自我対象の分散
人は誰でも自分らしい自我対象を持って社会的な生活をしています。これはごく自然なことですが、一方で、この自我対象が限定され、自分の存在意義が一極集中しているとき、その人はうつになりやすい状態にあると言えます。
例えば、家族や趣味もなく、〇〇会社の社員ということだけが自我対象の人の場合、仕事はその人にとって非常に重要なものとなります。会社内での自分の評価が下がったり、その仕事を失うことはその人の存在の危機に直結するからです。このように、その人がその場所でしか自分の存在意義を見出せていないのに、それを失ってしまうなら、その人はうつになる可能性が高まります。
この問題は、多数の自我対象を持つことで回避できます。仕事だけでなく、家族との団らん、趣味の楽しみ、副業で収入を得ているなど様々な自我対象があれば、仮にその会社を辞めることになってもそれほど大きな心の苦しみにはなりません。自分の存在を認識できる対象がたくさんあれば、一つぐらい失っても、世界と関わる接点は他にあるからです。
このように、自我対象をたくさん持つ人はうつになりにくく、自我対象が少ない人はうつになりやすいと言えます。もちろん、何か一つのことに夢中になったり、専門的な能力を高めたいと思うこと自体が悪いことではありません。例えばスポーツのように、「自分が一番になりたい」という競争心を持っている場合、その自我対象に自分の存在が集約されることは避けられないでしょう。
しかし、同時にそれを失う可能性があり、そのとき自我の苦しみは深刻になるということを自覚できている必要はあります。問題なのはこのような心の原理が理解できていないことで、多くの場合、失っても初めてその深刻さに気づくのです。心の問題は特に、このような無防備な状態におきます。これは失われるはずがないというタイミングでそれが失われたとき、人はどう生きてよいか分からなくなるからです。
ですから、自分の依存している自我対象がいつ失われても良いように準備しておくことが大切です。常に様々な可能性を模索し、自我対象を多く持つことが心の安定につながります。このように、自分と世界との接点を多様に持ち、自我対象を分散することで、うつの危機を回避することができます。
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