ロス・トーマス。黄昏にマックの店で | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

リアム・ヘムズワース

 

ロス・トーマス『黄昏にマックの店で(1990)早川文庫』主人公グランヴィル・ヘインズの父親は生前なにやら傭兵ともスパイ紛いの仕事をしていた。その父親が残したらしい(何が書いてあるかわからない)回想録に恐慌をきたした何者かが、ヘインズを含む身近な友人知人を次々と殺害する。

 

元殺人課の刑事だったヘインズは、所在不明の回想録を餌に犯人をあぶりだそうとするのだが… というもので、男臭いヘインズと父親の友人で「マックの店」の老いたふたりの経営者とその娘エリカを巻き込んで筋書きの見えない駆け引きが開始される。

 

ロス・トーマス:黄昏にマックの店で(1990)早川文庫

 

アメリカン・スピーチ風の気のきいた会話劇といったところで、ところどころで展開を見失うこともあり、数ページさかのぼって読み返すこともしばしば。それでも一癖も二癖もある人物描写が素晴らしく愉しく読み終えた。ただ、読者を選ぶところがあり万人向けのミステリとはいい難い。

 

ロスの『八番目の小人(1981)』『女刑事の死(1984)』を読んだのは20年ほども前で、彼の本は直に廃版になってしまうので読むのはほんとに久しぶり。絵に描いたようなアメリカン・ミステリなので、文中32歳のヘインズ役はハリウッド・スターからリアム・ヘムズワースに演じてもらおう。

 

午後の日差しが伸びて