日台合作映画「青春18×2 君へと続く道」、公開から2週間が経過。
ということで、そろそろネタバレありの感想 などを書いてもよいかな~と…
これから鑑賞予定の方はご注意ください
この映画、普段から個人的に注目している台湾との合作ということで、SNSなんかでも話題にしている投稿がつい目に入ってしまうためか、結構ヒットしているのかな?と錯覚してしまいそうになりますが、日本での興行収入は コチラを見ると、5月19日現在で3.1億、今年日本で公開の映画の中では34位という成績です。
そこまででもないみたい?
ちなみに台湾でのランキングはこんな感じ↓
(出典はコチラ)
5月8日時点で全体では第6位、台湾映画としては第1位です。
台湾では公開後すでに2か月が経過しているので、これから1億元超えは難しいと思われるし、2024年はまだ半分以上残っているものの、なかなかいい成績と言えるのでは?
日本ではさほどパッとしなくても他の国では結構ヒットしているという話も聞くし、これから中国(5/19)、韓国(5/22)で公開だからむしろそっちが本命ですかね、ビジネス的には?
それはさておき…。
今日の本題、映画と原作のネタバレありで思ったことを書こうかと
以前のブログにも書いたのですが、私はこの映画の制作発表があったときにまず原作のエッセイを読んでしまったため、ある程度内容を知った上での鑑賞でした。
原作のURL⇒ https://www.backpackers.com.tw/forum/showthread.php?t=1165528
(中国語ですが、中検3級程度で繁体字に抵抗がなければ難なく読めると思います)
なので、18年後の時点ではヒロインは亡くなっているということは承知済み。
もっとも原作を読んでなくても、もう予告を見た時点で松重さんがある意味ネタバレしちゃってますけどね😅
映画は原作エッセイをベースにしながらも、場所や人物の設定などは結構変えてあります。
例えば、18年前にジミーとアミが出会ったのは映画では台南だけど原作では嘉義であるとか…
アミの故郷は映画では福島だけど原作では秋田であるとか…
ジミーとアミの年齢差は映画では4歳だけど原作では6歳であるとか…
大きなところでは、原作ではアミが台湾に来た時にはまだ病気ではないということですかね。
原作では、帰国したアミは地元の企業に就職、しばらくののち高校時代の先輩と結婚しています(ジミーがアミのお母さんから聞いた話)
一方で、ジミーは台中の大学へ進学し(映画では大学から台北)、卒業後は兵役を経て台北で就職。
アミと別れてからの18年間、あまりアミのことを思い出したりはしてなさそうな印象を受けました。
そう、原作から受けた印象は、どちらもそこまでお互いを好きだったわけではなさそうな感じなんですよね。
でもそれだとあまり映画としては面白くないので、原作にはない“時の流れ”(香水)だとか“約束”などの要素を付け加えたのでしょう。
そのこと自体はよく考えられていて、物語としてより良いものになっているなと思いました(ベタではあるけど)
もうひとつ大きく違ったところは、映画ではジミーはアミの実家を訪ねる前からすでにアミが亡き人であることを知っていたこと。
原作ではそのあたりははっきり書いてなくて、アミの実家で、ジミーはお母さんからアミは結婚して東京へ引越したという話を聞き、そして東京の住所を渡されます。
(その住所は、読み進んでいくとアミのお墓の住所であることがわかる)
アミのその後の話を聞いたあとのジミーの感情についてははっきりした描写はないけれど、アミの実家を出た後、秋田市内の宿泊先までかなり長時間歩いたという記述があるので、気持ちを整理するためだったのだろうなと察することができます。
淡々と消化したという印象。
なので、原作のジミーは知らなかったんだろうなと思ったんだけど…
そのあたりは原作を読んだほかの方の印象も聞いてみたいです。
そういえば、ジミーの旅のルートも映画と原作では結構違っていました。
映画では、東京⇒鎌倉⇒長野⇒新潟⇒福島(アミの実家)⇒東京
原作では、東京⇒福島(会津若松)⇒山形⇒秋田(アミの実家)⇒新潟⇒山梨⇒東京
という感じかな。
原作のジミーはわりと直行?
つまり、アミの実家へ行くのに遠回りをするのは映画独自の演出のようです。
映画のジミーに遠回りをさせたのは、ジミーにとってアミの実家に行く=アミの死を現実のものとして受け入れなくてはいけないということなので、なかなか勇気が出なかったんじゃないかなぁと思いました。
それまでに18年かかっちゃってましたから、行こうと思ってもなかなか足が向かなかったということなのかな…と。
あとは、映画の中でアミが旅の目的を聞かれて“自分を確認するため”と答えていたので、ジミーも自分を確認する旅がしたかったということなのかもね?
そういう旅ができていたのか、映画から読み取れるかどうかは別として。
というか、そもそも“自分を確認するため”という目的が、北村監督演じる神戸KTVのオーナーが言ったように「なんかようわからへんけど」だったのよね、個人的に。
若い方なら共感を得られるのかな?
いずれにしても、現実を受け入れて初恋にさよならをし、自分を確認した(?)白シャツジミーの表情からは、新たな人生を歩み出そうという気持ちが出てきたことを見てとることができました。
よかったよかった。
まあ物語的には途中で疑問に感じたことはきちんと回収されていたし、よくできてはいるとは思うけれど、そこまで心を打たれたり感動したりというのはなかったなぁ。
そのわりには3回も観ちゃったけど😅 それはやっぱり許光漢の演技によるところが大きいかなと思います。
この映画、ほかの役者さんたちは代替がきくけど、主人公だけは許光漢が演らなかったらどうってことない映画になってしまったかと(辛口失礼)
そういえば、3月に台湾へ行ったとき、本屋さんでこれ↓を見かけて気になったけど、原作はネットで読んだから買わなくてもいいかなーと思ってスルーしたんだよね。
でも、どうやら原作エッセイを改編した小説だったようです。
どうりで、あの原作(すぐ読める)がこんな厚さになるかな?と思ったのよね。
あとから博客來で買おうかと思ったら日本への配送はなく、ほかで探したら楽天koboに電子書籍があったので買いました。
まだ最初のほうしか読んでないけど、しょっぱなからいきなり原作エッセイにも映画にも出てこないキャラが出てきてびっくり。
作風も結構違ってて、別ものと思って読んだほうがよさそうです😅
最後に余談(てか全部余談みたいなもんだけど)
先日、今年の台北電影獎のノミネートリストが発表され、この映画は最佳預告片でノミネートされました。
当然台湾版の予告のほうね(五月天の曲を使用)
YouTubeの概要欄に “預告剪接 John Hsu”(徐漢強)と書いてあります。
台湾版の予告は映画「返校」の監督さんの編集だったのね。
しかしながら、最佳預告片はアウトオブコンペなんですよね。
じつは「青春18x2」は台北電影獎にはエントリーしてないとのこと。
エントリーしてたら、いくつかノミネートされたと思うんだけどね。
いろいろ戦略とかあるんでしょう…。
秋の金馬獎にはエントリーするとの記事が少し前に出ていました。
なんだかんだ楽しみではあります。