土師清二。おかく捕物帖 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

みずすまし亭通信-6026

土師清二:おかく捕物帖

 

土師清二『おかく捕物帖(秋田書店:時代推理小説全集5)昭和43年初版、46年の再版』。荒くれ鳶職を差配する美人年増の若後家にして捕物名人という設定。口入れ屋の女元締〝おかく〟は亡き亭主の操だてに、左右の股に蟹を半分ずつ刺青、股を閉じると一匹の蟹になるように彫られている。荒くれ獏連をアゴで使うが冒しがたい品がある。

ペーパーバック仕様で、後のミステリ本で知られる辰巳四郎の装丁、おまけのように小さな藤森四郎の挿絵が3葉挿入される。内容はシャーロック風な捕物帖といった感じで、よくできたシリーズもの。なかには、ねんねの花嫁が自身が気がつかないうちに懐妊していて、その相手を推理するといった奇抜な作品もある。


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藤森四郎の挿絵

 

戦後の捕物ブームの最盛期には、100人近い捕物名人が活躍していたそうで〝おかく〟はそのうちのひとりということになるが、ワトソン役を務める〝カマキリ安〟や、ちょい役の名奉行根岸肥後守鎮衛(しずえ)なども良く描けていて、ちょっと捨てがたいシリーズである。

 

さて、このところの長時間モニターの前に固まった日々を過ごしたのに加え、秋冷がこたえたのかすっかり腰痛に。