人知れず咲く、サボテンの花は
困難な状況にも耐え忍び、愛や、感情を長続きさせる、力強さや、忍耐力を象徴する花言葉で、唯一ボクサーに似合う花。である。
これは、横浜さくらボクシングジムのサボテンの花達の物語である。」
会長がパンチングボールを打っている。
琢磨が、会長からパンチングボールの叩き方を指導されていた。
1、2、3のリズムを刻んで打つ。
徐々にテンポアップすれば、早く打てる。
片手打ち、両手打ち、返し打ち、
なかなかうまくいかないがそれでも、スローなら少し打てる様になった。
ジムのかえり、琢磨は純喫茶「メイト」で1人、コーヒーをブラックで飲んでいた。彼女との待ち合わせにはこの店を利用している。
ハワイ旅行で飲んだコナコーヒーの味が好きで「メイト」では、いつもコナコーヒーを頼んだ。
周りの席は、近くに進学塾があるせいか、若者のグループか、恋人同士のカップルで、幸せそうに、嬉しそうに、楽しそうに会話に花咲いて居た。
待ち合わせ時間に、ぼんやりと今か今かと1時間がすぎたが、彼女は現れなかった。
琢磨が席を立ちPayPayで会計を済ませて出て行ったテーブルに、
空になったコーヒーカップと、数字が書かれた丸い形のコースターが置かれていた。
コースターには「3月21日から10月13日まで205日」そして、「さようなら」と書いてあった。
数字は、春から秋まで、琢磨が彼女と付き合っていた日数だった。