ある日、突如私に「ヘッドハンティング ○○(会社名)」と書かれたメールが!?
で、開けてみると
今回は、ヘッドハンティングのお話として、yori様に折り入ってご相談がありご連絡をさせて頂きました。
今回○○市で日本語学校を新規開業目指している会社がございます。
わぉ!びっくり!
なんで私?
私の事、どうやって知ったの?
私のメルアド誰から聞いたの?
ちょっと怖い。
でも考えてみたら、私、いろんな転職サイトに、以前からちょこちょこ応募してたので、そこからきたのか、と思ったら、不思議でもなんでもないわけで。
とにかく会ってみることに。
いや、別に今の学校に不満がありすぎて、耐えられない!今すぐにでも辞めたい!というわけではないです。
でも、条件がいいところ、私の希望を今よりももっと叶えてくれるところがあれば、当然移ってもいいと思っています。
確かに経営者には拾ってもらった恩はありますが、情をもって「従業員はみんな家族」とか言われて仕事していても、最後はひどい切られ方をすることもあるんだと前任校で学んだので、こういう雇用関係のようなものは、上に雇われるときは情は持たず、下を雇うときは情を持ってもらえるように、というのが、今の私の考えです。
で、ヘッドハンティングの話に戻りますが。
何事も勉強!と会いに行くことにしました。
どんな会社が日本語学校を作ろうとしているのか。
どんな人が私を、どういう理由で欲しがっているのか。
そして、某ヘッドハンティング会社の某事務所へ。
仕事が終わって夜8時という遅めの時間を指定しても、快く承諾してくださいました。
担当者の方は、堅苦しさを感じさせない、穏やかな話口調の方。
慣れておられるんでしょうかね。相手を緊張させない話し方。
私の希望は金ではありません。
もちろん大幅ダウンは困りますが。
最初から大きく望んでも、会社が零細のうちは無理というもの。
それより、学校(企業)を大きくする気持ちがあるか、大きくする戦略を持っているか。
こっちのほうが大事です。
何より、一番重要視しているのが、「何のための学校か」ということ。
つまり「教育理念」。
昨今は、教育産業を立ち上げるくせに、「何のために学校を作るのか」は考えずに、留学生がらみで携帯電話でも寮でも学校でも、儲かるならなんでもいい、と考えてるうちに、結果、学校を新設することになった会社も多いようですな。
で、私もこの方に聞いてみた。
「どんな学校を作りたいんですか?どんな教育を?何のために?ただ日本語を教えるだけの学校なら、国にもあると思うんですが・・。」
すると、「あ、つまり教育理念ですね。そういうこともね、何にもわかってないんですよ。全く。何も決まってない。だからそういうことも含めて、全部先生に決めて頂ければ・・。」
というお答えが。
で、1時間ぐらいいろいろお話を伺いましたが・・・。
結局私の予想通り!
私がハンティングされたのは、実力を買われたわけでもなんでもなく、単に教務主任になる資格である、専任講師3年以上の経験があって、開校予定の○○市の近くに住んでいたから。
これだけ。
はははははははっはははははは。
なんか、このお粗末具合に、笑いさえ出てくる。
まぁ、私になんの実力があるわけではないし、
たとえ、なんかの実力があったとしても、この業界にだれかそれを気にする人とか、実力を必要としている人とかが、いるわけでもないし。
だから、我々が通常考えている、本当のヘッドハンティングが行われるわけがないのです。
例えば同じ教育産業でも、塾講師とかだと、徹底的に実績と実力を調べられ、支度金を積んでハンティングされるとか、聞いたことがあります。
そりゃ、TVに出ている「今でしょ!」の林先生とか、もしあんな大物を引き抜けたら、それこそ学生もごそっとGetできることでしょう。
支度金ぐらい、安いもんですわな。
聞くところによると、1千万ぐらいの支度金もあり得ると。
そんな金持ってるの、塾業界だからじゃない?
日本語学校は、みんなもっと貧乏なんで、
交通費出りゃ、いいほうじゃない?(笑)
同じ教育産業でも、日本語学校業界はこの競争の原理が働かない。
つまり・・・。
経営の実力のある学校経営者が、
金を積んでいい教師を集め、
ガンガン指導して実績を出し、
その実績を見た「この学校に入学したい!」と思った学生を集め、
さらに高い実績を出す。
そして、実績が出せる学校と、
そうでない学校が差別化され、
そうでない学校は、いつしか淘汰される。潰れる。消える。
という、この競争の原理。
ただし、この場合の「実績」とは、東大〇人、早大〇人、という実績ではありません。どんなに出来の悪い学生でも、その学生のニーズにいかに応えられているか、いかにキャリア教育、キャリアメイクのための指導ができているか、という実績です。
でもこの「実績」、数値化できない・・・。
数値化できない「実績」。
だからこそ、実力があるかないか、学校間での比較も難しい。
対して塾業界は、いくら老舗であっても、かつて隆盛を極めた時代があったとしても、新手の学校に淘汰されていく、下剋上の世界。
皆さんご存知の通り、両●予備校、代●●ゼミナールの件など、塾業界なら、当たり前のように起こっていることです。
日本語学校業界はこういった競争がほとんどありませんから、教育なんかやったことないど素人でも、人を育てるということがどういうことかわかってない、金だけは持っているただの成金でも、
学生を(誇大広告だろうが、「稼げるよ」詐欺だろうが)国から集めて、日本に引っ張ってくる能力と、
日本語教師(という資格を持っているだけで、今の時代、実力とか人間性とかほぼ関係なく、この安い給料で来てくれる人)の頭数を集められる能力があれば、
学校(教室崩壊していようが、学生がほとんど寝ていようが、人身売買さながら、学生のビザがつながればOKというレベルの進学指導しかできなかろうが)が作れます。
で、結局このヘッドハンティング騒ぎですが、
突っ込みどころ満載だったので、1時間以上突っ込ませていただいたところ、某会社の方から、
「いや~この学校じゃなくて、先生にもっとふさわしい学校をご用意しますんで。来週ご連絡させて頂きます。」
ということで、終わりました。
そしてそれから2週間近く経ちましたが、何の連絡もありません(笑)。
教育の質にもっとこの業界の人々が執着するようになれば、
もしかしたらいつの日か本当に高い支度金とか高待遇とかとともに、
実力のある日本語教師がヘッドハンティングされるとか、
日本語教師をヘッドハンティングする仲介業者がたくさん出てきて、
しのぎを削って各社競争で業界の中をリサーチして、
人材の確保に奔走するとか、
ってことが起こってくるかもしれません。
そして、日本は世界各国から、
日本は留学生のために、
いい日本語教師が競争で育てられていて、
留学すると望みの結果が出る、
チャンスをたくさんもらえる、
留学大国である!と認知される。
そんな時代が来るかもしれません。
まあ、これは私の、たぶん叶わない夢です。
ところであなたは、この業界にどんな夢を持っていますか?