芝木好子。洲崎パラダイス | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

映画 洲崎パラダイス 赤信号(1956)

 

乙川優三郎『クニオ・バンプルーセン(2023)新潮社』で、芝木好子への言及があったのを縁に、芝木の『奈良の里(1988)文藝春秋』図書館本を読んだところ、芝木の文体が乙川優三郎のものと酷似していてびっくりした。乙川の根っこには彼女の作品がベースにあったのかと納得する。

 

芝木『奈良の里』では、心に傷をもつ女性たちが再起するさまが描かれる。そのモチーフとして、聞香であったり、骨董、彫刻などの世界が描かれ、このあたりが乙川の「職人もの」作品に通じる。昭和の時代感があふれていて懐かしい思いで読んだが、今となっては文化系女子たちの語りはやや重いのかもしれない。

 

 

芝木好子の作品にはとんと縁がなかったせいか、川島雄三監督『洲崎パラダイス 赤信号』や、一部ながら溝口健二監督『赤線地帯(1956)』の原作が芝木と知って驚いた。いまさらだけど。さっそく図書館本『洲崎パラダイス』を借りだした。映画『洲崎パラダイス 赤信号』のヒロインは新珠三千代かぁ。うーむ。機会があったら観てみたい。