(妊娠中に書いた文章です）
大きいお腹とも、あと1５日でお別れ。
臨月に入り、より一層大きくなったお腹。仰向けで寝るのも苦しくて、食事をしても内臓が圧迫されて苦しくて、とにかく苦しい。へそが飛び出るぐらいお腹が大きい。
2度目の臨月なのだけれど、こんなにも違うの？というぐらいお腹の出かたから、体調まで全然違う。1人目とは性別も違うからなのかもしれないけれど。まぁ、とにかく身体が言うことをきかなくて苦しい。
だけど、不思議なもので、この苦しい大きなお腹とさよならするのがさみしい一面もある。
トツキトウカ、一緒にいて、四六時中守ってきた。ときには、愛でるようにお腹をなでてきた。すると、苦しくて仕方ないはずのこのお腹が愛おしく思えてくる（トツキトウカを超えるのはさすがにしんどいと思うけど）
お腹が大きくなってくると、公共の場所を歩いていてもやはり目立つ。通りすぎるひとにまじまじと見られることもあったし、マンションのお掃除を担当してくれている女性からは「まだ生まれてもいないのに、その大きなお腹が可愛くて仕方ない！」と何度も言ってもらい、ゴミ捨てに行けばわたしの手からすぐにゴミを受け取り「重たいものは持っちゃダメよ！」と、優しい言葉をかけてくれた。優しくしてもらえることは、少しくすぐったいけれどでも素直にうれしい。
電車に乗っても、やはり目立つ。
妊娠してますキーホルダーをバッグに付けていたせいもあって、何度も席を譲ってもらった。中には、チラッとお腹の大きなわたしを見て寝たふりをする人もいたけれど、「そんなこともあるよね」と、逆に人間観察をさせてもらった。
別に、妊娠しているんだから席を譲りなさいよ！とは思っていないので寝たふりされても大して何も思わないけれど、一緒にいたムスメがその寝たふりをする大人の姿を見て「ダサい」と言っていた。そっか、ダサいのか。子どもの目にはそう映るのか。と、また気付かされた。
それでも、寝たふりをする人は少なくて、席を譲ってくれる親切な人にたくさん出会った。
席を譲るって、結構勇気がいるとおもう。
譲っても、断られたらどうしよう。とか、妊婦さんが遠いところにいたら目の前で立っている人が席に座ってしまうんじゃないか？とか、リスクがある。
それなのに、「どうぞ」「すみません気付かなくて！座ってください！」なんて声をかけてくれることはありがたい。お年寄りや怪我をされている方に席を譲ることも同じだ。「次降りますから」「いや、大丈夫です」と断られたときのことを考えたり、そもそもお年を召しているとは言え元気そうなのに席を譲るなんて失礼なことだろうか、なんて考えていたら行動はできない。だからわたしは、譲ってもらったときはたとえ次で降りるとしても断らず、譲ってくれた方にはありがたく座らせてもらった。
旦那さんに、そんな話をしてみたら以外な答えが返ってきた。「俺は、断られたらどうしようって昔は思っていたけれど今は断られて、電車の中で恥ずかしい思いをしたとしても、とりあえず席は譲ることに決めている」
要は、いっときの恥を恐れない、ということだった。もちろん、お年を召しているかたに失礼なことを言うのは避けたいところだが、すごく勇気があるな、と感じた。
わたしが妊娠前、電車に乗っていたとき遠くに妊婦さんがいても「遠いし…」と躊躇して、席を譲れないこともあった。本当は、面倒だったり、わたしだって疲れているし、という気持ちもあった。そんなことを思い出すと席を譲ってもらえることに感謝の気持ちしかわかない。
色々考えて、石橋を叩きすぎていると勇気をだすのもひと苦労。それならば、むずかしいことは考えずに、ただ勇気をだすことが一歩踏み出せるきっかけなんだな、と自分が12年ぶりに妊娠して体感した。
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