「人知れず咲く、サボテンの花は
困難な状況にも耐え忍び、愛や、感情を長続きさせる、力強さや、忍耐力を象徴する花言葉で、唯一ボクサーに似合う花。である。これは、横浜さくらボクシングジムのサボテンの花達の物語である。」
会長が事務所で鼻めがねで専門誌のボクシングマガジンを見ていた。
リュウトは事務所のドアをノックした
会長、「どうぞー。」
リュウト「彼女が故郷の岡山に帰るので見送り に行って来ます。」
会長、「そうか帰るのか、よくリュウトの練習や試合を見に来てたのに、寂しくなるな」彼女との関係を見越した様な口ぶりで言った。
リュウト「はい、でもいつかはこんな日が来ると思ってましたから」
会長は、独り言の様に「岡山の桃は白桃だな美味しかった」
リュウト「会長、彼女は県北の津山で隣の県、鳥取の梨、20世紀が美味しいと言ってました。」
会長は「そうか、鳥取の梨も、うまかったな、ボクシングの試合では日本全国いろんなとこに行った」と懐かしそうに呟いた。
リュウト「待ち合わせの時間になりますから、行きます」会長の視線をあとに、ジムをでた。
待ち合わせの喫茶店ドルチェに彼女は、先に来て頬杖をついてぼんやりとしていた。
リュウトを見つけると笑顔を見せて姿勢を正した。
「会長に捕まって話してた。ごめん」
彼女は笑顔のまま「うん」とうなづいた。
「今日はお別れだからおれがおごる、
なんでも注文していいよ。」
彼女は
「お別れと言わないで」
リュウト「ごめん、お見送りだね」と言い直した。
「いつもの、カルボナーラがいい。」
注文をして
これからのこと、とりあえず実家に帰って少しゆっくりさせてもらってから考えようと思ってます。
そうかそれがいいな。とりあえずそうしたほうがいいよ。彼女は専門学校に行って介護職に就きたいと考えていた。
「リュウトの日常は今までと同じ朝起きてロードワークしてバイトしてジムに行って、くたくたに疲れて帰って寝てまた朝が来て、そんな日々だから心配しないで、うんわかってるリュウトの1日のスケジュールはほぼ頭に入ってるから、そして試合のリングに上がるんだね。」
「うん、時間だ。そろそろいかなきゃ」と促した。
電車が来た。
身体気をつけてね。頑張ってね。決まり決まった会話に、無情にも扉はしまった。
彼女は口パクでリュウトに言った。「大好き、いっぱい、愛してるね」リュウトは口パクを真似した後。ゆっくりと声を出して言ってみた。「大好き。いっぱい、愛してる」
彼女から初めて聞いた。
ホームには、そのまま電車が見えなくなるまで見送るリュウトが居た。