富田千秋。砂絵呪縛 新聞連載 挿絵 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

土師清二:砂絵呪縛 新聞切抜き ラベル

 

土師清二:砂絵呪縛 新聞切抜き

 

前回ブログ続き。土師清二『砂絵呪縛(1927)朝日新聞社』連載時の新聞切抜きを持っているのだが、以前の持ち主によって再編集されていて、残念ながら挿絵は間引きされている。まぁ、珍しいものなので入手した。こちらも「前篇」のみの貼り込み。

 

土師清二:砂絵呪縛 富田千秋 挿絵

 

挿絵を担当したのは東京美術学校洋画科出身の富田千秋(1901年2月23日〜1967年7月18日没:72歳)で、本作品でいきなりスターダムにのしあがった。しかし、遊興にふけりその後は芳しくなかったようだ。この辺りはこちらに詳しい

 

土師清二:砂絵呪縛 富田千秋 挿絵

 

 

土師清二:砂絵呪縛 富田千秋 挿絵

 

土師清二:砂絵呪縛 富田千秋 挿絵

 

新聞小説の挿絵を描いて人気が沸騰した富田千秋だったが、連載終了後、単行本化されて『現代大衆文学全集』収録時には、小田富彌の挿絵に替えられたのは、上記ごとく富田の放蕩が原因だったと思われる。才能もあり時勢もとらえ、一時は菊池寛の作品も手がけていただけに残念な挿絵画家である。

 

ところで、このタッチに既視感を覚える方がいたとしたらだが、漫画家の花輪和一がほぼこうしたレトロタッチを逆手にとって描いていた(近作はどーかわからない)。『赤ヒ夜(1985)青林堂』など「なるほどなぁ」と呆れ驚き笑ってしまった。

 

土師清二:砂絵呪縛 富田千秋 挿絵