横浜さくらボクシングジムのブログ

横浜さくらボクシングジムのブログ

横浜さくらボクシングジム 会長 平野敏夫 によるブログです。
ジムでの出来事、ボクシングのこと、その他ジャンルを問わず綴っていきます。

人知れず咲く、サボテンの花は

困難な状況にも耐え忍び、愛や、感情を長続きさせる、力強さや、忍耐力を象徴する花言葉で、唯一ボクサーに似合う花。である。

これは、横浜さくらボクシングジムのサボテンの花達の物語である。」

 

会長が珍しくリングサイドで縄跳びをしている。

幸太はリングのなかでシャドーをしていた。

幸太は高校生の時ボクシングを始めた。

卒業して、プロになりたいと、上京してこのジムに席を置いた。

アマチュアでリングに上がっていた事もありスムーズにプロになれた。

そして

故郷を振り返る余裕も出来た。

 

故郷には小高い山があり落葉樹は秋に紅葉に色付き、春には新緑が山を甦らせた。

春の小川にはメダカが群れて陽光を楽しんだ。

春の田畑はピンクのれんげ草に埋まり、ツバメが飛来する初夏には田植えが終わり緑の海原に変わる。

季節はやがて秋の訪れに緑の海原は黄金色した稲穂の絨毯に変わる。

寒い冬空には、満天に星が輝き悠久の時の流れを演じていた。

 

そんな故郷が俺を育てくれた。あの頃の思い出、彼女との思い出、忘れるものか、大好きだよと言って来れば良かった、こころ残りであった。

あの娘と、故郷への想いが、幸太にホームシックを増幅させていた。

 

そして万年床の布団の上で、幸太は深い眠りに落ちた。

人知れず咲く、サボテンの花は

困難な状況にも耐え忍び、愛や、感情を長続きさせる、力強さや、忍耐力を象徴する花言葉で、唯一ボクサーに似合う花。である。

これは、横浜さくらボクシングジムのサボテンの花達の物語である。」

 

メグミは会長にミットをお願いして、定番の連続打ち、ワンセット1分30秒以上もある、ハードなミット打ちのトレーニングをしていた。

汗をリングに撒き散らしながら必死にミットめがけてパンチを打ち込んでいる。

 

メグミは、私は、こんなものでは終わらない、と。

ハードなミット打ちに耐える事で何かが生まれる。と根拠の無い自信がメグミのトレーニングを支えていた。

そんな直向(ひたむき)さが周りに伝わって来る。そんな彼女に一目置いて居るジム仲間も多かった。

 

金曜日の、スパーリングデーでの出来事、

その日はスパーリングができるレベルの会員は、それぞれのレベルに合わせて、パートナーを組んでスパーをする。

 

この日メグミは自分の思うスパークリングが出来なかったと、気の強さをあらわにしていた。

試合であれば負けていたであろうスパーリングの内容に自分自身が納得出来なかった。

洗面所の鏡の中に、

メグミのくやし涙した顔があった。

 

突然、後ろから一般会員の山内の顔が映り込んできた。

そしてボソリと言った。

「君のこと好きな理由が多すぎて、どのように並べてあなたに説明をしていいのか今はわからない。」

 

山内はメグミの様に強くも無いし、体力も多分メンタルな部分においても劣っているであろう、

だから彼女の様に心身ともに強い者に憧れてジムでトレーニングしてる。山内はそんな会員の1人でいた。

 

メグミに想いを寄せている山内はメグミと同じ鏡の中で恋の思いを告白した。

人知れず咲く、サボテンの花は

困難な状況にも耐え忍び、愛や、感情を長続きさせる、力強さや、忍耐力を象徴する花言葉で、唯一ボクサーに似合う花。である。

これは、横浜さくらボクシングジムのサボテンの花達の物語である。」

 

時間が来て最後の会員がのいなくなったジム。

シャッターは下ろしたが、まだ電気はついている。

会長は事務所で「ひとり酒」、京都の友人からの頂き物、琥珀色したなかなか手に入らなくなった山崎のウイスキーを、飲んでいた。

 

会長は、ボクシングジムをやってて良かった。ボクシング冥利に尽きるとウイスキーグラスを手にして、ボクサー悟(サトル)の人生を振り返りかえっていた。

 

悟は、高校を卒業すると、上京して建築現場で仕事をしながら、ボクシングを始めた。

持ち前のファイターは、ボクシングに居場所を見つけた。

仕事が忙しくても他に妥協しないハードな生活とトレーニングに耐えた。

その結果は、順調に勝利に繋がり全日本新人王の栄冠に輝いた。

 

その後A級ボクサーとして活躍した後故郷に帰り、こちらでの経験を生かして会社を立ち上げた。

そして当初よりボクシングを応援してくれていた彼女と結婚して2人の子供をもうけた。

 

この間

裸一貫からのスタートに借金を抱える苦しい時期もあったと聞いた。

昼夜の仕事に

わしは、「無理をするなよ、体を壊したら元も子もないぞ、」と注意を促したが、

悟は一言、「ありがとう御座います。でもボクシングに比べればなんでもないですから」と答え、苦しい時期を難なく乗り越えた。

時は流れやがて授かった2人の子供は成人して悟をサポートし会社は順調に運営されている。

 

今夜、悟から連絡が来た。

会長「孫が産まれました。」電話の向こうの、悟の弾んだ声は、とても嬉しそうだった。

 

悟の連絡にハッピーな気分になって、1人、ウイスキーグラスに酒を注いで祝杯を口にした。

気持ちの良い、ほろ酔い気分の「ひとり酒」に、誰も居ないジムの電気の灯を落とした。

人知れず咲く、サボテンの花は

困難な状況にも耐え忍び、愛や、感情を長続きさせる、力強さや、忍耐力を象徴する花言葉で、唯一ボクサーに似合う花。である。

これは、横浜さくらボクシングジムのサボテンの花達の物語である。」

 

マモルと結菜が、リングでマスボクシングをしていた。

会長は、リングのコーナーにたちマスボクシングの指導をしている。

 

何時も一緒にジムに入り一緒に帰路に着く。マモルと結菜の関係は、ほぼ察しがつく。

 

「花屋の欄(ラン)です。」

「マモルさんいらっしゃいますか。」

花屋は大きな赤い薔薇の花束を抱えていた。

マモルはマスボクシングの手を休め「すいません。もう少しでこのラウンドが終わるので」と、待つ事を促した。

タイマーが鳴ると、

マモルは、グローブのままリングを降りて待たせて申し訳ないと、

礼を言って赤い薔薇の花束を受け取った。

 

マモルはそのままリングの中に戻り、リングサイドの会長に目線を送った後

彼女に「108本のバラがあります。受け取ってもらえますか。」

マモルは緊張した表情を見せていたが、その声はジムの雑音の中でも彼女にはっきり届いた。

 

結菜は、突然のことに一瞬躊躇したが、「はい」と頷いて大きな108本の薔薇の花束を抱くように受け取った。 

 

会長はこの時、108本の薔薇の花言葉が「結婚して下さい」である事を初めて知った。

 

マモルのプロポーズに、周りでトレーニングしていたジムの仲間から一斉に マモル「おめでとう」と歓声と拍手が湧き上がった。

彼女の眼からは大粒の涙が溢れたのをみたマモルは人目を憚る事なく、結菜と108本の薔薇の花を抱える様に

優しくハグをした。

 

「108本の赤い薔薇の花」大きな役割をおえて、安堵しているに違いない。

 

★ サボテンの花に登場する物語には幾つか実話が有りますが、この話も実話をモチーフにした物語です、お幸せに。

人知れず咲く、サボテンの花は

困難な状況にも耐え忍び、愛や、感情を長続きさせる、力強さや、忍耐力を象徴する花言葉で、唯一ボクサーに似合う花。である。

これは、横浜さくらボクシングジムのサボテンの花達の物語である。」

 

会長は来客中で話し込んでいた。

ジユンは窓越しに会釈をして、下に降りた。下に降りた所で「ジユン、何か用があるんか」と、会長の大きな声が追いかけて来た。いえ、練習が終わったので帰ります、と言ってジムを出た。

 

ジュンのボクシング仲間にカナちゃんがいた。

女子ボクサーで名前は白井香苗で、皆んなからは、カナちゃんと呼ばれていた。

兵庫県の芦屋生まれの芦屋育ち、上京して田園調布に住み有名私大で学生生活を過ごした。

芦屋は、「小説芦屋夫人」で関西の高級住宅地として有名になり、田園調布は東横線沿線で「田園調布に家から建つのギャグ」で知られる様になった、共に高級住宅地である。

 

お嬢様ボクサーは、大学を卒業してからボクシングに目覚めた。

スポーツはテニスをやってたそうで、俊敏な動きは持ち合わせていたが

傍目に見てもボクサーと結びつかない風貌で、前例のない経歴の、お嬢さんボクサーである。 

 

本来、お嬢様として育てられ、卒業後は、お嬢様らしい日常がセットされて居たはずである。

 

ジュンは、

カナちゃんが座ってバンテージを巻いて居る姿を見て、「女らしくないな」と、呟いた。

そう言えば最近カナちゃんの所作が男っぽく雑になった気がする。

 

女性アスリートは、他と競い合う日々のトレーニングや試合などの競技会に、らしさが徐々に失せていく要因があると思われる。

カナも練習に熱が入ると、それはより顕著に現れた。

 

そんなある日ジムの仲間が良く利用する駅ビル、シエルの中にあるドトール・コーヒーで

お茶を飲みながら、カナちゃんは、最近実家の父が女性らしくしなさいとしつこく言うのよと、ジユンに打ち明けた。

 

彼女の話を他所らごととして聞ながら

それがカナちゃんかもしれない。 

カナちゃんのボクシングに挑む一生懸命な姿が、人の心を打つのであろう。

そんなカナちゃんがジュンは好きなのかもしれない。と密かに思っていた。