ソーンダイク博士。シャーロック・ホームズのライヴァルたち | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

ソーンダイク博士(右上)

 

図書館の除籍本棚でリチャード・フリーマン『ソーンダイク博士の事件簿Ⅰ・Ⅱ(1977)創元推理文庫』を見つけ戴いてきた。コナン・ドイル「シャーロック・ホームズの帰還」が発表された頃に誕生したミステリで、ソーンダイク博士はシャーロックと人気を二分することになる。いわゆる「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」の最右翼ですね。

 

フリーマンは事前に犯行を詳述するという「倒叙式」形式を生み出した人物で、後に登場するコロンボ警部の源流です。イギリスでは1900年頃から指紋鑑定による化学捜査が導入されますが、フリーマンは指紋偽造をプロットとした作品を発表し、当時警察でも議論されたとあります。

 

ソーンダイク博士は常識人にして科学者、シャーロックとの違いを見せていますが、ワトスン博士の代わりに(あまり役に立たなそうな)ジャーヴィスを連れていて、こちらも二人一組で事件に取り組んでいます。

 

R.フリーマン:ソーンダイク博士の事件簿/創元推理文庫

H.チェイス:ダイヤを抱いて地獄へ行け /創元推理文庫

H.チェイス:蘭の肉体         /創元推理文庫

 

ただ、ソーンダイク博士シリーズは映像作品に恵まれず、現在ではシャーロックに大きく水をあけられてしまったのが残念。イラストで描いたのは、英ドラマ『Detective:The Case of Oscar Brodski(1964)』主演のピーター・コプリーです。他に、ハドリー・チェイスのスリラー本を二冊。

 

『蘭の肉体(1942)』は二重人格の女性キャロルは、可憐な富豪美女にして殺人鬼といった設定で、男たちが次々と餌食になって。『ダイヤを抱いて地獄へ行け(1955)』は田中小実昌による翻訳ですね。H.チェイスは40年ぶりに読み返していますが、何といっても時代を感じさせますね。『ダイヤを』以外は手製のカバーを造りました。