第16章 中2そして、ついにJazzと出会う | 音楽をめぐる冒険(いかにして僕は音楽のとりことなったのか)

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昭和の時代の音楽を巡るいろいろな話をしましょう。

 

中1の時、たまたま行ったデパートの松坂屋でFMの公開放送にでくわした。ヤマハのポプコンでグランプリをとったシンガーソングライターがレコード発売キャンペーンライブを行うという。どういう人かなと思って始まるのを待ってみることにしました。すると若い高校生くらいの女の人で、透明感のある伸びやかな声に驚かせられました。八神純子という人で一発で大ファンになりました。さっそくレコードを買って帰りました。

中2の時、いよいよ人生が変わることがおこりました。Jazz に出会ったのです。父のカセットテープコレクションの中にオスカー・ピーターソン ソロピアノ という一本を見つけました。聴いてみたら、何だソロじゃないじゃないかと思ったのです。絶対連弾だと思いました。あるいはオーバーダビングだと思ったのです。これは本当に運命だとしか思えないのだけれどたまたま新聞のラテ欄を見るとその夜、NHKで、オスカー・ピーターソン と仲間たち という番組があることを知ったのです。これは観るしかない。当時の名古屋で歌謡曲とクラッシック以外の音楽番組なんてほとんど無かった。カラー放送かどうか知らないが自分の部屋にあった、モノクロテレビにかぶりついて観たのを覚えてます。ピアノで音楽するのに、こんなスタイルがあったと初めて知りました。がぜん自分でもやってみたくなった。とりあえず、当時何か情報得たかったら図書館に行くのがならわしでした。ジャズ関係の本を片っ端から借りて読みました。そして、ヤマハに行ってジャズのコードのボイシングの本を買った。しかし、その本の通りに弾いても全然響きが違うのです。当時のその手の教則本って全然だめだった。FMでジャズ関係の番組のエアチェックもしました。オスカー・ピーターソンがきっかけだったが、何枚かカット盤のレコードを買ってきて聴いたら、全部同じアプローチですぐに飽きてしまいました。ヤマハで、ビル・エバンズの輸入版の譜面を見つけて買ってきました。いわゆるトランスクリプション、レコードのコピー本ではたして弾いてみるとあのサウンドがしたので嬉々として毎日弾きました。本当はレコードでもとを聴いてそのあとに譜面を見て勉強すると大変ためになるのですが、お金が無かったので譜面だけで我慢しました。どんどんのめり込んでいってもはや野球の練習やってる場合じゃなくなって仲間とも折り合い悪くなったのでそれを機に部は退部しました。ある日ヤマハに行くと新刊で日本人の執筆でジャズピアノインプロヴィゼイションvol 1 という本がありました。これは素晴らしくためになる本だった。トランスクリプション本で一曲目はマッコイ・タイナーのサテンドールでした。試しに、その曲が入った、ナイト オブ バラード アンド ブルーズ というレコードを買ってみました。気に入った。どちらかというと、サテンドール以外の曲の方が良かったのですが。中に、スターアイズという曲が入っていてアドリブが気に入ったのでコピーしてみました。速いパッセージは耳が追いつかないのでオープンリールに録音して半分の速度にして聴いてみました。オクターブ下がるが同じフレーズがもとの半分の速度で聴けるのです。誰に教えてもらったわけでもないけど、そうやって工夫してコピーしました。ラインをコピーするのはそんなに難しくなかったが、コードボイシングをコピーするのは大変でした。譜面では、C7 とか書いてあるが、コード表に書いてある通りC7を弾いてみても全然違うのです。展開形というのを知り、同じ構成音を使って、ならびの順番を変えてみました。最初よりはましになったが、やはり、望みの音にはならなかったです。コードというのは基本3度ずつ重ねていくものです。例えば1度、3度、5度、要するにド、ミ、ソ。でもジャズでは、4度で重ねたボイシングをしたりする。例えば、ミ、ラ、レ 。それに気がつくまでいろいろ試行錯誤したのを覚えています。

次回に続きます。