ジムでパンチングミットを持っている会長
「会長、出かけて来ます」
会長のミットが、タイマーがなって止まった。
インターバルになるタイミングを見てタケルが、声をかけた。
会長はタケルの様子を見て、「デートか?朝練があるから遅くなるなよ。」タケルは「はい、わかってます。」
会長のミットが再開するのを見届けてジムの外に出た。
タケルはいつもの待ち合わせ場所、鶴見川の辺りにある「喫茶ドミール」にいた。
タケルの座ってるテーブルに、少し大きめのバックを持った彼女が少し遅れてやって来た。
彼女は、開口一番「待たせてごめんなさい」と言った。
「俺も今来たばかりだから」と彼女をかばった。
彼女は、「青森に帰る事許してくれてありがとう。」それは2人の別れを告げるものだった。
タケルは「俺はまだこちらでボクシングやりたいし、まだ残してることあるから」
彼女は「分かってる」と寂しそうにうなづいて言った。
「ところでお願いした写真持って来てくれた」
タケルは気にっているファイテイングポーズの写真を取り出して彼女に渡した。
彼女もI枚の思い出の写真を取り出して渡した。「タケルと行った鎌倉、小雨の降る、紫陽花寺での写真だった」
タケルはもう1枚、試合に勝利した後レフリーに片腕を挙げてもらっている笑顔の写真を渡した。
彼女からは、おしゃれにした成人式の振袖の写真を貰った。
いずれの写真にもにも、2人で写った写真は無かった。
電車の時間まで少しあるからと、タケルは彼女の荷物を持って「出ようか」とうながした。
駅とは違う方向へ歩くタケル、彼女の戸惑いを無視してついた場所に写真ボックスがあった。
コインを入れると3枚の写真が撮れる。
最初に、顔を寄せ合う写真が出て来た。
暫くして2枚目に、つくり笑顔の写真が出て来た。
最後の写真には、タケルの側で彼女の涙する姿が写っていた。