ふんわり行きましょ第25回
(ひまわり64号@2003年8月)
*** 女装のテクニック ***
考えてみたら、このエッセイで女装のためのテクニックは2回書いたことがあるけど(第12回/第20回)メイクのお話は一度もしたことがないんですよね。
私の知ってるかぎりで女装者向けにメイクやテクニックが親切にくわしく書かれてあるのはふたつ=鳥原優子さんの『ゆうりんの独善的女装講座』と(*1)柴野まりえさんの(前橋梨乃/立石洋一)『How To 女装エッセイ』(*1)だと思います。他にもあったら教えていただけると嬉しいです。
(*1)どちらもサイトがなくなりました。
鳥原さんの講座は『初心者向け』と本人が言ってるけど、それだけに、下着のそろえ方、メイクの基本から危機管理までホント至れりつくせり。初心者だけじゃなく、この道何十年(笑)という人たちにも絶対役に立つことが多いと思います。
柴野さんのエッセイのほうは『イヌ:ジェンダーは記号である』から始まって、ちょっと理屈っぽいところもあるけど、でも、なーるほど!とうなずくところがいっぱい。
子供は、そして大人は、どうしてイヌを『イヌ』と思うの? どうして男性と女性を見分けてるの? メイクでも服でも写真の撮り方でも、記号(見分けるカギ)をうまく使えば勝ちというワケ。そうは言ってもなかなかうまくは使えませんけどね。
ついでに紹介しておくと、前橋(柴野)さんの小説サイトサンデーナイト・リムーバーにはエッセイ『トランスベスティズムについて』もアップされています(*2)。人間は汎用コンピュータにたとえるとわかりやすい、なんてお話を読むとついつい納得させられちゃう。
(*2)サイトが変わり、エッセイはなくなりました。
私のお話は、自己流で始めてリードされて(バレて)落ち込んだりしながら、少しずつ気がついて工夫してきたことの思いつくまま。何かが誰かの工夫のヒントになれば、少しでも役に立てば嬉しいです、というくらいの軽い気持ち。
*** メイクを始めた頃 ***
前にも言いましたけど(第5回)うちのお母さんはメイクを全然しないひとだし、私にはお姉さんがいないから、お手本がありませんでした。小学生の時に(家族が留守の時に)油のまわった口紅とか、半分固まったリキッドファンデーションを使ってまねごとをしてみたけど、そんなのうまくいくわけないですよね。がっかりもいいとこ。
どんな化粧品をそろえたらいいのかわからないし、メイクの本を買う勇気もなかったから結局そのままで、はじめてのメイクらしいメイクは阿倍野の唄子です(第7回)
でも、ドーランを使った舞台化粧は暗いところでは映えるけど、お昼は不自然な感じです。私はやっぱりお昼に出歩けるふつうの女性になりたいという思いが強かったから ・・・
・・・ で、はじめは阿倍野の化粧品屋さんで顔から火の出る思いをしながらウソを言って(でも、わかってたんでしょうね)そして、東淀川区のアパートでひとり暮らしを始めた後は近くのお店で正直に言って教えてもらいながら、いろいろと買いそろえていきました。
ここから先はメイクの手順にしたがってお話しするほうがいいみたい ・・・ と言っても、ここまでで紙面を半分以上使ったので、今回はふきとり用のローションだけで終わっちゃいそう。ごめんなさい。のんびり行くことにしますね。
*** 私のメイク ***
せっけんで顔を洗ってもすみずみにはけっこう汚れが残っているもの。化粧用コットン(コンビニでも売ってます)にふきとり用ローションをたっぷりつけて、とくに小鼻のふちとか、まぶたとか、汚れや脂がたまりそうなところをふきとります。
おでこや、あごや首すじもきちんとふいてくださいね。あとでお話しますけど、首すじにもファンデーションを使うほうが顔と首の色が違わなくて自然です。
ローションは高いものを使わなくていいと思います。化粧品で値段によって違いを感じるのはメイクアップベースやファンデーションやパウダーです。ふきとり用ローションはカネボウのソワドレーヌのフェイシャルフレッシュナー(1,000円)。ぜいたくに使っても半年はあります。週1回として30回分くらいかな。
*** 今回の写真(首筋のファンデ) ***
写真はどちらも3年前の夏のものです。薄いオレンジのジャケットのほうはスナックセブンで、青地の浴衣はトークのお店で撮ってもらいました。
浴衣を着せてくださったのは舞妓さん体験(第16回)でお世話になったSさん。浴衣ってポリエステルのワンピースなんかよりずっと涼しくてびっくり。舞妓さんも浴衣も1回だけですが、Sさんには本当に感謝しています。
ジャケットも浴衣も首すじにファンデを使っていません。ストロボがばっちり当たると顔と首すじの色の違いが目立ち(ジャケット@セブン)当たりが悪いと目立たない(浴衣@トークばら)ことがよくわかると思います。
ファンデは肌の色に近いのを使ってるから(私は色白ではありません)お昼は違いがあまり目立ちません。でも、肌の色より白いファンデを使うとお昼でもしっかり目立ってしまいます。
今は首の上半分までファンデを使うようになったけど、そのうち鏡や写真を見て《あ、やりすぎ!》と気がついたらまた工夫するでしょうね。そのくりかえしです(*3)
(*3)2006年のメイクを特番(18)に書きました。今(2022年)のメイクのことも書き添えています。
(2003年7月20日)
*** リンク ***
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