YOSHI DESIGN -6ページ目

YOSHI DESIGN

design art jazz movie kabuki fashion




今年の5月、初台のオペラシティギャラリーで見た「宇野亜喜良展」。

御年90才の宇野亜喜良さんの多才なる作品群に圧倒された。

その中でサイケデリック調のロゴタイプが

70年代の一過性の流行にとどまらず

現在まで新鮮なスタイルとしてデザインされているのが素晴らしかった。





パーマネントヌーボーってなんだろう?って思ったら

西銀座デパートにある大関早苗さんの美容室でした。



マルドロール 人魚姫

寺山修司作による人形のための音楽劇のポスター(1966年頃)

人形デザインも宇野亜喜良氏がしています。





カレンダーのデザイン。9月。

SEPTEMBERと書いてあります。

花が動物のように口を開けてロゴタイプになる

絵本の物語のようなポエジーなデザインだ。





これは1967年、前衛舞踏のポスターですね。

結構スキャンダラスな舞台だったそうです。

このイラストレーション。まさしく宇野亜喜良。笑わぬ美少女であります。

ロゴタイプの形とグラデーションでの「揺らぎ」感がいいです。





麻布十番商店街の納涼ポスター(2000年)

女性のボディラインに合わせたロゴタイプ。

なんてレベルの高い商店街のポスターでしょう!




今年の5月、鵠沼海岸にあるシネコヤで見た映画「PERFECT DAYS」





主人公の平山が仕事に出かける車の中で、聞き始める音楽が

オーティス・レディングの「ドッグ・オブ・ザ・ディ」なので

冒頭からいきなりハマってしまった。しかもカセットテープ!

おお、次はアニマルズの「朝日の当たる家」じゃないですか。

思わず同世代ドンピシャに浮かれてしまった

中年男の私でございました(ーー’)





毎日の静かな暮らし、その描き方がいいね。

ヴィム・ヴェンダース監督、

小津安二郎監督へのオマージュ満載の映像が

嫌味なく鑑賞できました。


見ていると段々わかってくるのですが

ヴィム・ヴェンダースさん、主人公の平山に小津安二郎を

ダブらせていますね。

きっと小津安二郎のライフスタイルを描きたかったんだな。

彼がこだわった美意識とライフスタイルをね。



儀式的な所作に見える公衆トイレの清掃。

木漏れ日の定点撮影。

酒場でチューハイ、古本屋で100円の本を買う。

距離感を保った人間関係。そして恋心も。

その毎日のルーティンひとつひとつに

小津安二郎ダンディズムを見え隠れさせていますね。


「枯れて、美しい」という表現がある。

「枯れる」とは、「こなれていく」という意味で

時間と共にこなれて、熟していく美しさのことであります。

まさに毎日のルーティンひとつひとつがそれで、

この「枯れて美しい」を描きたかったのでしょうね。



横浜・関内ホールにて野村万作萬斎の狂言を見る。


演目は「隠狸」(かくしたぬき)と「仁王」(におう)

「隠狸」の主役は闇バイトで狸狩りをしている太郎冠者。

それを知った主人がとっちめていくというお話し。


「仁王」は博打で一文無しになった男が、仁王に化けて

参拝者から供え物を騙し取るという神仏詐欺。


いやいや伝統芸能で闇バイトと神仏詐欺とは

果たして顛末は・・・

「やるまいぞ、やるまいぞ〜」



2012年の「隠狸」の画像です。

主人(右側)の装束は段熨斗目(だんのしめ)

熨斗目(のしめ)とは男性用の着物の一種。

身分により柄が決まっていて

「段」はボーダー柄を表していて主人などが着る装束。


段熨斗目

このボーダー柄、2色使いの中に

ドット柄を合わせたところが

リズム感があってモダンであります。



左は闇バイトで狸狩りをしている太郎冠者。

チェック柄は「縞熨斗目」(しまのしめ)といいます。

身分の低い太郎冠者お約束の装束ですね。

太郎とは名前ではなく一番めの冠者(若者の召使い)という意味。

腰に狸を隠している。


はい、こんにちは「狸」です。




こちらは江戸前期に描かれたやまと絵。

「仁王」の屏風絵でございます。

仁王のマネをする博打打を参詣をする二人が扇でくすぐる場面。

熨斗目を脱ぎ下げて、上半身裸でありますね。

お寺の門にある仁王像は、みなさん上半身裸ですからこれが正しい。

舞台では裸じゃまずいので、朱色のかぶりを着ていました。



こんな感じでした。


画像は引用写真です。


小林薫 主演の映画版「深夜食堂」です。

秋の夜長、ほっこり泣きたくなったら、このドラマですよ。



誰かが店に忘れて行った骨壷。

半年も引き取りてがありません。

と明日は供養してもらおうと、その前夜にいきなりお酒をかけてしまう男。



蓋を開けてみると中は骨ではなく、砂が入っているだけ。



みんなが驚いていると

その男(東日本大震災で被災している)が砂を握りしめて

「俺にはこいつを置いていった奴の気持ちが分かる・・・」と

泣かせる長セリフが続きます。















その男のセリフを店の裏で聞きながら

ボランティアをしていた彼女も

思わず嗚咽がこぼれてしまいます。

あぁ、泣けてくる。




とお寺さんでの供養が終わったその夜に

骨壷の主(田中裕子さん)が謝罪に現れます。


壺の砂の理由も含めて

笑わせながら泣かせるといった

田中裕子さんの名演技が披露されます。

いやいやなんという演出。

またまた涙が止まりません。


涙の質が上がってまいります。




東京ステーションギャラリー(丸の内)にて

ジャン・ミッシェル・フォロンのイラストレーション

「空想旅行案内人」を見た。



ベルギー出身のイラストレーター。



雑誌「ニューヨーカー」の表紙などやポスターなどが有名で

シンプルで洒脱なグラフィックデザインが魅力だ。



リトルハットマンというキャラクターが

空想旅行の案内人となって旅に出て行きます。

トランクにつめた景色が旅の時間を表して

今の景色と重ねた時間の二重性が面白い。



水を含ませた水彩用紙にカラーインクでもって滲ませる技法による

淡く澄んだ色彩が

透明感のある詩情性を生んでいる。



「世界人権宣言」表紙 原画(1988)



各条文から「意見及び表現の自由に対する権利」

(言いたい、知りたい、伝えたい)のための挿絵原画(1988)



激鉄の先に目隠しをされた人物を描き

個人の意見が弾圧されている現実を表現している。



「世界人権宣言」第3条

(安心して暮らす)のための挿絵原画(1988)



「世界人権宣言」第5条

(拷問はやめろ)のための挿絵原画(1988)



理想から離れている現実の状況

この共通な問題に対して高度な感覚を持っている。とのキャプションがあった。

強いメッセージを描くとその主張に

表現が引っ張られてアクが強くなりがちだけど

フォロンの作品にはそれがなく

彼の詩情性が損なわれることがない。

これが「高度な感覚」なのだろう。



画像がなかったので

つたないうろ覚え画で申し訳ないのですが

こんな感じの

オリンピックのポスターが印象に残っていました。

溺れている5人の手だけが水面から現れて

それを救うために5つの浮き輪を渡そうとしている構図で

溺れている5人も、救助の5つの浮き輪も

5大陸を表す5輪の色です。

平和の祭典と言いながら

なかなか理想に至らないオリンピックゲームの現実。

アイコンとしての五輪の輪が

平和の機能を動かせと言っているポスターだ。


引用写真:NHK Eテレ「アートシーン』より



        それぞれの 空の青さよ 敬老日


初台の東京オペラシティ アートギャラリーにて

「高田賢三 夢をかける」を見に行った。



KENZOといえば民族衣装(フォークロア)のイメージだけど

こうして体系的に見ると、

一過性なモードとは違いますね。



カラフルな色彩と民族パターンが重なり合っていてる。

そのしつこく成りがちな組み合わせも、

洗練された楽しさにしまうのが、デザインの力だな。



アイデアスケッチも見る楽しさがあって

鑑賞に耐えられる制作プラン図だ。

製作者にとってもイメージがふくらむのがいいね。



花嫁衣装です。

祝福と祈りに満ちたデザインが素敵です。


各国の文化をデザインに取り入れていく姿勢は

自然とボーダーレスやジェンダーレスの価値を

作り上げていった感じです。

それって高田賢三さんの笑顔と謙虚さなんだね。



高田賢三さん(右側)のファッションに注目です。

ニットにジーンズというシンプルな装いがいいですね。

レザーのローファーにカラーソックスというのがキモで

80年代のパリで流行ったフレンチ・アイビーでありますよ。


PHOTO:GETTY IMAGES


先月お亡くなりになったアラン・ドロンさん。

1965年のスーツスタイルだ。

アメリカやイギリスのトラディショナルなスタイルと違って

フレンチシックな雰囲気がエレガンスです。

パッと目につくのが、上着の襟の形だ。

上襟と下襟の境目の開きがパッカと開いていますね。

その開きが魚の口のようなので「フィッシュマウス」と呼ばれている襟の型で

フランスのテーラリングを象徴するデザインなんですね。

ちょっと目につくところが「あざとい」感じがしなくも無いですが

「あざとい女」のことをコケットな女と言ってしまいながら

美意識にしてしまうのがフランス人の感性なので

この「フィッシュマウス」も、コケットな男性版のように見えてきますね。


セレ デ ゴンス デラ モダン(それは現代のエレガンスだ)なんてね。



      夏灯し 恋(おも)う作法で 追いかけて


       向日葵や 知らぬフリして 振り向かず