
麺王 「お、もう昼か」
「今日はカレーうどんにでもしようかな」
ユリア 「ちょっと、待って!」

ユリア 「あんたはコレを食べなさい」
麺王 「こ、これは・・・」
ユリア 「何よ! あたしのチョコが食えないって言うのか?」
麺王 「おまえはパワハラオヤジか!」
ユリア 「いつもの焼きそばみたいに、ちゃんと野菜も入れて炒めるのよ!」
麺王 「う、うん・・・」

麺王 「というわけで、完成」
ユリア 「あら、一見、普通のソース焼きそばね」
麺王 「甘ったるい香りが無ければな」
ユリア 「どう? 美味しい?」
麺王 「美味しくはないが、食えないことも無い」
「前回のショートケーキ味に比べたら、全然マシだな」
ユリア 「なんだ、つまんないわね」
麺王 「麺の塩気が救いだな」
「醤油を少しかけたら、けっこうイケるかもしれん」
ユリア 「あっさり、完食しちゃったわね」
麺王 「ああ、無性にカレーうどんが恋しくなったけどな」

ユリア 「ねえ、最近またイジメの話がチラホラあるわね」
麺王 「そうだな」
ユリア 「いい加減、何とかならないものなのかしら・・・」

麺王 「フッ、そこでだ!」
「イジメを無くす画期的なビジネスを思い付いた!」
ユリア 「?」

麺王 「名付けて、イジメ・ネゴシエーター!」
ユリア 「ネゴって、加害書と交渉するの?」
麺王 「ああ、その通りだ」
ユリア 「でも、親や教師にチクったら、余計イジメられるんじゃないの?」
麺王 「それは、親や教師じゃ抑止力にならないからだ」
ユリア 「ネゴシエーターは抑止効果があるのか?」

麺王 「ビジネスは信用第一だからな」
「二度とクライアントをイジメないように、絶対的な圧力をかけるのだ」
ユリア 「なんか、とっても非合法な匂いがしてきたんだけど・・・」
麺王 「いや、あくまで言葉による交渉だ」
「裏切らない限りはな・・・」
ユリア 「それって、スキンヘッドとパンチのオッサンで
取り囲んで交渉したりするんだろ?」
取り囲んで交渉したりするんだろ?」
麺王 「な、なぜ、それを?」
ユリア 「それで、これ以上○○君をイジメたら、
一生付きまとうぞ!とか言うんだろ」
一生付きまとうぞ!とか言うんだろ」

麺王 「な、なぜ、我が社の企業秘密を・・・」
ユリア 「何が新しいビジネスよ!」
「ヤクザ屋さんの王道じゃねぇか!」
麺王 「え? そうなの? ヤーさんって賢いな」
ユリア 「みかじめ的なのは、おそらく中世からあったと思うわよ」
麺王 「いや、でも、第三者が介入するっていうのは、
トラブル解決の常套手段じゃないか」
トラブル解決の常套手段じゃないか」
ユリア 「公平、公正ならね」
「クライアントが可愛い女子高生とかだったら、贔屓するだろ、あんた」

麺王 「う~む、確かに」
「ボールぶつけたりしたら、北斗百烈拳をくらわしてやる!」
ユリア 「いや、今時の高校生がボールぶつけるようなイジメしないから」
麺王 「え? バレーボールぶつけたり、
スカートめくったりするんじゃあないのか?」
スカートめくったりするんじゃあないのか?」
ユリア 「森田健作時代の話だろ、それ」
「河原で喧嘩したらマブダチになれた時代だ」
麺王 「じゃあ、今の流行りは何?」
ユリア 「よく知らないけど、ラインで悪口を言うとか、
みんなでシカトするとか・・・」
みんなでシカトするとか・・・」
麺王 「それは辛いのか?」
「別に、気にしなきゃ良いんじゃ・・・」
ユリア 「あんたには分からないのよ」
「10代の乙女なんて、最も遠い存在だろ」
「もはや、生き物としてのカテゴリーが違うわ」
麺王 「まあ、否定はしないが・・・」
「ならば、逆に、オッサンのメンタルを持てば良いんじゃないか?」
「ガラケー持って、ラインなんて知りませんって」
ユリア 「いや、その時点で、仲間はずれになってるわよ、それ」

麺王 「そもそも、仲間はずれになるのは、本人に魅力が無いからだろ!」
「自然にツレが寄ってくるような
魅力ある人間になれるよう、己を磨けばいいのだ!」
魅力ある人間になれるよう、己を磨けばいいのだ!」
ユリア 「うっ、正論ね」
「さっきまで、ヤクザ商法を自慢げに話してたとは思えないわね」
麺王 「何とでも言うがいい」
「結果が良ければ何でもいいのだ」
「本人が変えようとしないと、何も変わらんからな」

ユリア 「なんか釈然としないけど、そういう事にしておいてあげるわ」