるうちに捕えておきたい、かわいい子供を産んで仲睦まじい家庭を築きたいという願いがあるようだ。男はそのプレッシャーをはねのけられない、なぜかって?それはさっきのようにこの世の中が先行き不安だから。自分だけですら精一杯なのに他人の面倒や子供の面倒まで見ないといけない。計算が狂うのだ、今まで自分一人で精一杯なのにどうやって後2、3人も余分に食わせないといけないのだ?結婚したと会社に報告しても「そうか、おめでとう」と言ってちょっと小遣いみたいな祝い金をもらってハネムーン休暇を1週間くらいもらって終わりである。結婚すれば給料が上がるわけじゃない、子供が生まれれば子供手当とか住宅手当とかあるかもしれないけど、小さい会社ではそれがどこまでサポートされているか?ほとんどがそんなことしてくれないだろう。
そう家族を持つことに計算が合わないのだ。こういうことを理解しないといつまでも若い人が結婚をしない。結婚そのものが嫌だと言っている若者も多い、自分の時間がないとか趣味ができなくなるとか言っているのは20代の中盤までだ。だんだんそんなものやり尽くして暇になるに決まっている。30も近くなるとだんだんと周りが結婚したり、親の体が弱ったりしてさらに自分の体も20代の頃のようには行かず、仕事も責任のあるポジションを任されて、余計に孤独の感情が強くなっていくのである。この年代になれば結婚をしたい気持ちは嫌でも高まる。そしてそのままずるずる30後半、40になれば「ああ、なんであの時に結婚しておかなかったのかなぁ」と嘆くことになるだろう。とかく、若い男は気が弱いとかだらしないから結婚しないんのだ、情けない奴らだなあとかのたまうご老体がたくさんいるが、それは違う、僕はみんな若い男は真面目なんだと思う。上述した理由をもう一度見てほしい「一人で精一杯なのに妻や子供を養う自信がない」という理由がある通り、結婚したら離婚してはいけない、他に浮気をしてはいけない、育児を途中放棄はできない、一生をかけて結婚相手とその子供を守り続けていかないとダメなんだという使命感を自分に当てはめたときに、果たして自分はそんなことができるのだろうか?と自問しているのである。何も考えずにゴムもつけずにやってしまって子供ができて、じゃあ結婚するかなんてなって、やっぱ途中で離婚して、育児も適当にしてその子が将来グレちゃって人様に迷惑かけて警察沙汰を引き起こして「親の教育がなってないからだ」なんて言われて…そういうことができないある意味真面目な若者が増えたのだ。
日本ではとかく離婚をしたらまるで悪いことをしたみたいに「あの人xついているわよ」なんてヒソヒソと本人のいないところで話す、まるでナチス政権下のユダヤ人のような扱いである。そんなことをヒソヒソ話しているあなたは何なのだ?妻や旦那を心底愛しているのか?何かきっかけがあれば自分も離婚したいとか、別にろくな旦那じゃないけどまあ結婚しちゃったし仕方なしに一緒にいるとかそんな意見が大半のはずだ。お互い好きで好きで仕方ないなんて夫婦をテレビのインタビューとかで見たことないし、周り近所やいとこのおっさんたちも冗談だろうが奥さんのことを悪く言ったりしている。
今の若い人は真面目だ。仕事も明らかにおかしい労働環境なのに精神が追い込まれたり、過労で倒れたり、死んだりするまで自分の仕事を全うしようとする人をニュースでよく見ることがある。バブルの時みたいにものを作れば売れる、何もしなくても仕事が舞い込んできたり、給料や臨時ボーナスがバカバカ入ってくるような時代じゃないんだ。低賃金で残業代もでない、本来残業に対して対価を払うのは当たり前でそれを受け取る権利があるのにそれすら請求せず、「迷惑をかけたくない。自分の仕事をやり遂げないと」という責任感と使命感で無理してやってしまう。そんな真摯な姿勢が結婚や育児にも見て取れる。
浮気をしないとか、同じ人をずっとこの生涯愛し続けられるか?美人が増えたという記事をこの前に書いたが、まさにその通りで30を過ぎても40になっても美しい女性は今やたくさんいる。そんな人が職場、通勤途中、英会話の教室、ゴルフのコンペなどで一緒になってちょっと仲良くなり一緒にお酒を飲んで「旦那が相手してくれない」なんて愚痴を聞いていくうちに…。そんなことがないとは言い切れない。最初は可愛い彼女、可愛い奥さんと思っていたがだんだんとそれが当たり前になっていく、毎日顔を合わせてすっぴんも知ってるし、着飾ってわからないけど結構お腹が出ていることももう知っているし、シワも増えてきた。夜の営みも最初のうちは良かったがだんだんとそれが飽きてくるというのも不思議ではない。例えば少し極端だが同じ友達と同じおもちゃで同じ遊びばかりしていたら誰だってそりゃ飽きてしまう。ネズミを使った実験でも明らかになっているが、オスとメスのつがいを用意して交尾をさせる、同じメスとだけ交尾を何度かさせるとオスのネズミの射精までの時間が長くなる。しかし、毎回違うメスを用意すると射精までの時間が変わらないのだ。
このネズミを用いた実験でも分かる通り、人間でも同じ女性とずっと性行為をすると飽きてくるのである。浮気とかはこういう動物的な本能から来ているもので、人間社会という輪の中で生きるために一応の決まりごとは用意しておくが本能では常に新しい性的な刺激と新しい相手を求めているのである。だからみんな黙っているだけでどんな仲睦まじい夫婦やカップルでさえどちらかが違う相手との性行為をしているもしくはその経験があるのではないだろうか?実験で示しているように一人の相手だけをずっと愛し続けることは困難なのである。飼い主や飼育委員が人間と同じ考えでつがいをこしらえ、そのまま仲睦まじく同じ檻の中で暮らすように仕向けているだけで、本来の動物のあるべき姿は一匹のオスやメスだけで満足するようにはデザインされていないのではないだろうか?人間も動物と同じならば、これが本能であり本来の姿なのかもしれない。
つまり本来一人の相手だけを一生涯愛し続けることは難しいのである。しかしながら、どうして世間一般や創作の世界ではそれがさももっとも美徳なことであるかのように賞賛され奨励され誰もが羨み憧れることのように語り継がれたり、美しく描かれたりするのだろうか?正直、恋愛映画とかはそんなものばっかりである。他に美人がいたり美男がいたりして、それらがハーレムのごとくに色仕掛けをして大挙してやってきても、それを断ることが美徳として誘惑をはねのけたり、はたまた普段はすこぶる血色がいいのに余命いくばくもない女子高生が転校して男子生徒といい感じになったはものの夏祭りが終わったあたりで急遽その病状が悪化して死に掛けたり、全速力で疾走したり高い所から飛び降りたりの唐突なきっかけでタイムリープをして過去に戻ってまでその同じ人に想いを伝えに行ったりしてはその想いを伝えたことがきっかけで運命を変えたとかいうものすごい都合のいい理由で意中の人物の死亡が免れたりして、最後はその意中の人間とその誠実さがゆえに結ばれる、みたいな結末を迎えて「ポジティブに、私らしく、人生を謳歌しよう、同じ空の下、サクラサク」という何万回も使い古された安っぽい歌詞の女性ポップソングが流れて閉幕。
タイムリープの下りを除いては昔からこのような類いの創作ばかりが作っては世に出て、たまにこだわった見せ方や演出をして賞賛されて、「同じ人間を一途にずっと愛し続ける」ということを一貫したテーマとして描き続けている。中には死んでも君を愛し続けるという一瞬ホラーとも取れるメッセージを描いたものもあったりする。面白いことにこれが日本の作品だけじゃなくて海外の作品でもこの一途に同じ人を愛し続けるということを賞賛した恋愛作品が多くあることである。全世界共通でこれが美徳とされているのだ。
一体どうしてだろうか?それは先に述べたネズミの実験で示されている通り人間は本来一人の相手を愛し続けることが難しいからである。ちょっとしたきっかけで齟齬が生じて関係に亀裂が入る、経済的な問題や距離の問題、はたまた子供のこと、そして性行為においての飽きる問題。生きている限り、人間社会の輪の中に暮らす限りは人間と関わらないといけないのだ。自分の妻や夫とだけしか会わないわけにはいかないのだ。職場、街中、電車、食事処、果ては毎日行くコンビニや病院だって人と出会い交流がある。それが同性や自分の好みじゃないブサイクな相手だけなら性の問題は浮かばないかもしれないが、そういうわけにはいかない。テレビをつけたって、自分の嫁や旦那より美しく性格や特殊能力に秀でた人間が画面をとうしてこちらにコミュニケーションをとっているのだ。「こんな女の子と出会えたら」「こんな男性に声をかけられたら」あなたは例の恋愛映画の主人公のように断ることができるだろうか?「そんなことあるわけない」と思っていたようなことが実際に我が身に起きてしまったら…。それがまかり通って誰でも構わず関係を持つことが横行してしまったら、それこそ結婚なんて約束事がなくなってしまう。それに誰にだって過ちや魔がさすことはあるのだ。嫁以外の女性にだって性的興奮を覚えてどうしても股間が隆起してしまうのは仕方ないこと、女性だってイケメンに優しくされたり自分が描いているロマンチックなシチュエーションに陥ったら正気でいられるだろうか?
本能的に人間は性においては一人の相手だけで満足いくことは難しいのだ。だからこそ恋愛映画などで洗脳が必要なのだ。本来はこれが美徳である、あなたの結婚している相手は誰ですか?あなたの本当に愛している人は誰ですか?と思い出させるのだ。愛がなくてもセックスはできる、でも結婚して夫婦生活を死ぬまで続けるには愛がないとできない。嫌いな人間と何十年も一緒に同じ家で暮らし続けることができるか?結婚するにあたって「この女を一生愛し続けることができるだろうか?テレビで見るような美人の女優さん、この前飲み会で会った得意先の受付の人も綺麗だったし、先週行った風俗のあの子も気立てが良くてテクニックもピカイチだった。まだ女子大生のセフレのあの子も可愛いし都合よくいつでも呼び出せるけど年齢的に話が合わないし付き合うのは気が引ける。でも俺の彼女はもう3年も一緒にいるけど一緒にいて全然嫌ではない、ムカつくこともあるし喧嘩もするけど、趣味も合うしお互いに笑いのツボや楽しい事や嬉しい事など共感できるところがいっぱいあって、一緒にいると何も気を遣わずずっとくだらない話やテレビでも見て笑っていられる。だから結婚するなら俺はこの女がいいな」と感覚で認めて、相手を決めるのだと思う。そう思えるのが愛している人、自分にとっての生涯愛し続ける一人の相手なのではないだろうか?
たった一人の相手を愛し続けることにおいては寓話「星の王子さま」がその答えを示唆していると思う。星の王子様はほとんどの人がその名前を知っていても作品を読んだことがない人ばかり、僕は20歳の時に専門学校の課題で読んだことがあるがその時はよくわからなかった。内容が薄いけど頓珍漢なやりとりや明確に描写しないところがあって、読み手の感覚に頼る部分が多いのだ。でも今それをもう一度読んでみるといろんなことがわかる。
あらすじは一軒家くらいの小さな広さの星に住んでいる王子さまがある時どこからか風に乗って飛んできた種が芽吹きそこからバラが一本生える。美しいそのバラはひどく高飛車な態度で王子さまを困らせたりしてとうとう王子さまはそのバラと喧嘩して星を出て行ってしまう。いくつかの星を転々として末、地球のサハラ砂漠に降り立った王子さまはそこでこの本の語り部である「僕」と出会う…という感じなのだが、その地球で王子さまはバラがたくさん生えている農園を訪れるシーンがある。王子さまはたいそうなショックを受けるなぜなら王子さまはこの世にバラはあの星に生えている美しい1本のバラだけだと思っていたから。「特別だと思っていた僕のバラが、ただのありふれたバラだったなんて…」王子さまはショックを受けてとぼとぼ歩いていると今度はキツネに出会う。キツネに落ち込んでいる訳を話すとキツネは王子さまにアドバイスをする「もう一度バラを見に行ってごらん。そしたら君の星のバラがこの世に一輪だけだってことがわかるから」と。そして王子さまはそのバラたちを見て「やはりあの星にあるバラだけが大切だ」と気づくことになる。
王子さまはバラたちにこう告げる、「君たちは綺麗さ。でも空っぽだよ。誰も君たちのためには死ねない。もちろん通りすがりの人は僕のあのバラを見て君たちと同じだと考えるだろう。でも、あのバラは君たちを全部合わせたよりももっと大事だ。なぜって、僕が水をやったのは他ならぬあの花だから、僕がガラスの鉢をかぶせてやったのはあの花だから、つい立てを立ててやったのはあの花だから。毛虫を退治してやったのはあの花だから。愚痴を言ったり、自慢したり、黙っちゃったりするのを聞いてやったのは、あの花だから。なぜって、あれが僕の花だから。」
するとキツネは王子さまにこう告げる。「君がバラに費やした時間が君のバラを特別なものにするんだ。これが大事なことだ」と。
世の中、たくさんの女性がいる。美人が増えたと前のブログでも書いた。いろんな女性と関係を持つこともいいだろう。それをコミュニケーションと捉え、自分たちの責任の範疇で体だけの関係を楽しんだりすることもいいかもしれない。でもこの世にたくさんの綺麗なバラや花が生えていても自分にとっての特別なバラはたった一輪だけあればそれでいいのだ。合コン、飲み会、ナンパ、出会い系や友人の紹介などきっかけなんて何でもいい、運命の出会いなんて後付けなのだ、でもその出会った相手と多くの時間、場所、経験を共有しながら少しずつ相手が特別なバラになっていくのだ。そして「色々あるけど、やっぱりこの人がいい」と思えた相手、それがあなたにとっての「たった一輪のバラ」となるのだ。
結婚をすることが今の日本の社会では先行きが不透明でなかなか一歩踏み出せないのは僕も同じような立場にいる年代だからよく分かる。それでも愛する人、自分にとっての特別なバラと呼べる存在がもしあなたにいるのなら決してそのバラを枯らしてはいけない。先行き不安な世の中だからこそ、金は無くとも愛している人と手を取り合って生きて行くことが人間として生きる道なのかもしれない。
オハラ
こリドーより愛を込めて
どーも、オハラです。
早いもので2017年も終わりに近づいています。ここらで今年を振り返ってみようと思います。
今年も激動の年でした。まあ一番は転職ですかね。2015年にも転職はしたのですが自分と全く畑の違う業種に入ってしまったので、1年しか続きませんでした。
まあそんなこんなで今はパッケージデザインを扱う会社でちまちまやってます。給料もだいぶ良くなって自分の生活に余裕が生まれました。
傾き方面では、すっかりなりを潜めている状態です。彼女もいるし安定した生活を送っています。うーむ、すっかり大人しくなってしまった。この前も銀座コリドーに繰り出したが、もうなんだか盟友ウィリーさんと通りを眺めていて達観した感じだった。
僕たちはあのコリドーでナンパを2014年頃から始めてかれこれ3年が経過した。最初は300BARが有名でみんなそこで火花散るバトルが繰り広げられていた。あの狭く暗い空間でファイトクラブのようなスリルのある夜をなんども越えてきた。しかし、2015年の後半くらいからもう300Barに行くのはやめにした。理由は僕らに触発されて一緒にナンパを始めたフォロワーが増えたのと、女たちが図に乗り始めたからだ。
女たちもあのコリドー街はナンパの激戦区と知り始め有象無象が集まってくるようになった。美人、ブサイクを問わずいろんな女が集まり始めたが、あの300Barの満員電車のような狭っ苦しい空間で「早く私に声かけなさいよ」と言わんばかりのすました感じに妙に腹が立った、それでいて選り好みしやがる。例えば、そこが六本木にある高層階の会員限定高級ラウンジとかでおしゃれなドレスを身にまとった気品溢れる美人が馴れ馴れしく話しかけてくる男にスンとした態度をとるなら絵になるだろう。でも、300Barにいる女どもは酸素が薄く暑っ苦しい足の踏み場もない狭く汚い地下のbarで1杯300円の安い酒を飲んで、平日は中小企業の雑務担当契約社員OLもしくは店名を聞いても場所もそのアルファベットの綴りすらもよくわからない名前の超マイナーな店でアパレルの販売員をやっているような輩がいい女ぶってすまし顔をしている。自分は「酸素が薄く、暗くて汚い店で一杯300円の安酒を飲んでナンパ待ちしている女」ということを自覚するべきである。
効率も悪いし空気も悪いのですっかり300バーが嫌になり、僕と盟友ウィリーは路上もしくはHubに狩場を移した。それが2015年の半ばくらいである。こうすることでかなり勝率は上がり、連絡先交換や果ては即ハボまで様々なパターンを経験した。ウィリーさんにいたっては2014年の活動開始から傾いた女の数は20〜30人くらいは行っている。一緒にナンパした女の中には菜々緒みたいなスタイルのいい女もいたし、読モでもやってそうな可愛い子もいたし、女子大生もいたし、中には元AV女優や元グラビアアイドルなどともベッドを共にしている。
2015年が一番ピークだった気がする。女性もノリがよく見た目も気立ても良くナンパ成功率も高かった。あの頃に知り合った子達はどうしているのだろう?もう結婚して夜遊びもしなくなっているのだろうか。
あの頃に比べるとだいぶフォロワーも増えた。当時は何組か僕たちと同じようにナンパに繰り出している男たちがいてお互いにちゃんと礼節をわきまえて女に声をかけていた。すでに盛り上がっているテーブルには邪魔をせずただチャンスを待つ。先に声をかけて盛り上がっている場合はそいつらの邪魔をしないのが礼儀だ。ただし、女が明らかにつまらなさそうにしているときは例外、女がチラチラこっちを見たり他の男性に目を向けたりしていたらそれは「助けて」の合図。トイレ待ちで並んだ時などにさりげなく声をかけて「盛り上がってるね」「いやー、そうでもないんです」というところから「後で合流しよう」と持ちかけることができる。300バーだと礼儀をわきまえず女と話しているところに遠慮なく「イエー」とグラスを掲げて乾杯を促して入って来ようとする。そういう奴には乾杯してはダメだ、グラスを引っ込めて明らかに「迷惑です」という態度を毅然として保つべきである。まあ、もうあのバーに行くことはないと思うけど。
フォロワーが増えてナンパがやりづらくなったのも事実だが、ある意味嬉しい兆候である。僕たちの活動をこうしてブログで伝えて、ウィリーさんのことが伝説のように伝わって「俺もやってやる」と一念発起して街に繰り出して酒を片手にナンパする。男らしくなんとも健全な遊びじゃないか。そして、実際に女の方も女だけで飲んでいたって少し退屈なのだ。あんな盛り場に出てくるのだから異性と刺激を求めてくる女が大半である。例外として中には「話しかけないで」オーラを出して閉店までテーブル席で話し込んでいる女がいる、何しに来たのだろうか?その日のうちにやってしまういわゆる即ハボパターンも結構ある。よく女が「付き合うまではやらせない」とかのたまうがそんな約束事はあってないようなものである。女は本音と建て前の乖離が甚だしい、口ではそう言ってるが実際にやることはやるのだ。
前にコリドーで知り合った女で同じように「付き合ってからしかやらない」と言っていた女がいた、まあただの建て前だろうけど。この女に僕は日頃から思っていた疑問をぶつけてみた「よく女の子は付き合ってからしかやらないとかいうけど、いざやってみて凄い下手だったり体の相性が全く合わなかったらどうするの?」という質問だ。
ずっと僕は疑問に思っていた。僕やウィリーさんはその逆の考えにいて、付き合う前に気が合うとか話が面白いとか優しくて常識があるなんてのは当たり前として体の相性も知っておくべきだと主張して来た。理由は上記の通りである、ツラも悪くない、話も合う、けどやってみたら下手くそ、早い、ねちっこい、場合によっては縄で縛ったり排泄物を愛でたりというとんでもない変態かもしれない。そうなったらどうするのか?出会って、2、3回デートをしてプレゼントを渡してやっと告白して付き合って、キスをして、念願のホテルへ行って肌を重ねてみたら下手、早いもしくは遅い、痛い、変態だったとわかったら「あなたと体の相性が合わないから別れて」なんて言うのか?なんて残酷な仕打ちだろうか、ここに到達するまで社会人だったらあまり時間も作れないからおそらく2、3ヶ月は経過しているだろう。こちらとしては女が付き合うまでは嫌だと言うからそれに大人しく我慢して従ったらこの仕打ちである。逆パターンだってありうる話だ、やっとその女とできたと思ったら男がげんなりするくらいお腹がポッコリしていたり、乳輪がシングルCDの大きさだったり、昨今流行りのバストがやたら大きく見える盛れるブラのおかげで脱がしてみたら実際はかなり小さかったり、物凄い強烈な臭いを股の付け根から放っていたりして男から願い下げをくらうかもしれない。これが逆パターンだと「やり捨てされた」とかほざくくせに何被害者面してやがる?
とここまで過激なことは言わなかったが「やってみたら、がっかりしたパターンだったらどうする?」と言う質問をしたら「好きだったらそこは関係ない、許容できる」と言うなんとも女の教科書通りの答えが返って来た。絶対に嘘である、まあ流石にど変態だったらそれを理由に別れを告げるのもなんとなく納得はいくが、体の相性が悪いのはかなりわだかまりが積もるだろう。一番の理由はそれなのに他にやたらと「時々冷たい態度をとる」とか「出会った頃より連絡が少なくなった」とかどうでもいいことを理由として付け加えて別れを切り出すに違いない。
そう言うことも含めて、付き合う前に一度体でもその相手を確かめてみることが大事だ。女からしたら「一回やって連絡が取れなくなったりしたら嫌だ」とか言うのかもしれないけど、それはそれでいいじゃないか、そんな男と付き合わずに済んだのだ。むしろポジティブにも考えられる「あまり顔がかっこよくないな、でも面白い人だな」とその相手との交際にもうワンステップ踏み切れないでいたけどベッドでは物凄いテクニシャンかもしれないし、逆に顔がかっこよくて凄いタイプの人だけど終わってみたらすぐに寝る相手をいたわるピロートークを微塵もしてくれない冷たい男かもしれない。男からしてもそこまで可愛い子じゃなくてもベッドでは凄い可憐で愛らしい声と恥じらいで応えてくれて「この子を守ってあげたい」と思うかもしれない。もちろん誰彼構わずやってしまえと言ってる訳じゃない、明らかに危なそうな男について行ったり、ゴムもつけずにやろうとして来たらそいつはそう言う男なのだと見限りをつければいい。そうやって男を見る目を磨けばいいじゃないか。別にこちとら女子高生を狙ったりナンパしているわけではなく社会人の大人の女と話をしているのだ。妙に気持ちの硬い純潔ぶるのもなんだか気に食わぬ。
今年は特に彼女以外の女と傾くことはなかったが、彼女の要望で5月くらいから筋トレをしている。だいぶ胸筋や上腕二頭筋が発達して来た。最近性欲もかなり強くなって来ているのを感じる。おそらく雄として今が傾き時だと体が主張しているのだろう。20代でほとんど僕は性に関して肉体を使用せずに来た。今まさにその反動がきているに違いない。
「傾くなら傾き通せ」来年の抱負はこれでいこう。
オハラ
出会いアプリ 地雷編 後編
映画館について二度目のシングストリートを見た。二回見てもやっぱり音楽もいいしとても面白く見ることができた。映画館を後にして僕たちは焼き鳥でも食べに行こうと銀座コリドーの方へ歩いて行った。歩いている途中であのシーンはよかったねとか映画について語り合った。女性とこんな風に映画について語り合えるのはとても楽しかった。焼き鳥屋に向かって歩いているときになんとなく嫌いな食べ物の話になった。この子は基本的に嫌いな食べ物はなくなんでも食べれると言っていた。僕はちょっと生ものが苦手だと伝えると「えぇ~!!」と歩を止めて大口を開けて驚愕していた、僕もその様に驚愕した。「な、なに?どうしたの?」と聞くと「ええー、今のかなりマイナス!」と言い始めまたあの減点式の品定めが始まってしまった。この子は寿司とか刺身とかそういうのが大好きみたいでその好物を共有できないのがかなりマイナス点だという。たしかに、夫婦が長く続く秘訣は好き嫌いが一緒とかよく聞くけど、別に嫌いなものがあってもいいじゃないか。僕の家の両親は好き嫌いが合致してないけどとても仲良くやっている。だいたい好き嫌いなんて個人の自由じゃないか、例えば僕が「俺、肉しか食えないから。野菜、魚全く食わねーから」とか異常なほどの偏食だったら話は別だけど、イカとかタコとかの一部の生ものが食えないくらいなんだというんだ?じゃあ、そんなことくらいで男の好き嫌いを決めるお前は何なのだと言いたい。
「まあまあ、別に全部じゃないよ、マグロとかは大好きだよ」とか言ったけど相変わらずそこは気に入らないみたいでちょっとへそを曲げている様子がうかがえた、これからお酒を飲むのに、なんか雲行が怪しくなってきた、最初からそうだったけど。安くておいしい立ち飲みの焼き鳥屋さんへついてまずはビールを頼んだ。ビールを待っている間もこの子はまたあのこの世の終わりの顔が再発して、カウンターに頬杖をついて店内で流れているテレビを猛烈につまらなさそうなうつろな目で眺めていた。「ああ、またか」と正直僕はもうこの時点でかなり意気消沈していた。僕は今日どうしてここに来たんだろう?なんでわざわざ同じ映画をもう一度お金払ってみたんだろう?と思った。その理由がこの目の前でつまらなさそうにテレビを見る女である。とうとう我慢できなくて「大丈夫?体調でも悪いの?」と皮肉たっぷりに聞いてやった。そしたらこの子はこのようにボーとする癖があるらしく友達にもよく何考えているかわからないと言われるようだ。
ビールが届いて乾いた喉に流し込んだ。この子もビールが結構好きみたいだった。串焼きの盛り合わせとかを頼んで、なんとか話しを振ったりして場をつないだ。お酒は好きなのか?何をいつも飲むのか?みたいに聞いた。それなりにちゃんと返答をしてくれて、串焼きも届いたり酒もだんだん回ってきて、彼女がだんだん振ってもいないのにしゃべるようになってきた。いい兆候なのだが、これまた自分の自慢話みたくなってきた。
この子によれば家は土地持ちの裕福な家で、パパが芸能関係とちょっとコネがあり、明石家さんまさんに弟子入りしようとしたか何かが縁で今でもつながりがあるという。そのコネを活かしてか、どうもこの子は昔、恋のから騒ぎに一時出ていたことがあるという。すぐにやめたから視聴者の誰にも記憶されていないと言っていたが、このへんからこの女の自慢話にどんどん火が付き始め、なんか自分は以前ヘアカタログのモデルをよくやっていたとかいわゆる読者モデルをやっていた時期があるとかなんとか言い始めた。この子は結局大学には行かずに美容師の専門学校に行ったという。立ちっぱなしの仕事である時に腰を患ってしまってそれ以降、もう美容師の仕事はしていないという。この時に彼女が言ったのは「私は勘違いをしていた。ヘアモデルになったりするのが好きで美容の道に進んだけど、ただ単にモデルになって写真を撮られたりするのが好きなだけで、それを施す側には一切興味がなかった」という。親愛なる読者の皆様はこの時点でもうお気づきだと思うが、この子は自分大好きで自分がかわいい部類に入ると思っている典型で、まあ実際にそれなりにかわいいっちゃかわいいけどそこまでというレベル、たしかに空騒ぎに出ていたと聞いて妙に納得してしまった、あれに出演するレベルの女という表現がしっくりくる。そういえばさっきカフェで旅行の話をしたときに「別に一人旅もいいんだけど、私結構写真を自分で撮るんじゃなくて人に撮ってもらいたいタイプで…」とか言っていたのを思い出した、かなり自分大好きである。
最終的に友達の友達が嵐の大野君だ、みたいないよいよどうでもいい自慢が始まってきて、なんかどっと疲れが出てきた。自慢話は好きじゃないけど、どうせ自慢するなら虎の威を借りる狐ではなく自分で成し遂げた偉業とかそういうのでこの子は自分を誇ることができないのか?ヘアモデルをやっていたというのもあまり自慢にならないかもしれないけど言われれば「へえ、すごいじゃん。やっぱり美人だからね」とか気の利いた事を言ってやるし、芸能人の友達とかパパがコネがあってとかそんなこと言ってもしょうがないじゃないか。旅行で10数か国行ったことがある、「へえ、すごいね」で終わりだ、自慢ではなくその中で共通項を見つけたりしてこの子はお互いの会話を楽しもうと思わないのか。
ビールを終えて、次に彼女は日本酒に手を出した。3種の利き酒セットみたいなのを頼んで「あ、これがおいしい」とか味の違いを楽しんでいたが、この日本酒をスイッチに今度は僕に対するダメ出しがスタートした。本人曰く友達とどこか飲みに行くと必ずナンパされて、酔っているとかなり雑に男に対応するようで、今も日本酒の酔いに任せてその毒舌が加速して、僕のマイナス点を次々に羅列し始めた。
まずは「君、コミュ障だよね?」と言ってきた。確かに僕は女性の扱いにあまり慣れていないからどもっちゃったりどういう距離感で詰めよればいいかはわからないことが多々ある、でも頑張って話題を振ったり努力はしているが彼女にはそれが届かないみたいだ。「ほんと、さっきカフェにいるときどうしようかと思ったもん、コミュ障なうとか呟いてやろうかと思った」とかぬかしやがった。それは奇遇な話だ、僕もこの子がコミュ障だと思っていたんだ、ずっとつまらなさそうな顔で頬杖ついて明後日の方向を向いているもんだから体調でも悪いのかと心配していたところだよ。続いて「なんか君さ耳遠いよね」と今度は身体能力の部分をつついてきやがった。「さっきカフェでさ、何回も聞き返したじゃん?あの時の言い方がすごい強いよね、あぁ!?何!?みたいな感じでさ。すごい感じ悪かった」とのこと。確かに、僕はカフェにいるときになんか言葉が聞き取れなくて3回くらい「え、もう一回言って?」と同じフレーズを聞き返してしまった。でも、カフェは結構繁盛していてうるさかったのは事実だし、この子の声もそこまではっきりした声じゃないから、自分にも原因があると思わないのだろうか?しかもそんな語気を強めて聞き返したつもりはない、全くのこの子の被害妄想である。しかも僕は昔イギリス留学の時にストレスで右の耳が遠くなったことがあって、その時からちょっと聴力が人より落ちてしまったかもしれないのは事実である。だからそういう致し方ない理由があってのことなのにそこをつつくのはかなり失礼な発言だ。ちゃんと理由を言ってやろうと思って「いや、実は昔ストレスで…」と言いかけたら「私の前の彼氏もなんか似たようなこと言った、俺はクラブでガンガンに音楽聞きまくってたから耳が遠くなっちゃったんだよねとか言ってたなあ」とかぬかしやがって、とうとうあきれて何も言い返せなくなった。いっそ大嘘こいてやろうかと思った、それこそ洒落にならない先天的に聴力が弱く生まれてやっと回復してここまで聞こえるようになったとか、数年前に事故にあってそれが原因で右耳がほとんど聞こえないんだとか。本当にそういう理由で僕の耳が遠かったらこの子はいったいどう弁解するつもりなんだろう?ていうかそういう考えに及ばないこの子は逆にすごいと思った、僕の年齢で耳がちょっと遠いのには何か理由があるのかなとか相手を慮ることができないのか。
「あと生もの食べれないのはかなりマイナスだな~」とまたダメ出し。別にいいじゃないか、誰だって苦手な食べ物くらいあるだろうに、というかこの子もさっきおつまみを頼むときに僕が大好きな枝豆を頼もうと思ったら「あ、枝豆あまり好きじゃない」と言ったのをはっきりとこの遠い右の耳で聞いた。「え~!!枝豆嫌いなのはかなりマイナスだな~!!」といっそのこと同じように大声で叫んでやろうかと思った。ビールと言えば枝豆だろ?でもそんな価値観を人には押し付けられない、枝豆が嫌いな人がいても僕は別にそれはその人の自由だしという広い心で受け入れられるだけの人間的余裕はある。彼女は枝豆の代わりに梅水晶なるファンシーなおつまみを頼んでいた、あまり梅をつまみにビールを飲みたいとは思わなかったけど喜んでそれを受け入れた、結果あまりおいしくなかったけどもちろんそれは口に出していない、なぜなら彼女はそれをおいしそうに何度もちびちびと口に運んでいたから、ああみんな好みがあるんだなあと思っただけだ。それでいいじゃないか、どうしてこの子はそれを受け入れない?人それぞれ趣味嗜好が違ってもそれが個性で味がある。今この子が飲み比べているように日本酒だってそれぞれ味が違うから面白いんじゃないか。そろそろ僕も怒りメーターがたまり始めて「ま、人それぞれあるじゃん?」とだけ言い返しておいた。
とどめは「なんでこの出会い系やってるの?金の無駄じゃない?」とまで言い始めた。さすがに怒りが頂点に達し、危うく持っているグラスをたたきつけそうになった。なんとか怒りを抑えながら「え、なんで?(怒)」と顔はにこやかにでも血管はぴくぴくさせながら聞くと「だってさ、彼女ほしいだけなんでしょ?だったらさ、その辺の路上で適当に女捕まえりゃいいじゃん?月に3000円くらい払ってるんでしょ?もったいないよ?」もう怒りというよりくやしさで涙が出そうになった、僕はなんでこんな女と今日あってしまったんだろう?なんでこんな女と同じ映画をもう一度見ようと思ったんだろう?僕が何かひどいことしたか?僕が何かひどいこと言ったか?最初のメッセージのやり取りでいけすかない女だなと思ったけど、映画とかの話で盛り上がって少しずつこの子と分かり合えるかもしれない好きになれるかもしれないと希望を持ったのがそもそもの間違いだったのかもしれない。「え、でもそっちも恋人がほしいんじゃないの?君は何のためにやってるの?」と強めに言い返したが、この子は次に付き合う男とは結婚がしたいから結婚相手を探しているという。「いやいや、僕もいずれは付き合って結婚できるような人を探してるんだけど」と言うと彼女の場合、いずれじゃなくて次の男と結婚する、つまりだいぶ焦っているのだ。だから自分は真剣な結婚相手を探している、お前のように軽い気持ちで出会い系で恋人探しているようなガキとは重みが違うんだということだ。ここまでくると彼女の自分を棚に上げる芸術的センスに脱帽してしまった。じゃあ、そっちこそ結婚相手探しているなら手軽にスタートできるこんな出会い系じゃなくてどこかの有料結婚相談所にでも行ったほうがいいんじゃないか?女はこのアプリが無料でできるからと言って調子に乗りすぎだ。登録していろんな男に会ってきたみたいだけど、今のところの結果はどうなんだ?「全然ダメ、ろくな男いない!」とか毒づいて結局誰ともうまくいっていないんだろ?自分に至らない点があるなんて微塵も思っていないんだろ?街コンとかそういうイベントにも行ってるとか言ってたけどそこまでたくさんやってこの体たらくじゃないか?街コンは女性でもそれなりにお金かかるはず、それは金の無駄じゃないのか?それともこのサイトに登録すれば普段はふつうの事務員でちょっと昔にヘアモデルやったことがあるくらいのレベルで気づいたら婚期を逃して今年で30になる自分のもとに高収入で何をやっても許してくれる優しい年上イケメンが付き合いもほどほどに今年中に結婚を申し込んでくるとでも思ったのか?寝言は寝てから言ってほしい。自分のことは棚に上げて、どうして今日あったばかりの僕にそんなことを言えるんだ?小説を一年に150冊も読んでるくせに主人公や登場人物、つまり人の気持ちをくみ取るくらいの想像力も身についていないのか?どうせ流し読みしているだけに決まっている、おそらくどの小説も内容なんてほとんど覚えていないはずだ「私、小説150冊も年間に読んでるのすごいでしょ、おほほ」とか言いたいだけだ、ファッションだけで読書家を語りやがって、本当に書物を愛している人に失礼じゃないか。
上述のように言いたいことが山ほどあったが、僕はどうしてもこういうときに言い返せない質だった。以前に友人だったデザイナーに逆ギレされた時もかなり不当な理由で切れられたけど今みたいに焼き鳥屋という公共の場所だし、そこで言い返したら絶対に喧嘩になって周りに迷惑をかけちゃうと思うと僕は何もできないでいた。たぶんこういう性格だから男友人にもさらには女にまでもなめられるんだと思う。相手がこのように一方的に攻撃してきても自分が5%でも「まあ、そう言われればそうだけどさ…」とおもう節があったら、僕は言い返すことができない。もうとっくに場の空気は台無しになっているけどそれでも僕は取り繕ってしまう。最後このあと駅まで紳士的に送って行ってやるところまでは我慢だと自分に言い聞かせた。でも、悔しい、歯ぐきから血が出そうなほどに歯噛みしていた。いつもなら頑張って笑顔でまた話を振るのが僕のマナーだけどこの時ばかりは何も言い返せずただただ不機嫌な顔で無言になってしまった。
どうしてこの女はこんなに攻撃的なんだ?もしかしたら、彼女はさっき僕の好きなタイプを聞いて気を悪くしたのかもしれない。僕は「かわいくて優しい子が好き」と答えた。彼女はどうやらそれを「誰でもいい」と解釈したみたいで、自分がその誰でもいいに入れられているのがプライドが許さなかったのかもしれない。誰でもいいならその辺でナンパして来いよ、金の無駄だよ、と言いたかったのかもしれない。もちろん僕はそんなつもりで言ったんじゃないのに。そこで僕も彼女に同じ質問をした、どういう人がタイプか?もちろんデブが嫌で、面白い人がいいという答えだった。それもデブ以外なら結構何でもいいみたいに聞こえるが。この子曰く男は優しくて当たり前だからその点は全くプラスにはならない、そこにプラス趣味があっていたり面白い人じゃないと琴線にふれないとのこと。思い上がりも甚だしい、男が女に優しいのはもちろん当たり前でありそれが男のマナーだ。でもそれを女が「当たり前」と思っているのは傲慢な思い上がりで、男のスマートな親切心を踏みにじった最低な態度である。こんな女と付き合おうと思うましてや結婚しようと思う男など現れるのだろうか?
「…」何も言い返さずただ無言を貫いた僕に気が付いた彼女は「ごめんね、私はっきり言うタイプだからさ」とつぶやいた。この子は今までの人生で他人にはっきりと自分の悪いところや人格を否定するようなことを言われたことがあったのだろうか?一回でもあったら他人の気持ちになってあげられるだろう、つまり初対面の映画のチケット予約、食事のプランなどを手配してくれた男性に言うべきじゃないことくらいわかるはずだ。はっきり言うのが好きなら僕もはっきり言ってやりたかった。会った時に写真より肌が汚いとか、何も食べてないのか会った時は息が臭かったこととか、この世の終わりみたいな顔、横柄で増上慢な態度と食べ物の好き嫌いが違うくらいで受け入れられないその器の小ささ、相手への配慮のなさ…いくらでも言ってやる。
なんだか僕はひどく悲しい気持ちになってきた。こんな歪んだ性格の女でも昔は両親に祝福されて望まれて生まれてきた赤ん坊だったんだ。こんな擦れた女に育つなんて予想しなかったろう。もし本当にこの子が将来結婚して赤ん坊でも生まれたらこの子の考えを継承してしまうのだろうか?
分かり合えない人間との会話にほとほと疲れた僕は残っていたビールを一気に飲み干して会計を頼んだ。全部僕が払ってやった、彼女から一銭の金も受け取りたくなかった、今日僕は一人で映画を見て、ひとりで焼き鳥を食べたのだ、そう思うと決めた。もうこの子に会うことはないだろうと思ったけどせめて最後はさわやかに別れようと思ったけど、なんかこの子が牛歩みたいな遅い足取りで僕はかなり前を歩いていた。ずっと彼女はスマホをいじりながらゆっくり、ゆっくり、と歩いていた。まさかと思って僕はあの出会い系のアプリを開くと彼女は僕をブロックしてあった。せめて別れた後にやればいいのに、それか「今日はごちそうさまでした」と一言送ってからフェードアウトならまだわかるけど、礼儀も何もあったもんじゃない。この瞬間から僕たちは全くの他人になった、あの牛歩も早く先に行ってくれというサインだ。振り返らず僕はそのまま駅の方へずんずんと突き進んだ。あのまま歩きスマホを続けて車にでも跳ねられたらいいなあなんてことを思いながら、前へ前へと歩いた。
振り返っちゃいけない、こんな女に僕の人生を決められてたまるか、ただ前へ前へ。この日、遠い海の向こう、アフガンとドイツでテロが起きていた。分かり合えない人たちの悲しい結末がそこにはあった…。
Fin
出会いアプリ 地雷編 後編
映画館について二度目のシングストリートを見た。二回見てもやっぱり音楽もいいしとても面白く見ることができた。映画館を後にして僕たちは焼き鳥でも食べに行こうと銀座コリドーの方へ歩いて行った。歩いている途中であのシーンはよかったねとか映画について語り合った。女性とこんな風に映画について語り合えるのはとても楽しかった。焼き鳥屋に向かって歩いているときになんとなく嫌いな食べ物の話になった。この子は基本的に嫌いな食べ物はなくなんでも食べれると言っていた。僕はちょっと生ものが苦手だと伝えると「えぇ~!!」と歩を止めて大口を開けて驚愕していた、僕もその様に驚愕した。「な、なに?どうしたの?」と聞くと「ええー、今のかなりマイナス!」と言い始めまたあの減点式の品定めが始まってしまった。この子は寿司とか刺身とかそういうのが大好きみたいでその好物を共有できないのがかなりマイナス点だという。たしかに、夫婦が長く続く秘訣は好き嫌いが一緒とかよく聞くけど、別に嫌いなものがあってもいいじゃないか。僕の家の両親は好き嫌いが合致してないけどとても仲良くやっている。だいたい好き嫌いなんて個人の自由じゃないか、例えば僕が「俺、肉しか食えないから。野菜、魚全く食わねーから」とか異常なほどの偏食だったら話は別だけど、イカとかタコとかの一部の生ものが食えないくらいなんだというんだ?じゃあ、そんなことくらいで男の好き嫌いを決めるお前は何なのだと言いたい。
「まあまあ、別に全部じゃないよ、マグロとかは大好きだよ」とか言ったけど相変わらずそこは気に入らないみたいでちょっとへそを曲げている様子がうかがえた、これからお酒を飲むのに、なんか雲行が怪しくなってきた、最初からそうだったけど。安くておいしい立ち飲みの焼き鳥屋さんへついてまずはビールを頼んだ。ビールを待っている間もこの子はまたあのこの世の終わりの顔が再発して、カウンターに頬杖をついて店内で流れているテレビを猛烈につまらなさそうなうつろな目で眺めていた。「ああ、またか」と正直僕はもうこの時点でかなり意気消沈していた。僕は今日どうしてここに来たんだろう?なんでわざわざ同じ映画をもう一度お金払ってみたんだろう?と思った。その理由がこの目の前でつまらなさそうにテレビを見る女である。とうとう我慢できなくて「大丈夫?体調でも悪いの?」と皮肉たっぷりに聞いてやった。そしたらこの子はこのようにボーとする癖があるらしく友達にもよく何考えているかわからないと言われるようだ。
ビールが届いて乾いた喉に流し込んだ。この子もビールが結構好きみたいだった。串焼きの盛り合わせとかを頼んで、なんとか話しを振ったりして場をつないだ。お酒は好きなのか?何をいつも飲むのか?みたいに聞いた。それなりにちゃんと返答をしてくれて、串焼きも届いたり酒もだんだん回ってきて、彼女がだんだん振ってもいないのにしゃべるようになってきた。いい兆候なのだが、これまた自分の自慢話みたくなってきた。
この子によれば家は土地持ちの裕福な家で、パパが芸能関係とちょっとコネがあり、明石家さんまさんに弟子入りしようとしたか何かが縁で今でもつながりがあるという。そのコネを活かしてか、どうもこの子は昔、恋のから騒ぎに一時出ていたことがあるという。すぐにやめたから視聴者の誰にも記憶されていないと言っていたが、このへんからこの女の自慢話にどんどん火が付き始め、なんか自分は以前ヘアカタログのモデルをよくやっていたとかいわゆる読者モデルをやっていた時期があるとかなんとか言い始めた。この子は結局大学には行かずに美容師の専門学校に行ったという。立ちっぱなしの仕事である時に腰を患ってしまってそれ以降、もう美容師の仕事はしていないという。この時に彼女が言ったのは「私は勘違いをしていた。ヘアモデルになったりするのが好きで美容の道に進んだけど、ただ単にモデルになって写真を撮られたりするのが好きなだけで、それを施す側には一切興味がなかった」という。親愛なる読者の皆様はこの時点でもうお気づきだと思うが、この子は自分大好きで自分がかわいい部類に入ると思っている典型で、まあ実際にそれなりにかわいいっちゃかわいいけどそこまでというレベル、たしかに空騒ぎに出ていたと聞いて妙に納得してしまった、あれに出演するレベルの女という表現がしっくりくる。そういえばさっきカフェで旅行の話をしたときに「別に一人旅もいいんだけど、私結構写真を自分で撮るんじゃなくて人に撮ってもらいたいタイプで…」とか言っていたのを思い出した、かなり自分大好きである。
最終的に友達の友達が嵐の大野君だ、みたいないよいよどうでもいい自慢が始まってきて、なんかどっと疲れが出てきた。自慢話は好きじゃないけど、どうせ自慢するなら虎の威を借りる狐ではなく自分で成し遂げた偉業とかそういうのでこの子は自分を誇ることができないのか?ヘアモデルをやっていたというのもあまり自慢にならないかもしれないけど言われれば「へえ、すごいじゃん。やっぱり美人だからね」とか気の利いた事を言ってやるし、芸能人の友達とかパパがコネがあってとかそんなこと言ってもしょうがないじゃないか。旅行で10数か国行ったことがある、「へえ、すごいね」で終わりだ、自慢ではなくその中で共通項を見つけたりしてこの子はお互いの会話を楽しもうと思わないのか。
ビールを終えて、次に彼女は日本酒に手を出した。3種の利き酒セットみたいなのを頼んで「あ、これがおいしい」とか味の違いを楽しんでいたが、この日本酒をスイッチに今度は僕に対するダメ出しがスタートした。本人曰く友達とどこか飲みに行くと必ずナンパされて、酔っているとかなり雑に男に対応するようで、今も日本酒の酔いに任せてその毒舌が加速して、僕のマイナス点を次々に羅列し始めた。
まずは「君、コミュ障だよね?」と言ってきた。確かに僕は女性の扱いにあまり慣れていないからどもっちゃったりどういう距離感で詰めよればいいかはわからないことが多々ある、でも頑張って話題を振ったり努力はしているが彼女にはそれが届かないみたいだ。「ほんと、さっきカフェにいるときどうしようかと思ったもん、コミュ障なうとか呟いてやろうかと思った」とかぬかしやがった。それは奇遇な話だ、僕もこの子がコミュ障だと思っていたんだ、ずっとつまらなさそうな顔で頬杖ついて明後日の方向を向いているもんだから体調でも悪いのかと心配していたところだよ。続いて「なんか君さ耳遠いよね」と今度は身体能力の部分をつついてきやがった。「さっきカフェでさ、何回も聞き返したじゃん?あの時の言い方がすごい強いよね、あぁ!?何!?みたいな感じでさ。すごい感じ悪かった」とのこと。確かに、僕はカフェにいるときになんか言葉が聞き取れなくて3回くらい「え、もう一回言って?」と同じフレーズを聞き返してしまった。でも、カフェは結構繁盛していてうるさかったのは事実だし、この子の声もそこまではっきりした声じゃないから、自分にも原因があると思わないのだろうか?しかもそんな語気を強めて聞き返したつもりはない、全くのこの子の被害妄想である。しかも僕は昔イギリス留学の時にストレスで右の耳が遠くなったことがあって、その時からちょっと聴力が人より落ちてしまったかもしれないのは事実である。だからそういう致し方ない理由があってのことなのにそこをつつくのはかなり失礼な発言だ。ちゃんと理由を言ってやろうと思って「いや、実は昔ストレスで…」と言いかけたら「私の前の彼氏もなんか似たようなこと言った、俺はクラブでガンガンに音楽聞きまくってたから耳が遠くなっちゃったんだよねとか言ってたなあ」とかぬかしやがって、とうとうあきれて何も言い返せなくなった。いっそ大嘘こいてやろうかと思った、それこそ洒落にならない先天的に聴力が弱く生まれてやっと回復してここまで聞こえるようになったとか、数年前に事故にあってそれが原因で右耳がほとんど聞こえないんだとか。本当にそういう理由で僕の耳が遠かったらこの子はいったいどう弁解するつもりなんだろう?ていうかそういう考えに及ばないこの子は逆にすごいと思った、僕の年齢で耳がちょっと遠いのには何か理由があるのかなとか相手を慮ることができないのか。
「あと生もの食べれないのはかなりマイナスだな~」とまたダメ出し。別にいいじゃないか、誰だって苦手な食べ物くらいあるだろうに、というかこの子もさっきおつまみを頼むときに僕が大好きな枝豆を頼もうと思ったら「あ、枝豆あまり好きじゃない」と言ったのをはっきりとこの遠い右の耳で聞いた。「え~!!枝豆嫌いなのはかなりマイナスだな~!!」といっそのこと同じように大声で叫んでやろうかと思った。ビールと言えば枝豆だろ?でもそんな価値観を人には押し付けられない、枝豆が嫌いな人がいても僕は別にそれはその人の自由だしという広い心で受け入れられるだけの人間的余裕はある。彼女は枝豆の代わりに梅水晶なるファンシーなおつまみを頼んでいた、あまり梅をつまみにビールを飲みたいとは思わなかったけど喜んでそれを受け入れた、結果あまりおいしくなかったけどもちろんそれは口に出していない、なぜなら彼女はそれをおいしそうに何度もちびちびと口に運んでいたから、ああみんな好みがあるんだなあと思っただけだ。それでいいじゃないか、どうしてこの子はそれを受け入れない?人それぞれ趣味嗜好が違ってもそれが個性で味がある。今この子が飲み比べているように日本酒だってそれぞれ味が違うから面白いんじゃないか。そろそろ僕も怒りメーターがたまり始めて「ま、人それぞれあるじゃん?」とだけ言い返しておいた。
とどめは「なんでこの出会い系やってるの?金の無駄じゃない?」とまで言い始めた。さすがに怒りが頂点に達し、危うく持っているグラスをたたきつけそうになった。なんとか怒りを抑えながら「え、なんで?(怒)」と顔はにこやかにでも血管はぴくぴくさせながら聞くと「だってさ、彼女ほしいだけなんでしょ?だったらさ、その辺の路上で適当に女捕まえりゃいいじゃん?月に3000円くらい払ってるんでしょ?もったいないよ?」もう怒りというよりくやしさで涙が出そうになった、僕はなんでこんな女と今日あってしまったんだろう?なんでこんな女と同じ映画をもう一度見ようと思ったんだろう?僕が何かひどいことしたか?僕が何かひどいこと言ったか?最初のメッセージのやり取りでいけすかない女だなと思ったけど、映画とかの話で盛り上がって少しずつこの子と分かり合えるかもしれない好きになれるかもしれないと希望を持ったのがそもそもの間違いだったのかもしれない。「え、でもそっちも恋人がほしいんじゃないの?君は何のためにやってるの?」と強めに言い返したが、この子は次に付き合う男とは結婚がしたいから結婚相手を探しているという。「いやいや、僕もいずれは付き合って結婚できるような人を探してるんだけど」と言うと彼女の場合、いずれじゃなくて次の男と結婚する、つまりだいぶ焦っているのだ。だから自分は真剣な結婚相手を探している、お前のように軽い気持ちで出会い系で恋人探しているようなガキとは重みが違うんだということだ。ここまでくると彼女の自分を棚に上げる芸術的センスに脱帽してしまった。じゃあ、そっちこそ結婚相手探しているなら手軽にスタートできるこんな出会い系じゃなくてどこかの有料結婚相談所にでも行ったほうがいいんじゃないか?女はこのアプリが無料でできるからと言って調子に乗りすぎだ。登録していろんな男に会ってきたみたいだけど、今のところの結果はどうなんだ?「全然ダメ、ろくな男いない!」とか毒づいて結局誰ともうまくいっていないんだろ?自分に至らない点があるなんて微塵も思っていないんだろ?街コンとかそういうイベントにも行ってるとか言ってたけどそこまでたくさんやってこの体たらくじゃないか?街コンは女性でもそれなりにお金かかるはず、それは金の無駄じゃないのか?それともこのサイトに登録すれば普段はふつうの事務員でちょっと昔にヘアモデルやったことがあるくらいのレベルで気づいたら婚期を逃して今年で30になる自分のもとに高収入で何をやっても許してくれる優しい年上イケメンが付き合いもほどほどに今年中に結婚を申し込んでくるとでも思ったのか?寝言は寝てから言ってほしい。自分のことは棚に上げて、どうして今日あったばかりの僕にそんなことを言えるんだ?小説を一年に150冊も読んでるくせに主人公や登場人物、つまり人の気持ちをくみ取るくらいの想像力も身についていないのか?どうせ流し読みしているだけに決まっている、おそらくどの小説も内容なんてほとんど覚えていないはずだ「私、小説150冊も年間に読んでるのすごいでしょ、おほほ」とか言いたいだけだ、ファッションだけで読書家を語りやがって、本当に書物を愛している人に失礼じゃないか。
上述のように言いたいことが山ほどあったが、僕はどうしてもこういうときに言い返せない質だった。以前に友人だったデザイナーに逆ギレされた時もかなり不当な理由で切れられたけど今みたいに焼き鳥屋という公共の場所だし、そこで言い返したら絶対に喧嘩になって周りに迷惑をかけちゃうと思うと僕は何もできないでいた。たぶんこういう性格だから男友人にもさらには女にまでもなめられるんだと思う。相手がこのように一方的に攻撃してきても自分が5%でも「まあ、そう言われればそうだけどさ…」とおもう節があったら、僕は言い返すことができない。もうとっくに場の空気は台無しになっているけどそれでも僕は取り繕ってしまう。最後このあと駅まで紳士的に送って行ってやるところまでは我慢だと自分に言い聞かせた。でも、悔しい、歯ぐきから血が出そうなほどに歯噛みしていた。いつもなら頑張って笑顔でまた話を振るのが僕のマナーだけどこの時ばかりは何も言い返せずただただ不機嫌な顔で無言になってしまった。
どうしてこの女はこんなに攻撃的なんだ?もしかしたら、彼女はさっき僕の好きなタイプを聞いて気を悪くしたのかもしれない。僕は「かわいくて優しい子が好き」と答えた。彼女はどうやらそれを「誰でもいい」と解釈したみたいで、自分がその誰でもいいに入れられているのがプライドが許さなかったのかもしれない。誰でもいいならその辺でナンパして来いよ、金の無駄だよ、と言いたかったのかもしれない。もちろん僕はそんなつもりで言ったんじゃないのに。そこで僕も彼女に同じ質問をした、どういう人がタイプか?もちろんデブが嫌で、面白い人がいいという答えだった。それもデブ以外なら結構何でもいいみたいに聞こえるが。この子曰く男は優しくて当たり前だからその点は全くプラスにはならない、そこにプラス趣味があっていたり面白い人じゃないと琴線にふれないとのこと。思い上がりも甚だしい、男が女に優しいのはもちろん当たり前でありそれが男のマナーだ。でもそれを女が「当たり前」と思っているのは傲慢な思い上がりで、男のスマートな親切心を踏みにじった最低な態度である。こんな女と付き合おうと思うましてや結婚しようと思う男など現れるのだろうか?
「…」何も言い返さずただ無言を貫いた僕に気が付いた彼女は「ごめんね、私はっきり言うタイプだからさ」とつぶやいた。この子は今までの人生で他人にはっきりと自分の悪いところや人格を否定するようなことを言われたことがあったのだろうか?一回でもあったら他人の気持ちになってあげられるだろう、つまり初対面の映画のチケット予約、食事のプランなどを手配してくれた男性に言うべきじゃないことくらいわかるはずだ。はっきり言うのが好きなら僕もはっきり言ってやりたかった。会った時に写真より肌が汚いとか、何も食べてないのか会った時は息が臭かったこととか、この世の終わりみたいな顔、横柄で増上慢な態度と食べ物の好き嫌いが違うくらいで受け入れられないその器の小ささ、相手への配慮のなさ…いくらでも言ってやる。
なんだか僕はひどく悲しい気持ちになってきた。こんな歪んだ性格の女でも昔は両親に祝福されて望まれて生まれてきた赤ん坊だったんだ。こんな擦れた女に育つなんて予想しなかったろう。もし本当にこの子が将来結婚して赤ん坊でも生まれたらこの子の考えを継承してしまうのだろうか?
分かり合えない人間との会話にほとほと疲れた僕は残っていたビールを一気に飲み干して会計を頼んだ。全部僕が払ってやった、彼女から一銭の金も受け取りたくなかった、今日僕は一人で映画を見て、ひとりで焼き鳥を食べたのだ、そう思うと決めた。もうこの子に会うことはないだろうと思ったけどせめて最後はさわやかに別れようと思ったけど、なんかこの子が牛歩みたいな遅い足取りで僕はかなり前を歩いていた。ずっと彼女はスマホをいじりながらゆっくり、ゆっくり、と歩いていた。まさかと思って僕はあの出会い系のアプリを開くと彼女は僕をブロックしてあった。せめて別れた後にやればいいのに、それか「今日はごちそうさまでした」と一言送ってからフェードアウトならまだわかるけど、礼儀も何もあったもんじゃない。この瞬間から僕たちは全くの他人になった、あの牛歩も早く先に行ってくれというサインだ。振り返らず僕はそのまま駅の方へずんずんと突き進んだ。あのまま歩きスマホを続けて車にでも跳ねられたらいいなあなんてことを思いながら、前へ前へと歩いた。
振り返っちゃいけない、こんな女に僕の人生を決められてたまるか、ただ前へ前へ。この日、遠い海の向こう、アフガンとドイツでテロが起きていた。分かり合えない人たちの悲しい結末がそこにはあった…。
Fin