山本周五郎「町奉行日記」どら平太 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
$.-どら平太
市川崑監督:どら平太(2000)
$.-町奉行日記
山本周五郎:町奉行日記(初出:小説新潮,昭34.6)

市川崑監督映画「どら平太」原作の山本周五郎の短編「町奉行日記」。稀代の女たらし放蕩で知られる新任の町奉行望月小平太は藩主の密命を帯び、藩の管理が及ばぬほど治外法権化した「濠外」の一掃に挑むが、簡単にはいかない。藩の中枢にも賄(まいない)が渡たり骨がらみの様相なのだ。さて、原作では血なまぐさい斬り合いはいっさいなく、悪党もそれなりに自ら身を処すのだが、それではチャンバラ映画にならないから「どら平太」では役所広司の派手な立ち回りがある。

映画を観たのは随分前で記憶は曖昧ながら、この治外法権化した「濠外」を仕切る3人の元締、大河岸の灘八(菅原文太)巴の多十(石倉三郎)継町の才兵衛(石橋蓮司)は、人の善さを感じさせる悪党ぶりだが、原作から離れてもう少し凄みをもたせてもよかった。まずは、長刀一本落差しに懐手の役所が、肩ひじ張って風を切る粋な装幀に思わず買った100円古本でありまする。原作では江戸から小平太を追いかけてくる、ちょい役のこせい(浅野ゆう子)の役柄が思いだせない。


ザ・ピーナッツ:恋のフーガ