<28> あん
あることがキッカケで刑務所暮しを経験し、どら焼き屋の
雇われ店長として日々を過ごしていた千太郎。
ある日、店で働くことを懇願する老女、徳江が現れ、彼女
が作る粒あんの美味しさが評判を呼んで店は繁盛していく。
しかし、徳江がかつてハンセン病を患っていたという噂が
流れたことで客足が遠のいてしまい、千太郎は徳江を辞め
させなければならなくなる。
おとなしく店を去った徳江だったが、彼女のことが気にか
かる千太郎は、徳江と心を通わせていた近所の女子中学生
ワカナとともに、徳江の足跡をたどる。
<141> 現役時代を老後の準備で終わらせてはいけない

現役時代を老後の準備で
終わらせてはいけない
◆老後に備えて貯蓄する習慣は正しいのか?
ある雑誌で、ファイナンシャルプランナーが大卒の新入社
員に対し、「給料の一部は老後に備えて貯蓄する習慣をつけ
なさい」とアドバイスする記事が掲載されていました。
私はこれを読んで、前途洋洋な新入社員に対し、なんとも
人生のスケールが小さくなるようなアドバイスに感じました。
新入社員ということは、おそらく23歳前後でしょうか。
定年退職年齢が65歳、あるいは今後70歳になっていくかも
しれないとすると、これからの職業人生はあと40年以上も
あるわけです。
◆40年後の世の中は……
携帯電話やインターネットが普及してから約25年、スマー
トフォンが出現してからまだ10年ちょっと。
もちろん40年前には存在しない。
私が子どもの頃、家には二層式洗濯機、薪をくべて沸かす
五右衛門風呂、カセットテープレコーダーに黒電話があり
ました。
しかし40年後の今はもう存在しない。
パソコンやインターネットがなかった時代、オフィスで働
く様子はどうだったか、携帯電話がなかった時代、外出先
での待ち合わせはどうしていたか……。
今の子ども世代に、カセットテープや黒電話の話をしても、
なんのことかわからない人も少なくないでしょうか。
そう考えると、40年というのは時代環境やライフスタイル
が大きく変わるには十分な長さといえます。
今の新入社員の老後なんてどうなるかわからない。
時代は想像できないくらい変わり、個人の生き方も変わっ
ていく。
極端な話、新しい単位の通貨に置き換わるかもしれないし、
年金もまったく違う制度になるかもしれない。
私も以前、かなり古い生命保険証券を見たことがあります
が、満期返戻金が20円と書いていました。払い戻し請求を
するのも面倒に感じる金額ですが、これでも当時は、老後
資金の一部になればと加入した人がいたということでしょう。
そんな環境変化の激しい時代に、40年後を見据えた貯金な
んてどれほど意味があるのだろうか。
40年間も老後の準備をし続けるのだろうか……。
◆貯金に精を出す=お金を使わない生活
それに、貯金に精を出すことは、お金を使わない生活です。
そしてそれは、今の自分の生活圏の外側へ踏み出さないと
いうことです。
自分が馴染んでいる世界の中だけで生きるのは安心で心地
いいかもしれません。
しかし、今の自分が見たことのない世界を体験しないとか、
今の自分が持っていない発想や価値観に触れないという生
活は、自分が進化しないということを意味します。
それは味気ない人生ではないか。
だから私は、ガンガンお金を稼ぎ、それを自分や自分の大
切な人の成長や進化のために使いたい。
そして、「死の間際がもっともお金持ちになっていて、多額
のお金を残したままこの世を去る」という平均的な日本人
の生き方ではなく、使い切って人生の貸借対照表をチャラ
にして死ぬ、というのが理想です(もっとも、何歳まで生
きるかはわからないので、そううまくはいかないと思いま
すが、ひとつの理想としてです)。
◆貯金が減っていくだけの余生に意味はあるか
もちろん無策を勧めるわけではありません。
私が考える老後対策とは、お金を貯め込むことよりも、老
後でもお金を稼げる人間になることです。
あるいは、老後も絶えることのない収入源を作ることです。
時代がどんなに変わろうと対処できる能力を獲得していれば、
本当に老後を迎えたとき、現役時代に培った資産(人脈・
経験・知識・判断力・リーダーシップ・コミュニケーショ
ン能力)がものをいう。
そのためにも、現役時代にたくさんの経験を積み、人脈を
構築し、65歳になっても雇用され続ける人材、あるいは自
分の腕で稼げる人材になれるよう、その40年間を使って自
らを磨き高めることだと考えています。
後者の、絶え間ない収入の流れを作ることも重要です。
というのも、収入が途絶えて貯蓄が減っていくだけの生活
は、想像以上の不安に支配され、残りの人生を未来志向で
描くことが困難になるからです。
無職の経験がある人はご理解いただけると思いますが、毎
月毎月預金残高が減っていくのはかなりの恐怖で、どんな
に貯金があっても、お金を使う気にはなれません。
仮に定年退職時に5000万円貯めたとして、毎月20万円を
使うとしたら?
5年後は3800万円。
10年後は2600万円、20年後は残り200万円。
もし、さらに長生きすれば、いずれ貯金は底をつく。
こんな状況では、たとえば海外旅行に行ったり外食を楽し
んだり、安心して楽しい老後を過ごすことは難しいでしょう。
◆絶え間ない収入源を作れれば……
それよりも、仮に貯金は300万円しかなくても、毎月安定
的に20万円が入ってくるとしたらどうでしょうか。
今月20万円使っても、来月にはまた20万が振り込まれる。
来年もその次の年も、毎月毎月20万円入ってくる……。
これなら安心して生活設計ができるのではないでしょうか。
手持ちの300万円が減る可能性は低いし、とりあえず20万
円の範囲内であれば、自由にお金を使っても大丈夫。
大きな出費の予定があっても、「毎月○円貯めれば○カ月で
達成できる」と計画を立てることができます。
だからもし今、自分ができる努力量を10とすれば、貯金に
向ける努力は1くらいにして、9の努力を収入を増やすこと、
絶え間ない収入源を作ることに使うのです。
<140> 孤独を感じない1人暮らしを送る8つの方法

孤独を感じない1人暮らしを送る
8つの方法
米国国勢調査によると、2012年の段階で、アメリカには1人暮ら
しをしている人が3,100万人もいた。
米国人口の4分の1以上が1人で住んでいるというのは非常に驚き。
でも、1人暮らしをしている人は、うつ病とアルコール依存症の
リスクが高いことを示す研究結果が増えている。
詳しく見ていこう。
リスクという言葉を聞くと確かに少し怖いけれど、1人暮らしだ
からといって、必ずしも惨めで孤独とは限らないし、うつ病やア
ルコール依存症になるとも限らない。
著書に『Going Solo: The Extraordinary Rise And Surprising
Appeal Of Living Alone』を持つエリック・クリネンバーグ博士
によると、1人暮らしは過去に例を見ないほど人気があるだけで
なく、その人にとっても有益。
「1人で住んでいる人のメンタルヘルスの状態は、同棲している
未婚のカップルよりもよいことが分かっています」。
また、居住空間をシェアしなくていい人は、既婚のカップルより
もソーシャルライフが充実する傾向にある。
ここからは、できるだけ健康に1人暮らしをするための方法を見
ていこう。
1.1人暮らしが自分に向いているかどうかを真剣に考える
1人暮らしに特有のリスクがあるのは否めない。
クリネンバーグ博士によると、孤独を感じやすい人や気分が落ち
込みやすい人にとっては、1人暮らしが有害な環境になるかもし
れない。
2.信頼の置ける人に合鍵を渡す
これは、鍵を失くしてばかりの人や、階段から落ちる危険性のあ
る高齢者だけの話じゃない。
あなたの年齢に関わらず、何かあったら合鍵で入って来られる人
がいるというのは心強い。
3.近所の友達を少なくとも数名はつくる
米ラトガーズ大学の社会学者、デブ・カー博士によると、匿名で
生きようと思えば生きられる都会では、近所の人と心を通わせる
ことが大切。
わざわざ砂糖を借りに行く必要はないけれど、周囲の人と揺るぎ
ない関係を築く努力を。
大事なことを頼める相手や、あなたの様子がおかしいときに気付
いてくれる人は必要。
エレベーターの中でほほ笑むだけでは不十分。
4.予定通りに行動する
カー博士いわくルーティンを築けば、時間の使い方が効率的にな
るだけでなく、自分の状況を周囲に知らせることもできる。
例えば毎朝ウォーキングをして、その時間に運動をしている人と
知り合いになったとしよう。
あなたが突然姿を消せば、「何かあったのかな?」「大丈夫かな?」
と、その人たちが気にしてくれる。
5.ソーシャルライフを充実させる
意外にも、クリネンバーグ博士の研究結果は、シングルの人は既
婚の人より友達との交流が盛んであることを示している。
「既婚の人に比べて独身の人は、外食したり、運動したり、アー
ト教室や音楽教室に通ったり、公共のイベントや講義、ボラン
ティアに参加したりすることが多いですね」。
でも、カー博士によると、1人暮らしをするときは、ソーシャルラ
イフをより一層充実させる努力が必要。
交友関係は、肥満や心疾患といった健康上の問題を防ぐ上で大き
な役割を果たしてくれる。
でも、1人で住んでいるときは、努力しないと大切な絆が築けない。
6.テレビを消す
シーンと静まり返った空間が寂しいからと言って、テレビをつけ
っぱなしにする人がいるけれど、これは体重増加の要因になる。
米マサチューセッツ大学の論文によると、テレビを見ながら食事
をする人は、テレビを消して食事をする人よりも、カロリーの摂
取量が300kcalほど多い。
7.自分の弱点を認める
人に物事のよしあしを判断されなくていいのは、1人暮らしの大
きな利点。
くだらないリアリティー番組を見ながらゴロゴロしても、あきれ
られることはない。
でも、それこそが1人暮らしの欠点でもある。
ファミリーサイズのオレオを平らげようとするあなたに対して
「2~3枚にしておきな」と諭してくれる人はいないので、チョコ
レートクッキーにあらがえないことが分かっているなら、買わず
においたほうがいい。
8.1人の時間を楽しむ
1人暮らしの最大の特徴は、ひとりぼっちであること。
当たり前だと思うかもしれないけれど、インターネットが普及し
た現代では、本当にひとりぼっちになることが1人暮らしの最大
のメリットであることを忘れがち。
「帰宅したらテレビをつけてパソコンを開き、友達にメッセージ
を送るというのは、1人の時間の有効な使い方ではありません」
とクリネンバーグ博士。
1人の時間は瞑想や、自分が本当にやりたいことを考えるために
使って。
こういう習慣は人を大きく成長させる。
<139> 老後を豊かに暮らすための「捨てる力」の磨き方

この年までにこれを捨てて!
老後を豊かに暮らすための
「捨てる力」の磨き方
老後の親の家を見て、「物が多すぎ!」と思ったことはあり
ませんか?
それ、もしかしてあなたの将来の家かも。
快適な老後を送るためにも、今から「捨てる力」を養って
おきましょう!
年代別の捨て方ポイントも参考にしてみて。
<教えてくれた人>
安東英子さん
一般社団法人「日本美しい暮らしの空間プロデュース協会」
理事長。
約40年にわたり、全国の5000軒の家の片づけをサポートし
てきた。
「捨てる基準」を持ち「捨てる力」をアップ
60~70代を超えると気力や体力が落ちて、物を捨てるのが
おっくうになるもの。
30~40代の今、物を捨てられない人は、将来は物にあふれ
た家になる可能性が高いんです。
家が散らかる最大の理由は、物を持ちすぎているから。
物を減らせば管理しやすくなり、掃除や物探しにかけていた
時間が大幅にカットできます。
もちろん、何もかも捨てること=快適に暮らすコツではあり
ません。
「何を捨て、何を残すか」を判断する力が重要です。
自分や家族に合った「捨てる基準」を持ち、「捨てる力」を
磨いておくことで、老後も快適に暮らせることでしょう。
ほうっておくと、
老後にこんな家になっちゃうかも!?
物が多いと、何年も放置されたままの物もあり、たいていの
物がほこりをかぶっています。
日用品は、なぜか同じ物がいくつもある!
(1)民芸品
どこで買ったか思い出せもしないし、他人から見れば
ただのがらくた。
(2)つめ切り・耳かきetc.
少しずつ増えてごちゃつき、だらしない印象に。
(3)取説・DM
もう壊れた家電の取説やDMがたくさんあり、本当に
必要な物が埋もれている。
(4)孫のおもちゃ
遊びに来るたびに増殖し、飽きても置きっ放し。
(5)造花・飾り
ほこりをかぶって、薄汚れている。
老眼でほこりが見えていないのかも?
(6)CD・DVD
きっともう見ないし聴かない可能性大。
ビデオカセットまであるかも!?
(7)本棚
10年以上読んでいない本がギッシリ。
地震が来たらキ・ケ・ン。
(8)化粧品
「使いかけ」がどんどんたまり、使用期限が切れた物
が多数。
年を取ると、どんどん捨てにくくなる!
●30歳 ・病気が発覚する人も
【更年期がスタート】
更年期を機に、片づけられなくなる人続出。
つい出しっ放しになる物は適量を見直し、3分の1を捨てたい。
●40歳
【子どもが独立】
子どもの独立に際し、子ども部屋の物は本人に処分させて。
ここを逃すと永遠に放置され、老後は悲惨な家に。
更年期でイライラMAX!?
●50歳 ・重たい物が持ち上げられないかも
●60歳 ・視力・体力・記憶力が低下傾向に
【夫が定年退職】
定年後、夫が収集に目覚めて物が増える問題が多発。
3年使っていない大物グッズは廃棄を。
●70歳 ●80歳 ・80代のほぼ全員に白内障の症状が
【筋力・視力・味覚・記憶力の低下】
高い位置や奥にある物を取るのが面倒で、手が届く範囲の
物だけでの生活に。
そろそろ「元気なうちの生前整理」を開始。
この年までに、こう捨てて!!
■子どもが未就学児のうちに
「二度と手に入らない物」以外の捨てるべき物に気づいて。
子どもの作品など二度と手に入らない物は、安易に捨てる
と後悔することも。
「大人になったとき見せてあげたいか」を基準に残し、
その分夫婦のいらない物を捨てて。
■子どもが小学生になったら
夫婦の物量より子どもの物量優先で。
子どもは、成長とともに必要な物が増えていくもの。
家の広さは限界があるので、小学校に入ったら夫婦の物よ
り子どもの物を優先して、量を見直して。
スッキリ快適な家は、子どもを豊かにはぐくみます。
■30歳を過ぎたら
家のきれいなママ友と仲よくする。
家がきれいなママ友は、物の持ち方や量を参考にしたい、
身近なお手本です。
「家のきれいさ、汚さは伝染する」と心得て。
■35歳を過ぎたら 無料の物はもらわない。
ただでもらった物が増えると、収納スペースが占領され、
本当に必要な物が埋もれます。
無料の物が好きな人に、捨て上手はいません。
■40歳を過ぎたら
めざすは、「15分で掃除できる家」!
忙しい40代は、床や机の上に置きっ放しの物を減らして、
掃除しやすい家を目標に。
つい増える文房具類のストックも見直したい。
■45歳を過ぎたら
物の適量を自覚し、もう増やさない!
「1つ買ったら1つ捨てる」を徹底し、物の量をセーブ。
更年期を境に片づけられなくなる人が増えるので、「これ
以上増やさない」という覚悟を持って。
<27> キャスト・アウェイ
チャックは速さを誇る宅配便“フェデックス”のシステム・
エンジニア。
世界中を駆け回り、システム上の問題解決に明け暮れる日々。
一秒も無駄にしないことが信条の彼は、恋人ケリーとのデー
トも秒刻みだった。
そんな彼はある時、飛行機事故に遭い、1人無人島に流れ着く。
彼は恋人ケリーとの面影と新しい友達に見立てたバレーボー
ルを支えになんとか生き延びる。
そして4年が経った……。
飛行機事故に遭い無人島に漂着した男の生き残りをかけた孤独
な日々を描いた人間ドラマ。
<138> 誰が介護するのか?息子が重要?

「誰が介護するのか」
夫婦仲が崩壊しないためには息子が重要?
「誰が介護をするのか」という問題。
親族一同が集まり、話し合うのが理想ですが……。
※本連載は相沢光一著『介護を左右する 頼れるケアマネ 問題
なケアマネ』(河出書房新社)より一部を抜粋、再編集した
ものです。
登場するケアマネの方々、サービス事業者の方々のお名前は、
すべて仮名です。
介護の中心的な担い手になるのは誰か
介護が始まるとき、そして介護中ももめることがあるのが
「誰がおもに介護するのか」の問題です。
選択の余地などなく、介護者になる人もいます。
老夫婦がふたりだけで住んでいて、どちらかが介護される側に
なったケース。
子どもがいなかったり、いたとしても遠くに住んでいる場合は、
配偶者が介護をするしかない。
つまり「老老介護」です。
介護する側も高齢ですから困難がともないますが、配偶者とい
う立場上、頑張るしかありません。
また、親ひとり子ひとりの場合も当然、子が介護をすることに
なります。
もめるのは、介護される人に子どもが複数いるケース。
兄弟姉妹がいて、このなかの誰がおもな介護者になるかという
状況です。
常識的に見た優先順位はあります。
親と同居している子がいれば、その人で決まりでしょう。
いない場合は、親の住む家のいちばん近くにいる子、兄弟のな
かの女性、いちばん上の子が候補にあがります。
しかし、おもな介護者になったら、大きな負担を背負うことに
なる。
それが嫌で押しつけ合いをするわけです。
理想をいえば、兄弟の仲が良く、いちばん上の兄か姉をおもな
介護者として立てたうえで、全員が負担を分け合ってケアする
のがいいのですが、そううまくはいきません。
くわえて、親の死期が近づいているときの行為ですから、遺産
相続の問題もからんできます。
ですから、介護が始まるときは、兄弟全員が集まる機会を設け、
各々どれだけの介護負担ができるのかを話し合っておきたいと
ころです。
また、内容が生々しくて話しづらいかもしれませんが、相続の
ことにも触れ、文書に残しておくこともしたほうがいいでしょう。
このあたりをきっちりしておくかどうかでも、介護のストレス
が違ってくるのです。
もうひとつ、もめるパターンがあります。
介護される人の息子が、立場上、介護をすることになったが、
「自分にはケアなんか無理」と思いこんで、仕事があることな
どを口実に、お嫁さんにケアを押しつけるケースです。
介護される人が母親の場合、お嫁さんは姑のケアをすることに
なる。
姑と嫁の仲が良ければいいですが、不仲であった場合、お嫁さ
んは嫌で仕方がないでしょう。
また、相手が舅だったとしても気の進まない行為であり、相当
なストレスをためこむことになります。
その結果、そんな苦行を強いる夫を許せなくなり、夫婦仲が崩
壊することも多いのです。
息子は介護から逃げていてはダメ
こうした危機を回避するには、息子がケアから逃げていてはダメ。
みずから積極的にケアをする姿勢を見せるしかありません。
仕事がある平日はなるべく早く帰り、夜のケアを担当する。
休日のケアはすべて引き受けるといった気持ちを奥さんに見せ、
実践することです。
つまり、兄弟にしても夫婦にしても、誰かひとりにケアを押し
つけるのではなく、介護をする立場にある人はケアに参加し、
つらさを分かち合うことが大切なのです。
そのいっぽうで、介護が必要なのに、介護する人がいないケー
スもあります。
独居の人です。
ひとり身を通した人、家庭をもっていたが何らかの事情でひと
りになった人もいますが、子がいても独居の人はいます。
子が遠く離れた土地で家庭をもっており、ケアをするのが不可
能なケースです。
独居の人に対してはケアマネもひんぱんに訪問するようにしま
すし、ホームヘルパーを多めに入れる配慮をするものです。
また、見守り要員には民生委員がいます。
民生委員は厚生労働省から委嘱され、各町内に配置される“地
域のなんでも相談員”といった存在です。
困りごとの相談に乗り、必要があれば関係機関につないで解決
に導く役割をもっています。
遠隔地に住む親が要介護になり、子がケアに行くことができな
い場合は、ケアマネに事情を話して独居対応をしてもらうこと
はもちろん、その地域を担当する民生委員にも連絡を取り、見
守りや相談相手になることを頼んでおきたいところです。
■「見守りサービス・機器」で安否をつかむ
見守りや安否確認をする方法は、まだあります。
民間企業がさまざまな見守りサービスを提供しているのです。
日本郵便では、郵便配達の職員が介護される人の自宅を月1回
訪問して生活状況などを聞くサービス、地域の電力会社やガス
会社は、自宅の電気やガスの利用状況をモニターし、異変があ
ればメールで介護をする人に連絡するサービス、警備会社は家
の各所に設置したセンサーに異変が示されたら駆けつけるサー
ビスがあります。
どれもそれなりの料金はかかりますが、安心のため、このうち
のひとつぐらいは利用してみるのもいいでしょう。
最近では見守りの機器を利用する人も多くなってきました。
見守りカメラがそのひとつ。
介護される人の部屋に設置しておくと、その映像がスマート
フォンで確認できるもので、価格は1台3000円ぐらいから。
安価なので各部屋に設置する人もいるようです。
見守りカメラは介護される人の姿を確認するための機器ですが、
双方向で映像が確認できるテレビ電話も安価なものが出ています。
親御さんも子や孫の顔を見て話ができるのはうれしいですし、
元気にもなる。
スマホにもテレビ電話機能はありますが、高齢者には対応でき
ない人も多いでしょうから、画面が大きい据え置き型のテレビ
電話は重宝するはずです。
<27> 神なるオオカミ
文化大革命時代の1967年、
「知識青年」チェン・ジン(ウィリアム・フォン)は、北京から
モンゴル内陸部に下放される。
彼の任務は羊飼いの遊牧民たちに勉強を教えることだったが、
都会育ちのチェンは厳しくも美しい大自然から学ぶことも多かった。
やがて彼は大草原で人々に畏怖されると同時に崇められている
オオカミに心奪われ、オオカミの子供を保護するが……。
文化大革命期のモンゴルを舞台に、人間とオオカミの魂のぶつ
かり合いをじっくりと描き出す。
<137> 順位付けない徒競走、在り方に賛否

順位付けない徒競走、在り方に賛否
「なくても誰が速いかは分かる」
「あった方が頑張るきっかけに」
「11月上旬にあった小学校の運動会の徒競走で順位を数えて
いなかった。何の配慮なんでしょうか」。
広島市西区の小学校に子どもが通う30代主婦から編集局にこ
んな声が寄せられた。
調べてみると、この学校以外にも市内の複数の小学校で同様
の措置が取られていた。
その意味や児童の受け止め、保護者の反応を探った。
この小学校では学年ごとに徒競走を実施。
いずれも順位を付けず、ゴール付近に順位を示す旗も立てて
いなかった。
校長は
「新型コロナウイルス対応の一環。
人員を確保するのが難しかったため」
と理由を説明。
順位ごとの案内係を取りやめるなど他者との接触機会を減ら
し、午前中で運動会のプログラムを終えるよう工夫したそうだ。
校長によると今回の運動会は
「子どもの頑張りを見てもらう『発表会』の意味合いが強か
った」
という。
広島市内の市立小は計141校あるが、少なくとも1割を超える
15校が順位付けをしていなかった。
東区の小学校では「体育参観日」と称し、ゴールテープも設
けなかった。
あくまでも今年は、新型コロナ対策とのこと。
しかし、順位付けには以前から賛否があるそうで、学校側に
は保護者から「なぜ順位を付けるのか」との指摘を受けるケ
ースもあるという。
中区の小学6年男児(11)は
「子ども同士で誰が速いかは分かっている」
と強調。
ある保護者も
「本人や親は順位を分かっている。
それなのにわざわざ付けるのは、みんなに知らしめるだけ。
速い子はいいけど…。
理解できない部分もある」
と首をかしげる。
一方、順位付けしてほしい側の意見。
東区の小学6年男児(11)は
「達成感がなく、全力を出しにくかった。
順位があった方が頑張るきっかけにもなるのに」
と話した。
男児の父親(44)は
「社会に出ると順位が付くシチュエーションはいくらでもある。
優劣を付けない配慮が果たして社会に出た時のためになる
のか」
と言い切る。
負けたくないとの思いで努力する過程が大事との意見も一定
にあり、1位になれば自己肯定感につながり、負けて挫折感を
味わうのも大切な経験の一つとの見方もあった。
たかが徒競走、されど徒競走―。
「新型コロナ対応」で見えた徒競走の在り方は来年度以降、
どうなっていくのか。
声を寄せてくれた主婦と同じく、徒競走は順位を付けられる
のが当たり前で、走り終えた児童は順位ごとに整列するのが
自然な光景だとばかり思っていた。
この「常識」は果たして間違っていたのか…。
みなさんはどうあるべきだと思いますか?