備忘録
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<29> オリビアを聴きながら  by 尾崎亜美

 

 

 

 

 

<151> 「貧乏節約」と「金持ち節約」

「貧乏節約」と「金持ち節約」どこが違う?

「節約」するなら豊かな気持ちを持つことが大切
 

節約というと、家計が苦しい人だけが取り組むと思われがちですが、
実は豊かな人こそ「お金を無駄に使わない」ことを徹底しています。
そうでないと豊かさを持続できないと知っているからでしょう。

節約に取り組む時に注意が必要なのは「考え方」です。
「考え方」が貧しいと、どんなに節約しても豊かになりにくく、
反対に豊かな「考え方」で節約をするとどんどん豊かになっていき
ます。

その人やお金の持つエネルギーが良い方向に向かうのか、悪い方向
に向かうのかによって変わるということです。

自分の「考え方」が貧乏に向かっているのか? 豊かさに向かってい
るのか? 考えてみましょう。

 

みじめな気持ちになる? 

 良いお金の使い方をしたなと思う?

 

​​●貧乏節約……みじめな気持ちになる​​
​​●金持ち節約……良いお金の使い方をしたなと思う​​

「節約」と聞いて嫌悪感や貧乏臭さを連想し、みじめな気持ちにな
るのが貧乏節約です。

損得勘定や値段、ブランド名などでしか、ものに価値を見いだせな
い人がこれに当てはまります。
「節約」と聞いたとたん、「安かろう悪かろう」と感じ、心がガッ
クリとしてしまうのです。

反対に、「節約」と聞いて「賢いお金の使い方をすること」と思う
のが金持ち体質の節約で、その商品の価値と値段が合っているか?
と考えます。
その値段より価値が高い買い物ができた時は、「良いお金の使い方
をした」と感じます。

心が豊かな人こそ、無駄なことにお金は使いません。
つまり、自分にとっても何が必要で、何が無駄であるかもわかって
いる人なのです。

 

欲しいものを我慢した?

  今あるものに目を向けた?

​​

貧乏節約……欲しいものを我慢したと思う​​
​​●金持ち節約……今あるものに目を向ける​​

欲しいものを我慢するのは辛いものです。
だからこそ、節約にはマイナスのイメージがつきまとうのだと感じ
ます。

しかし、節約は我慢大会ではありません。
私達日本人は既に多くのものを持っています。
その証拠に、ゴミ箱やゴミ処理場は常に溢れ返っています。

人の「欲しい」という欲望は、残念ながら尽きることはありません。
その欲望に身を任せてお金を使っていたら、家計の破綻は目に見え
ています。

今あるものに目を向け、これで十分といった「足るを知る」ことで、
欲望をコントロールすることが大切です。
それでも「欲しいもの」がある場合は、どうしたらお金をかけずに
手に入れることができるか?ということに視点を変えるようにしま
しょう。

 

バーゲンで買う? 

 欲しいものを必要な時に買う?

 

​​●貧乏節約……バーゲンで買う​​
​​●金持ち節約……欲しいものを必要な時に買う​​

バーゲンで安くなっているからと買い物に行って、つい衝動買いし
たり、失敗したケースは誰にでもあるでしょう。
しかし、そういう買い物はもう卒業したいものです。

「値段」を基準に買うのではなく、欲しいものを必要な時に買うよ
うにすれば、ショッピングに行く回数も減り、衝動買いも防げます。
また、気に入ったものが見付からない場合は「買わない」という選
択肢も大切です。

 

子どもに「無駄使いしてはダメよ」と言う?

 「大切に使ってね」と言う?

 

​​●貧乏節約……「無駄使いしてはダメよ」と子どもに教える​​
​​●金持ち節約……「大切に使ってね」と子どもに使い方を教える​​

お金は使わないことが美徳ではありません。子どものうちは無駄使

いがどういうことか、まだ理解できていません。
無駄使いをして、初めて「これは無駄使いだった」と知ります。

大人になってからのお金の失敗は金額も大きくなり、取り返しがつ

かないことになりがちです。
だからこそ、子ども時代はお金を使いながら小さな失敗と成功を繰

り返し、金銭感覚を養っていくことが大切です。

 

豊かな考え方でお金と向き合って

 

いかがでしょうか?
「節約してもなかなか生活が豊かにならない……」と思っている人

は、貧乏節約と金持ち節約と、どちらに自分がいるか考えてみてく

ださい。

「節約」というお金の扱い方を家計に取り入れることで、自分や家

族、社会、更に地球環境がどうなるのか?と考えてみましょう。

そうすれば、「節約」は上手なお金の扱い方のひとつだと気付くはず

です。
ぜひ、豊かな考え方でお金と向き合えるようにしてみてください。

<29> 世界一キライなあなたに

 

 

イギリスの田舎町で、ルーことルイーザ・クラーク(エミリア・

クラーク)は失職を機に、交通事故で車いすの状態になってし

まった青年実業家ウィル・トレイナー(サム・クラフリン)の

介護と話し相手をする期間限定の職に就く。

活力を失っていた当初は冷たい態度を取るウィルだったが、

彼女の明るさに徐々に心を開き、二人は惹(ひ)かれ合う。

そんなある日、ルーはウィルの秘密を知ってしまい……。

 

バイク事故で車いすの生活となり生きる気力をなくした青年

実業家と、彼の介護に雇われた女性の切ない恋の行方を描く。

<150> どうして?年を取ると怒りやすくなるの?



どうして?年を取ると怒りやすくなるの

​こんにちは! 
好奇心も食欲も旺盛な50代主婦、ハルメク子です。
先日、離れて暮らす母に電話をした際に「それは違うと思う

けど」と私が言ったとたんに、母が怒り出して「もういい!」

と、電話を切られてしまいました。
こんなことで怒るタイプじゃなかったのに……。
よく年を取ると怒りやすくなると聞きますが、本当なのかしら?
ちょっと調べてみようかな。

経験が積み重なるほど、自我が強くなる

人間は高齢者に限らず、特定の分野での経験が増えると、自

負の念が強まる分、「譲れない気持ち」が出てしまうそうです。
年を取ると怒りやすくなるのは、人生経験が積み重なるほど

自我が強くなり、譲れない気持ちが前面に出てしまうからな

のだそう。
だから、自分の過去の記憶と、言われたことに相違があると、
つい頑固になってしまうのですって。
しかし一方で、積み重ねてきた人生経験が落ち着きや思慮深

さとして表れる高齢者もいます。
いわゆる「年を取って丸くなった人」です。
これは、年を重ねるにつれて、人との別れや事故などの負の

経験をすることで、物事に対して落ち着いて考え、対処でき

るようになっているということです。
このように、人は経験によって新しい共感を生むこともあり、
「年を取ると頑固になる」「年と取る怒りやすくなる」とは

一概にはいえません。
加齢そのものより、本人の経験や思考、加齢による体の変化、

環境の変化、その人を取り巻く状況が影響しているといえます。

脳の働きが悪くなると、怒りやすくなる

しかし、年を取ると怒りやすくなる原因はいくつかあるそう

です。
まず、脳の働きが関係しているケース。
脳は新しい知識を入れないと、マンネリ化して、活発に働か

なくなるといいます。
人生経験が増えると思考がパターン化されていることが増え

ているため、脳はそのパターンに当てはまらない新しい事柄

に対処しにくくなり、その人にとって大きなストレスになり

ます。
ストレスに対する防御反応が「怒り」として表れてしまうそ

うです。
次に、「難聴」で耳が遠くなり、コミュニケーションがうま

いかず、イライラしているケースです。
周囲の人の言っていることが明確に聞き取れないことで、自

分の悪口を言われているかもしれないと考えてしまう傾向が

あるそうです。
そのまま放置すると、周囲とのコミュニケーション自体が面

倒になり、そこから認知機能が低下し、認知症につながるこ

ともあります。
また、認知症には「怒りっぽくなる」という症状もあります。
難聴でイライラしているのか、認知症が原因なのか、早めに

確認することが大切です。
「ささいなことで怒りっぽくなった」「周りへの気遣いがな

くなり頑固になった」などの他に、「財布・通帳・衣類など

を盗まれたと人を疑う」「話のつじつまが合わない」のよう

な症状があるなら、認知症の症状かもしれませんので、専門

医に相談した方がよいそうです。

怒りっぽくならないようにするには

年を取ると新たにチャレンジする機会が減るため、判断材料

が自分の記憶や体験だけになります。
結果的に、考えの幅が狭まり、新しい価値観への抵抗感は高

まるばかり……。
怒りっぽくならないようにするには、新しい習い事、新しい

散歩コースなど、小さなことでもチャレンジする機会を増や

すのがコツです。
さまざまな経験を重ねるほど、左脳の脳細胞が発達していく

のだそうです。
また、異なる年齢層の人と交流するのも、柔軟さを取り戻す

きっかけになります。
お互いのギャップを受け入れて、新しい意見や考えを取り入

れると、脳の働きはどんどん活発に。 
右脳の脳細胞には、人の気持ちを知る働きがあり、人と接す

ることで成長し続けるそうです。
母は耳が遠くなったり、物忘れしやすくなったりして、イラ

イラすることが増えたのでしょうか? 
母には、「さっきはごめんね」と電話することにします。
よく会話をして、お互いを理解し合う努力をしなくちゃと思

います。

 

<29> 共犯

 

 

 

男子高校生のホアン、リン、イエは、学校に行く途中の

路地で同じ高校に通う女子高校生シャーの変死体を発見

する。

偶然その場所を通りかかっただけの三人だったが、一緒

に彼女が死んだ原因を探り始める。

やがて彼らは、彼女が同級生からいじめを受けていたの

ではないかと考え始め……。

 

同じ高校に通う女子高生の死体発見者となった3人の男子

高校生が、その死の真相に迫っていく姿を描写する。

 

<149> 働かない高給社員



働かない高給社員、
「非正規の若者」の犠牲の上で生き残る


日本では、1990年代以降、正規社員と非正規社員という
二重構造が強化されてきた。
正規社員は終身雇用、年功序列賃金制、企業別労働組合

という、戦後の高度成長期に形成された日本型雇用慣行

と整理解雇の4条件などの判例により、強固に定年まで

雇用が保護されている。

この正規社員が享受できる日本型雇用慣行を、退職金税

制までもが支援している。

退職金税制では、勤続年数が20年を超えると、超えた年

数に関してはそれまでの40万円から70万円をかけた金額

が退職金から控除され、その控除後の金額の半分が課税

所得になるという、破格の優遇措置がとられている。

これは、定年前に自己都合で退職して、転職することを

不利にする税制である。
つまり、20年以上定年まで同じ会社に勤めると有利にな

るように、税制が終身雇用制を支援し、労働の効率的配

分を妨げているのである。

年功序列賃金制は、生産性の比較的高い若い社員の賃金

を低く抑えて、その低く抑えた分を生産性が低下した高

齢社員の賃金に移転する仕組みである。
これは、現役世代が支払った年金保険料で、年金給付世

代の年金をまかなうという賦課方式年金と同じ性格を持

った賃金制度である。

この賦課方式賃金制度は、会社員のうち最も生産性の高

い年齢層が厚く、かつ企業が高い成長を維持している場

合には持続可能な制度である。

1980年には、年齢階級別就業構成比が30~34歳まで上

昇し、それ以上の年齢層の構成比は次第に低下し、定年

前の55~59歳は7%だった。
それが、2000年には、30~44歳の構成比が大きく低下

し、50~54歳が最も多く、12%に達している。

2000年の50~54歳の年齢層は、いわゆる「団塊の世代」

である。
この団塊の世代の比較的高い賃金を支えたのは、最も構

成比の低い30~44歳の年齢層(ほぼ就職氷河期世代に相

当する)であった。

2019年になると、若い年齢層ほど構成比が低下し、40

~49歳でピークになるが、その上の年齢層の構成比の低

下は小さく、定年前の55~59歳の構成比は10%を占め

ている。

以上のように、会社員の年齢構成が高齢化したのは、

1990年代のバブル崩壊後に起きたデフレ経済の長期化

に伴って、新入社員の採用が抑制されたためである。

それでもいまなお、正規社員の賃金は定年まで上昇する

という年功序列賃金制は崩れていない(2019年時点で、

企業規模10人以上の企業では、定年前の55~59歳の賃

金は20~24歳の2倍)。

派遣3年ルールの存在理由はあるのか

しかし、このような賃金体系を維持することは、若年

層に年金保険料負担と同様に、大きな負担を課すこと

になり、少子化の原因になっている。
それとともに、生産性の低い正規社員の解雇の難しさ

と、業績に応じた賃金差をつけることの難しさとが重

なって、労働生産性向上の阻害要因になっている。

企業、とくに大企業は1990年代以降、景気に応じた雇

用調整が難しいため、雇用調整手段として非正規社員

比率を高めてきた。
これは、正規社員と非正規社員との賃金格差の原因に

なっているだけでなく、非正規社員の仕事を通じた熟

練化を妨げる要因になっている。

とくに問題であるのは、派遣社員は同じ職場で3年を

超えて働き続けることはできないという「派遣3年ルー

ル」である。
このルールは派遣社員の雇用を不安定にするだけでな

く、彼らのスキルアップを阻害している。

このルールの存在理由を理解することは困難である。
唯一考えられる理由は、正規社員の地位を獲得してい

る労働者が「非正規社員のスキルがアップして、自ら

に取って代わられる(これを常用代替という)ことを

防ぐ」ことであろう。

実際に、著者が勤務していた大学では、正規社員はま

ったく仕事をせず(事務室で、1人で歌を唱いながら

ダンスをしていた)、もっぱら正規社員よりもはるかに

低い賃金の非正規社員が仕事をこなしていた。

ところがある日、急にその非正規社員が雇用契約を一

方的に破棄された。
労働法を知らない著者はこの解雇の理由が分からず、

びっくりした。

当時はまだ、パート、アルバイト、派遣、契約社員な

どの有期労働契約で働く人が、同じ会社で雇用契約を

繰り返して契約期間が5年を超えると、契約期間中に次

の契約時に無期労働契約への転換を求めることができ

るという「無期転換ルール」(2013年4月の「労働契約

法」の改正に基づき18年4月から適用開始)は存在しな
かった。

しかし、労働法の専門家によると、事実上、パート契

約を更新し続けると契約解除が難しくなるという話で

あった。
おそらく、そうした事実上の契約解除の困難さが、そ

のときの解雇の理由ではなかったかと推測する。

中小企業保護政策と同じで、正規社員の雇用を定年ま

で保障し、年功序列賃金制を適用すれば、正規社員の

中に賃金に見合った仕事をしなくなる人が少なからず

現れる。
これは、日本の大学は努力して勉強しなくても卒業で

きることと同じ現象である。

以上から、労働の配分の効率化のためには、派遣雇用

の期限制限を撤廃する必要があるのだ。

      
以上、岩田規久男の新刊『「日本型格差社会」からの脱

却』(光文社新書)をもとに再構成しました。
信じられないくらい「貧しい国」になってしまった日本。
前日銀副総裁が、成長への処方箋を明かします。




 

<29> 無垢なる証人

 

 

信念を貫くのをやめて現実と妥協することにした弁護士のスノ

(チョン・ウソン)は、殺人事件の容疑者の弁護士に指名される。

彼は容疑者の無罪を立証するため、唯一の目撃者である自閉症

の少女ジウ(キム・ヒャンギ)に証言を依頼する。

意思疎通が難しいジウに、スノは心を開かせようと努力する。

 

殺人の容疑者を担当する弁護士が、自閉症の少女と心を通わせる

ヒューマンドラマ。

<148> 月20万円で年金生活を送る69歳主婦の密かな本音

 

来なくていいのに…

「GWも行くからね」

娘が“孫連れ帰省”を予告。

月20万円で年金生活を送る69歳主婦の

「密かな本音」

 

「孫に会えるのが楽しみ」本来なら、そんな言葉が自然に出て

くるはずでした。

しかし、可愛い孫と娘の来訪を素直に喜びきれない……。

69歳女性が抱える“見えない負担”とは?

 

娘からの孫連れ来訪予告…喜びよりも「溜息」

「お母さん、ゴールデンウィークも泊まるから準備よろしくね!」 

 

受話器の向こうで弾むような娘の声。

 

 「うん、わかった。待ってるね……」 

 

そう答えて電話を切ったものの、その表情はさえず、つい溜息

が零れたのは、間宮悦子さん(仮名・69歳)。

悦子さんは地方のとある町で夫と二人暮らしで、夫婦の年金は

合わせて月20万円ほど。

貯蓄は約1,400万円です。 

日々の生活に困るほどではないものの、長い老後を思えば決し

て余裕があるとは言えず、外食や娯楽は控え、慎ましい暮らし

を続けています。 

そんな悦子さんにとって、ここ数年で大きく変わったのが

「娘との距離感」でした。 

一人娘の理香さんは大学卒業後に就職し、そのまま一人暮らし。

電車で2時間ほどの距離でしたが、多忙を理由に実家に帰って

くるのはお盆とお正月くらい

――そんな関係が長く続いていました。 

ところが、4年前の出産を機に状況は一変します。

娘一家は悦子さんの住む実家から2駅の距離に引っ越しをして

きました。 

 

「最初は、私を頼ってくれるのも、孫に会えるも嬉しくて仕方

 なかったんです」 

 

そう振り返る悦子さん。

しかし、その嬉しさは次第に別の感情へと変わっていきました。

 理香さんが子どもを連れて実家へ来る頻度は徐々に増え、

毎週末に近いときも。1泊は当たり前。

お正月やゴールデンウィーク、夏休みといった長期休暇になれ

ば、3泊、4泊、時には5泊と滞在が長引くことも珍しくありま

せん。 

 

「どこに行くにも高くて混んでいるでしょ? 

 だから旅行や遊園地に行く代わりに、うちに来るんですよ。

 私が色々やってあげるから、きっと楽なんでしょうね。

 でもねぇ……」

旅行や遊園地は高すぎる…「ばぁばに任せれば安心

株式会社インテージによる調査によると、今年のGWの過ごし

方について「予定なし」と答えた割合は41.2%で過去最高に。

自宅で過ごす(35.1%)、外食に行く(17.0%)と家や近場の

予定が続き、実家へ帰省すると回答した人は8.3%でした。 

同調査では、GWにかける費用の平均は2万7,660円という結果も。

これからの結果からは、「あまりお金をかけずに近場で過ごす」

という傾向が読み取れます。 

理香さんにとっても、実家に泊まるのは自然な選択だったのか

もしれません。 

 

「でもね……正直、しんどいんです」 

 

孫の世話は想像以上に体力を使います。

食事の準備、片付け、遊び相手。男の子で元気いっぱい。

それはいいのですが、自宅にいながらも気は休まらず、週末が

終わる頃にはどっと疲れが押し寄せます。

それは、悦子さんも夫も同様でした。 

さらに、見過ごせないのが経済的な負担です。

食費は当然増え、外食に行けば支払いは自然とこちら持ち。

おもちゃやおやつなど、ちょっとした出費の積み重ねも、じわ

じわと家計を圧迫していきます。 

細かくは計算していないものの、娘一家に対する支出が年間

40万円はあると語ります。

将来の医療費や介護費を考えると、今のペースでの出費はかな

り厳しいといいます。 

もちろん、孫は可愛い。

ただ、それと体力やお金とは別の問題

――悦子さんはそう感じています。

 

 「正直GWも来なくていいのに、と思ってしまいます。

 もう少し頻度を少なくしてくれたら。

 でも、娘はきっと、ここに来ることを親孝行だと思っている。

 だからこそ、言いづらいんですよね」 

老後は「できること」と「できないこと」の線引きが必要

老後の生活は、限られた資金と体力の中で成り立っています。

だからこそ大切なのは、「できること」と「できないこと」の

線引きです。 

例えば、長期滞在は控えてもらう。

来る頻度を少し減らしてもらう。

外食費はそれぞれ負担する。

無理のない範囲でルールを決めることは、決して冷たいこと

ではありません。 

むしろ、自分たちの生活を守ることが、結果的に家族関係を

長く穏やかに保つことにつながります。 

 

「今度の連休、少しだけ話してみようかしら……」 

 

そう思いながらも、実行できるかどうかわからないと言う

悦子さん。

娘や孫の笑顔と自分たちの老後

――その間で揺れる気持ちは、簡単に割り切れるものでは

ないのです。

 

 

<29> 3月のライオン 前篇

 

 

幼い頃に交通事故で両親と妹を亡くし、父の友人である棋士・

幸田に引き取られた桐山零。

深い孤独を抱えながらすがりつくように将棋を指し続けてき

た零は、中学生でプロ棋士の道を歩みはじめる。

しかしある事情から幸田家での居場所を失い、東京の下町で

ひとり寂しく暮らしていた。

そんなある日、和菓子屋を営む川本家の三姉妹と知り合った

零は、彼女たちとの賑やかで温かい食卓に自分の居場所を見

出していく。

 

<147> 介護の沙汰も金次第


不義理?
老人ホーム「9割以上は家族の意向で入居」
という事実​


老人ホームに入居している高齢者は自分の意思と判断で入居し

ている人と家族の意思と判断で入居している人に分かれるとい

います。
普通の人が、長生き社会の中で、老人介護と対峙していくため

には、どうしていけばいいのでしょうか。
老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が、親を老人ホー

ムに入れようと思った時に「知っておきたい老人ホームの選び

方」を明らかにします。

家族の快適性を守るために老人ホーム入居

今、老人ホームに入居している高齢者は、2種類に分かれます。
皆さんは、それが何だかわかりますか?
一つは、自分の意思と判断で老人ホームに入居している高齢者

です。
もう一つは、家族の意思と判断で老人ホームに入居させられて

いる高齢者です。
前者は、本人が進んで老人ホームでの生活を望み、後者は本人

の意に反して、無理やり収容(この言い方が現実的な表現だと

思います)されている高齢者です。
そして、多くの介護系の老人ホームの入居者は、後者の高齢者

ばかりです。
前者の高齢者は、自宅では体験することができない利便性を求

め、後者の高齢者は、子供ら家族の快適性を守るために、老人

ホームに入居しています。
これが高齢者側から見た老人ホームの実態です。
すべてとは言いませんが、ほとんどがこのケースです。
ただし、この視点だけ見て評論をすることは、当然ながら充分

ではありません。
家族、特に子世代の視点で考えなければなりません。
こういうことです。
子世代にとって、元気な親が老人ホームに入居するということ

は、一見、何も問題はなさそうに思えます。
自分の持っている資産を親がどう使おうと、それは親の自由です。
親の人生なんだから、親の好きなようにすればいいのでは? 

と、そう思います。
しかし、現実は違います。
世間体を考えた場合、親が老人ホームに入っているという事実

は、子供にとって「不義理な子供」と見られる可能性があります。
さらに、ことを複雑で深刻にしているのは、経済的な視点です。
当てにするなと言われても、あるものは当てにします。
親が老人ホームに入居する年代の子世代の多くは、50代から60

代です。
この世代の多くは、子育てにひと段落し、そろそろ自分の老後

を考えなくてはならない世代です。
今までは、子供の教育のために多額の金がかかり、今度は自分

の老後のために、金がかかることを思い知らされる世代です。
そして、多くは、自分の老後資金が足りない、という現実を目

の当たりにします。
だから、もし、親が残してくれる財産があるのであれば、それ

を“勘定に入れたい”という気持ちになることにも頷けます。
ですから、親が自ら老人ホームに入居したいとか、老人ホーム

の入居費用は自宅を売却して賄いたい、とかと言い出すと、

スムーズに「それで、いいんじゃない」とは言えません。

「介護の沙汰も金次第」お金があれば解決できる

多くのケースでは「そんな散財しないで、今の家で生活をして

いればいいじゃないか」と言って反対するのです。
そういうわけで、高齢者が自分の判断で、進んで入居を決断す

る老人ホームは、おしなべて高級老人ホームなのです。
入居金1億円なんていう老人ホームもけっして珍しくありません。
このぐらいのお金を、ポンッと出せるような親でなければ、

子供らから同意が取れないからです。
子供の立場からすると、1億円ぐらい、総資産や所得から考え

た場合〝安いものだ〟という感覚です。
逆に、強制的に老人ホーム送りになっている親の子供らは、

どういう状態にあるのでしょうか? 
よくある話は、親の認知症状が悪化し、社会に迷惑をかけるよ

うな事件を何回も起こしているとか、体が不自由になって自分

の下の始末ができなくなったというパターンで、自宅に置いて

おくことができなくなるケースです。
さらに、始末が悪いのは、親本人は、気にするどころか、どこ

吹く風なので、子世代にとっては、余計、苛立ちます。
早く、親を老人ホームに入れないと、自分たちの生活がままな

らない、という気持ちです。
子供が結婚している場合は、夫婦間の個別事情が加わりますか

ら始末が悪いということです。
国は、介護保険サービスを充実させ、可能な限り、在宅で高齢

者が生活の継続ができるように考えていますが、現実に沿った

サービスになっているとは、とても言えません。
親の資産が潤沢にあれば、早期に介護施設に入居させて、楽に

なることもできますが、そうではないため、現実は、ぎりぎり

まで自宅で何とかした上で、親の年金額内で賄うことができそ

うな老人ホームを探します。
したがって、今の老人ホームの多くのニーズは、とにかく

“安いホーム”ということなのです。
これが多くの方の現実なのです。
私は、長年、老人ホーム業界で仕事をしています。
そして、これらの現象をたくさん見てきました。
その私が出した結論は、老人ホームの話の中心にあるのは、介

護ケアの話ではなく、「家族の話である」ということです。
大袈裟に言うと、自分の老後は、自分の子供をどう育てるか、

どう教育(仕込む)するかがすべてだと思います。
「介護の沙汰も金次第」。
私は、何度もこのことを繰り返し主張しています。
お金があれば、ある程度のことは、解決することができるから

です。
しかし、現実的な視点で考えた場合、多くの人たちが、そうた

やすく多額のお金を貯めることも、手に入れることもできません。
だとすると、可能性の話でいうなら、仲の良い家族を作ること

のほうが現実的なのかもしれません。
本音で、なんでも言い合うことができる家族がいること。
もう、手遅れだ! という声が聞こえてきそうですが、普通の人

が、長生き社会の中で、老人介護と対峙していくためには、仲

の良い家族を持つということが、一番良い方法なのだと思います。
こう言うと、俺は生涯独身だ! という声が聞こえてきますが、

そういう方にも、兄弟や友人、知人など、仲間はいるのではな

いでしょうか? 
さらに、多少資産があれば、老人ホームで「疑似家族」も持て

ます、と言いたいのです。
どうか本連載が、老人ホーム入居という動機を通して、「家族

とは何か」「親とは何か」「子とは何か」を考えるきっかけにな

ってくれることを願ってやみません。

 

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