吉里颯洋オフィシャルブログ 「微風爽々」 -3ページ目

【作詞教室・爽塾】2023年前期_Lesson09

このタームのレッスンも、残すところ2ヶ月。早いもので、あと4回で修了となります。

さて、9回目のレッスンは、3曲目の課題曲にどんな歌詞を書くのか、プランを練るのがメインテーマ。生徒さんの考案したアイディアをヒアリングした後、あれこれとやりとりしつつ、企画をまとめていきます。
今回の課題曲は、これまでの課題曲とは一味違って、ミディアム・テンポながら、弾むようなポップでキュートなメロディ。主旋律は作曲した田村信二さんが自ら歌っています。余談ですが、「作曲家の方が自分で歌うデモ」って昨今では意外とレアなので、とても貴重です。
約30分ほどかけて構想を練ってもらい、その内容をヒアリングしていきました。
受講生のRuさんがまとめたプランは、「海辺の街を舞台に、30代でヨガのインストラクターのような仕事をしているヘルス・コンシャスな女性が、数年ぶりに恋に落ちた時のドキドキ感、ときめきを歌詞のテーマにしたい」のとこと。
期待どおり、ポップなメロディにふさわしいテーマが提案されると、何だかうれしいですね(笑)。

爽塾では、基本的に歌詞のテーマはフリーテーマで、課題曲の曲調からイメージをふくらませる形で、生徒さんが歌詞のコンセプトを自由に決めるスタイルを採っています。時と場合によっては、「今回はクリスマスソングで」という若干の縛りを設けることもありますが、基本的にフリーテーマです。何故そうするかと言えば、プロの世界の作詞コンペのように発注内容に添って作詞をするよりも、全く何もないゼロの状態から企画を立ち上げる方がより難易度が高く、作詞の基礎体力をつけるトレーニングとして適しているからです。

閑話休題。

さて、新しい課題の企画会議の後は、お待ちかね(?)の歌詞レヴューへ。
今回、レヴューを行ったのは、2曲目の課題曲に合わせて書かれた歌詞の2度目のレヴューとなります。

▼総評
1回のリライトでここまで底上げできれば上出来です!
初稿で50点ぐらいだった歌詞が、70点ぐらいのクオリティになりました。
あともう少し底上げできて80点のハードルをクリアできれば、いったん完成扱いとして「○」をつけます。

▼修正箇所について
・1A)に関しては、1行目よりも2行目の方が出来が良いですね。
具体的には、「少しだけ交わす言葉 僕の胸たたいた」というフレーズで出会ったばかりの2人のぎこちなさが表現できているところが素晴らしいです。
それに比べて1行目はシーンが思い浮かべにくいところがあるため、もうひと頑張りしてみましょう。
・1A’)は、ほぼアドバイス通りですが、だいぶ底上げできたかと思います。
 時系列を細かく言うと、お祭りにふたりで行った夜に主人公が恋心を自覚したとしたら、その時点ではまだ友達付き合いであった可能性が高いので、1行目の「手を繋ぎ」という表現は時期尚早かなと思います。
・1C)2行目の「二人で描く 僕らのdestiny」については、どちらかと言えば、彼の気持ちの方が先行していると思うので、交際の進捗を考慮すると「二人で描こう 僕らのdestiny」の方がベターかと思います。
・2A’)の1行目「まっすぐな君の言葉 心励ますから」のフレーズで、相手のどこが好きなのか、きちんと表現できているところが良いです。
 これは、ラブソングの歌詞ではかなり重要なポイントなので、今作以降も続けてください。

と、こんなアドバイスをしていきました。
歌詞が完成したら公開しますので、、お楽しみに!以下、「X」での生徒さんのコメントです。

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次回のレッスンでは、本日、企画をまとめた3作目の歌詞のレヴューを行います。
名作誕生を楽しみに、提出を待ちたいと思います。

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【作詞教室・爽塾】2023年前期_Lesson08

「大人のための作詞教室・爽塾」2023年前期のレッスンも8回目を迎え、今回は2曲目の課題曲に書かれた歌詞へのレヴューを行いました。
歌詞が未完成であることも踏まえ、作成中の歌詞は記載しませんが、生徒さんのツイートも交えながら、「どんなアドバイスを行なったのか?」という観点からレヴューの一部をご紹介します。

▼総評
まずは、作詞を初めて3ヶ月で、〆切までにフルコーラスの歌詞が書き上げられたのは大きな進歩でした。現状、順調に進歩できていると思います。
「生徒さんがより確実にスキルアップできるよう、課題制作の数を減らして、『量より質』を重視しよう」というコンセプトでカリキュラムの見直しを図ったことは、今のところ奏功していると感じています。このままの調子で真摯に取り組んでもらえれば、より高いレヴェルで「進歩できた!」という実感が得られるのも遠くはないと思います。

▼歌詞のコンセプトについて
当初、考えていた「クリスマスソング」というコンセプトがそのままという視点で歌詞をチェックしましたが、クリスマスソングらしい描写は一切ないため、「そもそも、クリスマスソングにできるのか?する必要があるのか?」というクエスチョンからレッスンを始めた次第です。
結果、そうでない方向で仕上げることになったので、企画段階でまとめたアイディアを変更したとか、実際書いてみたらうまくいかなかったとか、そのような場合は、その旨を企画書の提出時に申告していただけると助かります。

▼企画段階のストーリーについて
いつもながら、綿密に練られたストーリーは素晴らしいと思います。
ことストーリーのリアリティということに関して言えば、これまで爽塾で学んだ生徒さんの中でも、間違いなく上位にくるレヴェルです。大いに自信を持っていいかと思います。
ただ、歌詞は小説やシナリオではないので、考えたストーリーから、「共感できるエピソードやシーンの描写」を紡ぎ出し、メロディと擦り合わせながら、フレーズをまとめていくということが大切で、それこそが作詞の本質と言えるでしょう。今後の課題として、このことを忘れずにいてください。
具体的には「春にこうした 夏にこうした」と説明口調で書くのではなく、「夏祭りの夜 君の浴衣姿 花火を見上げる横顔が・・・」というシーンを描くことで、リスナーは歌の世界に身を委ねることができるのです。
そしてまた、「こういうことってあるよね」とリスナーが思えるような表現の普遍性と共に大切にしたいのは、テキストの6ページに記載している「ポエムと歌詞の違い」です。具体的には、「イメージしている歌手が自分が書いた歌詞を歌った際、それを聴いたファンやリスナーが本当に共感できるか?」ということも視野に入れてみてください。たとえ、悲しい失恋の歌であっても、歌い手の魅力は損なうことなく、より魅力的に見えるのが理想です。

▼サビについて
サビの中で1番適切と思われる箇所にタイトルをはめて、それは動かさないようにしつつ、覚えやすく歌いやすいサビを模索していきましょう。必要と思えば、現状のサビを全面的にリライトしても構いません。また、タイトルの改題についても同様です。
※テキストの12ページ参照。
  
▼その他
「運命」「奇跡」と言ったドラマティックなワードは安易に使いがちですが、「なぜ、主人公にとって、そのワード(表現)が適切なのか?」という描写がきちんとなされていないと、リスナーの共感が得られません。現状の歌詞がNGということではなく、常にこの点を意識することで、より客観的に作品をチェックできるようになります。

以下に、生徒さんのツイートをご紹介します。

次回のレッスンでは、3曲目の課題曲を聴きながら、どんな歌詞を書くのか構想を練っていく「企画会議」をメインとして、リライトした歌詞のレヴューも行います。

歌詞の成長を楽しみに、提出を待ちたいと思います。

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【作詞教室・爽塾】2023年前期_Lesson07

「大人のための作詞教室・爽塾」2023年前期のレッスンも7回目を迎え、後半戦に突入。
カリキュラム変更のため、半年で作詞に取り組む課題曲は以前の7曲から4曲に減らしましたので、受講期間のうちにできるだけ多くの歌詞を完成させてほしいところです。
今回も生徒さんのツイートも交えながら、今回のレッスンをレポートします。

まず、今回のメインテーマである、2曲目の課題曲の企画に取り組んでもらいました。「初めて曲を聴いた30分間で、どんな歌詞を書くのかを構想し、企画をまとめる」という爽塾ならではの、そしてとても重要なプロセスです。
今回の課題曲は、童謡のようなシンプルなメロディだった1曲目とはテイストが異なり、誰かを思うような優しさが全編に漂う「ラヴソング」な楽曲。まずは、30分程度、曲をリピート再生しながら、どんな歌詞を書くのかプランを練ってもらいました。その後、考えたプランを生徒さんに発表してもらい、それを元にディテールを詰めていきました。
結果、春に偶然出逢ったカップルが初めて迎えるクリスマスをテーマに、クリスマスソングに仕上げたいとのこと。初々しさが感じられる素敵なコンセプトだと思います。あえて大きな括りでハードルを挙げるとするなら、数多あるクリスマスソングと比較された時 に、「この歌にしかないフレーズや味」みたいなものがアピールできたなら、素晴らしいですね。
と書くと、「難しそう!」と思われる方がいるかもしれませんが、ご安心ください。爽塾のレッスンがめざすところは、どちらかと言うとビギナーの方が作詞のスキルを身につけることで、「音楽をただ聴くだけだった人」から「音楽作りの楽しさや大変さも分かる人。できることなら、生涯賭けて音楽の素晴らしさを追求する人」へステップアップするためのサポートをしていくこと、なのです。

さて、レッスンの後半では、前回、最初の講評を行った1作目の歌詞の再講評を行いました。初回の提出時には1コーラスしかなかった歌詞が3番の歌詞まで書き上げられ、フルコーラスになり、タイトルも変更され、かなりグレードアップしました。歌詞のテーマは「望郷の歌」。就職を機に育った場所を離れて生活していくことは多くの人が経験することですから、リスナーの共感を呼ぶにはその気持ちがいかにリアルに描けるかがポイントです。
以下、講評時にお伝えしたポイントを挙げていきます。

▼タイトルについて
この曲はJPOPにありがちな「A-B-C」形式でなく、「A-B-A-B」という形式なので、いわゆるサビらしいサビはありません。生徒さんが「A-B-C」形式の歌の詞を書き慣れている人なら、「4行分のサビの歌詞を1行分に要約するようなイメージで書いてみて」と伝えれば事足りると思いますが、今回に関して言えば、生徒さんが生まれて初めて作詞に取り組んで形にする処女作。なので、自分が書いたサンプルの歌詞を提示しつつ、まずは「自分が適切だと思う箇所にタイトルを入れてください」とお伝えしていました。それについては見事にクリアしていました。タイトルを、1番、2番、3番の同じ箇所に入れるだけで、「覚えやすさ」が向上して歌として体裁が整うのです。
改題された新しいタイトルそのものも、だいぶグレードアップしていましたね。ただ、タイトルに含まれた「愛」というワードが効くように、表現、描写を工夫することで、なぜ、「愛」というワードを使ったのかがリスナーの腑に落ちるようになります。シンプルなメロディゆえ、音数が少なく、それに連れて文字数も少なくなりますから、言うほど簡単なことではありませんが、ぜひここをクリアして欲しいところです。それがどうしてもできなければ、再度のタイトル変更を検討してもいいかもしれません。

▼ストーリーについて
綿密に練られたストーリーは素晴らしいと思います。修正を経て、3ページにもわたった企画の内容は濃密の一言で素晴らしいです。
ただ、主人公が、1番では東京にいて、2番では帰郷し、3番でまた東京に移動したという距離感の描写が曖昧なため、「都会にいて故郷を思い、帰郷してそのありがたみを再確認して、東京に戻ってまた故郷に思いを馳せる」というストーリーの骨子が描けていません。タイトル自体の底上げと共に、タイトルを含むlBパート最後の行の前半をリライトすることで、そこをクリアしましょう。
1作目のリライト版についての講評は、ざっとこんな感じでした。

以下に、レッスン終了後の生徒さんのツイートをご紹介します。
 



次回は、2作目の歌詞の講評をメインに、提出されれば1作目の歌詞の講評も併せて行う予定です。「新しい課題曲の作詞を優先して行う」のルールなので、「この作品は完成したので、これでOKです」と早々に○をもらわないと、未完成の歌詞がどんどん溜まってしまうのです。このタームから課題制作の数を以前の「7→4」と減らしていますので、できれば全作品を完成させて欲しいところですね。
以前学んだ生徒さんで、必ずフルコーラスの歌詞を提出していたのは数人ほどで、そのうち半数以上の歌詞を完成させたのは1人か2人ぐらい。かつてのハードスケジュールをこなしてくださった皆さんには感謝しかありません。この場を借りてお礼を言います。本当にありがとう(^_−)−☆!
このタームが始まってからは常々、「フルコーラス分の歌詞ができなくても、1コーラスだけでも、それが難しければ数行でもいいので、課題は必ず出してくださいね」と生徒さんにお伝えしてきました。それは、この先も変わりません。ただ、10日ほどの制作期間の間にフルコーラスの歌詞を書き上げることは先輩方の多くがなしとげてきたことなので、現在受講中のRuさんにも必ずできるはずです。


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※画像は、7月17日に渋谷のClub Rosso にて開催された田村信二さんのバンド「素晴らしき世界」のライヴの1シーン。
コンポーザーとして確かな実績がありながら、現役ミュージシャンであり続けるフットワークの軽さが田村信二さんの魅力。踊って笑える楽しいステージを堪能しました!ご興味ある方、ぜひチェックを!