第13章 野球部大会も終わりShaftに出会う | 音楽をめぐる冒険(いかにして僕は音楽のとりことなったのか)

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昭和の時代の音楽を巡るいろいろな話をしましょう。

 

小6の時、野球部顧問の黒川先生は中学に戻ってしまっていて新しい顧問は全然野球を知らない人でした。練習試合が始まったけどスランプで全然ヒットが出ませんでしたがファーボールで出塁するとすかさず盗塁のサインが出ました。2塁に着くと、息が上がっているのにまた盗塁のサイン。何の戦略も無いのにとりあえず山崎が出塁したら3塁まで進ませろと思っていたふしがあって。打撃に自信が持てなかったので、自然ファーボール狙いになってしまって一度もバットを振ることなく見逃し三振なんてこともあった。どうしようと思っていましたが、いよいよ明日から公式戦という練習の時に別の先生がいきなり現れてフリーバッティングのピッチヤーを始めました。僕の番が来るとスウィングのタイミングのアドバイスを始めました。テイクバックで2段動作になっていたのを直されボールミートがホームベース上だったのをもっと前にと…  すると、あれよあれよとボールがバットに当たりだしおもしろいように打球が飛んでいきました。そして公式戦初日2番レフトで試合に出ました。何回かは忘れましたが前のバッターが出塁し僕の番になりました。ピッチャーが投げバットを振ると体が持っていかれるほどのスウィングになりました。一瞬何が起きたかわからず、てっきり空振りしたのだと思いました。でもキャッチャーを見ると様子がおかしい。やばいと思って1塁を目指しました。ボールが返球されないのでそのまま2塁を目指して走っていると恐怖の目をして後ろを振り返る前のランナーがいました。危うくチームメイトを追い抜いてしまうところでした。その時になって球審からエンタイトルツーベースの宣告がありました。レフトの守備のはるかかなたにプールがあってどうやらそこにワンバウンドで入ったらしいというのをその時知りました。もしライト線に打球が飛んでいたら間違いなく場外ホームランでした。あまりのジャストミートでバットにボールが当たった感触が全く無かった。その試合に勝ち次の試合になりましたが相手チームのピッチャーに完全にやられてあっさり負けました。チームメイトはノーヒットで結局ヒットを打ったのは僕だけでした。練習試合では全然打てなかったのに公式戦になった瞬間に打ちまくったわけです。その時の成功体験でなぜか本番になるとそれまでとは違う全然未知の力が発揮できるような気分が以後するようになりました。

そんなこんなであっという間に野球のトーナメントのシーズンが終わって久々にピアノを弾いてみたくなりました。FM番組で映画音楽特集があってそれをエアチェックしました。思い出の夏と真夜中のカウボーイと黒いジャガー 。卒業するまで何度もそれを繰り返し聴きました。最初は思い出の夏とかミッドナイトカウボーイがいい曲だと思って最後の曲はピンとこなかったのですが何度も聴くとしびれてハマりまくったのは結局最後の黒いジャガー、要するに Isaac Hayes のShaftでした。本当に癖になるとはこのことかというような魔術的な曲です。まさに僕のブラックミュージックの洗礼式でした。

やがて黄金に輝く小学生時代は終焉を迎えることになります。中学に突入です。