サボテンの花、第1話(ミニグローブ) | 横浜さくらボクシングジムのブログ

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横浜さくらボクシングジム 会長 平野敏夫 によるブログです。
ジムでの出来事、ボクシングのこと、その他ジャンルを問わず綴っていきます。

 

 ジムではパンチングボールを叩いている音と、BGMの音楽が共演していた。

 

和馬は会長のところに行って

「会長、長い間ありがとうございました、ボクシング最高でした」と頭を下げた。

パソコンの前に居た会長。

会長は顔上げて「そうか、リングで多くのものを学んだな。」

和馬、「はい」

 

向こうに帰っても無理すんなよ。上京したらまた顔をだしな。」「はい有難うございます、失礼します。」

と深々と頭を下げて、2階の事務所を出てジムへ降りた。

和馬はカバンからグローブを取り出しリングの上に置いて、リングに頭を下げてジムを出た。

 

和馬には郷里に帰るために別れた彼女がいた。

プレゼントしたミニグローブを

彼女はいつも大切にバックにつけて、デートに現れた。

 

長男であった和馬は彼女と別れて、田舎に帰る事を選んだのである。

 

和馬は、彼女とこの街の思い出にお別れするため

思い出の場所を巡っていた。

 

チャイナタウンで食事をした。楽しかった。

 

野毛の行きつけの店「ドルチェ」で軽く飲んだ。彼女との取り止めのない会話に心が揺れた。

 

和馬は彼女との思い出の日々を、回想していた。その事が幸せに思えた。

 

みなとが見える丘からベイブリッジのロケーションは、いつ来ても申し分なかった。

 

和馬は、最後に東口にあるデパートのレストランで食事する事を選んだ。彼女とデートして一番沢山利用した店だった。京急とJRを利用する2人には待ち合わせにも別れにも都合がよかった。

 

食後、和馬は下におりる。エレベーターをまっていた。

 

1階のエレベーターの前には、寂しそうに上りのエレベーターを待つ、バックにミニグローブをつけた。彼女の姿があった。