山神社で川上ミネピアノリサイタル! | 学芸員・大沢の研究ノート Second Season

学芸員・大沢の研究ノート Second Season

歴史博物館 青葉城資料展示館の学芸員・大沢慶尋の学芸活動のノート。日ごろの調査研究活動や教育活動、また個人的な日常の関心事や出来事などについて思うままに綴る。

本日7月2日は、梅雨の間隙をぬっての唯一の晴れ日となったが、美里町の山神社(やまのかみしゃ)様の庭園で、スペイン在住の国際的作曲家・ピアニストの川上ミネさんのピアノリサイタルが開かれました。

川上さんは、今日のリサイタルの中で、2015年発売のアルバム「侍1613」収録の2曲を演奏しておられましたが、このアルバムのジャケットで8ページにわたり支倉使節の解説を書かせていただいております(下写真)

そうなった経緯を、川上さんは、公式ホームページにおいて、次のように記しています。(http://www.minekawakami.com/diary/diary.cgi?page=2)

 

冊子の歴史解説文章は仙台市青葉城資料館学芸員の大沢慶尋さん。支倉常長の研究者で数年前に彼の研究論文に感動して思わずファンレターを送ってしまった所から始まったご縁です。

 

ファンメールをいただいた後、20125月、川上さんはNHKのプロデューサーさんと私のところへ来られ、仙台市博物館の支倉使節関係資料(国宝)をご案内したり、親しく支倉使節についてお話しさせていただきました。

 

その後、川上さんは、使節船出帆の月の浦(石巻市)をはじめ、メキシコ、キューバ、スペイン各地など、常長の足跡をたどり、追体験され、「侍1613」の収録曲を作曲されました。途中、201211月、私が母とともに訪れたマドリッドでも、懇切に近隣の支倉訪問地を1日かけてご案内いただいたことは、本当によい思い出です。

 

そして、川上さんは、2013 6月、日本・スペイン両皇太子殿下がご臨席なされたマドリッド王立劇場での 『日本スペイン交流400年開幕記念音楽会』のメインソリスト・芸術監督をおつとめになられ、演奏もなされ、世界的なピアニストの名を不動のものにしていかれました。

 

今日は、アナウンサーで朗読家の渡辺祥子さん(下写真)の語りとのコラボで、息の合ったおふたりのつくり出す素敵な世界を堪能させていただきました。 

    

川上さんは世界中のどんな場所でも、どんな人々の中でも、すべてを味方につけて咲こうとする、咲くことができる不思議な魅力の持ち主・花だと思います。ご本人は美しく咲こうとは思っていないと思いますが… そう!

 

美しき花は咲く場所を選ばない。

彼女が咲けば、その場所が美しくなる。

 

今日のリサイタルも、山神社様の庭園に吹く風、花々、小鳥、蛙、池の鯉までもが彼女の味方となり、揺れ、さえずり、鳴き声を上げ、跳ね上がり、川上さんとの思わぬコラボが実現し、さらなるワンダーランドを演出していました。オーディエンスがその世界に引き込まれ、魅了されたことはいうまでもありません。手入れのいきとどいた美しい庭園が、一層美しさを増し、さらに多彩で深みのある表情をあらわしていました。

 

 素敵な不思議世界の一夜の体験。川上さん、渡辺さん、ご一緒にオーディエンスとなってくださった一人一人の皆様、そして山神社様、本当にありがとうございました。