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個人的課題回答。
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創傷(特に擦過傷)や熱傷、褥瘡などの皮膚潰瘍に対し、従来のガーゼと消毒薬での治療を否定し、「消毒をしない」「乾かさない」「水道水でよく洗う」を3原則として行う治療法。
モイストヒーリング、閉鎖療法、潤い療法(うるおい療法)とも呼ばれる。

湿潤療法推進者は、「創傷の治癒と言うものはもとより細胞を培養する様なものであり、従来の様に乾燥させるより湿潤を保った方がよいのは自明である。
しかしながら創傷が治癒するとそれが乾燥することから、乾燥させれば治癒すると言う勘違いや、消毒に対する信仰などでこれまでは誤った治療がなされてきていた」と主張する。

消毒薬が容易に傷のタンパク質との反応によって細菌を殺す閾値以下の効力になる一方で、欠損組織を再生しつつある人体の細胞を殺すには充分な効力を保っていること、再生組織は乾燥によって容易に死滅し、傷口の乾燥は再生を著しく遅らせること、軽度の擦過傷においては皮膚のような浅部組織は常在細菌に対する耐性が高く、壊死組織や異物が介在しなければ消毒しなくても感染症に至ることはほとんど無いことなどに注目して考案された。

傷口の内部に消毒薬を入れることを避け、再生組織を殺さないように創部を湿潤状態に保ち、なおかつ感染症の誘因となる壊死組織や異物を十分除去(デブリードマン)し、皮膚常在菌による細菌叢を保持し有害な病原菌の侵入を阻害することで創部の再生を促すものである。

湿潤治療が適用されるかどうかの診断は必要であり、治療前後の受診は必ず行うようにすることが望ましい。
家庭での治療は、軽度の創傷(軽度の擦過傷、切創)に限って用いられるべきであり、化膿が発生した場合は速やかに医師の診察を受ける必要がある。
また、破傷風予防の観点から、野外での創傷(軽度の擦過傷を除く)、特に木枝や錆びた釘、鉄条網などによる怪我、動物による咬創(狂犬病)などは、これらの傷は比較的深く、湿潤療法を行うにせよ通常の治療を行うにせよ、傷口の奥深くまで異物や細菌が入り込んでいるため、傷口の洗浄の上、時として解放創としてドレナージを行う必要があるため、外科系医師(できれば形成外科医などで創傷外科に通じた医師)の受診が必要である。

大量の水道水、あるいは清潔な水で傷口の汚れを完全に洗い落とす。
この時、決して消毒を行ってはいけない。
異物が見られる場合は、これを徹底的に除去する。
程度によっては局部麻酔が必要となるため、必要であれば医療機関を受診すること。
勿論傷が深い場合にも医師の診察を受けるべきである。
必要であれば圧迫によって止血を行う。
やはり止血が困難な場合などは、家庭で治療を行うべきではない。

出血が止まったら、ラップなどのドレッシング材を傷より大きめに切り、患部に当てる(保湿効果のある白色ワセリンをラップに塗り患部に当てるとなお良い)。
貼ったラップを包帯、医療用紙テープなどにより固定する。
ラップは1日に一回。
夏などは1日に数回取り替える。
この際、流水などで創傷周囲の周囲を洗うこと。
市販の湿潤療法用絆創膏であっても特に問題は無い。

創傷周囲の皮膚は、特に夏場にかぶれなどにより痒みが強くなるが、特に創傷からの体液分泌が多いときに、ラップ表皮下にある皮膚かぶれへの、かゆみどめ等の薬剤の使用は控える。
(かぶれを放置すると治癒した後も色素沈着などが長期間残る場合があるため、ラップ療法を中止し、医師の診察を受けるべきである)
※夏期にラップ療法を行うのは非常に困難。

上皮化が完了すれば治療完了となる。
上皮化のサインとしてキズがピンク色になり新たな皮膚ができ、痛みがなくなる。

次の場合は、適用してはならず、最初から医師による診断、治療を受けるべきである。

●深い創傷。
●動物による咬み傷は、狂犬病、破傷風等の危険性がある。組織の一部を噛み千切られた場合なども。
サンフォードガイドなどの成書・ガイドラインによると、動物咬傷では抗生物質の服用をすすめている。
●擦過傷の場合、深さと大きさによるが、数cm平方を超える場合は一度でも受診が望ましい。
完治近くなる(ピンク色に表皮が形成され、浸潤液がなくなる)までに1週間以上掛かる場合も、同様である。
※形成障害・瘢痕拘縮のおそれがある。
●切創の場合、しびれや運動障害が見られる場合は、神経や腱の損傷が疑われる。
●出血が多く、絆創膏やガーゼ程度では止血が維持できない場合。
※既に創傷は軽度ではなく、ただちに受診すべきである。
●汚染がひどく、創感染を発症することが考えられる創、ないしは受傷直後の汚れた外傷は、専門医による創洗浄などを要する。
土壌中には破傷風菌を含む多くの菌がいるため医療機関を受診することが必須と考えられている。
●特に受傷初期において、1 - 2日経っても治癒の進行が無いか、遅いように見える場合。
※悪化する場合も。
●治療開始後数日を経ても痛み・発赤・腫れがある場合。
●抵抗力が弱い患者(乳幼児、老人等、糖尿病患者、その他の易感染性患者)。
●有害な生物・化学物質による皮膚傷害、または傷が有害な生物・化学物質に暴露した場合。
●受傷直後で専門医による深達度診断がなされていない熱傷。


傷はその深さによって治り方が違います。
傷が治るときの必要条件である表皮化のおこり方が違うのです。
深い褥創が治った後では表皮剥離程度の浅い傷でも難治性の傷になることの説明をしたいと思います。

【分裂する表皮細胞の存在部位】
傷はその創面を表皮に覆われることで治癒に至ります。
最後の仕上げである表皮化は表皮細胞の分裂遊走によっておこります。
では表皮化はどこでおこるのでしょうか。
表皮化をおこす細胞は表皮細胞ですが、表皮細胞は極めて限局した部位でしか増殖しません。
分裂する表皮細胞が存在する部位は、まずは表皮と真皮の境目の基底層に並ぶ一層の細胞集団です。この細胞は、基底細胞あるいは表皮細胞と呼ばれます。
この細胞は分裂を繰り返し、分裂の終わった細胞は絶えず下から体表へと持ち上げられていきます。
表皮細胞は体表へ近づくとともに核が失われ細胞質内にはケラチン(角質)が増えてきます。
最後にはケラチンのみとなり、これが表皮の最外層である角質層を形成します。
分裂する表皮細胞は、基底層の他には毛嚢壁や汗腺や皮脂腺壁にも一層に並んでいます。
毛嚢や汗腺は真皮層の最深部まで延びています。
以上を合わせて考えると、分裂する表皮細胞は表皮と真皮の境には面状に広がり、真皮内では垂直線状に真皮全層に分布しています。
ここで創傷を考えます。「表皮剥離創」「真皮までの欠損創」「真皮が全て損傷し皮下組織が露出した創傷」の3つのタイプが考えられます。

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【創の深さ別の表皮化メカニズム】

「表皮剥離創」では、創傷全面に表皮細胞が露出しています。
したがって、創面の細胞が活動できる環境、つまり湿潤環境に保てば創全面で表皮化が進行し、1週間もしないうちに薄い表皮で覆われます。そして2~3週間で表皮は重層化し強固になります。
「真皮までの欠損創」でも、創面には表皮細胞が点状に露出します。
同様に湿潤環境に保つことで点状に散布した表皮細胞は分裂し横方向へ遊走して、創面は表皮細胞で被われた後、重層化していきます。
毛のあるところでは主に毛嚢壁が表皮細胞の供給源となり、手のひらなどの毛の無いところでは汗腺壁が表皮細胞を供給します。
「皮下組織が露出した創傷」では、表皮細胞は創辺縁にしか存在しません。
したがってまずは創面が肉芽組織で被われることが必要です。
肉芽組織で被われることで肉芽組織中の筋線維芽細胞は創中央に向かって規則的に配列し、お互いの平滑筋を収縮させることで創の収縮が起こります。
このようにして創面積が縮小するとともに、肉芽組織中のコラーゲンを足場に表皮細胞が分裂遊走してきます。つまり創の収縮と創辺縁部からの表皮化が同時に起こって創面はやがて表皮に被われます。
表皮化に要する期間は創の大きさに依存します。
皮下に及ぶ大きな創面では表皮化には長期間を要します。
ふり返って表皮剥離創や真皮までの欠損創では、表皮化は創全面でおこるため、表皮化に要する期間には創の大きさは関係なく同じ期間で終わります。

【創の深さによる治癒後の違い】
真皮層までの傷では、皮膚付属器である毛嚢・皮脂腺・汗腺等全てが再生されます。
したがって治癒後にはもちろん毛嚢や汗腺がみられます。
ところが皮下組織が露出した創傷では表皮化は表皮細胞の分裂遊走のみでおこるため、毛嚢や汗腺の再生はありません。
これは後にもう一度損傷を受けたときに創治癒に大変重大な影響を起します。
このように真皮までの損傷ではきれいに元通りに治ることより、これを創傷治癒では特別と考え、「部分創損傷」あるいは「中間層損傷」と呼びます。
対して皮下組織が露出した創傷は「全層損傷」と言います。全層損傷では元通りの皮膚にはならず、これを瘢痕治癒と呼びます。


【全層損傷での表皮剥離】
褥創ではその発症メカニズムから全層損傷となる場合がほとんどです。
全層損傷の傷が治った後には毛嚢や汗腺・皮脂腺がみられません。
褥創の好発部位は仙骨部です。
この部位にはずれや摩擦が大変かかりやすく、これによって表皮剥離がよくみられます。
さて、全層損傷の治癒した部位にちょっとした表皮剥離がおこったらどうなるでしょうか。
大変浅い傷で本来なら中間層損傷で全面で表皮化が起こるはずです。
でもこの部位には毛嚢や汗腺はありません。
表皮剥離創では、本来創全面に基底層の細胞、つまり分裂可能な表皮細胞が露出しているはずです。
しかし残念ながら、瘢痕組織(全層損傷の治癒後にみられる硬い組織)の表面を覆う表皮は平坦化し結合力も弱いため表皮剥離によってほとんど全て除去されてしまいます。
瘢痕組織の新生真皮類似組織には毛嚢や汗腺が無いため、中間層損傷でみられるはずの点状の表皮細胞はありません。
つまり全層損傷治癒後で瘢痕治癒した部位に発生した表皮剥離創は、見た目は浅くても全層損傷と同じなのです。
分裂する表皮細胞は創辺縁部のみに存在するため、表皮化には長期間を要します。
また、瘢痕組織は収縮しないため創の収縮は期待できません。
失望しなくて良い点としては創面にすでにコラーゲンが形成されているため表皮細胞の遊走は創面の治癒環境(湿潤環境)を整えておけば、速やかに創周囲より順次おこります。


【褥創治癒後の注意点】
以上の点を考えると、褥創治癒後においても、治癒させるためのケアに注いだ情熱と同様に、再発させないための情熱を継続する必要があります。
つまり、汗腺・皮脂腺の無い瘢痕組織に対し、乾燥化を避けるため保湿剤軟膏を継続的に使用します。
しかし、どうしても摩擦が避けられない場合には、予防的にフィルム材を継続使用していきます。
もちろん摩擦やズレには細心の注意をはらって回避を心がけます。

軽度の発赤や小さな表皮剥離を発見した場合には、直ちにフィルム材の貼付や薄いタイプのハイドロコロイドドレッシング材などを貼付することが大切でしょう。

高齢者の表皮剥脱創の治療例
前腕の広範囲表皮剥離創
 ↑ ※リンク先には痛々しい写真が掲載されています、参照時は注意して下さい。

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某医療機関(愛知県在)2011年3月のブログより

<表皮剥離とは?>
年をとると、どうしても皮膚が薄くなってしまいます。表皮剥離とは、高齢者のような皮膚の弱い方に多く見られる症状です。
本人の記憶にないほどの衝撃でぶつけたり、こすれたりしただけで皮下出血が出たり、皮膚がめくれてきたりします。桃の皮がぺろっと剥けてしまうようなイメージです。
実際には、寝返りを打った時に腕が布団にこすれて表皮剥離を起こしたり、転倒時に体が地面に擦れて起こすこともあるようです。
最近では、介護の現場でもよくみらています。
車椅子からベットへの移乗援助の際に皮膚が擦れてしまい、表皮剥離ができる場合もあれば、着替えの際に手首をだそうとして袖口を引っ張った際に袖口のゴムとの摩擦程度で生じることもあります。
原因としては皮膚の弾力性が失われたこと、皮下脂肪が薄くなった為クッションの役割になるものが失われてしまっていること、皮下を走る毛細血管が弱くなるなどの要因が重なり、発生します。


<表皮剥離になってしまった場合>
皮下出血だけの場合は患部にガーゼをあて、その上から包帯を軽く巻いて保護しておきましょう。
もしも皮膚が破けてしまったら、めくれた皮膚を無理に引っ張って取ったり、血液を拭くために強くこすったりせず、めくれた皮膚をなるべく元の位置に戻し、そのまま濡れたガーゼで覆って病院を受診してください。
もしすぐに受診できなければ、濡らしたガーゼかハンカチを固く絞り患部にあてて、めくれた皮膚が乾燥しないようにしましょう。
なるべく長く放置しないで病院に受診してください。
感染さえ起こさなければ、問題なく治ります。
 
<予防>
表皮剥離は、移乗、移動時などに体をぶつけたりこすったりしてしまい、起こっていることが多いようです。剥離が何度も同じ箇所にある方は、原因は何なのか知ることも大切です。
例えば、トイレや入浴時などに角に体をぶつけてしまうという場合にはクッションになるような物(スポンジ等)を取り付けて衝撃を少なくすると良いかと思います。

<気をつけましょう!>
市販の傷用の軟膏やパウダーは付けないようにしましょう。
軟膏やパウダーのついた部分はテープが貼れなくなるので傷の固定が難しくなってしまいます。


表皮剥離が起こった際には慌てずに対処しましょう。





さぬき市民病院 糖尿病センター 糖尿病診療プロジェクトチーム
インスリン使用マニュアル
 ↑ ※参考資料として一読を。

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血糖値(血液中のグルコース(ブドウ糖)濃度)が病的に高い状態をさす病名である。
ひとことに血糖値が高いと言っても、無症状の状態から、著しいのどの渇き・大量の尿を排泄する状態、さらには意識障害、昏睡に至るまで様々であるが、これらをすべてまとめて、血糖値やヘモグロビンA1c値が一定の基準を超えている場合を糖尿病という。

糖尿病は高血糖そのものによる症状を起こすこともあるほか、長期にわたると血中の高濃度のグルコースがそのアルデヒド基の反応性の高さのため血管内皮のタンパク質と結合する糖化反応を起こし、体中の微小血管が徐々に破壊されていき、目、腎臓を含む体中の様々な臓器に重大な傷害(糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症の微小血管障害)を及ぼす可能性があり、糖尿病治療の主な目的はそれら合併症を防ぐことにある。

血液中のブドウ糖濃度(血糖値、血糖)は、様々なホルモン(インスリン、グルカゴン、コルチゾールなど)の働きによって正常では常に一定範囲内に調節されている。
いろいろな理由によってこの調節機構が破綻すると、血液中の糖分が異常に増加し、糖尿病になる。
糖尿病は大きく1型と2型にわけられるが、これはこの調節機構の破綻の様式の違いを表している。

1型糖尿病では膵臓のβ細胞が何らかの理由によって破壊されることで、血糖値を調節するホルモンの一つであるインスリンが枯渇してしまい、高血糖、糖尿病へと至る。

2型糖尿病では、血中にインスリンは存在するのだが肥満などを原因としてインスリンの働きが悪くなるか、あるいは自己免疫的に破壊された訳ではないが膵臓のβ細胞からのインスリン分泌量が減少し、結果として血糖値の調整がうまくいかず糖尿病となる。

その他にも、妊娠糖尿病をはじめとして発症機序の違いに基づくいくつかの病名があって、これらをひとまとめにしている糖尿病は病名というより症候群と言ったほうが適切である。

「糖尿病」の名称は、血糖が高まる結果、尿中に糖が排出されることに由来する。
しかし尿中に糖が排出されること自体は大きな問題ではない。

1型糖尿病の場合、放置すると容易に急激な高血糖と生命の危険も伴う意識障害を来す糖尿病性ケトアシドーシスを引き起こしかねないため、インスリン注射などの積極的な治療により強力に血糖値を下げることが基本的な治療目標となる。

2型糖尿病においては1型ほど血糖値が上昇することは通常ないが、治療せず長期に放置すると糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの糖尿病慢性期合併症の起こる頻度が多くなるため、生活習慣の是正、経口血糖降下薬やインスリン注射により血糖値をある程度下げることによってこのような合併症を引き起こすことを防ぐことが治療目標である。

【1型糖尿病】
膵臓のランゲルハンス島でインスリンを分泌しているβ細胞が死滅する病気である。
その原因は主に自分の免疫細胞が自らの膵臓を攻撃するためと考えられているが(自己免疫性)、まれに自己免疫反応の証拠のない1型糖尿病もみられる(特発性)。
一般的に「生活習慣が悪かったので糖尿病になりました」と言う場合、1型糖尿病を指すことはほとんどない。患者の多くは10代でこれを発症する。
血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌が極度に低下するかほとんど分泌されなくなるため、血中の糖が異常に増加し糖尿病性ケトアシドーシスを起こす危険性が高い。
そのためインスリン注射などの強力な治療を常に必要とすることがほとんどである。

【2型糖尿病】
インスリン分泌低下と感受性低下の二つを原因とする糖尿病である。
一般的に「生活習慣が悪かったので糖尿病になりました」と言う場合、この2型糖尿病を指す。
欧米では感受性低下(インスリン抵抗性が高い状態)のほうが原因として強い影響をしめすが、日本では膵臓のインスリン分泌能低下も重要な原因である。
少なくとも初期には、前者では太った糖尿病、後者ではやせた糖尿病となる。
遺伝的因子と生活習慣がからみあって発症する生活習慣病で、日本では糖尿病全体の9割を占める。
発症率を変動させる要因として、「マグネシウム摂取量が関与している」との報告がありインスリン抵抗性、慢性炎症、飲酒習慣を有する患者では摂取量の上昇が発症抑制に効果があるとされている。
2型糖尿病が発症する原因は完全に明らかではないが、大筋を言うと、遺伝的に糖尿病になりやすい体質(遺伝因子)の人が、糖尿病になりやすいような生活習慣を送ること(環境因子)によって2型糖尿病になると考えられている。

遺伝子上の配列の違いによって、同じような生活習慣を送っていても、ある人は糖尿病が起こりやすく、別の人は起こりにくくなるという違いがあることがわかってきている。
糖尿病になりやすくなる環境因子としては、圧倒的な危険因子として肥満が挙げられるほか、喫煙や運動不足などがある。

通常糖尿病患者は自覚症状はないと考えることが多い。
しかし、よくよく話を聞いてみると、下記に列挙するような手足のしびれや便秘などが実はあるのだが、特別な症状と考えていないことがある。
血糖値がかなり高くなってくると、口渇・多飲・多尿という明白な典型的症状が生じる。
これらは血糖値が高いということをそのまま反映した症状なので、治療により血糖値が低下するとこれらの症状は収まる。
血糖値がさらに高くなると、重篤な糖尿病性昏睡を来たし、意識障害、腹痛などをきたすこともある。
いっぽう発症初期の血糖高値のみでこむら返りなどの特異的な神経障害がおこることがある。
また発症初期に急激に血糖値が上昇した場合、体重が減少することが多い(血液中に糖分が多い一方、脂肪細胞などは糖分が枯渇した状態になるためである)。
その他の症状は、たいてい糖尿病慢性期合併症にもとづくものである。
●糖尿病性網膜症を発症すると視力が低下する
●糖尿病性腎症によって最終的にはむくみや乏尿、全身倦怠感など種々の症状が出現する。
●糖尿病性神経障害には2種類あって、末梢神経障害によって手足のしびれなどがおこる一方、自律神経障害がおこると便秘、立ちくらみ、勃起不全などの原因となる。

糖尿病は皮膚にも糖尿病性リポイド類壊死をはじめとする様々な合併症を引き起こすことがあって、それに伴う症状が出現することがある。
これらのような糖尿病に典型的な合併症に加えて、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症、脳梗塞も糖尿病においてはきわめて起こりやすいので、それらの病気に由来する症状を起こすことがある。


症状そのものも重要だが、「あるべき症状を感じないことがある」ことも糖尿病の重要なポイントである。
すなわち、神経障害が起こった状態での心筋梗塞がそれである。
心筋梗塞は通常激しい胸痛を伴うので、患者はすぐさま医療機関への受診へと至り治療を行うことになる。
ところが糖尿病がある場合、この重要な警告情報である「胸痛」を感じないことがあって、「無痛性心筋梗塞」と呼ばれる。
これは自覚症状がないので早期の治療を困難にし、知らぬ間に心不全に至ることがある。
同様のこととして、末梢神経障害があるので、手足の先で温度を感じる機能がにぶくなったため、こたつやあんかなどで低温やけどを来すことがある。
この場合、糖尿病はさらに閉塞性動脈硬化症を併発していたりして、手足への血液(これは栄養そのものである)の供給が不十分であると、傷ついた手足の皮膚を修復できず、傷がどんどん広がって巨大な足潰瘍に至り足切断をしなければならなくなる。

糖尿病はアルツハイマー型認知症のリスク要因となっている。
インスリンの分泌を増やす糖質中心の食習慣、運動不足、内臓脂肪過多がアルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドベータの分解を妨げているとしている。
アミロイドベータも分解する能力のあるインスリン分解酵素が糖質中心の食生活習慣によって血中のインスリンに集中的に作用するため、脳でのインスリン分解酵素の濃度が低下し、アミロイドベータの分解に手が回らずに蓄積されてしまうとしている。


「認知症」の狭義の意味としては「知能が後天的に低下した状態」の事を指すが、医学的には「知能」の他に「記憶」「見当識」を含む認知の障害や「人格変化」などを伴った症候群として定義される。
従来、非可逆的な疾患にのみ使用されていたが、近年、正常圧水頭症など治療により改善する疾患に対しても認知症の用語を用いることがある。

単に老化に伴って物覚えが悪くなるといった誰にでも起きる現象は含まず、病的に能力が低下するもののみをさす。また統合失調症などによる判断力の低下は、認知症には含まれない。また、頭部の外傷により知能が低下した場合などは高次脳機能障害と呼ばれる。

日本では従来より血管性認知症が最も多いといわれていたが、最近はアルツハイマー型認知症が増加している。
認知症の原因となる主な疾患には、脳血管障害、アルツハイマー病などの変性疾患、正常圧水頭症、ビタミンなどの代謝・栄養障害、甲状腺機能低下などがあり、これらの原因により生活に支障をきたすような認知機能障害が表出してきた場合に認知症と診断される。脳血管障害の場合、画像診断で微小病変が見つかっているような場合でも、これらが認知症状の原因になっているかどうかの判別は難しく、これまでは脳血管性認知症と診断されてきたが、実際はむしろアルツハイマー病が認知症の原因となっている、所謂、「脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症」である場合が少なくない。

以下は原因疾患による認知症のおおよその分類

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■血管性認知症 :Vascular dementia (VaD)
●多発梗塞性認知症広範虚血型(Binswanger型白質脳症を含む)
●多発脳梗塞型
●限局性脳梗塞型
●遺伝性血管性認知症:CADASILなど

多発梗塞性認知症は、文字どおり脳梗塞が多発することにより持続性の神経症状と認知機能障害がみられるようになるものです。
大脳白質、基底核、視床、橋など脳深部の広範な領域が多発性の小梗塞により傷害されることにより仮性球麻痺、片麻痺、歩行障害などの神経症状がみられるようになり、軽快、再発を繰り返しているうちに認知症状が明らかになってきます。
また、神経症状がみられず、物忘れや脳ドック等で念のため検査した頭部CTやMRIで多発性の小梗塞が発見されることもあります。
Binswanger型白質脳症では、高血圧や脳動脈硬化を背景にした、脳血流障害のため、大脳白質が広範に傷害されることにより認知症が生じます。
卒中発作をきっかけに急性に発症することもありますが、卒中発作や局所神経症状が明らかではなく、アルツハイマー型認知症のように緩徐進行の経過をとることもしばしばありますので、注意が必要です。
認知症状の内容としては、記銘力障害の他、意欲の低下、自発性欠如、うつ状態など、前頭葉性認知症の症状を示すことが特徴とされます。
神経症状としては、仮性球麻痺、筋固縮、動作緩慢、小刻み歩行などがみられます。
頭部CTでは側脳室周囲に対称性広範あるいは斑状の境界不鮮明な低吸収域がみられるのが特徴です。

※CADASIL … Cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy
皮質下性の脳卒中を繰り返す常染色体性優性遺伝性脳動脈病。
第19染色体長腕のnotch3の遺伝子変異により生じる場合が多いと考えられている。
成人発症:25歳前後に片頭痛(CSDが原因?)、30~50歳で脳卒中発作(多くはTIAと脳梗塞だが、出血を来すこともある)が一般的。
情動異常:20%に気分障害やapathyを認めて、欝症状を伴います。
皮質下性痴呆:前頭葉徴候、記憶障害、遂行機能障害など。

※CSD … cortical spreading depression 脳内の電気的活性の異常。

※TIA … transient ischemic attack 脳血管障害の1つ。
     脳の一部への血流が障害された結果起きる一時的な脳機能障害。

※apathy … 感情鈍麻、無関心、無感動。

■変性性認知症
●アルツハイマー型認知症 :Alzheimer's disease (AD)
短期記憶障害をはじめとする認知機能障害により日常生活や社会生活に支障をきたし、緩徐な進行と、局所神経症候を伴わない事が病態の基本となる。

※アルツハイマー病 … βアミロイド蛋白と呼ばれる異常な蛋白質が脳全般に蓄積するために、脳の神経細胞が変性・脱落する病気。
脳の萎縮が進行し、痴呆を示すと考えられる。
CT、MRIといった画像診断では、比較的早期から側頭葉内側部(海馬領域)の萎縮が目立ってくる。
進行すると脳全体の萎縮が顕著に。

●(びまん性)レビー小体病 :Dementia of Lewy bodies (DLB)
幻視・認知機能の急激な変動などが特徴的な認知症。
パーキンソン病で見られるレビー小体が脳内に認められ、パーキンソン病の症状も見られる。
認知症を合併したパーキンソン病との境界はあいまいである。

※レビー小体 … 神経細胞の内部に見られる異常な円形状の構造物(封入体)。
主にα-シヌクレインでできており、一部のパーキンソン病などとの関連も指摘されている。
パーキンソン病では、中脳黒質のドーパミン神経が変性脱落したところにレビー小体ができる。

※α-シヌクレイン … 蛋白質の一種、詳細は不明。
レビー小体中のαシヌクレインは129セリンでリン酸化修飾を受けている事からパーキンソン病の鍵分子とされている。
参考pdf ← 山形大学の研究成果報告書。

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●パーキンソン病 :Parkinson's disease (PD) with dementia
脳内のドーパミン不足とアセチルコリンの相対的増加とを病態とし、錐体外路系徴候(錐体外路症状)を示す疾患である。神経変性疾患の一つである。
黒質線条体のドーパミン神経が減少し筋固縮、振戦、無動などの運動症状が起こる。
パーキンソン病患者が認知症を発症するリスクは、健常者の約5-6倍と見積もられている。 

※ドーパミン/アセチルコリン … 神経伝達物質、詳細は割愛。

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●前頭側頭型認知症:frontotemporal dementia (FTD)
かつてピック病と呼ばれていた若年性で初期から性格変化をきたす認知症は現在はFTDと呼ばれている。また広義の概念として前頭側頭葉変性症FTLD:Frontotemporal Lobar Degenerationがあり、意味性認知症 Semantic Dementia (SD)や進行性非流暢性失語 Progressive nonfluent aphasia (PNFA) (特発性進行性失語 Primary progressive aphasia (PPA) と近縁)、進行性核上性麻痺:Progressive supranuclear parsy (PSP) なども含まれる。

※前頭側頭型認知症全般の特徴 … 性格の変化、社交性の欠如、自発性の喪失。

※意味性認知症 … 言葉や物の意味語議がわからない意味記憶障害。
話していることがちぐはぐになり会話が上手く出来ない。

※流暢性失語 … 運動言語野は障害されておらず流暢に話そうとするが、口から出る言葉は意味不明。
センテンスも長く、話す速度も正常でリズムや抑揚にも乱れはないが、タバコを連想しタバコと言いたくとも必要な単語に似ている単語(タバタやハバコ)になる。 → 「字性錯語」
タバコと言おうとしてまったく別の意味の単語を言う。 → 「語性錯語」
錯語がひどくなると全く意味の解らない言葉を発し、ジャルゴン失語と呼ばれる。
簡単な単語が出てこない、本が読めない。
相手の話やテレビで放映している内容は正しく理解できているようでも、返事が言葉や文章になっておらず自分の意思表示が会話として成立しない。

※進行性核上性麻痺 … 脳の特定の部位 (基底核、脳幹、小脳) の神経細胞が減少。
転びやすい、下の方が見にくい、飲み込みにくい。

●ハンチントン病 : Huntington disease (HD)
大脳中心部にある線条体尾状核の神経細胞が変性・脱落することにより進行性の不随意運動(舞踏様運動、chorea(ギリシャ語で踊りの意))、認識力低下、情動障害等の症状が現れる常染色体優性遺伝病。

※尾状核 … 脳の大脳基底核に位置する神経核である。
尾状核は元々自発運動のコントロールに主に関わっていると考えられていたが、現在では脳の学習と記憶システムの重要な部分を占めていると考えられている。

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■感染
●クロイツフェルト・ヤコブ病
全身の不随意運動と急速に進行する認知症を主徴とする中枢神経の変性疾患。
異常プリオンが脳内に侵入し、脳組織に海綿状の空腔をつくって脳機能障害を引き起こすもので、進行が早く、ほとんどが1 - 2年で死に至る。
一般的には初老期に発病し、発病初期から歩行障害や軽い認知症、視力障害などが現れる。
変異型として狂牛病(牛海綿状脳症)のヒトへの感染が知られている。

●HIV関連認知症
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染末期、すなわち最終段階で発症する脳症。
大脳白質、深部灰白質に病変があり、血管の周囲を中心に炎症細胞の浸潤がみられるHIV脳炎と、髄鞘、軸索の脱落があるHIV白質脳症が主にみられます

■治療可能なもの(いわゆる`treatable dementia')※各症例に関するリンク参照願います。
慢性硬膜下血腫
正常圧水頭症
甲状腺機能低下症

■中核症状
程度や発生順序の差はあれ、全ての認知症患者に普遍的に観察される症状を「中核症状」と表現する。 記憶障害と見当識障害(時間・場所・人物の失見当)、認知機能障害(計算能力の低下・判断力低下失語・失認・失行・実行機能障害)などから成る。
これらは神経細胞の脱落によって発生する症状であり、患者全員に見られる。病気の進行とともに徐々に進行する。

■周辺症状(BPSD)
全ての患者に普遍的に表れる中核症状に対し、患者によって出たり出なかったり、発現する種類に差が生じる症状を「周辺症状」、近年では特に症状の発生の要因に注目した表現として「BPSD(Behavioral and Psychorogical Symptoms of Dementia:行動・心理障害)」と呼ぶ。

主な症状としては幻覚・妄想、徘徊、異常な食行動(異食症)、睡眠障害、抑うつ、不安・焦燥、暴言・暴力(噛み付く)、性的羞恥心の低下(異性に対する卑猥な発言の頻出などなどがある。

発生の原因としては中核症状の進行にともなって低下する記憶力・見当識・判断力の中で、不安な状況の打開を図るために第三者からは異常と思える行動に及び、それが周囲との軋轢を生むことで不安状態が進行し、更に症状のエスカレートが発生することが挙げられる。前述の通り、中核症状と違い一定の割合の患者に見られ、必ずしも全ての患者に同一の症状が見られるとも限らない。またその症状は上記のもの以外にも非常に多岐にわたり、多数の周辺症状が同時に見られることも珍しくない。中核症状が認知症の初期・軽度・中等度・重度と段階を踏んで進行していくのに対し、周辺症状は初期と中等度では症状が急変することも大きな特徴である。初期では不安や気分の沈みといった精神症状が多く、中等度になると幻覚や妄想などが発現する。

かつては中等度になると激しい症状が現れ、患者は日常生活を行う能力を急速に喪失してゆき、周辺症状の発現と深刻化によって家族などの介護負担は増大の一途を辿る為、「周辺症状=中等度」との固定観念が存在したが、現在では軽度でも一定の症状が発生することが分かってきたため、その固定観念の払拭と、より原因に着目した表現としてBPSDが用いられるようになった。

激しすぎる周辺症状が発生した場合に向精神薬等を用いて鎮静化させることもあるが、前述の通り不安状態、及び認知能力が低下した状態での不安の打開方法としての行動が原因であるため、まずその不安の原因となっている要素を取り除くことが対処の基本となる。

中核症状の進行を阻止する有効な方法は確立されていないが、適切な介護・ケア方法によって周辺症状の発生を抑え、明確な症状が見られないまま週末期を迎えることも可能である。初期の状態での適切なケアが重要となる。


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臨床的には、患者が長期にわたり同じ体勢で寝たきり等になり、体と支持面(主にベッドや布団)との接触局所で血行不全が生じることにより周辺組織が壊死を起こしたものをいう。
床ずれとも呼ばれる。

原因としては外的因子と内的因子に大別される。

外的因子 …外力に対して組織内部に発生する内力としての応力が主たるもの。
身体とベッド等支持面との接触部分にかかる応力は2つに分けて考察される。
1.組織に垂直に作用する圧力(いわゆる「体圧」)に対して生ずる圧縮応力
2.組織と支持面の間の摩擦・ずれにより生じる引っ張り応力・剪断応力

内的因子 …加齢、低栄養、麻痺、乾皮症などの皮膚の状態等多岐にわたる。
通常検査は、血液像(特に貧血の有無)、血清アルブミン、血中の亜鉛の定量など。

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仰臥位で生じる部位
肩甲骨部、肋骨角部、脊柱巨棘突起部、仙尾・仙腸部、踵骨部

側臥位で生じる部位
側頭部、耳介、肩峰部、肩甲骨部、肋骨角部、腸骨稜部、大転子部、腓骨頭部、内・外踝部

座位(車椅子の使用時など)で生じる部位
尾骨部、坐骨部


褥瘡は、やむを得ない発生事例もあるとはいえ、予防の余地の大きい疾患である。
褥瘡のケアの基本は、除・減圧(支持面の調整と体位変換)、皮膚面の保湿と保清(清潔)、栄養管理が主体となる。入浴(不能な場合はせめて足浴)は創の有無を問わずおおいに推奨される。また、水出納の管理(脱水予防)も含め、近時では管理栄養士の役割が飛躍的に重要となっている。他に重要な関連職種として、薬剤師、リハビリテーション療法士があげられる。

●体圧分散寝具を使用する。メディカルムートン(羊毛皮)・ウレタンフォーム(単独・複合)マット・エアマット(圧切換型・静止型)・ウォーターマット・高機能寝台(自動体位変換)などがある。
●定期的に十分な体位変換を行う。2時間ごとが基本とされるが、最近では上記の体圧分散寝具を使用した上で、4時間あるいはそれ以上の間隔で行なわれる場合もある。最近では褥瘡などの創傷治癒に特化した皮膚・排泄ケア認定看護師が活躍している。
炎症除去と皮膚局所の血行改善に努める。炎症除去にはステロイド外用剤が使われることもある。血行改善といっても、褥瘡部位の組織・血管は脆弱化していると考えねばならず、創局所のマッサージやドライヤー等による加熱・乾燥は禁忌である。
●表皮にびらん・潰瘍が生じた場合には、創の乾燥を防ぎ湿潤環境を保持する治療である湿潤療法(moist wound healing)が創治癒の基本である。この目的のためには、創傷被覆材による創面保護が一般的に第一選択である。ただし、感染や壊死組織がある場合にはその管理を優先させる。
●湿潤療法以外の治療としては、肉芽形成・上皮化促進のため外用剤が使用される。ただし同様に、感染や壊死組織がある場合はその治療を優先させる。
●水疱は疱蓋のむやみな破壊を避けるのが原則であるが、実際には臥床生活の中で自然に破壊されてしまうことがしばしばである。このため清潔に小孔を開け水疱液を排出(穿刺)することも考慮してよい。
●創はまず洗浄を定期的に(毎日)行なう必要がある。洗浄は、創周囲をむしろ主に、薬用石鹸等を使用して愛護的に行ない、生理食塩水や水道水などでよくすすぐようにする。

脳血管障害、脳血管疾患は、脳梗塞と脳出血、クモ膜下出血に代表される脳の病気の総称である。
他に、もやもや病、慢性硬膜下血腫等も脳血管障害に分類される。
脳血管障害のうち急激に発症したものは、脳血管発作または脳卒中と呼ばれる。

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脳梗塞、別名「脳軟化症」

脳に栄養を供給する動脈の閉塞、または狭窄のため、脳虚血を来たし、脳組織が酸素、または栄養の不足のため壊死、または壊死に近い状態になる事をいう。
また、それによる諸症状も脳梗塞と呼ばれる事がある。

なかでも、症状が激烈で(片麻痺、意識障害、失語など)突然に発症したものは、他の原因によるものも含め、一般に脳卒中と呼ばれる。
それに対して、緩徐に進行して認知症(脳血管性認知症)などの形をとるものもある。
日本においては患者数約150万人であり毎年約50万人発症とされている。
寝たきりの約3割、全医療費の1割を用いている。
日本人の死亡原因の中でも多くを占めている高頻度な疾患である上、後遺症を残して介護が必要となることが多く福祉の面でも大きな課題を伴う疾患である。

「脳軟化症」の名の由来は、脳細胞は壊死すると溶けてしまうこと(「融解壊死」)から。

脳梗塞は、血管が閉塞する機序によって血栓性・塞栓性・血行力学性の3種類に分類される。

■アテローム血栓性脳梗塞
動脈硬化によって動脈壁に沈着したアテローム(粥腫)のため動脈内腔が狭小化し、十分な脳血流を保てなくなったもの。
また、アテロームが動脈壁からはがれ落ちて末梢に詰まったものもアテローム血栓性に分類される。
アテロームは徐々に成長して血流障害を起こすことから、その経過の中で側副血行路が成長するなどある程度代償が可能で、壊死範囲はそれほど大きくならない傾向がある。
また、脳梗塞発症以前から壊死に至らない程度の脳虚血症状(一過性脳虚血発作)を起こすことが多く、この症状への対処が脳梗塞の予防において重要である。

※アテローム … 脂質(コレステロールや中性脂肪)、カルシウムや様々な線維性結合組織を含んだ細胞(ほとんどマクロファージ)や細胞の死骸から構成された動脈血管内での蓄積物であり固まりである。
心臓や動脈で問題になるアテロームは、通常、粥腫である。
アテロームは、不健康な状態であるが、ほとんどの人で見つかっている。

※粥腫 … じゅくしゅ。
コレステロールエステルを大量に含んだ脂質の塊。
粥腫は血管の内側の膜(内膜)に蓄積し、隆起している。
粥腫の内側にはコレステロールなどの脂質のほか、リンパ球やマクロファージなども浸潤しており、外側は膠原線維や弾性線維などによって覆われ、さらに外部を内皮で包まれ血液と接している。
動脈硬化のなかでも粥腫によって引き起こされるものを粥状硬化と呼び、粥状硬化によって生じた循環障害を粥状硬化症と呼ぶ。
粥腫のことをアテローム、プラークと呼ぶこともある。

※マクロファージ … 白血球の1つ。免疫システムの一部をになうアメーバ状の細胞で、生体内に侵入した細菌、ウイルス、または死んだ細胞を捕食し消化する。
また抗原提示を行い、B細胞による抗体の作成に貢献する。
別名大食細胞、貪食細胞。

■塞栓性(脳塞栓症)
脳血管の病変ではなく、より上流から流れてきた血栓(栓子)が詰まることで起こる脳虚血。
それまで健常だった血流が突然閉塞するため、壊死範囲はより大きく、症状はより激烈になる傾向がある。
また塞栓は複数生じることがあるので、病巣が多発することもよくある。
原因として最も多いのは心臓で生成する血栓であり、不整脈(心房細動)に起因する心原性脳塞栓が多い。
非弁膜症性心房細動が全体の約半数を示し、その他に急性心筋梗塞、心室瘤、リウマチ性心疾患、人工弁、心筋症、洞不全症候群、感染性心内膜炎、非細菌性血栓性心内膜炎、心臓腫瘍などが含まれる。
このほか、ちぎれた腫瘍が流れてきて詰まる腫瘍塞栓や脂肪塞栓・空気塞栓などもこれに含まれるが、稀な原因である。

■ラクナ梗塞
ラクナ梗塞は本来、直径1.5cm以下の小さな梗塞を意味する。
ラクナ梗塞は上記の2種類とは違った機序が関わっているとみられていることから、それ自体がひとつの分類となっている。
主に中大脳動脈や後大脳動脈の穿通枝が硝子変性を起こして閉塞するという機序による。
ただし中大脳動脈穿通枝のうち、レンズ核線状体動脈の閉塞では、線状体内包梗塞と呼ばれる径20mm以上の梗塞となることがあり、片麻痺や感覚麻痺・同名半盲などの症状が現れることもある。
後大脳動脈穿通枝の梗塞では、ウェーバー症候群やベネディクト症候群(赤核症候群)を起こすことがある。
リスクファクターは高血圧。
症状は片麻痺や構音障害などであるが、軽度または限定されたものであることが多く、まったく無症状であることも多い。
多発性脳梗塞とよばれるもののほとんどはこのラクナ梗塞の多発であり、多発することで認知症・パーキンソニズム(脳血管性パーキンソン症候群)の原因となることがある。

1.片麻痺、感覚障害なし … 対側の放線冠、内包後脚、橋底部
2.半側の異常感覚や感覚障害 … 対側の視床(後腹側核)
3.一側下肢に強い不全片麻痺と小脳失調 … 対側の橋底部、内包後脚、放線冠
4.構音障害と一側の巧緻運動障害 … 対側の橋底部、内包後脚、放線冠
5.半側の感覚障害と同側の片麻痺 … 視床から内包後脚


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※硝子変性 … 病理学的に、変性とは、退行性病変に含まれ、生体の機能の減退とか機能の異常とかに基づいて、細胞・組織内に生理的にはまったく存在しない物質、あるいは生理的に存在する物質でも、正常とは異なった場所、ないし異常な量として認められる状態を意味している。
変性はこれらの物質の種類によって、タンパク質変性、脂肪変性、グリコーゲン変性、カルシウム(石灰)変性、結晶体変性、色素変性に分類され、硝子質変性はタンパク質変性の一種である。
タンパク質変性は種々な状態で、多くの疾患あるいは病態におけるさまざまな細胞・組織に認められ、それぞれの特徴によって、顆粒(かりゅう)変性、空胞変性、粘液変性、膠様(こうよう)変性、硝子質変性、類デンプン(アミロイド)変性、類線維素(フィブリノイド)変性、角質変性などと表現されている。
硝子質はヒアリンhyalineという一種のタンパク体で、均質かつ無構造であるため、組織標本の染色としてもっともしばしば用いられる酸性色素であるエオジンで淡赤色に染まり、その状態が不透明な「曇りガラス」に似ているのでこの名称がつけられている。
一般に結合織のなかに出現するもので、血管壁、瘢痕(はんこん)組織、腫瘍(しゅよう)の間質などによく認められる。また、脾臓(ひぞう)、リンパ節などの網状組織に沿ってみられることもある。

◎原因不明の脳梗塞や上記3種類以外の脳梗塞は割愛。

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脳梗塞の症状は徐々に進行して増強してくるものから突然に完成するものまで千差万別である。
ただし、塞栓性のものは突然に完成することが多い。
発症時間で最も多いのが夜間から早朝にかけてである。
これは、就寝中には水分をとらないために脱水傾向になることと関わっている。
年間を通じては夏と冬に多い。
夏は脱水、冬は体を動かさなくなることが発症と関わっている。
とくに高齢者は夜間頻尿を恐れ水分を控える傾向が多く、発症率の増加の一因となっている。

気付かれる症状として最も多いのが麻痺である。
「体が傾いている」「立ち上がれなくなった」などの訴えで病院に搬送されてくることが多い。
逆に、失語のみなどの一見奇異な症状では脳梗塞だと気付かれず医療機関への受診が遅れることもある。