北村薫。中野のお父さんシリーズ | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

アストリッドとラファエル4

 

このところ北村薫の「中野のお父さんシリーズ(いまのところ全3巻)」を読んでいました。出版社に勤める田川美希は主に文芸に関わる疑問にぶちあたると、中野区に住う父親(中野のお父さん)が即座に解決してくれる。いわば変種のアームチェア・ディティクティブに仕上がっている。

 

まぁ、著名な文学者のエピソードが伝聞によって歪められる。その大元をたどるべく、関連書籍をサーカスのように登場させては読者の意表をつく。まことに北村薫の十八番といった内容になっている。古書ミステリの変種でもあるのかな?

 

中野のお父さんシリーズ第2・3巻

 

北村薫はデビュー作の落語家・春桜亭「円紫さんと私」シリーズ以来、「ベッキーさん」シリーズなど、若い女性を主人公にヒット作を連発していて本作もそれに倣うものですが、近年はとみに主人公の造形が、どーみても「オジさんが描く女性」だよな。今時こんな素直な女性がいるわけない感じがするんだなぁ。ともあれ、北村薫は「詩歌集もの」ともども独特の境地を築いた。

 

イラストは地上波放送が始まった『アストリッドとラファエル』シーズン4から。昨秋から地上波ドラマが不作な折、楽しみに観ている。