コシノジュンコ 原点から現点③ | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

あべのハルカス美術館で見た「コシノジュンコ 原点から現点」の続きです。以下の文章は展示室のパネルから引用しました。

 

 

  DRUM TAO

 

DRUM TAO(ドラム タオ)は、「世界で通用するエンターテイメント」という目標を掲げ、1993年愛知県で結成、1995年に大分県竹田市に拠点を移し、音楽や舞台美術、衣装などを独自に制作し、和太鼓を中心とした伝統楽器を用いながら、多彩なジャンルのメロディーを取り入れた音楽と魅せる舞台構成で、国内のみならず世界各国で公演を開催する和太鼓エンターテインメント集団である。その芸術性と独創性は高く評価され、世界観客動員数が900万人を超えるなど、広く活躍している。

 

 

 

そのDRUM TAOの舞台衣装を2012年から手掛けているのがコシノジュンコである。コシノとDRUM TAOとの出会いは、2011年の東京公演。舞台を見た瞬間にDRUM TAOの魅力を洞観、衣装を変えたらもっと面白くなるし、ブロードウェイでも活躍、日本版シルク・ドゥ・ソレイユのような、否、それ以上の存在として、さらに大きく羽ばたいていくだろうと感じたという。それ以来、DRUM TAOの衣装を手掛けており、これまでに作られた舞台衣装は累計数千着以上に上っている。

 

 

 

DRUM TAOのパフォーマンスは、基本的に外部の演出家を入れず、自分たちで工夫しながら組み立て演じている。それが彼らの生き生きとした演技を生み出し、演劇でも、オペラでもない、エンターテインメントとアート、身体表現、スポーツ、肉体美など様々な要素が融合し完成される独自のパフォーマンスに昇華されていく。その彼らのパフォーマンスにコシノの衣装が加わることで、彼らの身体に宇宙や地球、自然、歴史、伝統などの普遍なるものが融合し、彼らの魅力をより引き立てるとともに、芸術的な完成度がより一層高められ、唯一無二のスペクタクルとなって観客を魅了する。

 

 

 

 

コシノがDRUM TAOの衣装を手掛ける際に大切にしていることは、彼らの一貫したオリジナリティーを壊さないようにすること、男女ともに鍛え上げられた肉体の美しさをより引き出すよう、衣装は身体に合い、動きの邪魔にならないもの、それでいて存在感や意外性を生む、彼らの魅力を最大級に発揮させるようデザインすることだという。世界中を熱狂させる比類ない和太鼓エンターテインメント集団DRUM TAOの活躍は、コシノとの協働により、より大きく花開くことになったのである。

 

 

 

  JAPONISM 能・琳派

 

琳派とは、桃山時代後期に興った優美な装飾性を特徴とする流派で、書画工芸等の幅広い分野の美術作品を手掛けた。本阿弥光悦と俵屋宗達に始まり、王朝以来の大和絵の様式や美意識の伝統を、大胆なデザイン、斬新な意匠性により翻案し、新感覚の様式を確立した。

 

 

江戸中期には尾形光琳、乾山兄弟が大成し、江戸後期には江戸を拠点に活躍した酒井抱一、鈴木其一へ継承された。直接的な師系や血縁ではなく、各々が先達に私淑する形で、様式が継承されてきた。

 

 

琳派様式の影響は、書画工芸のみならず、建築、庭園、衣装、料理、菓子など、幅広い領域に及び、近現代のデザインにもその精神と本質が受け継がれている。

 

 

コシノジュンコは、琳派400年記念祭の呼びかけ人として、河野元昭、高階秀爾、辻惟雄、芳賀徹と共に活動してきた。2015年には、京都国立博物館 平成知新館で特別展覧会「琳派誕生400年記念 琳派 京都を彩る」が開催され、そのオープニングイベントとして、コシノは「龍とモード」をテーマにファッションショーを行った。静謐な空間に能のお囃子の生演奏が流れ、龍の演目「風神雷神」でショーは始まった。すり足で歩くモデルたちは、京都の西陣織や、江戸時代の小袖をイメージしたKIMONOドレス、蒔絵をイメージしデザインされた羽織をまとい独自の世界を披露した。

 

 

 

 

2017年には、フランス国立ギメ東洋美術館にて「KIMONO」展を開催。伝統的な着物に現代のデザインを織り交ぜ、日本のエスプリを世界に発信した。

 

 

さらに2018年、京都・パリ友情盟約締結60周年記念式典では、パリ市庁舎を会場に「Theatre 龍 et mode」と題したショーを開催した。観世流能楽師分林道治を迎え、能のお囃子に合わせて西陣織や京友禅の技術を取り入れたドレスや着物を披露。このショーを通じて、日本文化の魅力を発信した。

 

 

 

 

2020年には、東京銀座にある「GINZA SIX」内の観世能楽堂にて伝統と現代を融合した総合芸術の舞台「能+ファッション」を二十六世観世宗家、観世清和とともに企画。第一部は能の舞台「風神雷神」とファッションショー、第二部は観世清和による「紅葉狩鬼揃」が、コシノのデザインした装束をまとい演じられた。この斬新な試みは、継承される伝統と現代の創造の融合であり、大胆さと繊細さが表裏一体を成す美の姿である。

 

 

 

 

  NOH+FASHION@あべのハルカス美術館

 

デザイン画

 

「紅葉狩 鬼揃」シテ(能の主役)の衣装 

 

 

観世三郎太の衣装

 

風神 衣装

 

雷神 衣装

 

 

衣装

 

 

「紅葉狩 鬼揃」シテ役

 

観世三郎太

 

 

風神

 

雷神

 

 

  RINPA FASHION SHOW@あべのハルカス美術館

 

デザイン画

 

JAPONISMコレクション

 

 

 

 

 

衣装

 

 

 

 

 

 

1体ずつ見たい方はスライドショーをどうぞ。28体目に格闘家・武尊のガウンを着たマネキンが登場します。

 

 

武尊のガウンに関連して、プロボクサー寺地挙四朗が着用したガウンの展示もありました。

 

 

 

次に続きます。