坂口安吾:明治開化 安吾捕物帖.01 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
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坂口安吾:明治開化安吾捕物帖(1953)日本出版協同株式会社

旧版の「明治開化安吾捕物帖」で昭和28~9年に出版された。装丁はまさしく木村荘八でよく似合っている。坂口安吾が書いたミステリには「不連続殺人事件」「復員殺人事件」といった長編もあるが(長編好きな私をして)この短編連作形式の「安吾捕物帖」が一番気にいっている。ホームズばりの推理をみせる(西洋帰りの)主人公・結城新十郎は、どちらかといえば平板に描かれることが多く、ちょっと道化役をふられた新十郎の取巻き虎之助と

この虎之助がご注進におよぶ氷川邸の勝海舟が(アームチェア・ディテクティブで)下す〝迷答〟に生彩がある。初出は「小説新潮 第4巻第11号(1950)」で、江戸明治の大立者勝海舟を大衆小説に登場させて、しかも笑い者にできるのも戦後の産物といえるだろう。戦前だったら思いっきり〝不敬罪〟に問われただろうからね。昭和50年代のことだったか角川文庫で坂口ブームが起きたことがあって、今の文庫全集みたいに50巻近くも出版されたことがあった。

全巻揃えて堪能したものだったが、いつだったか憑き物が落ちたようにマイブームが去り、揃い本は古書店に流したものだったが、今となっては書架に残しておくんだった。当時は「堕落論」など随筆が面白かった記憶があるが、この歳になって「捕物帖」に惹かれるなんてね。

安吾捕物旧01
安吾捕物旧02
安吾捕物旧03

木村荘八画伯の旦那芸を見てもらいましょう。

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Strawinsky: Violin Cncerto  Patricia Kopatchinskaja

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 Say Sonata Patricia Kopatchinskaja & Fazıl Say

こんなエキサイティング(にしてエキセントリック)なヴァイオリニストがいたのですね。しかもチャーミング、クラシック界のケイト・ブッシュ。それでいてきちんとした構成力を感じさせる。ぜひ生演奏を聴いてみたいもの。今日はYouTubeで一日中パトリツィア・コパチンスカヤの演奏を聴いていて、すっかりファンになってしまいました。本当にすばらしい。