今年の大学ラグビー、関東対抗戦グループは混戦のようである。
近年大学ラグビーといえば、帝京大学一強で、2009年から大学選手権を9連覇中の圧倒的王者ぶりなのである。
その帝京大学が、この前明治大学に破れたとのことで、今年の対抗戦グループは現在 帝京、早稲田、慶應、明治が1敗で並んでいる状況だ。
大学日本一を9連覇している帝京が、この時期関東対抗戦グループで明治に負けているということは、今年はもしかしたら帝京大学以外が大学日本一になる可能性がある。
大学ラグビーでの帝京の圧倒的強さは、もちろん帝京大学の努力の賜物であるが、これは大学ラグビー自体の人気には逆作用となる。
というのも、帝京大学以外優勝できない選手権では、本当に面白味がないのだ。
帝京大学の大学選手権連覇が続くにつれ、大学ラグビーの人気は凋落していってしまった。
これは帝京大学が悪いわけではない。
帝京大学は大学として最大限の努力をしただけである。ただ、結果として大学ラグビー人気の凋落を招いてしまった。
もちろん大学ラグビー人気凋落の背景には、社会人ラグビーの人気化なども上げられる。
しかし、大学ラグビーに限らず「一強コンテンツは人気が落ちる」という宿命を持っている。
ファン心理からして、毎年優勝が決まっているスポーツの試合なんて、面白いはずがない。
強いチームがあってしかるべしなのだが、そのチームにまったく死角がないのでは楽しめる要素がない。
特にラグビーというスポーツは、強いチームが勝ちやすい、実力がそのまま結果になりやすいという特性がある。
攻撃の回数と得点が比例する構造になっていて、ボールを支配している方が圧倒的有利になるので、ボールを保持できる強いチームが有利になるのである。
ラグビーは、今年の夏の甲子園で準優勝した金足農業の吉田投手のように、一人のスターで強くなるというスポーツでもない。
一人のプレイヤーは15人のうちの一人であり、球を繋いでトライを奪う構造上、総合力が重要なのである。
(ただし、キッカーの優劣はチームの強さに大きく影響するが・・・)
大学ラグビーは一年ごとに新陳代謝を繰り返すが、帝京大学のように強くなると、スカウティングもしやすくなり、高校生の逸材ラガーが毎年帝京大学に入学し、その総合力が如実に実力差となって帝京黄金時代となったのである。
しかし今年は、大学ラグビーというコンテンツの人気を破壊する「帝京一強」がもしかしたら崩れるかもしれず、今後の大学ラグビーの人気の浮沈に大きく関係するのである。
人気凋落という結果がはっきりした大学ラグビーに比べて、密かに今後の人気凋落を心配しているのが箱根駅伝だ。
これもまったく同じ構造で、青山学院大学があまりにも強すぎるからだ。
駅伝も総合力のスポーツで、エースが一人いても、あくまでも一区間のランナーに過ぎない。
10区間あれば、十人の総合力がものを言うので、青山学院は層の厚さを背景に一強時代を築いている。
連覇が続くと、優秀な高校生ランナーは青山学院に集まり、ますますチームの強さは磐石化している。
これは・・・・
箱根駅伝は強力な人気コンテンツであるが、毎年「どうせ青山学院が優勝だよ」という状況が続けば、はたしてファンは応援し続けることができるのであろうか。
強すぎるチームが連覇を続けていけば、必ずや人気は凋落していく。
これも、強くなる努力を怠らない青山学院大学のせいではない・・・が、結果としてコンテンツの人気は下がってしまうのである。
大学スポーツは、プロのように全体の戦力の均一化(ドラフトのような)はできない構造であり、チームバランスを運営側が取るのは難しいことであるが、何がしかのアイデアが必要なのではと思う次第である。