カストリ雑誌「りべらる」の挿絵画家(01 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
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 雑誌 りべらる(昭28.10)太虚堂書房/岩田浩昌 表紙絵
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 雑誌 りべらる(昭29.4)太虚堂書房/岩田浩昌 表紙絵
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 雑誌 りべらる 裏表紙広告

いわゆる「カストリ雑誌」で、出版自由化を機に発行された大衆向け娯楽雑誌。粗悪な用紙に安価な雑誌、内容は安直でエログロ、主に赤線などの色街探訪記事、猟奇事件記事、性生活告白記事、ポルノ小説などのほか、性的興奮を煽る女性の写真や挿絵が掲載された。特に『りべらる1946年1月号創刊号)』は20万部を売り上げ、これに触発されて雑誌創刊が相次いだといわれる(Wikipedia)。その通りで、それ以上でも以下でもない。

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 絵描きだけの女放談
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 田中比左良による扉絵

ユーモア&エロス系挿絵画家にとっては楽園のような雑誌、ごらんのようにロクデモナイ放談を展開しているが、(銭形平次の挿絵を描いた)鴨下晁湖や神保朋世に細木原青起(せいき)御大まで登場させていて微笑ましい。戦時中はわりを喰った画家たちで戦後の開放感を伝えている。雑誌内容は「低俗」の一言なのだが、雑誌がまとった雰囲気はなんともな幸福感?につつまれている。泡沫のごとく数号で消えゆくカストリ誌の中にあって『りべらる』は数年続いた。

『りべらる』の出版元「太虚堂(大いに虚しい場)」という命名も、自覚しているというか。たいてい3号で休廃刊したことから「3合飲むとつぶれる」カストリ酒にかけたのが由来。またカストリ酒とは粗悪な密造酒で、中には工業用アルコールを混ぜたものもあって、失明や腎臓をそこなった人もあった。カストリ酒で亡くなった父の友人を知っている。