サボテンの花、第9話(2枚の写真) | 横浜さくらボクシングジムのブログ

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横浜さくらボクシングジム 会長 平野敏夫 によるブログです。
ジムでの出来事、ボクシングのこと、その他ジャンルを問わず綴っていきます。

「人知れず咲く、サボテンの花は困難な状況にも耐え忍び、愛や、感情を

長続きさせる力強さや、忍耐力を象徴する花言葉で、唯一ボクサーに似合う花である。

これは、横浜さくらボクシングジムのサボテンの花達の物語である。」

 

会長は新人のボクシング指導をしていた。

電話が鳴った。

古株の会員が気をきかして電話に出た

「横浜さくらボクシングジムです。」

「会長、誠から電話です。」

 

誠は会長に電話をした。

「今日体調が悪いので練習休みます。」

「どうした?風邪でもひいたか」

「はい、熱があるようです。」

とっさにでた休む口実である。

「インフルエンザが流行ってるぞ。37度あればすぐ医者に行って診てもらう事だな」

「はい、わかりました」

と言って電話を切った。

 

誠は部屋で、別れた彼女の写真を見ていた。

試合が決まっていたがジムに行ってもトレーニングに身が入らない気がした。

Vサインをした彼女の笑顔が、過ぎ去った日々の喜怒哀楽、いろいろな思い出を語ってきた。

一緒にいればいろんなものが見えてくる。

離れて過ごして見ると

そんなこと全てが愛おしく思えてきた。

 

意を決して彼女に電話をした。

 

もう一度一緒に暮らさないか,

身勝手な思いを彼女は受け入れてくれるだろうか。

 

彼女のテーブルの上に置かれた、写真立ての中には、誠のファイティングポーズの写真を入れてあった。

そばに置かれていたiPhoneから、アンフォールドの呼び出し音が悲しい音色で流れ続けていた。

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やがて虚しく呼び出し音は止まった。