篠田鉱造「幕末百話」 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
$.-百話函
篠田鉱造:幕末百話(昭和4年)萬里閣書房 函
$.-百話表紙
篠田鉱造:幕末百話 装幀
$.-百話扉
篠田鉱造:幕末百話 見開き

1902年『報知新聞』紙上に連載された幕末維新期の回顧談集で、いわゆる古老の “ひとつ噺” を取材した。たとえば、辻斬りに遭ってドブにもぐってあやうく難をさけた町人といった、細事な噺を拾い集めているが、幕末明治の匂いのようなものがただよう好著で、岩波文庫で「明治百話」「幕末女百話」など続編がだされている。惜しむらくは、聞き取られた時事や取材の時期がはっきりしないことだが、時代作家などの利用度は高いようだ。

高級割烹・八百善では鯛の焼き物に卵焼きを錦糸のように振りかけ、女中がそれぞれ人数分を取り分けてまわったそうだが、卵焼きや伊達巻きなどの記載もあって、当時は御馳走だったのがわかる。TV「慶次郎縁側日記2」でも、こうした卵焼きをめぐる人間模様が描かれていて、シナリオライターは、当然ながら「幕末百話」くらいは読み込んでいるものと思われる。なかなかシャレた装幀だが作者は不明、いまさらと思ったのだが安価500円だったので、つい。


花村菊江:そよ風道中(琴姫七変化 主題歌/松山容子)