サボテンの花、第2話(別離の写真交換) | 横浜さくらボクシングジムのブログ

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横浜さくらボクシングジム 会長 平野敏夫 によるブログです。
ジムでの出来事、ボクシングのこと、その他ジャンルを問わず綴っていきます。

ジムでパンチングミットを持っている会長

 

「会長、出かけて来ます」

会長のミットが、タイマーがなって止まった。

インターバルになるタイミングを見てタケルが、声をかけた。

会長はタケルの様子を見て、「デートか?朝練があるから遅くなるなよ。」タケルは「はい、わかってます。」

会長のミットが再開するのを見届けてジムの外に出た。

 

タケルはいつもの待ち合わせ場所、鶴見川の辺りにある「喫茶ドミール」にいた。

タケルの座ってるテーブルに、少し大きめのバックを持った彼女が少し遅れてやって来た。

彼女は、開口一番「待たせてごめんなさい」と言った。

「俺も今来たばかりだから」と彼女をかばった。

彼女は、「青森に帰る事許してくれてありがとう。」それは2人の別れを告げるものだった。

タケルは「俺はまだこちらでボクシングやりたいし、まだ残してることあるから」

彼女は「分かってる」と寂しそうにうなづいて言った。

 

「ところでお願いした写真持って来てくれた」

タケルは気にっているファイテイングポーズの写真を取り出して彼女に渡した。

彼女もI枚の思い出の写真を取り出して渡した。「タケルと行った鎌倉、小雨の降る、紫陽花寺での写真だった」

タケルはもう1枚、試合に勝利した後レフリーに片腕を挙げてもらっている笑顔の写真を渡した。

彼女からは、おしゃれにした成人式の振袖の写真を貰った。

いずれの写真にもにも、2人で写った写真は無かった。

電車の時間まで少しあるからと、タケルは彼女の荷物を持って「出ようか」とうながした。

駅とは違う方向へ歩くタケル、彼女の戸惑いを無視してついた場所に写真ボックスがあった。

  

コインを入れると3枚の写真が撮れる。

 

最初に、顔を寄せ合う写真が出て来た。

暫くして2枚目に、つくり笑顔の写真が出て来た。

 

最後の写真には、タケルの側で彼女の涙する姿が写っていた。